投資家が物件選びで最初に確認する指標が「利回り」です。ただし不動産業者が広告に記載する利回りは表面利回りに過ぎず、実際の収益は実質利回りで判断する必要があります。本記事では両者の違いと目安水準、物件選びの注意点を解説します。
表面利回りと実質利回りの違いとは?
利回りとは、投資額に対するリターンの割合です。不動産投資には主に2種類の利回り計算方法があります。
表面利回りとは?
表面利回りとは、年間家賃収入を物件購入価格で割った数値です。計算式は以下の通りです。
【表面利回り=年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100】
計算が簡単で物件比較に使いやすいため、不動産広告で広く使われています。ただし、諸経費が含まれていないため実際の手取り収益とは乖離があります。
実質利回りとは?
実質利回りとは、年間家賃収入から諸経費を差し引いた実収益を、物件価格+購入時諸費用で割った数値です。
【実質利回り=(年間収入-諸経費)÷(物件価格+購入時諸費用)× 100】
例:物件価格5,000万円・年間家賃収入500万円の場合、表面利回りは10.0%ですが、購入時諸費用200万円・年間諸経費100万円を考慮した実質利回りは(500万-100万)÷(5,000万+200万)×100=7.6%になります。不動産業者が公表するのは表面利回りが大半であることを念頭に置きましょう。
表面利回りの相場はどのくらいか?
地域や物件タイプにより表面利回りの水準は異なります。ワンルームタイプの主要都市の期待利回り(第41回不動産投資家調査)を参考にすると:
- 東京都城南地区:4.2%
- 東京都城東地区:4.5%
- 大阪府:4.9%
- 名古屋市:5.0%
- 福岡市:5.1%
- 札幌市・仙台市:5.5%
- 広島市:5.7%
都心ほど地価が高く利回りは低い傾向があり、全体的に5%前後が相場です。理想的な利回りの目安は相場より1〜2%高い水準とされています(東京・大阪なら5%以上、地方なら6%以上)。
利回りの高さだけで選んではいけない理由
高利回りは魅力的ですが、それだけで物件を判断するのは危険です。以下の2点も必ずチェックしてください。
旧耐震基準か新耐震基準か
1981年6月以前の旧耐震基準物件は購入価格が低く利回りが高い傾向がありますが、融資が付きにくく・金利が高くなるリスクがあります。耐震性・耐久性の不安から入居者獲得も難しくなる可能性が高く、中長期の運用で不利になりやすいです。
管理状態はどうなっているか
管理状態の悪い物件は入居者の確保が難しく、空室率が上がると実質利回りが大幅に低下します。区分マンションの場合は管理組合の修繕積立状況も確認が必要です。
よくある質問(FAQ)
- Q. 表面利回りと実質利回りの差はどのくらいですか?
- A. 一般的に実質利回りは表面利回りより1〜3%低くなります。諸経費の割合や物件の管理コストによって差は変わります。
- Q. 不動産投資で安全な利回りの基準はありますか?
- A. 「表面利回り5%以上かつ実質利回り3%以上」が一般的な最低ラインとされますが、立地・築年数・融資条件によって総合的に判断することが重要です。
- Q. 利回りが高すぎる物件は問題がありますか?
- A. 利回りが相場を大幅に上回る場合、旧耐震・空室リスク・瑕疵など何らかの問題を抱えていることが多いです。必ず現地調査と詳細な収支計算を行ってください。
- Q. 実質利回りの計算に含める諸経費には何がありますか?
- A. 管理費・修繕積立金・固定資産税・損害保険料・管理委託費・空室損失引当金などが含まれます。