
虎ノ門一・二丁目地区第一種市街地再開発事業は、東京都港区虎ノ門一丁目・二丁目で進む第一種市街地再開発事業です。港区と東京都の公表資料では、約2.2haの区域を対象に、国際的なビジネス・交流拠点の形成を目的として、業務・商業機能の更新だけでなく、駅前広場、道路、公園、歩行者通路、防災性の向上までを一体で進める計画として整理されています。
区域は港区北東部に位置し、地区内の南北を国道1号にあたる補助線街路第2号線が通ります。東側は特別区道第101号線、北側は環状第2号線、西側は複数の特別区道、南側は特別区道第1014号線に囲まれており、霞が関の官庁街に近接しつつ、虎ノ門ヒルズ周辺の再編とも連続する立地です。事業計画書では、旧耐震建物の多さ、狭小道路や未整備歩道、憩いの空間や緑の不足を、この地区が抱える主要課題として挙げています。
計画のポイントは、地下鉄日比谷線虎ノ門ヒルズ駅整備と一体で交通結節機能を高める点にあります。単体の超高層開発ではなく、地上・地下・デッキレベルをまたぐ歩行者ネットワークと広場空間を整備し、業務、商業、ホテル、住宅、子育て支援施設、ビジネス発信拠点などを組み合わせながら、周辺街区の使われ方まで更新する事業として見る必要があります。

計画概要
| 項目 | 内容 |
| 事業名称 | 虎ノ門一・二丁目地区第一種市街地再開発事業 |
| 所在地 | 東京都港区虎ノ門一丁目及び二丁目 |
| 施行者 | 虎ノ門一・二丁目地区市街地再開発組合 |
| 事業主 | 公表資料で確認できる範囲では未公表 |
| 参加組合員 | 公表資料で確認できる範囲では未公表 |
| 事業協力者 | 公表資料で確認できる範囲では未公表 |
| 区域面積 | 約2.2ha |
| 敷地面積 | 公表資料で確認できる範囲では未公表 |
| 延べ面積 | 約253,540平方メートル(A-1〜A-3街区計) |
| 高さ | A-1街区約266m、A-2街区約30m、A-3街区約59m |
| 階数 | A-1街区地上49階地下4階、A-2街区地上4階地下3階、A-3街区地上12階地下1階 |
| 主要用途 | 事務所、店舗、住宅、ホテル、ビジネス発信拠点、子育て支援施設、駐車場等 |
| 建物規模 | A-1街区高層複合棟、A-2街区店舗棟、A-3街区低層複合棟 |
| 住宅戸数 | 約12戸 |
| 都市計画決定 | 2018年3月 |
| 認可 | 2018年11月組合設立認可、2019年3月権利変換計画認可 |
| 着工 | 2019年11月 |
| 竣工予定 | 2024年度工事完了予定 |
| 事業費 | 約2,268億円 |
計画の特徴
本計画の最大の特徴は、虎ノ門ヒルズ駅と一体になった立体的な交通・広場整備です。事業計画書では、新駅と周辺市街地を結ぶ歩行者通路1号をデッキレベルで幅員4m・延長約75m、歩行者通路2号を地下レベルで幅員5.5m・延長約55m整備するとされ、改札階である地下2階から地上・デッキレベルへつながる駅広場が、A-1街区とA-2街区の東西玄関口として位置付けられています。
広場整備も本事業の骨格です。国道1号上空や特別区道第101号線上空を活用し、隣接する虎ノ門ヒルズの広場と立体的に連続するデッキレベルの広場空間を形成する計画で、既設部分を含めると約1haのまとまりある空間が想定されています。地区内では広場1号約3,300㎡、公園1号約770㎡が新設されるほか、歩行者専用空間の再編も組み込まれており、単に建物を建てる計画ではなく、街区の横断性と滞在性を同時に引き上げる内容です。
施設計画はA-1〜A-3の3街区で構成されます。A-1街区は延べ面積約236,640㎡、地上49階地下4階、高さ約266mの中心街区で、事務所、店舗、ホテル、ビジネス発信拠点等を導入します。A-2街区は延べ面積約8,800㎡、地上4階地下3階、高さ約30mの店舗棟、A-3街区は延べ面積約8,100㎡、地上12階地下1階、高さ約59mの低層複合棟で、事務所、店舗、住宅、子育て支援施設を含みます。住宅は計約12戸で、1LDK・2LDK・3LDKが示され、平均専有面積は約100㎡です。
公共施設整備の範囲が広い点も重要です。補助線街路第2号線、地区幹線道路1号、区画道路1号から6号の再整備・拡幅が盛り込まれ、駐車場は全体で308台が計画されています。公表資料で個別設備仕様までは示されていないものの、旧耐震建物の更新、狭小道路の改善、防災対応力の強化を一体で扱う構成から、この事業が防災・交通・都市活動の基盤更新を担う再開発であることは明確です。
周辺プロジェクト・エリアとの関係
虎ノ門一・二丁目地区は、霞が関の官庁街に近接し、大使館や外資系企業が集積する国際性の高い業務エリアに位置しています。事業計画書でも、外国人居住者を含む国際性豊かな地域特性が言及されており、単なるオフィス床の供給ではなく、国際金融・業務・商業・文化交流機能が重なる都心拠点の更新として扱われています。
周辺との接続関係では、虎ノ門ヒルズとの連続性が特に大きい要素です。本事業の広場は虎ノ門ヒルズの既存広場と立体的に連続し、さらに歩行者デッキは虎ノ門二丁目地区第一種市街地再開発事業施行地区へつながる計画です。つまり、虎ノ門ヒルズ駅を核に、一・二丁目地区、虎ノ門二丁目地区、周辺の道路・広場整備が面的につながる構図が公式資料から読み取れます。
このため、本事業は虎ノ門エリア全体の回遊性を高める中継点としての性格が強い計画です。環状第2号線や国道1号に面する立地上、幹線道路で分断されがちな歩行動線を、地下とデッキの両レベルでつなぎ直すことに意味があります。東京都の資料でも、周辺で複数の大規模再開発が計画・検討され、新駅整備と連携しながら面的につながることで、日本を代表するビジネス拠点の形成が加速すると整理されています。
一方で、各街区の床配分の詳細、個別テナント、運営主体の実名などは、公表資料で確認できる範囲では未公表です。そのため現時点では、虎ノ門ヒルズ駅、虎ノ門ヒルズの広場、虎ノ門二丁目地区との接続を伴う約2.2haの都市基盤再編という位置付けを、確認できる事実として押さえるのが適切です。
INA短評
虎ノ門一・二丁目地区第一種市街地再開発事業は、超高層複合棟の建設以上に、虎ノ門ヒルズ駅を核とした広場・デッキ・道路再編の比重が大きい計画です。A-1〜A-3街区の用途分担と、虎ノ門ヒルズ・虎ノ門二丁目地区へ連続する歩行者ネットワークを合わせてみると、街区更新ではなくエリア更新として評価すべき案件だといえます。





