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固定資産税は経費にできる?不動産所得の租税公課・仕訳・按分の考え方

固定資産税を経費にできる条件を、不動産所得・事業使用・家事按分・仕訳例から解説。国税庁資料に基づき、租税公課で処理する税金と注意点を整理します。

最終更新: 約5分で読めます

賃貸用不動産を所有している場合、固定資産税・都市計画税は不動産所得の必要経費として計上できる代表的な費用です。一方、自宅や事業と関係のない資産にかかる固定資産税を、すべて経費にすることはできません。

国税庁は、不動産所得の必要経費について、不動産収入を得るために直接必要な費用で、家事上の経費と明確に区分できるものと説明しています。賃貸している土地・建物等にかかる固定資産税は、その代表例です。

この記事では、固定資産税を経費計上できるケース、できないケース、仕訳例、家事按分、確定申告での注意点を整理します。

固定資産税は経費にできるのか

賃貸用アパート、賃貸マンション、貸店舗、貸駐車場など、不動産収入を得るために所有している資産にかかる固定資産税は、原則として必要経費にできます。勘定科目は「租税公課」を使うことが一般的です。

資産の使い方 経費計上
賃貸用アパート 原則として経費
賃貸マンションの一室 原則として経費
貸駐車場 原則として経費
自宅兼事務所 事業割合で按分
完全な自宅 原則として経費不可
遊休資産 収入との関係により確認

ポイントは、固定資産税そのものが経費になるかではなく、その固定資産が収入を得るために使われているかです。

租税公課にできる税金・できない税金

不動産所得や事業所得では、税金の種類によって経費計上の扱いが変わります。

経費にしやすい税金 内容
固定資産税 賃貸用土地・建物にかかる税金
都市計画税 市街化区域内の土地・建物にかかる税金
事業税 事業に関連する税金
登録免許税 事業用・賃貸用資産取得に関連するもの
不動産取得税 賃貸用資産取得に関連するもの
印紙税 契約書作成に関連するもの

一方、所得税、住民税、相続税、国民健康保険税、国民年金保険料、罰金、交通反則金などは、通常必要経費になりません。国税庁の収支内訳書の手引きでも、租税公課に含める税金と含めない税金が区分されています。

固定資産税の仕訳例

固定資産税は、納付時に経費計上する方法と、賦課決定時に未払金として計上する方法があります。継続して同じ方法で処理することが重要です。

納付時に処理する方法

固定資産税10万円を4期に分け、1回25,000円を普通預金で支払った場合です。

借方 金額 貸方 金額
租税公課 25,000円 普通預金 25,000円

シンプルで分かりやすい方法です。小規模な個人オーナーではこの処理が使われることがあります。

賦課決定時に全額計上する方法

納税通知書を受け取り、年税額10万円を未払金として計上する場合です。

借方 金額 貸方 金額
租税公課 100,000円 未払金 100,000円

各期の納付時には、未払金を消します。

借方 金額 貸方 金額
未払金 25,000円 普通預金 25,000円

未払計上する場合は、決算時点で未納分が残っているかを確認します。

自宅兼事務所・賃貸併用住宅の按分

自宅の一部を事務所として使っている場合や、賃貸併用住宅を所有している場合は、固定資産税を全額経費にできるわけではありません。事業や賃貸に使っている割合で按分します。

按分方法 向いているケース
面積按分 自宅兼事務所、賃貸併用住宅
使用時間按分 一部スペースを時間限定で使う場合
部屋単位按分 事務所部屋が明確に分かれる場合
賃貸部分按分 店舗併用住宅、賃貸併用住宅

按分根拠は、図面、面積、使用状況、写真などで説明できるようにしておくと安心です。税務調査では、経費にした割合の合理性が問われます。

売買時の固定資産税精算金に注意

不動産売買では、固定資産税・都市計画税を引き渡し日で日割り精算することが一般的です。買主が売主へ支払う固定資産税等精算金は、税務上の処理が通常の固定資産税とは異なる場合があります。

国税庁は、賃貸用アパート購入時に支払った固定資産税・都市計画税相当額の清算金について、不動産所得の必要経費ではなく、取得価額に算入する取扱いを示しています。

この点は誤りやすいため、購入時の精算金と、所有後に自治体へ納める固定資産税を分けて処理してください。

確定申告での注意点

固定資産税を経費計上する際は、次の点に注意します。

  1. 納税通知書・領収書・口座振替記録を保管する
  2. 賃貸用と自宅用を分ける
  3. 按分根拠を説明できるようにする
  4. 売買時の精算金を通常の固定資産税と混同しない
  5. 所得税・住民税など経費にできない税金を混ぜない
  6. 毎年の処理方法を継続する

不動産所得の申告では、固定資産税だけでなく、減価償却費、修繕費、管理費、借入金利子、保険料なども合わせて整理します。税務処理は個別事情で変わるため、迷う場合は税理士または税務署へ確認してください。

よくある質問

Q. 自宅の固定資産税は経費にできますか?

完全な自宅であれば原則として経費にできません。自宅兼事務所など事業利用がある場合は、合理的な割合で按分します。

Q. 賃貸用マンションの固定資産税は全額経費ですか?

賃貸収入を得るための物件であれば、原則として必要経費にできます。ただし、私用部分がある場合は按分が必要です。

Q. 固定資産税の仕訳は納付時と賦課決定時のどちらがよいですか?

どちらの方法も考えられます。規模、会計処理、決算方針に合わせて選び、継続して処理することが重要です。

Q. 固定資産税を滞納した場合の延滞金は経費ですか?

延滞金や加算金は必要経費にならないものとして扱われる場合があります。通常の税金と混同しないよう注意してください。

参考・引用

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

INA&Associates株式会社 代表取締役社長。首都圏・近畿圏を中心に不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントを統括。収益不動産投資戦略と超富裕層向け不動産コンサルティングを専門領域とする。

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

合格・取得資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
  • 甲種防火管理者
  • 競売不動産取扱主任者
  • マンション維持修繕技術者
  • 貸金業務取扱主任者