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武蔵小金井駅北口駅前東地区再開発とは?南街区の計画概要を整理

武蔵小金井駅北口駅前東地区第一種市街地再開発事業の南街区について、地上33階・高さ約122m、住宅415戸、広場・デッキ整備、2029年度竣工予定を公式資料ベースで解説します。

最終更新: 約10分で読めます

JR中央線・武蔵小金井駅北口で進む「武蔵小金井駅北口駅前東地区第一種市街地再開発事業」は、南街区に地上33階・高さ約122mの住宅・商業複合棟を計画する、駅前更新の中核プロジェクトです。小金井市の2026年1月7日更新資料では、事業計画変更(第一回)が同日付で東京都知事に認可され、組合は権利変換計画認可に向けた手続きに取り組んでいるとされています。

本稿では、とくに駅前広場側に面する南街区に焦点を当て、建物規模、用途構成、歩行者空間、広場・デッキ、スケジュールを公式資料ベースで整理します。結論からいえば、この再開発は「タワーマンションが建つ」だけの話ではありません。旧来の大型店舗撤退後に弱まった北口商業地の回遊性を、低層商業・住宅供給・歩道状空地・広場・デッキで再設計する事業と見るべきです。

この記事の要点

  • 南街区は建築敷地面積約3,430㎡、延べ面積約47,300㎡、地上33階・高さ約122mの計画。
  • 主用途は住宅・店舗等で、住宅は1LDK〜3LDK、415戸が予定されている。
  • 南街区には広場1号約720㎡、広場2号約140㎡、歩道状空地などを新設し、駅前広場からムサコ通りへの歩行者動線を強化する。
  • 2026年度に権利変換計画認可・本体工事着工、2029年度竣工予定。

武蔵小金井駅北口駅前東地区とは

施行地区は東京都小金井市本町五丁目、武蔵小金井駅北口に位置する約0.6haの区域です。事業名は「小金井都市計画事業 武蔵小金井駅北口駅前東地区第一種市街地再開発事業」、施行者は武蔵小金井駅北口駅前東地区市街地再開発組合です。

公式の事業計画書は、この地区について、昭和40年代に建設された大型店舗と飲食中心の商店街が共存し、古くから小金井市の中心的な商業地であった一方、建物更新が進まず、老朽化した未利用建物の増加や大型店舗撤退による来客数減少が課題になっていたと説明しています。つまり、今回の事業は、単に建物を高層化するだけでなく、北口商業地の再生を狙う都市機能更新です。

小金井市公式ページ「武蔵小金井駅北口駅前東地区市街地再開発事業のご案内」掲載のイメージパース(南東方向から)
出典:小金井市「武蔵小金井駅北口駅前東地区市街地再開発事業のご案内」。南街区の高層棟と低層部商業、北街区側との関係を確認できる公式イメージです。

南街区の計画概要:地上33階・約122m、住宅415戸

南街区は、駅前広場に面する本事業の中心街区です。2026年1月変更後の事業計画書では、南街区の建築敷地面積は約3,430㎡、建築面積は約1,980㎡、延べ面積は約47,300㎡、容積対象床面積は約30,140㎡、建ぺい率は約58%、容積率は約880%とされています。

建物規模は、鉄筋コンクリート造、地上33階、塔屋付き、高さ約122mです。用途は住宅・店舗等が中心で、1階に住宅・店舗・駐車場等、2階に住宅・店舗等、3階に住宅・自転車駐車場・機械室、4階以上に住宅を配置する構成が示されています。駐車台数は約213台、駐輪台数は約512台です。

住宅計画は1LDK〜3LDK、戸当たり床面積約60㎡、区分所有、415戸です。子育て世代を主としつつ、多世代を想定した住宅供給により駅周辺の居住人口を増やし、地域活性化に貢献する方針が示されています。

項目南街区の計画
所在地東京都小金井市本町五丁目地内
建築敷地面積約3,430㎡
延べ面積約47,300㎡
構造・規模鉄筋コンクリート造、地上33階、塔屋付き
高さ約122m
主用途住宅、店舗等、駐車場、自転車駐車場、機械室
住宅戸数415戸(1LDK〜3LDK)
駐車・駐輪駐車約213台、駐輪約512台

低層部商業と駅前動線が事業価値の焦点

南街区を見るうえで重要なのは、高層住宅だけでなく低層部の商業と歩行者動線です。事業計画書は、道路沿いに商業施設を整備し、低層部には物販・飲食・サービス系の商業機能を導入する方針を掲げています。これは、駅前広場とムサコ通り、市道第136号線沿いの商店街をつなぎ直すための要素です。

北口では南口側の再開発やJR中央線高架下開発により駅周辺の回遊性が高まる一方、北口側では大型店舗撤退後の集客低下が課題でした。したがって、南街区の低層部が単なる住宅付帯店舗にとどまるか、駅前広場・商店街・デッキ動線と一体で人を誘導できるかが、完成後の商業価値を左右します。

広場・歩道状空地・デッキで「駅前から商店街へ」を再設計

公式資料で特に注目したいのが、南街区の敷地内に2つの広場を設ける点です。広場1号は約720㎡、広場2号は約140㎡で、駅前広場側からムサコ通りへ人々を誘導し、待ち合わせや世代を超えた交流に使える空間として計画されています。北街区には屋上広場となる広場3号約300㎡も整備され、災害時には避難スペースとして活用できる空間を目指すとされています。

さらに、南街区の施設建築物は道路から3m後退して歩道状空地を整備します。歩道状空地1号は幅員3.0m・延長約210m、歩道状空地2号は幅員1.0m・延長約80mです。ムサコ通りの南北をつなぐ立体歩行者通路は幅員3.0m・延長約30mで、広場1号と北街区屋上の広場3号を接続する計画です。

この構成は、駅前再開発でよくある「建物内に人を吸い込む」設計ではなく、駅前広場、ムサコ通り、北街区、屋上広場を回遊させる都市基盤整備といえます。南街区の資産価値を考える場合も、住戸スペックだけでなく、歩行者ネットワークの質が地域全体の評価に波及する点を見ておく必要があります。

小金井市公開の事業計画書(2026年1月変更)に掲載された施行地区位置図・区域図・設計図
出典:武蔵小金井駅北口駅前東地区第一種市街地再開発事業 事業計画書。施行地区の位置、南街区・北街区の配置、歩道状空地やデッキの考え方を確認できます。

北街区との役割分担:高層南街区、低層北街区

本事業は南街区だけでなく、ムサコ通り北側の北街区も含みます。北街区は建築敷地面積約1,770㎡、延べ面積約3,080㎡、鉄骨造・地上4階・高さ約20mの低層商業施設として計画されています。駐車台数は約8台、駐輪台数は約450台です。

計画上、北街区は商店街の街並みと調和する低層建物とし、屋上広場を設ける役割を担います。南街区が高度利用によって住宅・商業を集積する一方、北街区は既存商店街との接続を担う緩衝帯のような位置づけです。駅前のランドマーク性と、商店街の連続性を両立できるかが、計画評価のポイントになります。

公共施設整備:市道第136号線の拡幅と歩車分離

公共施設としては、区画道路1号である市道第136号線について、幅員6.7m、延長約80mの拡幅整備が予定されています。目的は歩行者の安全性確保で、歩車分離機能として歩道を整備する計画です。

駅前再開発では建物規模が注目されがちですが、長期的な地域価値を左右するのは、歩行者が安心して商店街へ向かえる道路・空地・広場の連続性です。北口の課題が「商店街の再生」である以上、市道第136号線の安全性と歩行者滞留のしやすさは、商業床の成否にも直結します。

スケジュール:2026年度本体工事着工、2029年度竣工予定

小金井市の案内では、2024年12月に都市計画決定・告示、2025年6月に組合設立認可・公告、2025年7月に再開発組合設立、2025年10月に既存建物解体工事着工、2026年1月に事業計画変更(第一回)という流れが示されています。今後は、2026年度に権利変換計画認可と本体工事着工、2029年度に竣工予定です。

東京都の2025年6月19日発表でも、組合設立認可により法人格を得て施行者となり事業に着手すること、権利変換計画認可・工事着手は2026年度、建物竣工は2029年度の予定とされています。将来時期は今後の認可・工事進捗により変わり得るため、投資判断や出店判断では、事業計画変更や権利変換認可の公表資料を継続的に確認する必要があります。

不動産投資・賃貸経営の視点:駅前の「面」が変わるか

南街区の住宅415戸は、駅前人口を増やす直接的な要素です。ただし、投資・賃貸経営の視点では、新築タワー単体の価格や賃料だけを見ると判断を誤ります。重要なのは、北口側の駅前広場、ムサコ通り、既存商店街、南口側の商業集積がどの程度つながり、駅周辺の滞在時間と日常消費を増やせるかです。

再開発が成功すれば、北口は「通過する駅前」から「滞在し、回遊する駅前」へ近づきます。これは周辺賃貸住宅の訴求力、店舗区画の視認性、生活利便施設の集積に影響します。一方で、商業床のテナント構成が弱い場合や、歩行者デッキ・広場が日常的に使われない場合は、ランドマーク性ほど周辺波及が広がらない可能性もあります。

オーナーや投資家は、竣工時期だけでなく、低層部テナント、広場の運用、周辺道路の歩行者量、南口との回遊性を継続的に確認することが大切です。駅前再開発は完成時点がゴールではなく、完成後の運用でエリア価値が定着するかが問われます。

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まとめ

武蔵小金井駅北口駅前東地区の南街区は、地上33階・高さ約122m・住宅415戸という規模感から、駅前タワー計画として注目されます。しかし本質は、北口商業地の再生、歩行者ネットワークの再構築、広場・デッキを含む公共的空間の整備にあります。

南街区の成否は、住宅供給そのものよりも、低層部商業と駅前広場・ムサコ通りをどう結び、北口全体の回遊性を高められるかにかかっています。2026年度の権利変換計画認可と本体工事着工、2029年度竣工に向けて、今後はテナント構成や広場運用の具体化が注目点になります。

引用・参考資料

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

INA&Associates株式会社 代表取締役社長。首都圏・近畿圏を中心に不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントを統括。収益不動産投資戦略と超富裕層向け不動産コンサルティングを専門領域とする。

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

合格・取得資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
  • 甲種防火管理者
  • 競売不動産取扱主任者
  • マンション維持修繕技術者
  • 貸金業務取扱主任者