不動産を売却した際に確定申告が必要かどうか、悩む方は多いです。確定申告が必要か否かは、譲渡所得がプラスかマイナスかだけでなく、特例や控除の利用有無によっても変わります。投資家・売却検討者が理解しておくべきポイントを整理します。
確定申告が不要なのはどんなケースか?
譲渡所得の計算式は以下の通りです。
譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)
この計算結果がマイナスになった場合(譲渡損失)は、原則として確定申告は不要です。ただし特例を利用する場合は例外があるため注意が必要です。
確定申告が必要になるケースとはどんな場合か?
3,000万円特別控除を利用した場合
3,000万円特別控除とは、自己居住の不動産売却時に譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例です。計算結果がプラスでもマイナスでも、この特例を利用した場合は確定申告が必要です。適用条件は「買主が親族等の特殊関係者でないこと」など6つの要件を満たすことが求められます。
損益通算・繰越控除の特例を利用した場合
譲渡損失が出た場合でも2つの特例を活用できます。
- 居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例:給与所得等と損失を相殺でき、3年間の繰越しも可能です
- 居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例:買換え不要で同様の損益通算が可能です
これらの特例を利用する場合は、損失が出ていても確定申告が必要です。申告漏れは無申告加算税・延滞税の対象となるため注意が必要です。
確定申告に必要な書類はどんなものか?
①譲渡所得の内訳書
売却した不動産の所在地・利用状況・仲介手数料などを記載する書類です。国税庁のホームページからダウンロードできます。
②確定申告書B様式(第一表・第二表)
不動産売却にはB様式が必要です。社会保険料控除関係書類なども同時に提出します。
③分離課税用申告書(第三表)
譲渡所得の分離課税を申告する書類。①・②を記入した後に作成するとスムーズです。
④全部事項証明書(登記事項証明書)
法務局で取得できます。土地は地番、建物は家屋番号を確認してから取得するとスムーズです。
⑤売買契約書のコピー・領収書
購入時・売却時両方の売買契約書と諸経費の領収書が必要です。購入時の売買契約書が見つからない場合は、譲渡価額の5%を概算取得費として使用します(ただし課税額が増える可能性があります)。
よくある質問(FAQ)
Q. 確定申告の期限はいつですか?
原則として売却した翌年の2月16日〜3月15日です。e-Tax(電子申告)を活用すれば自宅から提出でき、還付がある場合も早く処理されます。
Q. 3,000万円特別控除は毎年使えますか?
住んでいた家屋の売却に適用される特例のため、毎年使えるものではありません。売却した年の前年・前々年に同特例や買換え特例を使っていないことが条件のひとつです。
Q. 相続した不動産を売却した場合も確定申告が必要ですか?
相続した不動産の売却でも譲渡所得が発生すれば確定申告が必要です。ただし相続時の取得費は被相続人の取得費を引き継ぐため、取得費の証明書類を揃えることが重要です。
Q. 不動産を売却した年に他の収入がない場合でも申告は必要ですか?
譲渡所得がプラスの場合は確定申告が必要です。特別控除等で課税所得がゼロになる場合でも、特例適用のための申告は必要な場合があります。税理士への相談を推奨します。