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マンション購入の初期費用はいくら?新築・中古と価格帯別の内訳

マンション購入の初期費用は、新築で物件価格の3〜6%、中古で6〜10%が目安です。3,000万円の中古マンションなら約200万〜220万円かかります。1,000万〜1億円の価格帯別試算、印紙税・仲介手数料・登記費用の内訳、購入後の月々の負担まで一次情報で解説します。

最終更新: 約25分で読めます

マンション購入の初期費用は、新築で物件価格の3〜6%、中古で6〜10%が目安です。3,000万円の中古マンションなら約200万〜220万円、7,000万円なら約430万〜460万円。このうち手付金と仲介手数料の半金は、住宅ローンが実行される前に現金で支払います。

物件価格だけで資金計画を立て、契約の直前に「現金がいくら要るのか」で慌てる方は少なくありません。この記事では価格帯別に初期費用を試算し、どの費用がいつ現金で要るのかを整理します。購入後の月々の負担と2026年の軽減措置まで、公的な一次情報を根拠にまとめました。

この記事のポイント

  • 初期費用の目安は新築で価格の3〜6%、中古で6〜10%。価格が低いほど率は上がります。
  • 手付金・仲介手数料の半金・印紙税はローン実行前に発生し、現金の準備が要ります。
  • 購入後は「返済+管理費+修繕積立金」で、首都圏の新築は月20万円弱が平均像です。
  • 令和8年度税制改正で住宅ローン減税は5年延長、新築の固定資産税1/2減額は令和13年3月31日まで延びました。
  • 諸費用ローンは使えますが、担保割れで将来の売却・借換えが詰まります。

マンション購入の初期費用はいくら?新築3〜6%・中古6〜10%が目安

マンション購入の初期費用は、新築で物件価格の3〜6%、中古で6〜10%が目安です。ただしこの率は、印紙税・仲介手数料・登記費用・住宅ローン諸費用を積み上げた結果にすぎません。率だけを覚えても、見積書が妥当かは判断できません。

なぜ中古マンションの方が初期費用が高いのか

差の大半は仲介手数料です。中古は売主と買主の間に仲介会社が入るため、価格の3.3%(税込)前後が上乗せされます。新築の分譲マンションは売主から直接買う形が多く、この3.3%が発生しません。ただし新築には引渡し時の修繕積立基金(20万〜80万円程度)があります。

実際、購入者はいくら現金を用意しているのか

「頭金ゼロで買える」と「実際にいくら現金を入れているか」は別の話です。住宅金融支援機構の2024年度フラット35利用者調査による手持金の実績は次のとおりです。

  • 新築マンション:購入価額 全国5,592.2万円に対し手持金1,337.9万円(23.9%)。首都圏は6,569.3万円に対し1,833.3万円(27.9%)
  • 中古マンション:購入価額 全国3,032.8万円に対し手持金524.4万円(17.3%)。首都圏は3,405.3万円に対し646.8万円(19.0%)

手持金には頭金と諸費用の両方が含まれます。フラット35利用者に限った母集団ですが、購入者が価格の2割前後を現金で入れている実勢が読み取れます。

いま首都圏の中古マンションはいくらか

東日本レインズの月例マーケットウォッチ 2026年6月度では、首都圏の中古マンション成約価格は5,208万円、㎡単価82.64万円/㎡、専有面積63.02㎡、築年数27.48年でした。この平均像なら初期費用は約315万〜340万円です。

【価格帯別】1,000万〜1億円のマンション初期費用シミュレーション

中古マンション(仲介あり)の諸費用は、1,000万円で約85万〜100万円、3,000万円で約200万〜220万円、7,000万円で約430万〜460万円、1億円で約605万〜640万円が目安です。低価格帯ほど率が高いのは、価格に比例しない固定費があるためです。

試算の前提:借入割合80%/ローン諸費用は事務手数料(定率型・借入額×2.2%)と金銭消費貸借契約書の印紙税の合計/登記は住宅用家屋の軽減を適用/固定資産税評価額は売買価格の約60%(うち土地4割・建物6割)/司法書士報酬は計約10万円/首都圏の中古を想定。実額は物件と金融機関で変わります。

物件価格印紙税
(軽減後)
仲介手数料
(税込上限)
登記費用ローン諸費用
(定率2.2%型)
中古の合計目安新築の合計目安
1,000万円5,000円39.6万円約16万円約19万円約85〜100万円(8.5〜10.0%)約65〜100万円
2,000万円1万円72.6万円約21万円約37万円約140〜160万円(7.0〜8.0%)約90〜125万円
3,000万円1万円105.6万円約27万円約55万円約200〜220万円(6.7〜7.3%)約115〜150万円
4,000万円1万円138.6万円約32万円約72万円約255〜275万円(6.4〜6.9%)約140〜180万円
5,000万円1万円171.6万円約38万円約90万円約315〜340万円(6.3〜6.8%)約170〜215万円
7,000万円3万円237.6万円約49万円約129万円約430〜460万円(6.1〜6.6%)約220〜280万円
1億円3万円336.6万円約65万円約182万円約605〜640万円(6.1〜6.4%)約310〜380万円

合計欄には火災保険料や精算金など(10万〜50万円程度)も織り込み、新築は仲介手数料を除いて修繕積立基金を加えています。引越し費用・家具・不動産取得税は含みません。

800万円以下の物件で見落とされる仲介手数料の特例

500万円の中古マンションなら、速算式「価格×3.3%+6.6万円」で出る仲介手数料の上限は23.1万円です。ところが実際には33万円を請求されることがあります。国交省の報酬額の告示(昭和45年建設省告示第1552号/最終改正 令和6年6月21日)第七で、代金800万円以下の「低廉な空家等」の媒介については、30万円の1.1倍にあたる33万円まで受け取れると定められているためです。ちょうど800万円の物件は通常の上限も33万円ですので差は出ませんが、価格が下がるほど差は開きます。正規の特例ですので、媒介契約の前に算定根拠を確認してください。低価格帯は価格に比例しない固定費の比率が高く、1,000万円の物件でも諸費用率は8.5〜10%になります。

7,000万円クラスで効いてくる差

5,000万円を超えると印紙税が1万円から3万円に上がり、登記費用も50万円前後になります。さらに効くのが住宅ローン減税の借入限度額です。2026年入居の長期優良住宅・低炭素住宅(新築)でも4,500万円(子育て世帯等5,000万円)にとどまるため、7,000万円の物件を借入80%で買うと1,000万円以上が控除の枠外に出ます。資金計画に迷われる場合は住宅ローンの金利の種類と控除制度の基本もあわせてご覧ください。

売買契約時に「現金で」必要になるお金|手付金・印紙税・仲介手数料

契約の日に用意する現金は、手付金・印紙税・仲介手数料の半金です。住宅ローンの実行は引渡し日なので、この段階では借入金を使えません。ここが「初期費用が払えない」という悩みの正体です。

手付金は物件価格の5〜10%。ただし法律上の上限がある

手付金の相場は物件価格の5〜10%で、3,000万円なら150万〜300万円です。代金に充当されますが、契約時点で現金が動きます。売主が宅建業者の場合、宅地建物取引業法第39条第1項により代金の10分の2を超える手付を受領できません。同条第2項は、手付は性質を問わず解約手付とみなし、買主は放棄、業者は倍額を現実に提供して解除できると定めています。

つまり手付金を安くすれば契約時の負担は軽くなりますが、売主側も少ない負担で解除できるようになります。なお同法第41条は、工事完了前の物件について手付金等が代金の100分の5以下かつ政令で定める額(1,000万円)以下の場合などを除き、保全措置なしには受領できないと定めています(完成物件は第41条の2で10%が基準です)。保全措置の有無は重要事項説明で確認します。

印紙税は軽減後の額。ローン契約書は軽減の対象外

押さえたいのは本則ではなく軽減後の税額で計算する点です。国税庁タックスアンサーNo.7108により、平成26年4月1日から令和9年3月31日までに作成される不動産譲渡契約書が対象です。

契約金額本則軽減後
500万円超 1,000万円以下1万円5,000円
1,000万円超 5,000万円以下2万円1万円
5,000万円超 1億円以下6万円3万円
1億円超 5億円以下10万円6万円

一方、住宅ローンで交わす金銭消費貸借契約書は軽減の対象外です。国税庁タックスアンサーNo.7140の第1号の3文書にあたり、借入額1,000万円超5,000万円以下なら2万円、5,000万円超1億円以下なら6万円です。なお紙の契約書を作らない電子契約なら印紙税はかからない扱いが一般的です。詳しくは不動産売買の電子契約とWeb重説の実務で解説しています。

仲介手数料は「上限」であって定価ではない

上限は前述の告示第二で、200万円以下の部分5.5%、200万円超400万円以下4.4%、400万円超3.3%です(消費税等相当額を含む)。速算式はこの3段階を合算した簡便計算にすぎず、告示が「〜以内」と定める以上、上限であって定価ではありません。ただし値引きは仲介会社の役務量とセットで判断します。考え方は中古マンション仲介手数料の上限計算と値引き交渉で整理しています。

支払いは契約時と決済時の半金ずつが一般的です。3,000万円なら契約日に52.8万円。手付金150万円と印紙税1万円を合わせ、契約日だけで200万円強が動きます。

引渡し(決済)時に必要になるお金|登記費用と住宅ローンの諸費用

引渡し日に必要なのは、登記費用・住宅ローン諸費用・火災保険料・固定資産税等の精算金・管理費等の日割り分です。この日はローンが実行されます。

登記費用=登録免許税+司法書士報酬

登録免許税の課税標準は売買価格ではなく固定資産税評価額です。税率は国税庁の登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ(令和8年4月)と国土交通省の住宅用家屋の特例措置のとおりです。

登記の種類本則軽減後適用期限
土地の所有権移転(売買)2.0%1.5%令和11年3月31日
建物の所有権保存(新築)0.4%0.15%令和9年3月31日
建物の所有権移転(中古)2.0%0.3%令和9年3月31日
抵当権の設定0.4%0.1%令和9年3月31日

土地の1.5%は令和8年度税制改正で3年延長され、令和11年3月31日までとなりました。国税庁のタックスアンサーには旧い期限が残っている場合がありますので、延長の有無は上記のお知らせで確認してください。建物と抵当権の軽減を受けるには、市区町村発行の住宅用家屋証明書(床面積50㎡以上であること等の証明)を登記申請書に添付し、新築または取得後1年以内に登記を受ける必要があります。中古は昭和57年1月1日以降の建築または耐震基準適合が条件です。自動では適用されません。

司法書士報酬は、日本司法書士会連合会の報酬に関するアンケート(2024年3月実施)に実額があります。評価額合計1,000万円の土地1筆・建物1棟の所有権移転登記(売買)が平均56,678円、債権額1,000万円の抵当権設定登記が平均42,699円。モデル設例の平均で出張等により変わります。

住宅ローンの諸費用は方式の選び方で数十万円動く

  • 事務手数料:定額型(3万〜5万円台)と定率型(借入額×2.2%)。3,000万円の借入なら定率型で66万円。
  • 保証料:借入時に一括で払う外枠方式と、金利に0.2%程度を上乗せする内枠方式。外枠の額は借入期間で変わるため実額の見積りを取ります。フラット35は不要です。
  • 団体信用生命保険:多くは金利に含まれ、疾病特約は金利上乗せです。
  • 抵当権設定の登録免許税:借入額×0.1%。

火災保険料・固定資産税等の精算金・修繕積立基金

マンションは専有部分のみが保険の対象で、戸建てより保険料は抑えられます。損害保険料率算出機構によると火災保険の参考純率は2023年6月の届出で全国平均13.0%引き上げられました。参考純率は保険料そのものではありませんが、上昇基調は資金計画に織り込んでおくのが安全です。

固定資産税は1月1日時点の所有者に1年分が課税され、年の途中の引渡しでは日割りで買主が負担するのが商慣行です。この精算は法律上の義務ではなく、起算日も地域で異なります。関東は1月1日、関西は4月1日が一般的で、同じ引渡し日でも負担額が変わります。関西の物件を関東の感覚で見て驚く行き違いは実際に起きますので、契約書を確認してください。管理費と修繕積立金も日割りで精算し、新築ではさらに修繕積立基金が20万〜80万円程度かかります。

入居後に請求されるお金|不動産取得税と最初の固定資産税

引渡しが終わっても支払いは終わりません。金額が読みにくいのが不動産取得税で、忘れた頃に納税通知書が届きます。標準税率は本則4%ですが、住宅および土地は3%に軽減されています(令和9年3月31日まで)。課税標準は固定資産課税台帳の評価額で、軽減は次のとおりです(総務省・国交省)。

  • 新築住宅は課税標準から1,200万円を控除。中古住宅は新築時期に応じて最高1,200万円を控除。
  • 住宅用地・商業地等は、課税標準となる価格を評価額の2分の1に圧縮。
  • 住宅用土地は、150万円または床面積の2倍(200㎡が限度)に相当する土地の価格の大きい方に税率を乗じた額を税額から減額。

これらを重ねると、一般的な広さのマンションでは税額が0円になることも少なくありません。ただし都道府県によっては申告しなければ軽減が適用されない取扱いがあります。取得後に都道府県税事務所へ確認するのが確実です。手続きは不動産取得税の軽減措置と還付申請の手順でまとめています。

このほか、引渡しの翌年から自分名義で固定資産税・都市計画税が課税されます(標準税率1.4%、都市計画税は0.3%が上限)。引越しは3〜4月の繁忙期と閑散期で料金が変わります。新居では前の住まいのカーテンが窓に合わないことが多く、内見時に窓の寸法を測っておくと出費を読めます。

マンション購入後、毎月・毎年いくらかかりますか?

月々の支出はローン返済だけではありません。「返済+管理費+修繕積立金+駐車場代」が実際の家計負担で、首都圏の新築では月20万円弱になります。

月々の総支払額の実勢値

前掲のフラット35利用者調査(2024年度)の1か月当たり予定返済額は、新築マンションが全国159,500円・首都圏172,500円(総返済負担率22.2%/23.1%)、中古が全国93,400円・首都圏101,200円(19.7%/20.3%)でした。

ここに管理費と修繕積立金が加わります。国交省の令和5年度マンション総合調査結果によると、駐車場使用料等からの充当額を除いた月・戸当たりの平均は管理費11,503円、修繕積立金13,054円。首都圏の新築なら「17.25万円+2.5万円=月20万円弱」、中古なら「10.1万円+2.5万円=月12.6万円前後」です。内訳はマンション管理費の相場と修繕積立金との違いで確認できます。

修繕積立金が「安すぎないか」を買う前に検算する

購入前にできる、もっとも効果の大きい確認です。修繕積立金が相場より安いマンションは、お買い得ではなく将来の請求が先送りされているだけの場合があります。国交省のマンションの修繕積立金に関するガイドライン(令和6年6月改訂)に、専有床面積あたり月額の目安があります。

地上階数/建築延床面積事例の3分の2が包含される幅平均値
20階未満・5,000㎡未満235〜430円/㎡・月335円/㎡・月
20階未満・5,000〜10,000㎡未満170〜320円/㎡・月252円/㎡・月
20階未満・10,000〜20,000㎡未満200〜330円/㎡・月271円/㎡・月
20階未満・20,000㎡以上190〜325円/㎡・月255円/㎡・月
20階以上240〜410円/㎡・月338円/㎡・月

検算は3手順です。まず住戸の修繕積立金を専有面積で割って㎡単価を出し、階数と延床面積に対応する行の幅と比べます。下回っていたら長期修繕計画書と重要事項調査報告書を取り寄せ、値上げ予定と一時金徴収の有無を確認します。機械式駐車場があれば1台あたり修繕工事費×台数÷総専有床面積を加算。

たとえば専有面積70㎡で月6,000円なら㎡単価は約86円。20階未満・延床5,000㎡未満なら幅の下限235円の半分にも届きません。この水準では、倍以上への引き上げが計画されているか、大規模修繕の資金が足りなくなるかになりやすいと考えられます。安い積立金は買い得ではなく、繰り延べられた請求書です。見方は修繕積立金の相場と値上がりリスクでも整理しています。

年単位では、固定資産税・都市計画税、火災保険の更新、大規模修繕の一時金、駐車場料金の改定が発生します。物件の管理状態に第三者の目を入れたい場合は、INA&Associates株式会社の無料相談をご利用ください。

2026年(令和8年度税制改正)で変わった軽減措置

2026年に入居・取得する方は、令和8年度税制改正を前提に資金計画を組みます。国交省の同改正概要から、初期費用と保有コストに関わる部分を整理します。

住宅ローン減税は5年延長、既存住宅が拡充

控除率0.7%は据え置きで、5年間延長されました。カッコ内は子育て世帯等(19歳未満の子がいる世帯、または夫婦のいずれかが40歳未満の世帯)の限度額です。

住宅の区分新築・買取再販既存住宅(中古)
長期優良住宅・低炭素住宅4,500万円(5,000万円)×13年3,500万円(4,500万円)×13年
ZEH水準省エネ住宅3,500万円(4,500万円)×13年3,500万円(4,500万円)×13年
省エネ基準適合住宅2,000万円(3,000万円)×13年(2026・2027年入居分)2,000万円(3,000万円)×13年
その他住宅支援対象外2,000万円×10年

所得要件は2,000万円、床面積要件は40㎡以上です(所得1,000万円超の方および上乗せ利用者は50㎡以上)。省エネ基準適合住宅の新築は2028年(令和10年)入居分から原則対象外になります(2027年末までに建築確認を受けたもの等は2,000万円×10年)。令和10年以降の入居分からは、災害レッドゾーンの新築住宅も対象外です。中古を検討中の方には、既存住宅の枠が3,500万円(子育て世帯等4,500万円)×13年に広がった意味が大きいはずです。初年度は確定申告が要りますので、住宅ローン控除の初年度の確定申告手続きを確認しておいてください。

新築住宅の固定資産税1/2減額は令和13年3月31日まで延長

新築住宅の固定資産税を2分の1に減額する措置(マンションなど中高層耐火建築物は5年間、戸建ては3年間)は、令和13年3月31日まで5年間延長されました。床面積要件の下限も50㎡から原則40㎡に緩和され、あわせて一定のハザードエリア内にある住宅が対象から外れます。国交省の推計では、2,500万円の住宅で3年間約27万円の軽減効果です(特例なし年18.2万円、特例あり年9.1万円)。「新築は5年間半額」という説明を見かけますが、戸建ては3年、マンションは5年です。

登録免許税・不動産取得税・贈与非課税の期限

  • 土地の所有権移転登記1.5%:令和11年3月31日まで(3年延長)
  • 住宅用家屋の登録免許税軽減、不動産取得税の3%と1,200万円控除:令和9年3月31日まで

親からの資金援助は、住宅取得等資金の贈与の非課税制度が令和8年12月31日までの贈与を対象としています。国税庁タックスアンサーNo.4508によると限度額は省エネ等住宅1,000万円、それ以外500万円。受贈者は贈与年の1月1日時点で18歳以上、合計所得2,000万円以下が要件です。注意点は2つ。贈与税が0円でも申告が要ることと、対象が住宅取得等の対価に限られ家具・家電やローン返済資金には使えないことです。

マンション購入の初期費用を抑える5つの実践策

初期費用は削れるものと削れないものに分かれます。判断基準がはっきりしている5つを挙げます。

  1. 売買契約を電子契約にする:3,000万円の物件なら売買契約書1万円と金銭消費貸借契約書2万円で計3万円の差。対応可否を事前審査の段階で確認します。
  2. 事務手数料型と保証料型を実額で比較する:定率2.2%型は借入額が大きいほど不利で、5,600万円なら123万円。外枠保証料型は繰上返済時に未経過分の返戻を受けられることがあります。「借入期間◯年・繰上返済あり」で総支払額を出してもらいます。
  3. 仲介手数料は上限であって定価ではない:告示は「〜以内」と定めています。ただし交渉は役務量とセットで考えるものです。「無料」は売主側から報酬を受け取る構造ですので、誰から報酬を得ている会社かを見て判断します。
  4. 火災保険は補償範囲を絞り、長期契約を検討する:水災リスクが低い階層なら保険料が下がります。ただし削りすぎると保険が使えません。ハザードマップと階数を見て決めます。
  5. 軽減措置は申請しないと受けられない:登録免許税には住宅用家屋証明書、不動産取得税には都道府県への申告、住宅ローン控除には初年度の確定申告が要ります。決済前に「どの軽減を、誰が、いつ」を確認します。

マンション購入の初期費用が払えないときの現実的な選択肢

諸費用ローンという選択肢はありますが、副作用があるため「借りる」より先に「計画を見直す」ことをおすすめします。

諸費用ローンの金利は住宅ローンより高めです。問題は総返済額が増えることだけではありません。物件価格を超えて借りるため購入直後は借入残高が売却価格を上回る状態になりやすく、転勤や離職で売却が必要になったときに残債を清算できず、借換えの審査も通りにくくなります。

正直に申し上げると、私は諸費用まで借りて買い急ぐくらいなら、半年から1年かけて現金を厚くするほうが、結果として手元に残るものは多いと考えています。買った瞬間に売れない状態をつくらないことが、いちばんの資産防衛です。

親族からの資金援助は、前述の贈与非課税が令和8年12月31日までです。借入とする場合は金銭消費貸借契約書を作成し、返済の記録を残します。契約書も返済実績もない資金移動は、税務上、贈与と判断されることがあります。

手付金を減らす交渉は契約日の負担を軽くしますが、売主も少ない負担で解除できる立場になります。それより有効なのが予算の見直しです。フラット35利用者の総返済負担率は新築マンション22.2%(首都圏23.1%)、中古19.7%(同20.3%)。これを大きく超える計画は、初期費用以前に返済計画そのものに無理があるサインです。

避けたいのは、カードローンやフリーローンで手付金を用立てることです。住宅ローン審査では個人信用情報が照会され、直前の借入は返済比率と信用の両面でマイナスに働きます。

「マンション経営(投資用)」の初期費用は別物です

ここまでは自分が住むマンションが前提です。投資用は制度が違い、同じ数字では計算できません。違いは3点です。

  • ローンが違う:住宅ローンは使えず不動産投資ローンになり、金利は高い水準です。
  • 軽減措置が使えない:住宅ローン控除、住宅用家屋の登録免許税軽減、不動産取得税の住宅控除は自己居住用が要件のため原則適用されません。
  • 諸費用率が高い:登録免許税が本則税率になるため、物件価格の7〜10%程度になりやすくなります。

詳細はマンション経営の初期費用とランニングコスト、中古の投資用物件は中古マンション購入時にかかる諸費用の全体像をご覧ください。

契約前に確認したい10のチェックリスト

ここまでの内容を、仲介会社と金融機関への質問リストにまとめました。

  1. 諸費用の見積書を項目別に受け取ったか(「一式」表記になっていないか)
  2. 手付金の額。売主が宅建業者の場合、保全措置は講じられるか
  3. 印紙税は軽減後の額か。電子契約は選べるか
  4. 仲介手数料の算定根拠と支払時期。800万円以下なら低廉な空家等の特例が適用されるか
  5. 登記費用の見積りで登録免許税と司法書士報酬が分かれているか
  6. 事務手数料は定額型か定率型か。保証料は外枠か内枠か。総支払額で比較したか
  7. 火災保険の補償範囲(水災の要否)と契約年数
  8. 固定資産税等の精算金の起算日は1月1日か4月1日か
  9. 修繕積立金の㎡単価はガイドラインの幅に入っているか。長期修繕計画書と重要事項調査報告書を見たか
  10. 新築なら修繕積立基金はいくらか。中古なら直近と次回の大規模修繕はいつか

9番と10番は将来の支出を左右します。判断に迷われる場合は、INA&Associates株式会社へお気軽にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 1,000万円の中古マンションの諸費用はいくらですか?

A. 約85万〜100万円が目安で、物件価格の8.5〜10%と高価格帯より率が高くなります。内訳は仲介手数料39.6万円、登記費用約16万円、住宅ローン諸費用約19万円、印紙税5,000円、火災保険料と精算金です。

Q2. 7,000万円の中古マンションだと諸費用はいくらですか?

A. 約430万〜460万円が目安で、物件価格の6.1〜6.6%程度です。仲介手数料237.6万円、住宅ローン諸費用約129万円(事務手数料の定率2.2%型+印紙税)、登記費用約49万円、印紙税3万円が主な内訳。減税の限度額を超える借入部分は控除の対象外です。

Q3. マンション購入後、毎月いくらかかりますか?

A. 首都圏の新築マンションで月20万円弱が平均像です。フラット35利用者調査(2024年度)の首都圏マンションの予定返済額172,500円に、管理費11,503円と修繕積立金13,054円を加えた額。中古なら月12.6万円前後です。

Q4. 頭金なしでマンションは買えますか?

A. 制度としては可能ですが、標準的な姿ではありません。フラット35利用者調査では、新築マンション購入者の手持金は購入価額の23.9%(首都圏27.9%)、中古では17.3%。頭金ゼロだと返済が重くなり、売却時に残債が価格を上回ります。

Q5. 初期費用はローンに組み込めますか?

A. 諸費用ローンとして組み込める金融機関はあります。ただし金利は住宅ローンより高めで総返済額が増えます。物件価格を超えて借りるため購入直後は残債が売却価格を上回りやすく、借換えの審査も通りにくくなります。

Q6. 中古マンションの諸費用が新築より高いのはなぜですか?

A. 仲介手数料が上乗せされるためです。中古は仲介会社が入るので価格の3.3%(税込)前後がかかりますが、新築は売主から直接購入する形が多く発生しません。ただし新築には修繕積立基金が20万〜80万円程度かかります。

マンション購入の初期費用は、価格の何%という目安だけでは判断できません。この記事の価格帯別試算とチェックリストを使い、見積書の一行ずつに「これは何の費用で、いつ、現金で要るのか」を書き込んでみてください。そこまで整理できれば、資金計画はぶれなくなります。

引用・参考資料

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

INA&Associates株式会社 代表取締役社長。首都圏・近畿圏を中心に不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントを統括。収益不動産投資戦略と超富裕層向け不動産コンサルティングを専門領域とする。

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

合格・取得資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
  • 甲種防火管理者
  • 競売不動産取扱主任者
  • マンション維持修繕技術者
  • 貸金業務取扱主任者