
表参道駅から青山通りを外苑前方面へ歩くと、工事囲いの向こうに大きな街区の更新が進んでいます。北青山三丁目地区第一種市街地再開発事業は、2026年6月1日に新築工事へ入り、2030年竣工を予定する青山通り沿道の大規模再開発です。約180m・地上38階の高層棟だけでなく、約1haの樹林帯、商業、宿泊、公益施設、スポーツ施設、道路・広場を一体で整える点が、賃貸経営や不動産投資の判断材料になります。
- 2026年6月に着工し、2030年竣工予定へスケジュールが更新されました。
- 施行者はUR都市機構、事業パートナーは東京建物と東急不動産です。
- B-1街区は地上38階・地下2階、延床面積約178,000㎡、高さ約180mの複合施設です。
- 先行地区と合わせて約1haの樹林帯を整備し、青山通り沿道の歩行・滞在環境を変える計画です。
- 周辺オーナーは「完成後の賃料上昇」だけでなく、工事期間中の動線、募集文言、改修時期を確認する必要があります。

2026年6月着工で何が変わったのか
現地を歩く人にとって一番わかりやすい変化は、「計画段階」から「工事段階」へ移ったことです。東京建物と東急不動産は、UR都市機構とともに進める本事業について、2026年6月1日に着工し、同月5日に起工式を行ったと発表しました。従来の港区資料では「令和8年度建築工事着工予定」と整理されていましたが、今回の発表で着工時点と竣工予定がより具体化しました。
本事業は、青山通り沿道の旧耐震建物や不足していたオープンスペース、まとまりある緑の不足といった課題に対応するものです。港区は、道路や広場などの公共施設整備と土地の高度利用を合わせ、業務・商業・宿泊・公共公益などを導入する複合市街地を形成すると説明しています。単に大きなビルが建つ話ではありません。青山通りの歩きやすさ、滞在のしやすさ、地域の防災性を同時に更新する事業です。
計画概要|38階・約180m、2030年竣工予定
物件オーナーがまず押さえるべき数字は、用途、規模、完成時期です。B-1街区は事務所、商業、宿泊、公益施設等で構成され、地上38階・地下2階、高さ約180m、延床面積約178,000㎡です。B-2街区は商業施設を中心とする地上3階・地下2階、高さ約20m、延床面積約2,000㎡の低層棟です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事業名称 | 東京都市計画事業北青山三丁目地区第一種市街地再開発事業 |
| 所在地 | 東京都港区北青山三丁目の一部 |
| 施行者 | 独立行政法人都市再生機構 |
| 事業パートナー | 東京建物株式会社、東急不動産株式会社 |
| 事業区域 | 約2.9ha |
| 延床面積 | B-1街区:約178,000㎡、B-2街区:約2,000㎡ |
| 高さ・階数 | B-1街区:地上38階地下2階・約180m、B-2街区:地上3階地下2階・約20m |
| 主要用途 | 事務所、商業、宿泊、公益施設等 |
| 着工 | 2026年6月 |
| 竣工 | 2030年予定 |
| 設計・施工 | 都市計画・基本設計:日本設計、実施設計・施工:大林組 |
公表資料で確認できる範囲では、住宅戸数は未公表です。したがって、周辺賃貸市場への影響を読む際は、新規住宅供給ではなく、オフィス、商業、宿泊、公益施設が生む人流と滞在時間の変化を見るほうが実務的です。
公共施設・都市基盤整備|道路、広場、歩行者動線が事業の芯になる
内見案内で「駅からの歩きやすさ」を説明するとき、距離だけでは判断できません。信号、歩道幅、日陰、広場、低層部のにぎわいが、実際の体感を大きく左右します。本事業では、区画道路1号と区画道路2号の整備、歩道状空地、広場、建物内外を活用した歩行者通路が計画されています。
港区資料では、区画道路1号は幅員23m・延長約160mの新設道路、区画道路2号は幅員5.8〜6m・延長約130mの新設道路とされています。さらに、青山通りとの接続部に信号を設け、車両の安全な処理と歩行者動線の確保を図る計画です。区画道路1号・2号では無電柱化も予定されています。
この整備は、周辺不動産の説明にも関係します。青山通り沿いの視認性、表参道駅・外苑前駅からの案内、夜間の歩行印象、店舗区画の見え方が変わる可能性があるためです。募集図面では「表参道徒歩圏」だけでなく、2030年に向けた街区更新、樹林帯、公益施設、商業導入を丁寧に伝える余地があります。
約1haの樹林帯と「まちのロビー」が示す青山らしさ
青山の再開発で重要なのは、床を増やすことだけではありません。東京建物の発表では、本事業と先行地区を合わせて約1haの樹林帯を整備するとされています。本事業単体での樹林帯整備対象は約6,000㎡です。明治神宮や赤坂御用地など周辺の大規模緑地をつなぐ生態系ネットワークへの寄与も掲げられています。
低層部には、商業店舗、イベント広場、多目的スタジオ、ギャラリー、会員制ライブラリーラウンジなどが計画されています。宿泊施設はB-1街区3階〜6階、オフィスは主に7階〜37階です。働く、泊まる、買う、集まるという用途が重なるため、平日昼だけでなく夕方以降や休日の滞在も生まれやすい構成です。

周辺オーナーが今確認したい実務ポイント
まず確認したいのは、工事期間中の案内動線です。2030年竣工まで、歩行者ルートや車両動線は段階的に変わる可能性があります。店舗、事務所、賃貸住宅を持つオーナーは、内見時の集合場所、タクシーや搬入の説明、夜間の帰宅動線を定期的に見直す必要があります。
次に、募集文言の更新です。完成前から「北青山三丁目地区再開発至近」「青山通り沿道の都市更新エリア」といった表現は使えますが、竣工後の効果を断定する表現は避けるべきです。賃料上昇を約束するのではなく、商業・宿泊・公益施設・樹林帯・歩行者空間が段階的に整うことを、確認できる事実として伝える姿勢が大切です。
三つ目は、改修時期の判断です。2030年に向けて周辺の印象が変わるなら、外壁、共用部照明、館銘板、エントランス、募集写真の更新時期を前倒しで検討する価値があります。新しい街区の隣で古さだけが目立つ状態を避けるには、竣工直前に慌てるのではなく、数年単位で優先順位を決めるほうが安全です。
INAの見解|再開発は「完成後」ではなく「工事中」から読む
北青山三丁目地区第一種市街地再開発事業は、青山地域最大級のオフィス供給という面だけで見ると、周辺市況への影響を読み誤ります。実務上は、樹林帯、低層商業、宿泊、公益施設、道路整備、歩行者通路が組み合わさることで、駅間の歩き方と滞在の理由がどう変わるかを見るべきです。
INAでは、再開発を短期的な価格材料だけで判断しません。現地を歩き、工事中の不便と完成後の使われ方を分けて考え、オーナーの募集・改修・出口戦略に落とし込むことを重視しています。2030年の竣工はまだ先ですが、準備は今から始められます。管理会社や仲介担当者と、案内動線、写真、募集文言、改修計画を一度見直しておくとよいでしょう。
FAQ
北青山三丁目地区第一種市街地再開発事業はいつ完成しますか?
2026年6月に着工し、2030年竣工予定です。今後の工事進捗により、詳細な運用開始時期は事業者発表を確認する必要があります。
住宅は供給されますか?
公表資料で確認できる範囲では、住宅戸数は未公表です。主な用途は事務所、商業、宿泊、公益施設等とされています。
周辺賃貸物件にはどのような影響がありますか?
賃料への影響を断定することはできません。ただし、歩行者動線、商業集積、宿泊・公益施設、人流の変化は、募集文言や改修判断に影響します。
オーナーは今すぐ何を確認すべきですか?
工事期間中の内見動線、募集写真、共用部の見え方、2030年までの改修計画を確認してください。完成後だけでなく、工事中の説明品質も入居判断に関わります。





