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泉岳寺駅地区第二種市街地再開発|145mタワーと駅改良が変える港区不動産

東京都施行の泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業を解説。地上30階・高さ145m複合施設の規模・スケジュール、駅改良工事、高輪ゲートウェイシティとの連携、港区南部の不動産市況への影響を分析します。

最終更新: 約11分で読めます

東京都港区高輪、都営浅草線と京急本線が交差する泉岳寺駅のすぐそばで、高さ約145メートル・地上30階建ての複合施設建設が本格的に始まっています。「泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業」は、駅改良と周辺整備を一体で進める東京都施行の公共再開発プロジェクトであり、2031年度の竣工を目指して工事が進んでいます。隣接する高輪ゲートウェイシティのまちびらきが2025年3月に完了した今、泉岳寺駅周辺は港区南部における次の大きな変化の震源地となっています。

泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業とは

泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業は、東京都が施行者となる公共主導型の再開発です。通常の「第一種市街地再開発事業」が権利変換方式を採用するのに対し、「第二種」は管理処分方式を用います。既存の権利者は事業地内に残るのではなく、補償を受けて事業地外へ移転する仕組みです。公益性の高い都市基盤整備(駅改良・地域冷暖房整備など)が必要な場合に適用されることが多く、今回の泉岳寺駅地区がまさにその典型例といえます。

東京都第二市街地整備事務所が事業主体として取りまとめ、特定建築者として東急不動産株式会社と京浜急行電鉄株式会社が2021年6月に決定しました。設計・施工は鹿島建設が担い、2024年11月1日に特定施設建築物の新築工事が着工されています。事業期間は2018年度から2032年度という長期スパンで計画されており、持続可能な都市づくりへの強いコミットメントが感じられます。

事業の規模とスケジュール

建物の主要諸元を整理すると、その規模の大きさが明確になります。

  • 所在地: 東京都港区高輪二丁目
  • 構造: 地上30階・地下3階
  • 最高高さ: 約145メートル
  • 敷地面積: 約8,490平方メートル
  • 延床面積: 約112,300平方メートル
  • 用途: 共同住宅(385戸)・オフィス・店舗・子育て支援施設
  • 設計・施工: 鹿島建設
  • 着工: 2024年11月1日
  • 竣工予定: 2031年度(2032年3月下旬)

延床面積約11万2,300平方メートルという規模は、港区内でも有数の大型複合開発に位置づけられます。低層部に店舗、中層部にオフィス、高層部に共同住宅(分譲385戸)という縦の用途混在構成は、「職・住・商」の一体化を実現し、街の昼夜問わない活性化に貢献します。子育て支援施設の導入は東京都の子育て政策とも連動しており、ファミリー層の受け入れ環境整備という観点からも注目に値します。

環境配慮設計も特徴的です。建物外壁に配した外装ルーバーは、ファサードのエリアごとに異なる日射量に応じて向きや疎密を調整し、建物内への日射侵入を低減します。省エネ性能と意匠性を両立させた設計は、現代の環境基準に応える姿勢の表れです。



出典:東京都都市整備局「泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業」(2024年)

高輪ゲートウェイシティとの連携と地区一体開発

泉岳寺駅地区再開発を語るうえで欠かせないのが、隣接する「TAKANAWA GATEWAY CITY(高輪ゲートウェイシティ)」との関係です。高輪ゲートウェイシティは総敷地面積約7万4,000平方メートル、延床面積約84万5,000平方メートルという圧倒的なスケールを誇る再開発プロジェクトであり、2025年3月27日にまちびらきが完了しています。

その中核施設「THE LINKPILLAR 1」(North・South)は2025年3月27日に開業済みです。続く「THE LINKPILLAR 2」は地上31階・高さ約167メートルの超高層ビルで、オフィス・商業施設・クリニック・フィットネス・地域冷暖房エネルギーセンターなどを擁し、2026年3月28日の開業を予定しています。

泉岳寺駅地区の再開発ビルは、完成後にTHE LINKPILLARを経由してJR高輪ゲートウェイ駅と地上デッキで接続される計画です。これにより、都営浅草線・京急本線の泉岳寺駅からJR山手線・京浜東北線・東海道新幹線の品川駅方面へのアクセスが劇的に向上します。泉岳寺駅というターミナルが、これまでの「乗換駅」から「都市の玄関口」へと質的に変容するイメージです。

また、品川駅北口地区や田町駅周辺の再開発とも連動することで、「品川〜高輪〜泉岳寺〜田町」という港区南部の軸が、一体的な国際交流拠点として機能するシナリオが描かれています。インバウンド需要の取り込みや海外企業の進出先候補として、このエリアへの注目度は今後さらに高まるでしょう。

泉岳寺駅改良工事|ホーム幅が2倍になる

市街地再開発事業と一体で進む重要な公共整備が、泉岳寺駅の駅改良工事です。東京都交通局と京浜急行電鉄が共同で進めるこの改良工事では、現行約5メートルのホーム幅を約10メートルへ倍増させます。供用開始は2027年度を予定しており、改札コンコースも拡張されます。

現在の泉岳寺駅は、都営浅草線と京急本線の乗客が集中する乗換駅であるにもかかわらず、ホーム幅が狭く混雑時の安全確保が課題とされてきました。ホーム幅の倍増と上部の再開発ビル建設を一体で計画することで、駅機能の抜本的な改善と地上部の魅力的な都市空間の創出が同時に実現されます。これは第二種市街地再開発事業ならではの「公共と民間が一体となった都市改造」の好例です。

駅の利便性向上は、周辺不動産の価値に直結します。混雑緩和・バリアフリー対応の強化・コンコース拡張による商業スペース創出は、駅周辺物件の賃貸需要と評価額の双方に好影響をもたらします。不動産オーナーの方にとって、この改良工事の進捗は長期的な資産戦略の判断材料として注視すべき情報です。

東京の主要再開発プロジェクトの全体像については、「2025年、東京を変貌させる主要再開発プロジェクト」もあわせてご参照ください。

港区南部の不動産市況への影響

泉岳寺駅地区の再開発は、港区南部(高輪・白金高輪・品川方面)の不動産市況にどのような影響をもたらすのでしょうか。

賃貸住宅市場: 再開発ビルの完成(2031年度)に向けた「期待値の先行織り込み」が、周辺物件の賃料水準を押し上げる可能性があります。特に徒歩圏内のマンション・アパートでは、高輪ゲートウェイシティの開業効果に加え、泉岳寺再開発の進捗が認知されるにつれて、入居希望者の層が厚くなることが予想されます。外資系企業の社員や品川・田町方面への通勤者を中心とした高所得者層の需要取り込みが期待できます。

オフィス市場: 再開発ビルのオフィス部分(中層部)が稼働を開始することで、高輪エリアのオフィス供給が増加します。周辺の既存オフィスビルにとっては競合要因となり得ますが、エリア全体の認知度・ブランド力の向上が需要を広げる面もあります。長期的には、国際交流拠点としての位置づけが固まることで、港区南部におけるオフィス需要の底上げが期待されます。

分譲マンション市場: 再開発ビルの共同住宅部分(385戸)は分譲で供給されます。高さ145メートルの高層タワーマンションとして、富裕層・超富裕層向けの価格帯が設定されると見られます。完成後の資産価値については、高輪ゲートウェイシティとの一体開発・JR高輪ゲートウェイ駅とのデッキ接続というブランド優位性が大きなプレミアムとして機能するでしょう。

白金高輪エリアの再開発と不動産価値の関係については、「白金高輪エリア再開発が不動産価値に与える影響(2025年4月現在)」もご参照いただけます。

INAの見解|長期的視野でとらえる泉岳寺エリアの価値

私が泉岳寺駅地区の再開発に注目するのは、単に規模が大きいからではありません。この事業の本質は、「駅改良・都市基盤整備・複合施設建設」を同時に実現する第二種市街地再開発事業という制度設計の巧みさにあります。民間では実現が難しい公共インフラの整備を東京都が施行者となって担保しながら、民間の建築力と資本力を組み合わせる。このモデルは、日本の都市再生における有力な方程式の一つです。

泉岳寺エリアは、高輪ゲートウェイシティのまちびらきによってすでに「変化の入口」に立ちました。そこに泉岳寺駅再開発が加わることで、港区南部は「品川〜高輪〜泉岳寺」という国際交流軸の結節点として機能するエリアへと成長します。竣工は2031年度ですが、不動産市場は完成を待たずにその期待値を価格に織り込みます。長期的視野を持つ投資家・資産オーナーにとって、今この段階での情報収集と判断の検討が重要な意味を持つと私は考えています。

INA&Associates株式会社では、泉岳寺・高輪エリアをはじめとする都心再開発エリアの不動産市況について継続的に情報収集・分析を行っています。資産戦略についてのご相談は、いつでもお気軽にお問い合わせください。

再開発エリアの動向については、「【2025年2月】JR新橋駅東口再開発計画について」もご参照ください。

まとめ

  • 泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業は、東京都施行・東急不動産&京急が特定建築者の公共再開発
  • 地上30階・高さ約145m・延床面積約11万2,300㎡、共同住宅385戸・オフィス・店舗・子育て支援施設を含む複合施設
  • 2024年11月着工・2031年度竣工予定(事業期間2018〜2032年度)
  • 泉岳寺駅のホーム幅を5mから10mへ倍増する駅改良工事も2027年度供用開始予定
  • 高輪ゲートウェイシティ・THE LINKPILLARとデッキ接続により、JR高輪ゲートウェイ駅〜品川方面との回遊性が向上
  • 港区南部の賃貸・オフィス・分譲マンション市場に長期的な上昇圧力が続く見込み

よくある質問(FAQ)

Q1. 泉岳寺駅地区第二種市街地再開発事業の施行者はどこですか?

A. 東京都(東京都第二市街地整備事務所)が施行者です。特定建築者として東急不動産株式会社と京浜急行電鉄株式会社が2021年6月に決定し、鹿島建設が設計・施工を担っています。

Q2. 再開発ビルはいつ完成しますか?

A. 2024年11月1日に着工し、2031年度(2032年3月下旬)の竣工を予定しています。共同住宅(385戸)・オフィス・店舗・子育て支援施設を含む複合施設です。

Q3. 泉岳寺駅の駅改良はいつ完了しますか?

A. ホーム幅の5mから10mへの拡幅工事を含む駅改良は、2027年度の供用開始を予定しています。東京都交通局と京浜急行電鉄が共同で進めています。

Q4. 高輪ゲートウェイシティとはどのような関係ですか?

A. 泉岳寺駅地区の再開発ビルは、完成後に高輪ゲートウェイシティ(THE LINKPILLAR 1・2)を経由してJR高輪ゲートウェイ駅と地上デッキで接続される予定です。2025年3月にまちびらきした高輪ゲートウェイシティと一体となることで、港区南部の都市機能が大幅に向上します。

引用・参考資料

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

INA&Associates株式会社 代表取締役社長。首都圏・近畿圏を中心に不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントを統括。収益不動産投資戦略と超富裕層向け不動産コンサルティングを専門領域とする。

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

合格・取得資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
  • 甲種防火管理者
  • 競売不動産取扱主任者
  • マンション維持修繕技術者
  • 貸金業務取扱主任者