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目黒駅前再開発とは?三段階の都市更新と不動産価値への影響を解説

目黒駅前では2017年に約837億円の大規模再開発が完成。JR目黒ビル(2028年度開業)・中目黒駅前北地区(2033年竣工予定)へと続く三段階の街づくりと地価への影響を解説します。

最終更新: 約11分で読めます

東京・目黒駅前では、2017年に約837億円をかけたトリプルタワー「目黒セントラルスクエア&ブリリアタワーズ目黒」が竣工し、大規模な都市更新が実現しました。その後も目黒駅を中心として、JR東日本による駅直結複合ビル「JR目黒ビル」(2028年度開業予定)、さらに隣接する中目黒駅前北地区での超高層再開発(2033年竣工予定)が続いており、目黒エリア全体が段階的に変貌を遂げています。本記事では、目黒駅前における再開発の全体像を整理し、不動産市況への影響と投資価値について解説します。

第1弾:目黒駅前地区第一種市街地再開発事業(2017年竣工)とは?

トライスクエア構想から始まった整備の歴史

目黒駅前の再開発の起点は、昭和63年(1988年)に品川区が公表した「目黒駅周辺地区整備構想(トライスクエア構想)」にあります。同構想は「文化の広場」「出会いの広場」「都市生活の広場」という3つの広場を核として、ターミナル機能・居住機能・高次都市サービスの強化を掲げるものでした。それから約20年後、この構想を具体化するかたちで都市計画決定が行われ、最終的には「目黒駅前地区第一種市街地再開発事業」として結実しています。

事業の都市計画決定は平成22年(2010年)12月。旧都営バス目黒営業所跡地(約1.0ha)を核とした約2.3ha・敷地面積17,211㎡の区域で、組合設立認可は2012年、工事着手は2014年に行われました。施行者は目黒駅前地区市街地再開発組合(現在は解散済み)で、参加組合員として東京建物・第一生命保険・大成建設が事業推進の主体となっています。

3棟トリプルタワーの完成とその規模

平成29年(2017年)11月30日、施設建築物が竣工し、翌2018年3月に街びらきが行われました。総事業費は約837億円、延床面積は約17万1,500㎡にのぼる大規模複合開発です。

完成した施設は、大きく2ゾーンに分かれています。

Aゾーン(北棟)は、地上27階・高さ125.55mのオフィス・商業棟「目黒セントラルスクエア」と、地上45階・高さ145.31mの住宅棟「ブリリアタワーズ目黒ノースレジデンス」(524戸)の複合構成です。Bゾーン(南棟)は地上38階・高さ134.96mの「ブリリアタワーズ目黒サウスレジデンス」(416戸)で構成され、総住宅戸数は約940戸にのぼります。

目黒駅前地区第一種市街地再開発事業 完成後外観
出典:東京都都市整備局「目黒駅前地区第一種市街地再開発事業」
目黒駅前地区第一種市街地再開発事業 配置図・全景
出典:東京都都市整備局「目黒駅前地区第一種市街地再開発事業」

アマゾンジャパン本社誘致と都市環境の創出

目黒セントラルスクエアの上層階(約6,000坪)にはアマゾンジャパン合同会社の日本本社が入居し、国際企業の集積に弾みをつけました。また、敷地内には「森の広場」「文化の広場」と称する屋外パブリックスペースも整備され、品川区が構想した「都市生活の広場」が現実のものとなっています。竣工後の周辺はオフィスワーカー・居住者双方にとって都市環境の質が大きく向上し、エリアブランドの確立に寄与しています。

再開発の詳しい事業構造については、品川駅西口土地区画整理事業とは?再開発全容と不動産投資への影響でも同エリアの都市整備の全体像を解説していますので、あわせてご参照ください。


第2弾:JR目黒ビル(2028年度開業予定)とはどのような施設か?

目黒駅直結の次世代複合ビル

再開発連鎖の第2弾として注目されるのが、JR東日本が進める「JR目黒ビル」です。「アトレ目黒1」の北側、目黒駅北側線路上に位置し、敷地面積は約1,720㎡、延床面積は約13,260㎡とコンパクトながら、JR目黒駅コンコースから2階の連絡通路で直結する利便性の高い立地が特長です。

規模は地上9階・地下1階・塔屋1階、高さ約40mの鉄骨造。2024年9月に解体工事に着手し、2026年2月には本体工事が始まっています。開業は2028年度冬を予定しており、設計は山下設計・大林組設計共同体、施工は大林・鉄建・東鉄建設共同企業体が担います。

JR目黒ビル 外観完成予想図
出典:JR東日本「目黒駅直結の複合ビル『JR目黒ビル』の工事着手について」(2025年10月)PR TIMES

商業×オフィスの機能構成と環境性能

フロア構成は、1〜2階に商業施設(アトレ)、3〜9階にオフィス(JR東日本ビルディングが管理する賃貸オフィス)が入居する複合ビルです。駅直結のアトレが日々の生活利便をさらに高める一方、オフィスフロアは駅至近という希少な立地条件から高い需要が見込まれます。

環境面でも先進的な取り組みが特筆されます。本ビルはZEB Ready認証を取得し、全館で再生可能エネルギーを採用する計画となっています。JR東日本が掲げる「グループ経営ビジョン『変革 2027』」に続く長期戦略とも軌を一にする取り組みであり、駅周辺の脱炭素化にも貢献するものです。

JR目黒ビル 配置図・フロア構成図
出典:JR東日本「目黒駅直結の複合ビル『JR目黒ビル』の工事着手について」(2025年10月)PR TIMES

第3弾:中目黒駅前北地区再開発(2033年竣工予定)の計画内容は?

高さ160m・丸紅×東急の大型タワー計画

第3弾として計画が進むのが、「(仮称)中目黒駅前北地区第一種市街地再開発事業」です。東急東横線・東京メトロ日比谷線の中目黒駅北側に隣接する約0.6ha(敷地面積約3,660㎡)を対象とし、準備組合は令和2年(2020年)12月に設立されています。事業協力者として丸紅都市開発株式会社東急株式会社が参画しており、コンサルタントは株式会社日本設計が務めます。

計画規模は地上37階・地下5階、高さ約160m、延床面積約4.4万㎡。B2〜B2Fに駐車場、B1F〜3Fに商業施設、6F〜37Fに住宅(約260戸)を配置する大規模複合タワーです。目黒川に面したテラス広場の配置も計画されており、中目黒エリアの憩いの場としての機能も期待されています。

事業スケジュールと波及効果

スケジュールは2026年度に都市計画決定、2028年度に本組合設立、2029年度に権利変換計画認可、2030年度着工、2033年度竣工を見込んでいます。2025年7月には目黒区へ「まちづくり提案書」が提出済みで、事業化に向けた手続きが着実に進んでいます。

丸紅都市開発・東急という強力な開発力を持つ事業協力者の参画と、目黒川沿いのテラス広場整備は、中目黒エリアの回遊性・集客力の向上につながります。この第3弾の完成により、目黒駅から中目黒駅にかけての沿線全体が連続した高付加価値エリアとして再編されることになるでしょう。

自由が丘を含む目黒・中目黒周辺エリア全体の投資動向については、自由が丘駅周辺の再開発と不動産投資展望|2つの大型プロジェクトが地域価値を変えるもご参照ください。


地価・不動産市況への影響はどのくらいか?

品川区上大崎の地価データ

国土交通省が公表した2025年公示地価によると、目黒駅エリア(品川区上大崎)の平均地価は203万3,000円/㎡(坪単価:約672万円)で、前年比+12.43%の大幅上昇を記録しています。品川区全体の上昇率も+12.15%と高水準であり、目黒駅前の再開発効果が周辺エリア全体の地価を牽引している状況が数字に表れています。

※地価データの数値は地価公示(国土交通省)に基づく参照値です。

ブリリアタワーズ目黒の資産価値推移

ブリリアタワーズ目黒の住宅は、分譲時(2015年前後)の坪単価が約600万円であったものが、2021年時点では700〜800万円台へと上昇しています。竣工後に周辺の売り物件が減少し、成約スピードが加速していることも市場の需給逼迫を示すものです。アマゾンジャパン本社の入居によるオフィス需要の拡大と、大規模パブリックスペースが醸成する住環境の質向上が、資産価値の底上げを支えていると考えられます。

2030年代に向けた目黒・中目黒エリアの投資見通し

JR目黒ビルが2028年度に開業し、中目黒駅前北地区タワーが2033年に竣工することで、目黒・中目黒エリアは2020年代後半から2030年代にかけて継続的な開発圧力がかかる状況が続きます。タワーマンションの供給が限定的である一方で居住需要は根強く、価値上昇圧力は長期的に維持されると見込まれます。

だからこそ、現時点での資産価値の見極めと購入・保有判断が重要です。一方で、上昇局面が続く中でも「長期的視野」を持ち、短期の値動きに振り回されない資産計画を立てることが不動産オーナーにとって本質的な強みにつながります。

詳細な東京エリア別の再開発動向については、東京再開発エリア主要プロジェクト調査レポート|投資・居住適性と将来性でも包括的にまとめています。


まとめ

目黒駅前の再開発は、単発のプロジェクトではなく、1988年のトライスクエア構想から続く三段階の連鎖的な都市更新として理解することが重要です。

  • 第1弾(2017年竣工):目黒駅前地区第一種市街地再開発事業。約837億円・3棟トリプルタワーの完成により、アマゾンジャパン本社誘致と約940戸の住宅供給を実現。
  • 第2弾(2028年度開業予定):JR目黒ビル。駅直結・ZEB Ready認証・アトレ商業+オフィスの複合ビルが目黒の南側玄関口を刷新。
  • 第3弾(2033年竣工予定):中目黒駅前北地区。高さ160m・丸紅×東急が参画する超高層複合タワーが目黒川沿いの価値を高める。

品川区上大崎の公示地価が前年比+12.43%という高い伸びを示している背景には、この三段階の再開発連鎖による継続的な付加価値創出があります。目黒・中目黒エリアへの投資・居住を検討される方は、短期的な市況の動きだけでなく、2030年代まで続く都市整備の大きな流れを踏まえた長期的な判断が求められます。


よくある質問(FAQ)

Q1. 目黒駅前地区第一種市街地再開発事業はいつ竣工しましたか?事業費はどのくらいでしたか?

平成29年(2017年)11月30日に施設建築物が竣工し、翌2018年3月に街びらきが行われました。総事業費は約837億円で、施行者は目黒駅前地区市街地再開発組合(現在は解散済み)です。東京建物・第一生命保険・大成建設が参加組合員として事業を推進しました。

Q2. JR目黒ビルはいつ開業する予定ですか?どのような施設になりますか?

2026年2月に本体工事が着手され、2028年度冬の開業を予定しています。地上9階建て(高さ約40m、延床約13,260㎡)で、1〜2階に商業施設(アトレ)、3〜9階にオフィスが入居する複合ビルです。JR目黒駅コンコースから2階の連絡通路で直結します。ZEB Ready認証を取得した環境性能の高い建物でもあります。

Q3. 中目黒駅前北地区再開発はいつ竣工しますか?どのような施設が計画されていますか?

2026年度に都市計画決定、2030年度着工、2033年度竣工を見込んでいます。地上37階・高さ約160mの超高層複合ビルで、1〜3階に商業施設、6〜37階に住宅(約260戸)が入る計画です。丸紅都市開発と東急が事業協力者として参画し、目黒川に面したテラス広場の整備も計画されています。

Q4. 目黒駅周辺の地価は再開発でどう変化していますか?

2025年公示地価によると、目黒駅エリア(品川区上大崎)の平均地価は203万3,000円/㎡(坪単価約672万円)で、前年比+12.43%の上昇となっています。ブリリアタワーズ目黒の中古坪単価も、2015年分譲時の約600万円から2021年時点で700〜800万円台に上昇しており、再開発による資産価値向上の効果が明確に表れています。



引用・参考資料

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

INA&Associates株式会社 代表取締役社長。首都圏・近畿圏を中心に不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントを統括。収益不動産投資戦略と超富裕層向け不動産コンサルティングを専門領域とする。

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

合格・取得資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
  • 甲種防火管理者
  • 競売不動産取扱主任者
  • マンション維持修繕技術者
  • 貸金業務取扱主任者