2026年9月時点の情報です。
高輪ゲートウェイの再開発「TAKANAWA GATEWAY CITY」は、2026年3月28日にグランドオープンしました。ところが周辺の中古マンション価格を地区別に集計すると、開業地である高輪の伸びは港区全体を下回り、大きく伸びたのは港南と芝浦でした。
「駅前に国内最大級の街ができたのだから、周りのマンションも上がっているはず」。そう考えて物件を探している方は多いと思います。この記事では、国土交通省のデータをもとに当社が集計した数字で高輪・港南・芝浦の値動きを確かめ、投資家としての判断軸をお伝えします。
この記事のポイント
- TAKANAWA GATEWAY CITYは2025年3月27日の先行開業を経て、2026年3月28日にグランドオープンしました(実績)。
- 2023年から2025年の中古マンション㎡単価(中央値)の上昇率は、港区全体が+29.2%、高輪が+16.2%、港南が+38.9%、芝浦が+44.0%でした。
- 高輪は2023年に港区全体を11.7%上回っていましたが、2025年にはその差が0.5%まで縮まっています。
- 街の中の住宅は総戸数847戸の賃貸専用レジデンスで、賃貸で運用するなら競合として織り込む必要があります。
- 再開発だけの効果はデータから切り分けられないため、地区と築年数を揃えて比べることが判断の出発点です。
高輪ゲートウェイの再開発はいつ全面開業したのか?
TAKANAWA GATEWAY CITYは、2026年3月28日にグランドオープンしました。JR東日本の発表では、2025年3月27日に先行開業した「THE LINKPILLAR 1」に続き、この日に「THE LINKPILLAR 2」「MoN Takanawa: The Museum of Narratives」「TAKANAWA GATEWAY CITY RESIDENCE」の3棟が開業しています。
公式サイトによると、延床面積は約84万5000㎡です。街区ごとの施設構成や事業の経緯は高輪ゲートウェイシティの再開発プロジェクトの全体像で扱っていますので、ここでは価格判断に関わる日程だけを整理します。
高輪ゲートウェイ周辺のスケジュール(目標)
| 時期 | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 2025年3月27日 | THE LINKPILLAR 1が開業し、高輪ゲートウェイ駅が全面開業 | 実績 |
| 2025年10月2日 | JWマリオット・ホテル東京がTAKANAWA GATEWAY CITYの高層階に開業 | 実績 |
| 2026年3月28日 | グランドオープン(THE LINKPILLAR 2、MoN Takanawa、TAKANAWA GATEWAY CITY RESIDENCEが開業) | 実績 |
| 2028年春 | 高輪築堤(国指定史跡の第7橋梁部および公園部)の現地保存・公開 | 目標 |
高輪築堤の公開時期は、2025年10月のJR東日本の発表では「2027年度予定」でした。2026年9月時点の公式サイトでは「2028年春」と記載されているため、表は新しい表記に合わせています。
街の中の住宅は分譲ではなく賃貸
TAKANAWA GATEWAY CITY RESIDENCEは、地上44階・地下2階、総戸数847戸の高級賃貸レジデンスです。住戸面積は43.12㎡から587.60㎡、間取りは1LDKから5LDKで、JR東日本はエクスパッツ(外国人ビジネスワーカー)にも対応した国際水準の住戸と説明しています。所在地は港区三田三丁目です。
このレジデンスは購入できません。高輪ゲートウェイ周辺でマンションを買う場合、選択肢は高輪・港南・芝浦などの既存物件になります。
周辺で続く再開発
JR東日本は、TAKANAWA GATEWAY CITYと品川駅周辺エリア(品川駅北口駅改良・品川駅街区)のまちづくりを、今後も一体で進めるとしています。グランドオープンの挨拶でも、社長が「第1期のグランドオープン」と述べ、品川駅に向けて街を広げていく考えを示しました。
国道15号沿いの品川駅北周辺地区第一種市街地再開発事業は、2022年10月12日に都市計画決定されています。東京都の資料では、南街区の主要な用途に業務・店舗などとあわせて住宅が含まれています。計画の中身は品川駅北周辺地区再開発の115mツインタワー計画や泉岳寺駅地区第二種市街地再開発の計画概要で詳しく解説しています。
高輪ゲートウェイ周辺のマンション価格はどう動いたのか?
2023年から2025年にかけて最も伸びたのは芝浦と港南で、再開発の足元にあたる港区高輪の伸びは、港区全体を下回りました。国土交通省の不動産取引価格情報をもとに、当社が「中古マンション等」の取引を地区名ごとに集計した結果が次の表です。
| 年 | 港区全体 | 高輪 | 港南 | 芝浦 |
|---|---|---|---|---|
| 2023年 | 146.7万円(2,081件) | 163.8万円(188件) | 126.0万円(181件) | 136.7万円(268件) |
| 2024年 | 166.7万円(1,993件) | 163.3万円(170件) | 146.3万円(174件) | 165.0万円(219件) |
| 2025年 | 189.5万円(2,241件) | 190.4万円(172件) | 175.0万円(192件) | 196.8万円(270件) |
| 2026年(第1四半期のみ・暫定) | 200.0万円(432件) | 193.0万円(34件) | 187.5万円(45件) | 184.5万円(38件) |
※金額は㎡単価の中央値、カッコ内は取引件数です。
| 地区 | 2023→2025年の上昇率 | 2023年の港区全体との差 | 2025年の港区全体との差 |
|---|---|---|---|
| 港区全体 | +29.2% | ― | ― |
| 高輪 | +16.2% | +11.7% | +0.5% |
| 港南 | +38.9% | −14.1% | −7.7% |
| 芝浦 | +44.0% | −6.8% | +3.9% |
※上昇率と差は、上の表の㎡単価中央値から当社が計算しました(例:港南の上昇率は175.0÷126.0−1)。
高輪は2023年から2024年にかけてほぼ横ばい(163.8万円→163.3万円)でした。THE LINKPILLAR 1が開業した2025年は前年比+16.6%と、港区全体の+13.7%をやや上回っています。しかし2年間を通すと区全体の伸びに届かず、2023年にあった区全体との差はほぼなくなりました。
一方、港南と芝浦は区全体より速いペースで上がり、港南は区全体との差を縮め、芝浦は2025年に区全体を上回りました。
2026年は第1四半期だけの暫定値です。港区全体の件数も432件と、2025年の各四半期(557〜567件)より少なく、後から取引が追加されます。芝浦の184.5万円は2025年第2〜第4四半期の200.0万円を下回りますが、38件・1四半期だけの数字であり、下落に転じたとは判断できません。
出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ(https://www.reinfolib.mlit.go.jp/)「不動産取引価格情報」(国土交通省)をもとにINA&Associates株式会社作成。2026年9月時点で取得できたデータによります。直近の四半期は後から取引が追加されるため暫定値です。本データは最新性、正確性、完全性等が保証されたものではありません。
高輪・港南・芝浦で何が違うのか?取引価格と築年数で見る
3地区は取引されている物件の中身が違うため、㎡単価の伸びだけで優劣は決められません。2025年から2026年第1四半期までの取引を、実額と築年帯で並べました。
| 地区 | 件数 | 取引価格の中央値 | 価格の中間50%の範囲 | 面積の中央値 | 築1999年以前 | 築2000〜2015年 | 築2016年以降 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 港区全体 | 2,673件 | 11,000万円 | 5,000万円〜20,000万円 | 55㎡ | 831件 | 1,352件 | 482件 |
| 高輪 | 206件 | 10,000万円 | 4,800万円〜20,000万円 | 55㎡ | 79件 | 91件 | 36件 |
| 港南 | 237件 | 13,000万円 | 9,700万円〜16,000万円 | 75㎡ | 4件 | 231件 | 2件 |
| 芝浦 | 308件 | 10,000万円 | 5,000万円〜16,750万円 | 60㎡ | 81件 | 169件 | 56件 |
※築年不明の取引(港区全体8件、芝浦2件)は築年帯の列に含めていません。「価格の中間50%の範囲」は、取引価格を安い順に並べたときの下から25%と75%にあたる金額です。
港南は、取引の97.5%が築2000〜2015年の物件です。面積の中央値は75㎡と4地区で最も広く、価格の中間50%も9,700万円〜16,000万円と幅が狭くなっています。
高輪は築1999年以前の物件が38.3%を占め、港区全体の31.1%より高い比率です。価格の中間50%は4,800万円〜20,000万円と幅が広く、物件ごとの価格差が大きい地区です。
芝浦は築2000〜2015年が54.9%で、築年の構成は港区全体(50.6%)に近い地区です。年間の取引件数は2025年に270件と、3地区の中で最も多くなっています。
出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ(https://www.reinfolib.mlit.go.jp/)「不動産取引価格情報」(国土交通省)をもとにINA&Associates株式会社作成。2026年9月時点で取得できたデータによります。直近の四半期は後から取引が追加されるため暫定値です。本データは最新性、正確性、完全性等が保証されたものではありません。
INAの見方
ここからは、上の事実をもとにした私たちの見立てです。将来の価格を約束するものではありません。
再開発の効果は「開業地の地区」に素直には出ていない
私たちは、2023年から2025年の上昇の大部分は、港区全体の値上がりによるものと見ています。区全体が+29.2%上がる中で、TAKANAWA GATEWAY CITYの効果だけを取り出すことはできません。
高輪が区全体に並ばれた理由として、私たちは築年の古い物件の比率の高さを疑っています。単価の中央値は、古い物件の取引が多いほど低く出やすいためです。つまり「高輪の住宅価値が落ちた」と読むのは早計です。
港南と芝浦の伸びは、再開発への期待に加えて、区全体の上昇の中で割安だった地区が差を詰めた動きだと考えています。港南は2023年に区全体を14.1%下回っていましたが、2025年には7.7%差まで縮まりました。
エリア別の判断軸(買い時・様子見・見送り)
| 地区・物件 | 私たちの見立て | 判断 | 購入前に確認すること |
|---|---|---|---|
| 港南(築2000〜2015年の住戸) | 区全体との差が縮まり、「割安だから買う」理由は弱まった | 長期保有の実需・資産保全なら検討、短期の値上がり狙いは様子見 | 大規模修繕の時期と修繕積立金の残高、同じマンション内の過去の成約 |
| 芝浦 | 2025年に区全体を上回った。2026年の数字は判断材料が足りない | 様子見(2026年通年の取引で確認) | 2026年第2四半期以降の取引件数と単価 |
| 高輪 | 区全体並みだが、築年の幅が広く物件差が大きい | 個別に選ぶ(駅までの距離・築年・管理状態) | 1981年6月より前に建築確認を受けた旧耐震基準の建物か、周辺の再開発計画との位置関係 |
| 3地区共通 | 外国人向けの高い賃料を前提にした利回り計算しか根拠がない物件 | 見送りを検討 | 同じ建物・同じ面積帯の実際の成約賃料 |
たとえば港南で、築20年前後・75㎡の住戸を13,000万円前後で検討する場合を考えます。この価格帯は2025年以降の港南の中央値そのもので、再開発を理由にした上乗せを払っているとは言えません。一方で、大規模修繕の時期を迎えやすい築年でもあります。修繕積立金が足りているかどうかの方が、再開発のニュースより手残りに影響すると私たちは考えます。
賃貸で運用するなら、847戸の賃貸供給を前提に置く
TAKANAWA GATEWAY CITY RESIDENCEは、エクスパッツにも対応した高級賃貸として847戸を供給しています。43㎡台から580㎡台まで幅広い住戸があるため、港南や芝浦の広めの住戸を外国人向けに貸す場合、正面から競合します。
たとえば芝浦の60㎡台を法人契約の外国人向けに貸す計画なら、駅直結の新築レジデンスと比べられる前提で賃料を置くのが安全です。私たちは、賃料は近い条件の成約事例から保守的に想定し、空室期間も長めに見込むことをおすすめしています。高輪・港南・芝浦で賃料査定や収支の見直しをご検討の方は、INA&Associates株式会社にご相談ください。
売却を考えているオーナーへ
2025年の単価は、3地区とも2023年より大きく上がっています。売却を検討しているオーナーにとって、いまの水準は判断材料として十分に意味があります。
ただし、2026年は第1四半期の暫定値しかなく、方向感はまだ読めません。私たちは、地区全体の中央値ではなく、同じマンション・同じ面積帯の成約事例と比べて売り出し価格を決めることをおすすめしています。
高輪ゲートウェイの再開発は、周辺のマンション価格を一律に押し上げる材料ではありません。地区と築年を揃えて比べ、長く持てる物件かどうかで判断することが、失敗を小さくする近道です。個別の物件について比較が必要な方は、INA&Associates株式会社までお気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 高輪ゲートウェイ駅の再開発で、周辺マンションの価格は上がりましたか?
A. 周辺の中古マンション単価は2023年から2025年に上がりましたが、再開発だけの影響とは言えません。同じ期間に港区全体の㎡単価中央値も+29.2%上がっており、開業地の高輪(+16.2%)はそれを下回りました。
Q2. TAKANAWA GATEWAY CITY RESIDENCEは購入できますか?
A. 購入はできません。JR東日本グループが貸主となる高級賃貸レジデンスです。総戸数847戸、地上44階・地下2階で、2026年3月28日のグランドオープンにあわせて開業しました。周辺で購入する場合は、高輪・港南・芝浦などの既存マンションが対象になります。
Q3. 2026年に入って芝浦のマンション価格は下がったのですか?
A. 下がったとは判断できません。2026年第1四半期の芝浦の㎡単価中央値は184.5万円ですが、38件の暫定値で、後から取引が追加されます。傾向は2026年通年の取引がそろってから確認するのが適切です。
Q4. 高輪ゲートウェイ周辺で、今後も再開発は続きますか?
A. 続きます。JR東日本は品川駅北口駅改良・品川駅街区とあわせてまちづくりを進めるとしており、高輪築堤の現地保存・公開は2028年春が目標です。品川駅北周辺地区の再開発は2022年10月に都市計画決定されています。
引用・参考資料
- 東日本旅客鉄道株式会社「TAKANAWA GATEWAY CITY」PR事務局「『TAKANAWA GATEWAY CITY』が本日グランドオープン!広域品川圏が本格始動!」(2026年3月28日)
- 東日本旅客鉄道株式会社「-2026年春 TAKANAWA GATEWAY CITYに高級賃貸レジデンスが誕生- TAKANAWA GATEWAY CITY RESIDENCE」(2025年10月1日)
- TAKANAWA GATEWAY CITY公式サイト「高輪ゲートウェイシティについて」(2026年9月閲覧)
- マリオット・インターナショナル「【JWマリオット・ホテル東京】開業1周年を祝うアニバーサリープロモーション」(2026年9月11日)
- 東京都都市整備局「品川駅北周辺地区(組合施行)」
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」
