2026年9月時点の情報です。
大井町の再開発とマンション価格の関係を、国土交通省の取引データをもとに当社が集計すると、町名「大井」の中古マンション㎡単価は2025年に前年比+11.8%と、品川区全体の+6.4%を上回りました。一方、隣の「東大井」は価格水準が区平均を下回ったままです。
OIMACHI TRACKSの開業で「大井町のマンションは上がるのか」と考える方は多いはずです。この記事では、再開発の中身とスケジュールを一次資料で確認し、町名別の相場データを並べたうえで、最後に当社の見方を独立した章でお伝えします。
この記事のポイント
- OIMACHI TRACKSは2026年3月28日に開業し、品川区の新庁舎は2029年9月の開庁を予定しています。
- 国交省データをもとに当社が集計すると、大井の中古マンション㎡単価は2025年に146.1万円で、品川区全体を12.4%上回りました。
- 東大井は2023年から2025年に+15.6%伸びましたが、水準は区全体を下回っています。
- OIMACHI TRACKSの住宅は賃貸とサービスレジデンスで、分譲マンションの供給はありません。
- 2026年は第1四半期のみで件数が少なく、直近の値動きは判断できません。
大井町の再開発とは?OIMACHI TRACKSと新庁舎が軸
大井町の再開発は、JR東日本の「OIMACHI TRACKS」と品川区の新庁舎整備が、同じ広町地区で一体的に進む計画です。品川区は2020年11月に「大井町駅周辺地域まちづくり方針」を策定し、広町地区を大規模な土地利用転換で区の中心核にすると位置づけました。
土台になっているのは、UR都市機構が施行する広町二丁目土地区画整理事業(約6.1ha)です。JR東日本の社宅跡地や区有地などを整理し、道路や北側駅前広場を整備しながら宅地を再配置しています。
OIMACHI TRACKSの規模
JR東日本の公表資料によると、OIMACHI TRACKSの中核となるA-1地区は延床面積約250,000㎡、地上26階・高さ約115mです。オフィス約124,000㎡、商業約19,700㎡、ホテル285室、レジデンス272戸で構成されます。
図の左側、TRACKS PARKの上に点線で示されているのが品川区新庁舎の位置です。大井町駅からホテル・住宅タワー、オフィスタワー、広場の脇を通って新庁舎側まで、歩行者デッキでつながる配置として描かれています。
施設の理念や環境面の取り組みは、OIMACHI TRACKSが目指す都市開発の考え方で紹介しています。本記事では、ここから先をマンション価格の話に絞ります。
大井町再開発のスケジュール(目標)
大井町の再開発は、OIMACHI TRACKSが2026年3月に開業済みで、品川区新庁舎の開庁は2029年9月の予定です。庁舎跡地の活用はその後の段階になります。実績と今後の予定を分けて整理します。
| 時期 | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 2020年11月 | 品川区「大井町駅周辺地域まちづくり方針」策定 | 実績 |
| 2021年11月 | 広町二丁目土地区画整理事業 都市計画決定(品川区決定) | 実績 |
| 2023年9月 | 大井町駅西口E地区市街地再開発準備組合 設立 | 実績 |
| 2024年12月 | 広町地区地区計画(再開発等促進区を定める地区計画)変更 | 実績 |
| 2025年10月1日 | 品川区新総合庁舎 工事着手 | 実績 |
| 2026年3月28日 | OIMACHI TRACKS グランドオープン | 実績 |
| 2029年6月 | 品川区新庁舎 竣工 | 目標 |
| 2029年9月 | 品川区新庁舎 開庁 | 目標 |
| 2029年度以降 | 現庁舎の解体と跡地活用(活用プラン策定、都市計画変更、事業者募集・選定を経る) | 目標(内容未定) |
| 2033年度 | 広町二丁目土地区画整理事業 事業期間の終了 | 目標 |
OIMACHI TRACKSは、高輪ゲートウェイ駅のTAKANAWA GATEWAY CITYと同じ2026年3月28日にグランドオープンしました。JR東日本は両施設を「広域品川圏」のまちづくりとして発表しています。高輪側の計画は品川駅北周辺地区の再開発と不動産価値への影響で解説しています。
庁舎跡地については、品川区が2025年5月時点の資料で「令和11年度以降の現庁舎解体を見据えて跡地活用の検討を進める」としています。現庁舎の敷地は約13,484㎡あり、何を建てるかはまだ決まっていません。
大井町駅西口E地区は、区の公表情報では2023年9月に準備組合が設立された段階です。建物の規模や完成時期は公表されていません。
大井町のマンション価格は再開発でどう動いたか?
大井町の中古マンション価格は、町名「大井」では2025年に大きく伸び、区全体を上回りました。国土交通省の不動産取引価格情報をもとに、当社が町名別に集計した結果を示します。対象は「中古マンション等」の取引で、㎡単価は中央値です。
年別の㎡単価(中央値)と取引件数
| 年 | 大井 ㎡単価 | 大井 件数 | 東大井 ㎡単価 | 東大井 件数 | 品川区全体 ㎡単価 | 品川区全体 件数 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2023年 | 124.3万円 | 78件 | 108.1万円 | 128件 | 114.0万円 | 1,753件 |
| 2024年 | 130.7万円 | 75件 | 119.2万円 | 108件 | 122.2万円 | 1,821件 |
| 2025年 | 146.1万円 | 100件 | 125.0万円 | 121件 | 130.0万円 | 2,043件 |
| 2026年(第1四半期のみ・暫定) | 135.0万円 | 11件 | 120.0万円 | 27件 | 133.8万円 | 358件 |
大井は2025年に前年比+11.8%で、品川区全体の+6.4%を上回りました。2023年から2025年までの2年間でみると、大井は+17.5%、品川区全体は+14.0%です。区全体との差は2024年の+7.0%から、2025年には+12.4%へ広がりました。
東大井は同じ2年間で+15.6%と、伸び率では区全体を上回っています。ただし水準は2023年から2025年まで一貫して区全体を下回り、2025年は区全体より3.8%低い125.0万円でした。
2026年は第1四半期のデータしかなく、大井は11件、東大井は27件です。件数が少ないため、2026年に価格が下がったのか上がったのかは判断できません。同様に、年間100件前後の大井では四半期ごとの件数が30件に届かず、四半期単位の動きも傾向の根拠にはしていません。
実際の取引額と築年の構成
2025年1月から2026年3月までの取引を、総額と面積でも確認します。
| 項目 | 大井 | 東大井 | 品川区全体 |
|---|---|---|---|
| 取引件数 | 111件 | 148件 | 2,401件 |
| 取引価格の中央値 | 7,500万円 | 6,500万円 | 6,000万円 |
| 取引価格の四分位範囲(中央の半数) | 4,400万〜1億5,000万円 | 3,300万〜9,700万円 | 3,200万〜1億円 |
| 専有面積の中央値 | 55㎡ | 55㎡ | 55㎡ |
| 2016年以降築の割合 | 31.5%(35件) | 13.5%(20件) | 22.8%(548件) |
| 1999年以前築の割合 | 29.7%(33件) | 39.9%(59件) | 37.1%(891件) |
大井は取引の中央の半数が4,400万円から1億5,000万円に分布し、上側の幅が大きいのが特徴です。築年でみると、大井は2016年以降に建った物件の取引が3割を超え、東大井は1999年以前の物件が約4割を占めます。
なお、取引価格の中央値と㎡単価の中央値はそれぞれ別に集計しているため、両者の並び順は一致しないことがあります。
出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ(https://www.reinfolib.mlit.go.jp/)「不動産取引価格情報」(国土交通省)をもとにINA&Associates株式会社作成。2026年9月時点で取得できたデータによります。直近の四半期は後から取引が追加されるため暫定値です。本データは最新性、正確性、完全性等が保証されたものではありません。
同じ品川区内の再開発エリアでも、データの動きは異なります。目黒駅前の再開発と価格データでは、同じ集計方法で、区全体が上がるなか2024年をピークに㎡単価が下がった目黒駅前エリアを取り上げています。
再開発で大井町の住宅供給は増えるのか?
OIMACHI TRACKSで生まれた住宅はすべて賃貸またはサービスレジデンスで、分譲マンションは含まれていません。JR東日本の計画概要では、OIMACHI TRACKSのレジデンス272戸の内訳は賃貸レジデンス174戸、SOHO20戸、サービスレジデンス78戸です。
公式サイトによると、「OIMACHI TRACKS RESIDENCE」は総戸数194戸の高級賃貸タワーレジデンスで、18〜24階に住戸、14階にSOHOを配置しています。15〜17階の「オークウッド大井町トラックス東京」(全78室)は、The Ascott Limitedが手がけるサービスレジデンスです。
新庁舎は行政施設で、住宅は含みません。庁舎跡地は活用内容が未定で、住宅が入るかどうかも決まっていません。大井町駅西口E地区も準備組合の段階で、住宅戸数は公表されていません。
つまり2026年9月時点で、本記事で取り上げた4つの計画(OIMACHI TRACKS、新庁舎、庁舎跡地、大井町駅西口E地区)に、公表された分譲マンションの計画はありません。なお、これらの事業とは別に、民間の分譲マンションが周辺で個別に供給されることはあります。
INAの見方
ここからは公表資料ではなく、当社の見立てです。
2025年の伸びは、開業への期待と物件の新しさが重なった結果とみています
大井の2025年の伸びは、OIMACHI TRACKSの開業を前にした期待が価格に表れた面があると考えています。区全体との差が1年で+7.0%から+12.4%に広がったことは、エリア固有の動きとして注目に値します。
一方で、大井は2016年以降築の取引が31.5%と、区全体の22.8%より多くなっています。新しい物件ほど㎡単価は高くなるため、差の一部は取引された物件の顔ぶれによるものと読んでいます。「再開発で同じ物件が12%上がった」と受け取るのは早計です。
大井と東大井は、別の市場として見るべきです
東大井は伸び率では区全体と同程度以上ですが、水準は区平均を下回っています。1999年以前築の比率が高く、2016年以降築が13.5%にとどまることが、水準の低さの一因とみています。
大井町駅とOIMACHI TRACKSへの距離、築年、管理状態によって、同じ「大井町エリア」でも価格の付き方は変わります。町名の平均だけで割安・割高を決めないことをおすすめします。
賃料と利回りは、賃貸レジデンスとの競合を分けて考えます
OIMACHI TRACKSには194戸の高級賃貸住宅が加わりました。駅直結の新築賃貸は、周辺の高価格帯の賃貸物件と入居者を取り合う可能性があります。一方で、中古の区分マンションの多くは賃料帯が異なり、直接の競合は限られると考えています。
本記事では賃料や利回りの数値は示していません。ただ、購入価格が上がった局面では、賃料が同じでも表面利回りは下がります。検討する際は、表面利回りと実質利回りの違いを踏まえ、管理費・修繕積立金を差し引いた手残りで判断してください。
投資家としての判断軸
| 判断 | 当てはまる状況 | 確認すること |
|---|---|---|
| 買い時と考えてよい | 10年以上の長期保有を前提に、駅徒歩圏で管理状態のよい物件を相場並みで買える | 同じマンション・近隣の直近成約事例、修繕積立金の残高と長期修繕計画 |
| 様子見 | 2025年の上昇後の価格で、築年の割に高い売り出しが多い | 2026年通年のデータ(件数が30件を超えるか)、新庁舎開庁に向けた動き |
| 見送り | 表面利回りが低く、借入比率が高い。短期の値上がり益を前提にしている | 金利上昇時の返済額、賃料が想定を下回った場合の手残り |
次の材料は、2029年9月予定の新庁舎開庁と、その後の庁舎跡地の活用内容です。跡地に何が入るかは未定のため、現時点でそれを価格に織り込む根拠は乏しいと考えています。長期の保有を前提に、足元の価格が区平均との比較で妥当かを見ることが、この局面での基本です。
物件の比較で迷ったら、中古マンション購入チェックリストで建物面の確認項目も押さえてください。大井町エリアで個別の物件を検討されている方は、INAの無料相談で成約事例と収支の見通しを一緒に確認することもできます。
まとめ
大井町の再開発は、2026年3月28日のOIMACHI TRACKS開業で大きな節目を迎え、2029年9月の新庁舎開庁と庁舎跡地の活用が次の段階になります。
- 国交省データをもとに当社が集計すると、大井の中古マンション㎡単価は2025年に146.1万円(前年比+11.8%)で、品川区全体の+6.4%を上回りました。
- 東大井は2023年から2025年に+15.6%伸びた一方、水準は区全体を下回っています。
- OIMACHI TRACKSの住宅は賃貸とサービスレジデンスで、本記事で取り上げた再開発事業に公表済みの分譲マンション計画はありません。
- 2026年は第1四半期のみで件数が少なく、直近の動きは判断できません。
大井町の再開発がマンション価格にどう表れているかを当社がどう読むかは、「INAの見方」の章にまとめています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 大井町の再開発でマンション価格は上がりましたか?
A. 町名「大井」の中古マンション㎡単価は、2025年に前年比+11.8%上がりました。国交省データをもとに当社が集計した値で、同じ年の品川区全体(+6.4%)を上回っています。ただし大井は新しい物件の取引比率が高く、同じ物件が同じだけ値上がりしたことを示すものではありません。
Q2. OIMACHI TRACKSで分譲マンションは買えますか?
A. 買えません。OIMACHI TRACKSの住宅は、賃貸レジデンス174戸、SOHO20戸、サービスレジデンス78戸で構成されています。住まいとして利用する場合は賃貸での入居になります。
Q3. 品川区の新庁舎はいつ開庁しますか?
A. 2029年9月の開庁予定です。品川区によると、新総合庁舎は2025年10月1日に工事に着手し、2029年6月に竣工する予定です。現庁舎の跡地の活用内容は、2029年度以降の解体を見据えて検討が進められている段階です。
Q4. 2026年の大井町のマンション価格は下がっていますか?
A. 件数が少なく、判断できません。2026年は第1四半期のデータのみで、大井は11件、東大井は27件です。直近の四半期は後から取引が追加されるため、値は今後変わる可能性があります。
引用・参考資料
- JR東日本「大井町駅周辺広町地区開発(仮称)のまちづくり~都市生活共創拠点『OIMACHI TRACKS』の形成と心豊かで質の高いくらしの実現~」(2024年10月8日)PR TIMES
- JR東日本「国際都市TOKYOの未来を拓く、広域品川圏の共創まちづくりが本格始動!~2026年3月28日 TAKANAWA GATEWAY CITY/OIMACHI TRACKSがグランドオープン~」(2025年10月7日)PR TIMES
- OIMACHI TRACKS「OIMACHI TRACKSについて」
- OIMACHI TRACKS「RESIDENCE」
- 品川区「大井町駅周辺地区のまちづくり」
- 品川区「広町地区のまちづくり」
- 品川区「広町地区における土地区画整理事業の概要について」(2021年11月30日 建設委員会資料)
- 品川区「新庁舎整備」
- 品川区「品川区庁舎跡地活用 事業概要書 令和7年度」
- 国土交通省 不動産情報ライブラリ「不動産取引価格情報」
