分譲マンションの相続は、預貯金と異なり分割が難しく、不動産相続の中でも特にトラブルが発生しやすい遺産です。マンション相続では、遺言書の確認・相続人の確定・税務申告・相続登記という一連の手続きを10ヶ月以内に完了させる必要があります。この記事では手続きの流れ・税金の計算式・費用・注意点を投資家・オーナー向けに解説します。
マンション相続の手続きの流れ
マンション相続は以下の5ステップで進めます。
①遺言書の確認
遺言書には3種類あり、開封方法が異なります。
| 種類 | 特徴 | 開封方法 |
|---|---|---|
| 公正証書遺言 | 公証人が作成。改ざんリスクなし | そのまま開封可 |
| 自筆証書遺言 | 本人が手書き。真正性の確認が必要 | 家庭裁判所での検認が必要 |
| 秘密証書遺言 | 内容は秘密にして存在のみ公証 | 家庭裁判所での検認が必要 |
自筆証書遺言・秘密証書遺言は勝手に開封すると無効になるため注意が必要です。
②相続人・相続財産の確定と遺産分割
マンションの遺産分割には4つの方法があります。
- 現物分割:一人がマンション、別の人が預貯金など、遺産ごとに分割。最もシンプル。
- 代償分割:一人がマンションを相続し、他の相続人に相当額の現金を支払う。トラブルが起きにくい。
- 換価分割:マンションを売却して売却益を分配。不動産活用の予定がない場合に有効。
- 共有分割:複数人で共有所有。売却・活用時に全員の同意が必要で最も揉めやすい。
③遺産分割協議書の作成
相続人全員の合意を得た後に「遺産分割協議書」を作成します。全員の実印・署名が必要で、相続登記時には印鑑証明書の提出も求められます。
④相続税の申告・納付
相続開始から10ヶ月以内に相続税を申告・納付します。遅れると延滞税が発生します。相続税の納付は原則現金です。
⑤相続登記(名義変更)
相続内容が決まったら法務局で相続登記(名義変更)を申請します。2024年4月より相続登記の申請が義務化(3年以内)され、正当な理由なく申請しない場合は10万円以下の過料が科されます。早めの対応が不可欠です。
マンション相続でかかる税金
登録免許税
所有権移転登記の際に発生します。
登録免許税 = 固定資産評価額 × 0.4%
固定資産評価額は「固定資産評価証明書」で確認できます(都税事務所・市区町村役場で取得可)。
相続税
相続税は以下の式で計算されます。
相続税 =(相続財産の時価評価額 − 控除額)÷ 法定相続分 × 税率
基礎控除
基礎控除額 = 3,000万円 + 法定相続人の数 × 600万円
財産の合計額が基礎控除額以下であれば相続税は非課税です。超えた場合でも、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例など追加控除が適用できるケースがあります。
相続手続きにかかる費用
| 費用項目 | 目安金額 |
|---|---|
| 役所での書類取得手数料 | 5,000円〜2万円程度 |
| 司法書士への登記依頼費用 | 10〜20万円程度(以上の場合も) |
| 相続税申告(税理士費用) | 遺産総額の0.5〜1%程度 |
よくある質問(FAQ)
Q. マンション相続の申告期限はいつですか?
相続開始を知った日から10ヶ月以内です。期限を過ぎると延滞税・加算税が発生するため、早めに税理士に相談することをおすすめします。
Q. 相続したマンションを賃貸に出すことはできますか?
相続登記(名義変更)を完了させた上で可能です。賃料収入が発生する場合は確定申告が必要です。
Q. 相続マンションの評価額はどう計算されますか?
相続税評価額は路線価(または倍率方式)で計算された評価額を使用します。市場価格より低くなることが多いです。賃貸中のマンションはさらに評価額が下がる場合があります。
Q. 相続放棄はできますか?
相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申請することで放棄できます。債務(ローン残債等)がある場合は放棄を検討することもあります。
Q. 相続登記の義務化はいつからですか?
2024年4月1日より義務化されました。相続を知った日から3年以内に登記しない場合、10万円以下の過料が科されます。2024年4月以前に発生した相続も対象です。
