虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業は、麻布台ヒルズとして知られる約8.1haの大規模都市更新です。住宅、オフィス、ホテル、商業、インターナショナルスクール、中央広場、緑地を一体で整備し、港区の国際拠点性と居住価値を同時に高めた計画だといえます。
この記事のポイント
- 虎ノ門・麻布台地区再開発は、約8.1ha、事業費約6,485億円の大規模再開発です。
- 主要用途は事務所、住宅、店舗、ホテル、インターナショナルスクール等で、住宅戸数は約1,410戸です。
- 森ビル資料では、約6,000平方メートルの中央広場と約2.4haの緑地が街の軸になっています。
- 不動産オーナーは、ブランド性だけでなく、人流、管理品質、募集導線、出口戦略を見直す必要があります。
完成図を見ると、虎ノ門・麻布台地区は高層建物だけで構成された街ではありません。複数街区をつなぎ、低層部、広場、緑地、歩行者動線を一体化した点に、この再開発の本質があります。
虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業とは?
虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業とは、東京都港区虎ノ門五丁目、麻布台一丁目及び六本木三丁目各地内を対象とする市街地再開発です。施行者は虎ノ門・麻布台地区市街地再開発組合で、街区名称としては「麻布台ヒルズ」として広く知られています。
港区は、この地区について、土地の細分化、老朽化した低層木造建物、細街路、骨格道路の未整備、起伏の大きい地形による歩行者環境の課題を示しています。つまり、開発前から防災性、回遊性、土地利用の面で都市更新の必要性が高かったエリアです。
この再開発を、単に「日本一高いビルができた」と捉えると読み誤ります。たしかに森JPタワーの存在感は大きいですが、本質は、住宅、オフィス、ホテル、商業、教育、文化、医療、緑地をまとめた複合市街地をつくった点です。
既存記事の東京再開発エリア主要プロジェクト調査レポートでは、虎ノ門・麻布台を都心再開発の一角として整理しています。本記事では、公式資料の計画数値と公共施設整備に絞り、オーナー実務へ落とし込んで見ていきます。
計画概要: 麻布台ヒルズは何を整備したのか?
麻布台ヒルズの計画概要は、複合用途と街区ごとの規模を分けて見ると理解しやすくなります。住宅供給だけでなく、就業、滞在、教育、商業、ウェルネスを一体で設計した点が特徴です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事業名称 | 虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業 |
| 施行者 | 虎ノ門・麻布台地区市街地再開発組合 |
| 所在地 | 東京都港区虎ノ門五丁目、麻布台一丁目及び六本木三丁目各地内 |
| 区域面積 | 約8.1ha |
| 事業費 | 約6,485億円 |
| 主要用途 | 事務所、住宅、店舗、ホテル、インターナショナルスクール等 |
| 住宅戸数 | 約1,410戸 |
| 建築工事着工 | 2019年8月 |
| 建築工事完了 | 2025年10月 |
街区別に見ると、A街区は地上64階・地下5階、約325m、延べ面積約461,770平方メートルです。B-1街区は地上64階・地下5階、約263m、B-2街区は地上54階・地下5階、約237mとされています。
港区資料では、C-1からC-4街区も含めて複数街区で構成されています。大規模タワーだけでなく、寺院、学校、低層施設、商業施設などが混ざるため、街全体の使われ方を読む必要があります。
外観イメージから分かるのは、超高層タワーと低層部のランドスケープを一体で見せている点です。港区の高級賃貸市場では、建物単体の新しさだけでなく、周辺環境そのものが評価対象になります。
公共施設・都市基盤整備で何が変わったのか?
虎ノ門 麻布台 再開発の価値は、建物規模だけでなく公共施設と都市基盤整備にあります。東京都都市整備局は、幹線街路、補助線街路、地区幹線道路、公園を整備内容として示しています。
| 区分 | 公式資料で確認できる内容 |
|---|---|
| 道路 | 幹線街路放射第1号線、補助線街路第2号線、補助線街路第4号線、地区幹線道路1・2号 |
| 公園 | 約770平方メートル |
| 中央広場 | 森ビル資料では約6,000平方メートル |
| 緑地 | 森ビル資料では約2.4ha、緑化面積約24,000平方メートル |
| 歩行者動線 | 六本木一丁目駅と神谷町駅を結ぶバリアフリー・アンブレラフリーの歩行者ネットワーク |
| 防災 | 老朽木造建物、細街路、未整備道路といった課題を都市更新で改善 |
この画像で注目すべきは、建物の足元を緑と広場でつないでいることです。森ビルは、約6,000平方メートルの中央広場を中心に、約2.4haの緑地を実現したと説明しています。
開発前の課題だった高低差は、歩行者にとっては日々の負担になります。六本木一丁目駅と神谷町駅を結ぶ歩行者ネットワークが整うことで、同じ距離でも体感的な移動しやすさが変わります。
賃貸募集では、この差が小さくありません。駅徒歩分数だけでなく、雨の日に歩きやすいか、坂道の負担が軽いか、夜でも安心して歩けるかは、入居判断に影響します。
麻布台ヒルズが港区不動産市場へ与える影響は?
麻布台ヒルズ 再開発が港区不動産市場へ与える影響は、価格上昇だけでは測れません。国際的な就業者、富裕層居住者、来街者、教育関係者、ホテル利用者が重なることで、周辺の需要の質が変わる点が重要です。
森ビル資料では、オフィス総貸室面積約214,500平方メートル、就業者数約20,000人、居住者数約3,500人、年間来街者数約3,000万人とされています。これは、単なる住宅供給ではなく、昼夜の人流を生む複合都市です。
麻布台ヒルズ 住宅は、約1,410戸という規模だけでなく、国際水準の居住環境として見られます。周辺の既存賃貸にとっては、新築高級レジデンスとの競争が強まる一方、エリアの認知度が上がる効果もあります。
正直なところ、麻布台ヒルズの近くにあるだけで既存物件の価値が自動的に上がるわけではありません。むしろ、共用部、管理対応、設備更新、募集写真の品質が低い物件は、街の水準が上がるほど見劣りしやすくなります。
虎ノ門「TORANOGATE」2027年竣工や愛宕地区再開発も含めると、虎ノ門から麻布台、六本木にかけて都市更新が連続しています。港区 再開発は、単発の大型ビルではなく、面で価値を押し上げる局面に入っています。
不動産オーナーが見るべき実務ポイントは?
不動産オーナーが見るべきポイントは、麻布台ヒルズの華やかさではなく、入居者の意思決定がどう変わるかです。募集条件、内見導線、管理品質、改修優先順位を具体的に見直す必要があります。
第一に、募集文は「麻布台ヒルズ徒歩圏」だけで終わらせないことです。神谷町、六本木一丁目、虎ノ門ヒルズ、赤羽橋方面への動線、職住近接、緑地、ホテル、商業、教育施設との距離を具体的に書く方が伝わります。
第二に、改修は目立つ室内設備だけで判断しないことです。港区の都心物件では、エントランス、廊下、照明、郵便受け、宅配ボックス、清掃状態が内見時の印象を左右します。
第三に、出口戦略を短期の値上がり期待だけで組まないことです。麻布台ヒルズ周辺はブランド性が高い一方、競合物件の水準も高くなります。賃料を上げるなら、その理由を管理品質と入居者体験で説明できる状態にしておくべきです。
以前、都心部の築古マンションで募集改善を相談されたとき、最初に見直したのは賃料ではなく共用部の印象でした。写真では分からない暗い廊下や古い掲示物が、内見者の判断を鈍らせていたからです。街が良くなるほど、物件の粗も見えやすくなります。
管理会社の変更や募集戦略の再設計を考える場合は、地図上の近さだけでなく、入居者が実際に歩く道を確認してください。朝、昼、夜で街の表情が違うため、現場確認をしたうえで訴求を組み立てることが大切です。
INAの見解
虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業は、港区の不動産価値を考えるうえで避けて通れない完成事例です。約8.1haの大規模開発でありながら、中心にあるのは建物の高さではなく、人が集まり、働き、暮らし、学び、憩うための都市設計です。
私は、再開発エリアの不動産運営では、人財の力がより重要になると考えています。街の変化を理解し、入居者の生活像へ翻訳し、募集や管理に反映できる担当者がいるかどうかで成果は変わります。
麻布台ヒルズのような大規模再開発は、周辺オーナーにとって追い風にも逆風にもなります。追い風にするには、街のブランドに頼るだけでなく、物件ごとの管理品質を磨き、長期的に選ばれる理由を作る必要があります。
短期的な賃料上昇だけを狙うのではなく、持続可能な成長を前提に、修繕、募集、管理、人財育成を一体で考えるべきです。虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業は、その判断を見直すための非常に良い材料になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業は完成していますか?
A. 東京都資料では、建築工事完了は2025年10月とされています。麻布台ヒルズ自体は2023年11月に開業しています。
Q2. 麻布台ヒルズの住宅戸数はどれくらいですか?
A. 港区・東京都資料では住宅戸数は約1,410戸です。住宅だけでなく、事務所、店舗、ホテル、教育施設なども含む複合開発です。
Q3. 周辺の賃貸物件にはどんな影響がありますか?
A. エリア認知と来街者は増えますが、既存物件の管理品質も比較されやすくなります。募集写真、共用部、内見導線の見直しが重要です。
Q4. 虎ノ門や六本木の他の再開発と一緒に見るべきですか?
A. 一緒に見るべきです。虎ノ門、麻布台、愛宕、六本木の都市更新は連続しており、単体ではなく面の変化として判断する方が実務的です。