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リフォーム減税2026年版|控除額の早見表と計算例・申告手順

2026年のリフォーム減税4制度を1枚に整理。住宅ローン減税は年最大14万円・10年で140万円、促進税制は最大60〜80万円。計算例と申告書類まで解説。

最終更新: 約33分で読めます

自宅のリフォームを検討中の方、工事を終えて「結局いくら戻るのか」を確かめたい方に向けた記事です。2026年(令和8年)のリフォーム減税は、住宅ローン減税(増改築)・リフォーム促進税制(所得税)・固定資産税の減額・住宅取得等資金の贈与非課税の4本立て。住宅ローン減税は年最大14万円、促進税制は工事内容に応じて最大60〜80万円が所得税から差し引かれます。限度額と控除率、告示で決まっている単価、見積書から控除額を出す計算過程、申告書類までを国土交通省・国税庁の一次資料で整理しました。賃貸物件をリフォームした投資家向けに、減税ではなく必要経費で処理する分岐も最後に置いています。

この記事のポイント

  • 令和8年度税制改正で住宅ローン減税は令和12年12月31日入居分まで5年延長され、床面積要件が40㎡以上(合計所得1,000万円超は50㎡以上)に緩和されました。
  • 住宅ローン減税(増改築)は借入限度額2,000万円・控除率0.7%・10年間。年の上限は14万円で、引ききれない分は住民税から年9.75万円まで控除されます。
  • 促進税制の控除額は「対象工事限度額×10%+その他工事×5%」。判定に使うのは請求額ではなく、告示で決まった「標準的な工事費用相当額」です。
  • 固定資産税は翌年度の1年分だけ、耐震1/2・バリアフリー1/3・省エネ1/3・長期優良住宅化2/3が減額されます。
  • 4制度はいずれも自分が住む住宅を前提とした仕組みで、賃貸に出している物件には使えません。賃貸物件は修繕費と資本的支出の区分で処理します。

結論:2026年のリフォーム減税は4本立て。まず自分がどれに当たるかを確定する

どの制度が使えるかは「ローンを組んだか」「どんな工事か」「いくらかけたか」の3点でほぼ決まります。最初に全体像を1枚で押さえ、自分に当たるものだけを読み進めるのが早道です。

【早見表】4制度の限度額・控除率・控除期間・適用期限(2026年8月時点)

制度限度額控除率・減額割合控除期間最大控除額適用期限
住宅ローン減税(増改築)借入限度額2,000万円年末残高の0.7%10年年14万円/10年で140万円令和8年1月1日〜令和12年12月31日に入居
リフォーム促進税制(所得税)対象工事限度額200万〜600万円対象工事10%+その他工事5%工事完了年の1年のみ60万〜80万円令和8年1月1日〜令和10年12月31日に居住開始
リフォーム促進税制(固定資産税)床面積100㎡または120㎡まで1/3〜2/3を減額翌年度の1年分工事内容と課税標準額による令和8年4月1日〜令和13年3月31日に工事完了
住宅取得等資金の贈与非課税省エネ等住宅1,000万円/それ以外500万円非課税贈与を受けた年1,000万円令和6年1月1日〜令和8年12月31日の贈与

出典:国土交通省「住宅をリフォームした場合に使える減税制度について」「リフォーム支援制度まるわかりガイド(令和8年4月改訂)」、国税庁「No.4508

令和8〜12年の住宅ローン減税の概要 借入限度額と控除期間の一覧表
令和8〜12年の住宅ローン減税の概要。増改築・リフォームは最下段「その他住宅(既存・買取再販)」にあたり、借入限度額2,000万円×10年です(出典:国土交通省「住宅ローン減税」

2026年(令和8年)に変わった3点

  1. 住宅ローン減税は5年延長。入居日が令和8年1月1日〜令和12年12月31日なら適用されます。あわせて床面積要件を40㎡以上に緩和する措置が既存住宅にも適用されました(合計所得1,000万円超の方と、子育て世帯等への借入限度額上乗せ措置を使う方は50㎡以上)。
  2. 促進税制の所得税は3年延長。適用期間は令和8年1月1日〜令和10年12月31日です。
  3. 促進税制の固定資産税は5年延長。適用期間は令和8年4月1日〜令和13年3月31日です。

床面積40㎡への緩和は、コンパクトなマンションをリノベーションして住む方に効きます。従来の50㎡では対象外だった住戸が、2026年入居分から射程に入りました。出典:国土交通省報道発表「住宅ローン減税等の延長・拡充が閣議決定されました!」(令和7年12月26日、関連税制法は令和8年3月31日成立)。新築の場合の手続きは新築住宅の住宅ローン控除における初年度の確定申告と2年目以降の年末調整で整理しています。

大前提:4制度はすべて自己所有かつ自己居住の住宅が対象

ここが最初の分岐点です。所得税の2制度は「改修を行う方が所有し、自分で居住する住宅」であることが要件で、固定資産税の減額も省エネ・長期優良住宅化については「賃貸住宅でないこと」が明文の要件になっています(例外として、耐震改修の10%控除だけを受ける場合は、改修を行う方が所有する家屋でなくても差し支えありません)。国土交通省のガイドも、管理組合によるマンション改修について「要件を満たしていれば対象になるが、賃貸の場合は対象外」と明記しています。投資用に保有する賃貸物件のリフォームで使うのは不動産所得の必要経費です。記事の後半に比較表を用意しました。

リフォーム費用の実態と、減税ラインの位置関係

実際にいくらかけている人が多いのかを見ると、自分の工事が要件金額に届くかの見当がつきます。国土交通省の最新調査では、平均と中央値が大きく離れているのが特徴です。

【数値表】リフォーム資金は平均170万円・中央値70万円

区分平均(万円)中央値(万円)
三大都市圏 全体17070
首都圏16260
中京圏14560
近畿圏202100
一戸建て17285
集合住宅16640
子育て世帯14946

内訳は自己資金143万円・借入金27万円、自己資金比率84.2%。リフォームに関する住宅ローンがある世帯は5.2%にとどまり、借入金の返済期間は「10年以上20年未満」が43.5%で最多でした。出典:国土交通省「令和7年度 住宅市場動向調査報告書」(令和8年7月公表・三大都市圏)

中央値70万円が意味すること、促進税制を使った世帯は4.3%

促進税制の金額要件は「標準的な工事費用相当額−補助金が50万円超」、住宅ローン減税は「実際の工事費用−補助金が100万円超」です。中央値70万円という水準は、促進税制には届くが住宅ローン減税には届かない層が厚いことを示します。住宅ローン減税にはさらに「償還期間10年以上のローン」が重なりますので、実際に使える方の多くは促進税制のほうだと考えられます。

同じ調査で、促進税制の適用を「受けた」「受ける予定である」と答えた世帯は4.3%でした。種類は省エネ60.0%、バリアフリー24.0%、子育て対応16.0%、耐震12.0%、同居対応12.0%、長期優良住宅化4.0%です(複数回答)。要件を満たしても申告していない方が相当数いる、と読める数字です。工事別の費用感はリフォーム費用の相場と水回り・部分工事のコスト早見表もご覧ください。

住宅ローン減税(増改築):借入限度額2,000万円、年最大14万円

10年以上のローンを組んで一定の増改築を行った場合、各年末のローン残高の0.7%が10年間、所得税から控除されます。借入限度額は2,000万円で、年の控除額の上限は14万円です。

2026年入居分の適用要件

項目要件(令和8年1月1日〜令和12年12月31日に入居)
借入限度額2,000万円(超過分は対象外。借入3,000万円なら2,000万円まで)
控除率・控除期間0.7%・10年
床面積登記簿表示上で40㎡以上(合計所得1,000万円超は50㎡以上)
所得合計所得金額2,000万円以下
工事費用第1号〜第6号工事の費用から補助金等を引いた額(税込)が100万円超
ローンそのリフォームのために償還期間10年以上の住宅ローンを借り入れていること
居住引渡しまたは工事完了から6か月以内に入居し、各年の12月31日まで継続して居住
店舗等併用住宅床面積の1/2以上が居住用で、工事費用の1/2以上が自己の居住用部分のもの

出典:国土交通省「住宅ローン減税(増改築)」、国税庁「No.1211-4

対象になるのは第1号〜第6号工事

区分内容
第1号増築、改築、建築基準法上の大規模の修繕または大規模の模様替
第2号マンションで、床・階段・間仕切壁・主要構造部である壁のいずれかの過半について行う修繕または模様替
第3号居室・調理室・浴室・便所・洗面所・納戸・玄関・廊下のいずれかの床または壁の全部について行う修繕または模様替
第4号一定の耐震基準に適合させるための修繕または模様替
第5号一定のバリアフリー改修(通路・出入口の拡幅、階段の勾配緩和、浴室・便所の改良、手すり、段差解消、戸の改良、滑りにくい床材への取替え)
第6号全ての居室の全ての窓の断熱改修、またはそれと併せて行う床・壁・天井の断熱改修

線引きでつまずくのが第1号工事です。屋根ふき材のみの改修、既存の屋根に新しい屋根をかぶせるカバー工法、外壁の外装材のみの改修や内側からの断熱改修は第1号工事に該当しないとされています(外装材のみでも外壁の全てを改修する場合を除く)。一方、設計費や足場仮設費用など工事に付随する経費は工事費に含めて差し支えありません。

【計算例】借入額で控除額はこう変わる

年末のローン残高控除対象となる残高その年の控除額
800万円800万円5.6万円
1,500万円1,500万円10.5万円
2,000万円2,000万円14.0万円
2,500万円2,000万円14.0万円
3,000万円2,000万円14.0万円

気をつけたいのは、「10年で最大140万円」は10年間ずっと残高が2,000万円以上ある場合の理論値だという点です。元利均等返済では残高が毎年減るため、実際の合計はこれより小さくなります。

借入額・返済期間(仮定)初年度の控除額10年間の合計(概算)
1,500万円・15年約9.8万円約68万円
2,000万円・20年約13.4万円約104万円
3,000万円・20年14.0万円(上限)約134万円

※金利1.0%・元利均等返済・繰上返済なしと仮定した概算です。実際の控除額は年末残高証明書の金額と、その年に納めた所得税額によって変わります。

所得税から引ききれないときは住民税から年9.75万円まで

住宅ローン減税は税額控除ですので、その年に納めた所得税額を超えて還付されることはありません。ただし引ききれなかった分は、翌年度の住民税から年9.75万円を限度に控除されます。住民税側の手続きは不要で、控除枠を使い切れたかは翌年度の住民税決定通知書で確認できます。

リフォーム促進税制:控除額は「対象工事10%+その他工事5%」で決まる

ローンを使わず自己資金でリフォームした場合に使えるのが促進税制です。控除額の出し方は次の式に集約されます。

控除額 = A(対象工事の標準的な工事費用相当額。対象工事限度額が上限)×10% + B(限度額超過分+その他一定の増改築等工事。A+Bで1,000万円が上限)×5%

住宅のリフォームに係る税の特例措置 対象工事限度額と最大控除額の一覧
住宅のリフォームに係る税の特例措置。左が対象工事限度額、右が最大控除額で、10%控除と5%控除の2段構えです(出典:国土交通省「住宅をリフォームした場合に使える減税制度について」

【数値表】工事種別ごとの対象工事限度額と控除額

工事種別対象工事限度額限度額×10%最大控除額(5%分を含む)
耐震250万円25万円62.5万円
バリアフリー200万円20万円60万円
省エネ250万円25万円62.5万円
省エネ(太陽光発電設備を含む)350万円35万円67.5万円
三世代同居対応250万円25万円62.5万円
子育て対応250万円25万円62.5万円
長期優良住宅化(耐震+省エネ+耐久性向上)500万円50万円75万円
同上(太陽光発電設備を含む)600万円60万円80万円
長期優良住宅化(耐震または省エネ+耐久性向上)250万円25万円62.5万円
同上(太陽光発電設備を含む)350万円35万円67.5万円

最大控除額の欄は「限度額×10%+(1,000万円−限度額)×5%」です。バリアフリーなら200万円×10%=20万円に、残る800万円×5%=40万円を足して60万円になります。国土交通省が案内する「最大60〜80万円」はこの計算から出ています。出典:国土交通省「リフォーム支援制度まるわかりガイド(令和8年4月改訂)」、国税庁 No.1219(省エネ)No.1220(バリアフリー)No.1222(耐震)No.1224(多世帯同居)No.1227(耐久性向上)No.1228(子育て対応)

「標準的な工事費用相当額」とは何か

促進税制でつまずきやすいのがここです。控除額の計算に使うのは、業者からの請求額そのものではありません。告示で工事ごとに決められた単価に、施工した面積や箇所数を掛けた「標準的な工事費用相当額」を使います。請求額が高くても、告示単価で計算した額が低ければ低いほうが基準です。この金額は増改築等工事証明書に記載され、証明書を発行する建築士等が計算します。国土交通省は工事内容と補助金額を入力すると自動計算される計算ツール埋込版の増改築等工事証明書(Excel)を配布していますので、見積段階で目安を把握できます。

【数値表】告示単価の例と、掛け合わせる数量

工事内容単位あたりの金額(税込)掛け合わせる数量
窓の断熱工事(ガラスの交換)6,300円家屋の床面積(㎡)×窓の改修割合
窓の断熱工事(内窓の新設・4〜7地域)8,100円家屋の床面積(㎡)×窓の改修割合
壁の断熱工事19,400円断熱改修した部分の床面積(㎡)
床等の断熱工事(4〜7地域)4,600円断熱改修した部分の床面積(㎡)
またぎが低い浴槽への変更529,100円1箇所
座便式トイレへの変更359,700円1箇所
開戸を引戸に変更149,700円1箇所
燃料電池コージェネレーションシステムの設置789,800円1台

間違えやすいのが窓です。窓の断熱工事は「単価×家屋の床面積×窓の改修割合(改修した窓の面積÷外気に接する全ての窓の面積)」で計算しますので、改修した窓の面積にそのまま単価を掛けるわけではありません。次に見るモデルケースでも、この算式でガラス交換の標準的な工事費用相当額が393,750円と計算されています(6,300円×家屋の床面積125㎡×改修割合0.5)。壁と床は、断熱改修した部分の床面積に単価を掛けます。単価は地域区分によって異なるものがあり、告示の改定もあります。出典:国土交通省「リフォーム支援制度まるわかりガイド(令和8年4月改訂)」のモデル見積、同「省エネ改修に係る所得税額の特例控除」(平成21年経済産業省・国土交通省告示第4号に基づく単価表)

【計算例】見積書から控除額423,900円を出すまでの5ステップ

国土交通省がガイドに載せているモデルケースを追います。バリアフリー改修と省エネ改修を同時に行い、あわせて第3号工事(調理室の床と壁の模様替)も実施したケースです。

  1. 金額要件を確認する。バリアフリーは標準的な工事費用相当額1,637,300円−補助金100,000円=1,537,300円。省エネは2,863,550円−補助金200,000円=2,663,550円。どちらも50万円超で要件を満たします。
  2. 10%控除の対象額を出す。バリアフリーは限度額200万円と1,537,300円の小さいほうで1,537,300円。省エネは限度額250万円と2,663,550円の小さいほうで2,500,000円。合計4,037,300円です。
  3. 5%控除の候補を出す。限度額超過分はバリアフリー0円、省エネ2,663,550円−2,500,000円=163,550円。これにその他工事240,000円を足して403,550円です。
  4. 5%控除の対象額を確定する。1,000万円から10%控除の対象額4,037,300円を差し引いた約596万円が上限ですので、403,550円がそのまま対象になります。
  5. 合計する。4,037,300円×10%=403,730円、403,550円×5%=20,177円。合計423,907円、100円未満を切り捨てて423,900円が控除額です。

この計算は国土交通省のリフォーム減税の控除額試算シミュレーションでも再現できます。見積書を手元に数字を入れ替えると自分のケースの目安がつかめます。控除されるのはその年に納めた所得税額が上限です。

工事種別ごとの上乗せ要件

工事種別上乗せされる要件
耐震昭和56年5月31日以前に建築された家屋/改修前の家屋が現行の耐震基準に適合していないこと
バリアフリー①50歳以上 ②要介護または要支援の認定を受けている ③障がいをお持ちである ④②③または65歳以上の親族と同居している、のいずれか
子育て対応①19歳未満の扶養親族を有する ②本人またはその配偶者が40歳未満、のいずれか
長期優良住宅化増改築による長期優良住宅の認定を受けていること
共通合計所得2,000万円以下/改修後の床面積40㎡以上(所得1,000万円超は50㎡以上)/店舗等併用住宅は床面積の1/2以上が居住用/工事完了から6か月以内に入居

長期優良住宅の認定基準は長期優良住宅の認定基準と税制優遇・デメリットで整理しています。なお、ひとつの工事が複数メニューの要件を満たす場合(窓の取替えが省エネにも子育て対応にも当たる等)、申請できるのはいずれか1つだけです。同じ工事で二重に申請することはできません。

固定資産税の減額:翌年度の1年分だけ、1/3〜2/3

所得税とは別に、市町村へ申請することで翌年度の固定資産税が減額されます。所得税の減税と固定資産税の減税は併用できます。

【数値表】減額割合・期間・対象床面積の上限

工事種別減額割合減額期間減額対象の床面積上限工事費(実際額−補助金)
耐震1/2翌年度の1年分120㎡50万円超
バリアフリー1/3翌年度の1年分100㎡50万円超
省エネ1/3翌年度の1年分120㎡60万円超
長期優良住宅化2/3翌年度の1年分120㎡耐震50万円超/省エネ60万円超

住宅側の要件は、改修後の床面積が40㎡〜240㎡であること、店舗等併用住宅は床面積の1/2以上が居住用であることです。加えて築年数の条件が工事ごとに違います。耐震は昭和57年1月1日以前から所在する家屋、バリアフリーは賃貸住宅でなく新築された日から10年以上が経過した家屋、省エネは賃貸住宅でなく平成26年4月1日以前から所在する家屋です。長期優良住宅化は、あわせて行う工事が耐震なら昭和57年1月1日以前、省エネなら平成26年4月1日以前という同じ条件がかかります。バリアフリーはさらに、65歳以上・要介護または要支援の認定を受けている・障がいをお持ちである・そのいずれかに当たる親族と同居している、のいずれかに該当する方が居住していることが必要で、所得税の要件(50歳以上から対象)とは線引きが異なります。所得税は「標準的な工事費用相当額」、固定資産税は「実際の工事費用」から補助金を引いた額で判定する点にもご注意ください。出典:国土交通省「省エネ改修に係る固定資産税の減額措置」、同「リフォーム支援制度まるわかりガイド(令和8年4月改訂)」

【計算例】課税標準額400万円・家屋125㎡で軽減額32,800円

  1. 適合を確認する。バリアフリーは実際の工事費用1,754,500円で50万円超、省エネは3,300,000円で60万円超。いずれも適合します。
  2. 減額対象の課税標準額を出す。バリアフリーは上限100㎡÷家屋125㎡=0.8、400万円×0.8=3,200,000円。省エネは120㎡÷125㎡=0.96、400万円×0.96=3,840,000円。
  3. 軽減額を計算する。3,200,000円×1.4%×1/3=14,900円、3,840,000円×1.4%×1/3=17,900円。合計32,800円です。

所得税の控除が数十万円規模になり得るのに対し、固定資産税は1年分で数万円という規模感です。申請は工事完了日から3か月以内という短い期限で、固定資産税減額証明書・増改築等工事証明書・補助金の交付額がわかる書類を市区町村の窓口へ提出します。工事の打合せ段階で窓口と必要書類を確認しておくと安心です。仕組みそのものは固定資産税の軽減措置と算出方法・都市計画税との違いで解説しています。

住宅ローン減税と促進税制、どちらを選ぶか

【比較表】判定に使う金額から年末調整の可否まで

項目住宅ローン減税(増改築)リフォーム促進税制(所得税)
判定に使う金額実際の工事費用(税込)標準的な工事費用相当額
金額要件補助金控除後100万円超補助金控除後50万円超
床面積ともに40㎡以上(合計所得1,000万円超は50㎡以上)
控除期間10年工事完了年の1年のみ
ローンの要否償還期間10年以上のローンが必要不要(自己資金でも可)
控除額の決まり方年末残高×0.7%(上限14万円/年)限度額×10%+その他工事×5%
年末調整2年目以降は年末調整で処理可能不可。確定申告が必要
対象工事第1号〜第6号工事耐震・バリアフリー・省エネ・三世代同居・長期優良住宅化・子育て対応

金額の大きい工事をローンで長期に返す場合は住宅ローン減税、自己資金で性能向上工事をまとめて行う場合は促進税制、という選び方が基本です。ただし控除額はその年の所得税額に左右されますので、納税額を見ながらの判断になります。

【併用可否マトリクス①】所得税の6制度と住宅ローン減税

耐震バリアフリー省エネ三世代同居長期優良子育てローン減税
耐震×
バリアフリー×
省エネ××
三世代同居×
長期優良住宅化×××
子育て×
住宅ローン減税×××××

読み取れるのは2点です。住宅ローン減税と併用できるのは耐震だけであること、長期優良住宅化は耐震・省エネと併用できないことです。長期優良住宅化の限度額に耐震と省エネが含まれており、二重取りにならない設計になっています。なお国税庁は、耐震改修と住宅ローン減税を同一の増改築について適用する場合、耐震側の控除は10%部分のみになると案内しています。

【併用可否マトリクス②】固定資産税の4制度

耐震バリアフリー省エネ長期優良住宅化
耐震×××
バリアフリー××
省エネ××
長期優良住宅化×××

固定資産税側で併用できるのは、バリアフリーと省エネの組み合わせだけです。先ほどの計算例で32,800円が出せたのは、この唯一の組み合わせだったからです。出典:国土交通省「リフォーム支援制度まるわかりガイド(令和8年4月改訂)」

補助金は「引いてから」判定する。住宅省エネ2026キャンペーンとの順番

減税の金額要件も控除額も、補助金等を差し引いた後の金額で判定します。補助金の申請と減税の見込み額は、同じテーブルで考える必要があります。

【数値表】住宅省エネ2026キャンペーンの補助上限額

事業名対象補助額
先進的窓リノベ2026事業高性能の断熱窓の設置工事内容に応じて定める額、上限100万円/戸
給湯省エネ2026事業高効率給湯器の設置ヒートポンプ給湯器10万円/台、ハイブリッド給湯器12万円/台、家庭用燃料電池17万円/台
賃貸集合給湯省エネ2026事業既存賃貸集合住宅のエコジョーズ等への取替え追焚機能無し5万円または8万円/台、追焚機能有り7万円または10万円/台
みらいエコ住宅2026事業開口部・躯体等の省エネ改修等平成4年基準を満たさない住宅:平成28年基準相当の改修で上限100万円/戸、平成11年基準相当で上限50万円/戸/平成11年基準を満たさない住宅:平成28年基準相当で上限80万円/戸、平成11年基準相当で上限40万円/戸

出典:国土交通省「リフォーム支援制度まるわかりガイド(令和8年4月改訂)」、住宅省エネ2026キャンペーン。申請期間と受付状況は公式サイトで確認できます。

補助金を受けると控除額は下がる。それでも先に取ったほうが手残りは増える

補助金を受け取ると控除対象額が減り、減税額も小さくなります。しかし減税は控除対象額の5〜10%、住宅ローン減税なら0.7%であるのに対し、補助金は100%現金で受け取れます。先ほどのモデルケースでも、補助金30万円を受けたことで控除額は2万円下がりましたが(補助金がなければ443,900円、受けた場合は423,900円)、差し引き28万円の得です。補助金の申請には工事着手前の事業者登録などの段取りが要りますので、業者選定の段階で対象になるかを確認しておくと選択肢が広がります。自治体独自の制度と組み合わせられる場合もあります(リフォームの補助金制度と費用を抑える進め方)。

贈与を受けてリフォームする場合:省エネ等住宅なら1,000万円まで非課税

親や祖父母からリフォーム資金の贈与を受ける場合、令和6年1月1日から令和8年12月31日までの贈与であれば、省エネ等住宅で1,000万円、それ以外で500万円まで贈与税が非課税になります。増改築等で使う場合の主な要件は次のとおりです。

  • 増改築等後の登記簿上の床面積が40㎡以上240㎡以下で、その1/2以上が受贈者の居住用であること
  • 増改築等に要した費用が100万円以上で、その1/2以上が自己の居住用部分の工事であること
  • 贈与を受けた年の1月1日において18歳以上であること
  • 贈与者が直系尊属(父母・祖父母など)であること

出典:国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」。住宅ローン減税の確定申告でも「贈与の特例を受けている場合は贈与税申告書など」の提出が求められますので、贈与と減税を同時に使う場合は書類を一式そろえて臨むことになります。

確定申告と年末調整:いつ、何を出すか

提出書類8点と、増改築等工事証明書の取り方

住宅ローン減税(増改築)の確定申告で提出する書類は次のとおりです。

  1. 確定申告書
  2. (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  3. 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
  4. 登記事項証明書
  5. 増改築等工事証明書
  6. 工事請負契約書の写し
  7. 補助金等の交付を受けた場合は、交付金額がわかる書類(交付決定通知等)
  8. 贈与の特例を受けている場合は、贈与税申告書など住宅取得等資金の額を証する書類の写し

最も段取りが要るのが増改築等工事証明書です。発行主体は、建築士法に基づく登録を受けた建築士事務所に属する建築士、指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関、住宅瑕疵担保責任保険法人。発行時期は工事完了後で、登記事項証明書、工事請負契約書や領収書、設計図書、工事費内訳書などが必要です。工事の前後で現地調査が要る場合もありますので、着工前に発行の可否と調査の要否を確認しておくと後戻りがありません。固定資産税の減額申請は工事完了から3か月以内に市町村等へ提出します。所得税側が翌年の確定申告期間であるのに対し、こちらは工事直後という点が抜けやすいところです。

住宅ローン減税は2年目以降を年末調整で。促進税制は年末調整できない

  • 住宅ローン減税(増改築):初年度は確定申告が必要ですが、給与所得者なら2年目以降は年末調整で処理できます。勤務先に「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」と、金融機関から届く年末残高等証明書を提出します。
  • リフォーム促進税制:年末調整では適用できません。控除を受ける年について確定申告が必要です。控除期間は1年だけですので、申告もその1回です。

出典:国税庁「年末調整がよくわかるページ」「No.1220

工事年と居住開始年がずれたときは、居住を開始した年分で申告する

年末をまたぐ工事でつまずきやすい論点です。国土交通省は居住を開始した日が属する年分の所得税から控除を受ける制度と説明しており、次の例を挙げています。

  • 2025年中に工事が完了し、2026年1月に居住を開始した場合 → 2026年分の確定申告で申請します。
  • すでに居住している住宅に2025年中から工事を開始し、2026年に工事が完了した場合 → 2026年分の確定申告で申請します。

申告を忘れても、還付申告は翌年1月1日から5年間できる

還付申告書は確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出できます。国税庁も「特定の改修工事をした場合」を還付申告の具体例に挙げています(No.2030 還付申告)。ただし増改築等工事証明書は工事完了後に発行するもので、時間が経つほど資料の再収集が難しくなりますので、心当たりのある方は早めに施工業者へ連絡されることをおすすめします。

賃貸物件のリフォームは、減税ではなく「経費」で見る

ここからは投資家の方向けの分岐です。前述のとおり4制度は自己居住が要件ですので賃貸物件には使えません。代わりに、支出を不動産所得の必要経費として処理します。国税庁は次のいずれかに当たれば修繕費として処理できるとしています。

  • おおむね3年以内の期間を周期として行われる修理・改良であるとき、または一つの修理・改良などの金額が20万円未満のとき
  • 資本的支出か修繕費か明らかでない金額がある場合で、その金額が60万円未満のとき、またはその資産の前年末の取得価額のおおむね10%相当額以下であるとき

出典:国税庁「No.1379 修繕費とならないものの判定」。計算方法は賃貸リフォームにおける資本的支出と修繕費の違いで扱っています。

【比較表】自宅リフォームと賃貸物件リフォームの扱いの違い

項目自宅のリフォーム賃貸物件のリフォーム
使う仕組み減税4制度(税額控除・固定資産税減額・贈与非課税)不動産所得の必要経費(修繕費)または資本的支出
効き方税額から直接差し引く所得から差し引く(税率分だけ税負担が減る)
タイミング居住を開始した年(住宅ローン減税は10年)修繕費は支出年に全額、資本的支出は耐用年数で按分
判定の基準標準的な工事費用相当額または実際の工事費用20万円未満、おおむね3年以内の周期、60万円未満または取得価額の10%相当額以下
必要な証明増改築等工事証明書など工事内訳のわかる見積書・請求書
申告確定申告(2年目以降の住宅ローン減税は年末調整可)毎年の確定申告(青色申告特別控除の適用も可)

賃貸経営では、同じ工事でも見積書の書き方ひとつで修繕費と資本的支出の判定が変わることがあります。私たちが管理をお預かりする際も、発注前に内訳の切り分けを施工会社と相談しています。目先の節税だけでなく、数年後の売却時にどう見えるかまで含めて考えることが、長期的に手元へ残る額を大きくします。

まとめ:2026年にリフォームするなら押さえる5点

  1. 自分の工事がどの制度に当たるかを先に確定する。ローンの有無、工事の種別、金額の3点でほぼ決まります。
  2. 金額要件は補助金を引いた後で判定する。促進税制は標準的な工事費用相当額から引いて50万円超、住宅ローン減税は実際の工事費用から引いて100万円超です。
  3. 促進税制の控除額は「限度額×10%+その他工事×5%」。請求額ではなく告示単価で計算した額を使うため、見積段階で計算ツールを使うと判断がぶれません。
  4. 固定資産税の申請は工事完了から3か月以内。翌年の確定申告とは別に、市町村への手続きが要ります。
  5. 賃貸物件は減税ではなく経費で見る。4制度はいずれも自分が住む住宅が前提です。

税額控除は、その年に納めた税額を超えて戻ってくるものではありません。所得や納税額によって実際の効果は変わりますので、金額の大きい工事では税理士や、増改築等工事証明書を発行できる建築士に早い段階で相談されることをおすすめします。

FAQ:リフォーム減税についてよくある質問

Q1. リフォームで住宅ローン控除はいくら戻りますか?

年末のローン残高の0.7%が10年間控除され、借入限度額が2,000万円ですので年の上限は14万円です。残高が2,500万円でも3,000万円でも、対象になるのは2,000万円までです。所得税から引ききれない分は翌年度の住民税から年9.75万円を限度に控除されます。

Q2. リフォーム減税は年末調整でできますか?

住宅ローン減税(増改築)は初年度に確定申告をすれば、2年目以降は年末調整で処理できます。一方、リフォーム促進税制は年末調整では適用できず、控除を受ける年に確定申告が必要です。促進税制の控除期間は工事完了年の1年だけですので、申告もその1回です。

Q3. リフォーム促進税制と住宅ローン減税は併用できますか?

原則として併用できません。例外は耐震改修で、耐震に限っては住宅ローン減税との併用が可能です。ただし同一の増改築について両方の適用を受ける場合、耐震側の控除は10%部分のみとなります。バリアフリー・省エネ・三世代同居・長期優良住宅化・子育て対応は併用できません。

Q4. 補助金をもらうと減税は受けられなくなりますか?

受けられます。ただし金額要件も控除額も、補助金等を差し引いた後の金額で判定します。減税の効果は控除対象額の5〜10%、住宅ローン減税なら0.7%であるのに対し、補助金は全額を現金で受け取れますので、手残りで比べれば補助金を先に取るほうが有利になるのが通例です。

Q5. 賃貸に出している物件のリフォームでも減税は使えますか?

使えません。本記事の4制度は、いずれも自分が住む住宅を前提とした仕組みで、所得税の2制度は改修を行う方が所有し自分で居住する住宅であることが要件、固定資産税の省エネ・長期優良住宅化は「賃貸住宅でないこと」が要件です。国土交通省も管理組合によるマンション改修について「賃貸の場合は対象外」と案内しています。賃貸物件は不動産所得の必要経費として、修繕費か資本的支出かを区分して処理します。

Q6. 控除を受け忘れた場合、さかのぼって申告できますか?

還付申告は確定申告期間と関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出できます。国税庁も特定の改修工事を還付申告の具体例に挙げています。ただし増改築等工事証明書は工事完了後に発行するもので、時間が経つほど資料の再収集が難しくなりますので、早めに施工業者へ相談されるのが現実的です。

引用・参考資料

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

INA&Associates株式会社 代表取締役社長。首都圏・近畿圏を中心に不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントを統括。収益不動産投資戦略と超富裕層向け不動産コンサルティングを専門領域とする。

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

合格・取得資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
  • 甲種防火管理者
  • 競売不動産取扱主任者
  • マンション維持修繕技術者
  • 貸金業務取扱主任者