不動産投資で家賃収入を得ている場合、毎年の確定申告は避けられません。税負担を適切にコントロールするために、基礎控除をはじめとする所得控除の仕組みを正確に理解することが重要です。本記事では基礎控除の基本から不動産投資への実践的な活用方法までを解説します。
基礎控除とは何か?
基礎控除とは、すべての納税者に無条件で適用される所得控除のことです。職業・扶養の有無を問わず一律に控除されるため、他の14種類の所得控除と異なる点が特徴です。
2020年改正後の基礎控除額
2018年の税制改正により、2020年1月から基礎控除額が変更されました。
- 所得税:48万円(改正前38万円から10万円引き上げ)
- 住民税:43万円(改正前33万円から10万円引き上げ)
ただし、高所得者には逓減・消滅の仕組みがあります。
- 合計所得2,400万円超2,450万円以下:基礎控除32万円
- 合計所得2,450万円超2,500万円以下:基礎控除16万円
- 合計所得2,500万円超:基礎控除なし
なお、給与所得控除は同時に10万円引き下げられたため、給与収入850万円以下の人は実質的な税負担変化はありません。一方、850万円超の給与所得者は実質増税になっている点に注意が必要です。
不動産投資と基礎控除の関係
不動産所得は総合課税制度の対象であり、給与所得など他の所得と合算して課税されます。課税の流れは以下の通りです。
- 各所得を合計した総所得金額を算出
- 基礎控除を含む各所得控除を差し引く
- 算出された課税総所得金額に税率を適用
不動産所得の計算:家賃収入 − 必要経費(修繕費・管理委託費・ローン利息・広告費・減価償却費・不動産取得税・固定資産税など)
青色申告で大幅節税が可能か?
独立した室数10室以上または独立した家屋5棟以上の規模で賃貸事業を行う場合、不動産所得ではなく事業所得とみなされ、青色申告によって大幅な節税が可能になります。
- 青色申告特別控除:期限内申告で最大65万円を所得から控除
- 専従者給与の経費化:15歳以上の親族への給与を必要経費に算入可能
- 繰越欠損金:赤字損失を最長3年間繰り越せる
節税する際の注意点
経費の証明書類を保管する
修繕費・損害保険料・管理委託費など、経費として計上するためには領収書・クレジット明細など証明書類の保管が必須です。細かな支出も記録しておきましょう。
賃貸経営に住宅ローン減税は使えない
住宅ローンは居住用不動産向けのため、純粋な賃貸経営目的の物件には住宅ローン減税は適用されません。賃貸併用住宅(自己居住部分が床面積50%以上)の場合は、居住部分のみ適用可能です。また合計所得3,000万円超は対象外です。
よくある質問(FAQ)
Q. 基礎控除は不動産投資家にも自動的に適用されますか?
A. はい。合計所得が2,400万円以下であれば、すべての納税者に自動的に48万円(所得税)の基礎控除が適用されます。
Q. 不動産所得と給与所得は合算して課税されますか?
A. はい。不動産所得は総合課税の対象であり、給与所得など他の所得と合算されます。累進税率が適用されるため、所得が増えるほど税率も上がります。
Q. 青色申告特別控除65万円を受けるにはどんな条件が必要ですか?
A. 事業規模(10室以上または5棟以上)の不動産賃貸を行い、期限内に青色申告決算書を提出することが条件です。電子申告(e-Tax)利用でさらに要件が整います。
Q. 不動産投資で発生した損失を他の所得と相殺できますか?
A. 不動産所得の損失は、土地取得に係るローン利息を除いて、給与所得など他の所得と損益通算することが可能です。
Q. 高所得者は基礎控除が使えなくなりますか?
A. 合計所得2,500万円超の場合、基礎控除は適用されません。高所得の不動産投資家は税理士と連携した節税計画が重要です。