アパート経営では、得た収入から必要経費を差し引いた利益に対して税金を納める必要があります。経費を正しく理解し適切に計上することが、節税と安定した不動産経営の第一歩です。本記事では、アパート経営で経費にできる費用の種類と節税に役立つ4つのポイントを解説します。
アパート経営の「経費」とは何か?
経費とは、事業活動に直接関連して支出したお金を費用として計上できるものを指します。アパート経営における経費の基準は、「アパート経営に直接関係する支出かどうか」です。
主な経費として計上できる費用は以下の通りです。
- 修繕費:設備メンテナンス費用、退去時のクロス張替えなど。原則として1件20万円未満が一括計上の対象。
- 水道光熱費:共用部の電気代(防犯カメラ等)や水道代。
- 交通費:管理会社との打ち合わせや物件確認に要した往復交通費。
- 減価償却費:建物・設備の減価償却費。実際の出費を伴わない会計上の費用。
交通費など、プライベートと混同しやすい費用もあります。経費として計上できるのは、あくまでアパート経営に関する支出のみです。
経費と認められないものは何か?
経費にならない費用を誤って計上すると税務調査で問題になります。主な非経費項目を確認しておきましょう。
借入金の元本
アパートローンの返済のうち、元本部分は経費になりません。お金の貸し借りは会計上の損益とみなされないためです。利息部分のみ経費計上が可能です。
白色申告での親族給与
白色申告の場合、配偶者や親族への報酬は「専従者給与」として基本的に経費計上できません。節税を重視するなら青色申告への切り替えを検討してください。白色申告でも条件次第で「白色事業専従者控除」が適用されます。
資本的支出(アパートの価値向上費用)
「資本的支出」とは、物件の価値向上や耐久性強化を目的とした支出です。用途変更のための改装費、避難階段の設置費用などが該当します。1件につき修繕費が20万円を超える場合は資本的支出として扱われ、経費計上はできません。
個人の税金
所得税・法人税・住民税・贈与税・罰金などは必要経費として認められません。ただし、不動産取得税・固定資産税は「不動産に関する税金」として経費計上可能です。
節税のために知っておきたい4つのポイント
アパート経営の節税を最大化するために、以下の4つのポイントを活用してください。
1. 家事按分で按分計算する
家事按分とは、事業用とプライベート用の両方に使う支出を利用割合に応じて分けて計算する方法です。例えば、物件確認に車を使っている場合、アパート経営に使った走行割合分のガソリン代のみを経費として計上できます。税務署が適切と判断できる按分方法であれば認められます。
2. 損益通算で課税所得を圧縮する
損益通算とは、損失が出た所得を他の所得と合算し、課税所得を引き下げる方法です。事業所得・不動産所得・譲渡所得・山林所得が対象です。例えば、アパート経営が赤字の年に事業所得と合算することで、全体の課税所得を減らせます。
3. 領収書を適切に保管する
経費計上には証拠書類の保存が必須です。青色申告の場合は7年間(前々年度所得300万円以下は5年)、白色申告の場合は5年間の保管が義務づけられています。月別に封筒や会計ソフトで管理するのが効率的です。
4. 法人化を検討する
所得が900万円を超える場合、法人化により税率を下げられる可能性があります。法人では経費として認められる範囲も広がり、節税効果が高まります。アパート経営の規模が大きくなってきたら、専門家への相談を検討してください。
よくある質問(FAQ)
Q. アパート経営の経費はどこまで認められますか?
A. アパート経営に直接関係する支出が対象です。修繕費・管理費・減価償却費・利息・広告費などが代表的な経費です。プライベートとの混用がある場合は家事按分で按分計算します。
Q. 修繕費と資本的支出の違いは何ですか?
A. 修繕費は現状維持のための費用(原則1件20万円未満)、資本的支出は価値向上・耐久性強化のための費用(20万円以上が目安)です。後者は経費として一括計上できず、減価償却が必要です。
Q. 白色申告と青色申告、どちらが節税に有利ですか?
A. 青色申告の方が有利です。専従者給与の経費計上や最大65万円の青色申告特別控除を利用できます。
Q. 損益通算はどの所得と合算できますか?
A. 不動産所得の損失は、事業所得・給与所得・一時所得などと損益通算できます。ただし土地購入のローン利息部分は通算対象外です。
Q. 法人化するタイミングはいつが良いですか?
A. 一般的に課税所得が900万円を超えるあたりから法人化の節税メリットが出てきます。税理士に相談して試算を行うことをおすすめします。