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敷金が返ってこない時の対処法|借主・大家の負担範囲と返還交渉の4つの方法

敷金が返還されないトラブルへの対処法を解説。借主・大家の費用負担範囲(壁・床・水まわり)の区別から、判例を使った交渉・見積もり立会い・公的機関活用まで詳しく説明します。

最終更新: 約4分で読めます

退去時に敷金が返ってこない、または追加請求された——そんなトラブルは毎年多く発生しています。本記事では敷金の定義・借主と大家の負担範囲・少しでも多く返還してもらうための実践的な方法を解説します。

敷金とは何か?礼金との違いは?

敷金とは、入居時に大家に預けるお金で、退去後の原状回復費用に充当されます。借主の故意・過失による損傷がなければ全額返還されるべきものです。「借主には敷金返還請求権がある」ことを必ず認識しておきましょう。礼金は大家への感謝として支払うお金であり返還されません。原状回復とは「借りる前の状態に戻す」ことではなく「借主の故意・過失による損傷を回復する」ことです。

借主負担と大家負担の範囲はどう違うのか?

壁・床

  • 借主負担:タバコのヤニ・臭い、画びょうより大きい穴(釘・ネジ等)、落書き、借主所有エアコンの水漏れによる腐食
  • 大家負担:テレビ・冷蔵庫裏の黒ずみ、ポスター等による日焼け、エアコン設置ビス穴、日照による壁紙の変色、画びょうの小さい穴

建具(襖・柱等)

  • 借主負担:ペットによる傷・臭い、落書き
  • 大家負担:地震等自然災害によるガラス破損、次入居者のための網戸張替え(破損がない場合)

水まわり

  • 借主負担:空焚きによる給湯器の故障、通常を超える手入れ不足による油汚れ
  • 大家負担:古くなった設備の交換(壊れていない場合)、冷蔵庫跡の壁の黒ずみ

少しでも多く敷金を返還してもらうための4つの方法

1. 大家と判例を根拠に交渉する

過去の判例(「消費者契約法」「借地借家法」に基づくもの)を示しながら交渉すると、大家が借主負担ではない部分の返還を認めることがあります。感情的にならず証拠と根拠を示した交渉が効果的です。

2. 原状回復の見積もり調査に立ち会う

退去時の見積もり調査に必ず立ち会い、自分の過失でない箇所について現場でその場で異議を唱えることが重要です。見積もりの概算を書面でもらうこともお勧めします。

3. 自分でリフォーム会社の見積もりを取る

大家側の業者は見積もりが高くなりがちです。あらかじめ別のリフォーム会社に見積もりを依頼しておくことで、費用の妥当性を検証できます。

4. 国民生活センター・不動産相談窓口に相談する

不当請求と判断した場合は公的機関に相談しましょう。国民生活センターや各都道府県の不動産相談窓口は中立的な立場でアドバイスを行います。なお敷金返還請求権の時効は退去後5年です。

よくある質問(FAQ)

Q. 退去後どのくらいで敷金は返還されますか?

A. 民法改正(2020年)以前は慣行として1ヶ月程度でしたが、法律上は遅滞なく返還する義務があります。退去後2〜4週間を超えても返還がない場合は大家または管理会社に確認しましょう。

Q. ハウスクリーニング費用は借主負担ですか?

A. 契約書に「退去時クリーニング費用は借主負担」と明記されている場合は借主負担になります。ただし入居中の通常使用による汚れ範囲を超えない場合は大家負担とされる判例も多くあります。

Q. 敷金ゼロの物件は退去時に何が変わりますか?

A. 敷金がないため、原状回復費用は退去時に別途請求されます。費用負担の範囲は通常の敷金あり物件と同じルールが適用されるため、入居前に物件の傷・汚れを写真で記録しておくことが重要です。

Q. 過去に泣き寝入りした敷金は今から取り戻せますか?

A. 退去後5年以内であれば敷金返還請求権の時効が成立していないため、法的手続きにより返還請求が可能です。少額訴訟(60万円以下)は自分で申し立てできます。

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

INA&Associates株式会社 代表取締役社長。首都圏・近畿圏を中心に不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントを統括。収益不動産投資戦略と超富裕層向け不動産コンサルティングを専門領域とする。

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

合格・取得資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
  • 甲種防火管理者
  • 競売不動産取扱主任者
  • マンション維持修繕技術者
  • 貸金業務取扱主任者