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使用貸借契約とは?賃貸借との違い・トラブル事例・契約書の書き方を解説

使用貸借契約の仕組み・賃貸借契約との違い・よくあるトラブル事例を解説。契約書の作成ポイントや法的リスクの回避方法も紹介します。

最終更新: 約3分で読めます

不動産に関わる契約形態のうち、使用貸借契約は親族間や友人間で多く見られる無償の貸借です。賃貸借契約とは法的な扱いが大きく異なるため、不動産のプロとして正確な知識を持つことが重要です。

使用貸借契約とはどのようなものか?

使用貸借契約とは、無償で物を借りる契約のことです。賃料を支払って借りる賃貸借とは異なり、友人から傘を借りる、親の車を使うといった日常的な行為も使用貸借に該当します。

比較項目使用貸借賃貸借
有償性無償有償(賃料あり)
借地借家法適用外適用
対抗要件なしあり
借主死亡時契約終了契約継続
契約書必須ではない通常必要

使用貸借と賃貸借の法的な違いとは?

最大の違いは借地借家法の適用有無です。使用貸借には対抗要件がなく、物件が第三者に譲渡された場合、借主は明け渡しを拒否できません。

退去請求の違い

賃貸借では正当事由なく貸主から解除できませんが、使用貸借では期間や目的を定めていない場合、貸主はいつでも契約を解除できます。

借主死亡時の扱い

使用貸借は借主の死亡で原則として契約が終了します(民法597条3項)。ただし、同居家族がいる場合は民法通りにならないケースもあります。

使用貸借契約が締結される主なケースとは?

実務上、以下のケースで多く見られます。

親の土地に子が家を建てるケース

土地の名義は親のまま、権利金や地代を払わずに借りる場合は使用貸借です。相続税・贈与税が発生しないメリットがありますが、子が地代を支払うと贈与税の対象になるため注意が必要です。

経営者と法人のケース

経営者名義の土地に法人の建物を建てる場合、同族法人では権利金が生じないことが多く、使用貸借に該当します。借地権認定課税が発生する可能性があります。

使用貸借契約のトラブル事例とは?

契約書なしの口約束が多いため、トラブルに発展しやすいのが特徴です。

20年以上無料で貸した土地の返還請求

借主が「時効が成立している」と主張するケースがあります。ただし、借りている自覚がある場合は取得時効は成立しないため、返還請求は可能です。

無料で借りた土地上の建物売却

土地の使用権と建物の使用権はセットのため、土地所有者の許可なく建物を第三者に売却することはできません

契約書を作成すべき理由と記載事項とは?

使用貸借契約書は必須ではありませんが、トラブル回避のために作成を強く推奨します。記載すべき主な項目は以下のとおりです。

  • 使用貸借の対象建物の情報(所在地・構造・床面積)
  • 使用目的
  • 使用期間
  • 譲渡・転貸の制限
  • 税金・公共料金の負担者
  • 契約解除の条件
  • 原状回復の範囲
  • 損害金に関する取り決め

2020年4月施行の改正民法により、使用貸借における原状回復義務が明文化されました。契約書でその範囲を明確にしておくことがより重要になっています。

よくある質問(FAQ)

使用貸借契約に印紙税はかかりますか?

使用貸借契約書は印紙税法上の課税文書に該当しないため、印紙税はかかりません。

使用貸借している不動産を売却する場合はどうすべきですか?

売却前に借家人と退去について話し合い、状況に応じて賃貸借への変更を提案するなどの交渉が必要です。新オーナーから契約不適合で解除を求められるリスクもあります。

親族間の使用貸借で特に注意すべきことは?

他の親族にも使用貸借の事実を伝え、了承を得ておくことが重要です。相続発生時のトラブルを防ぐために、契約書の作成と共有を推奨します。

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

INA&Associates株式会社 代表取締役社長。首都圏・近畿圏を中心に不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントを統括。収益不動産投資戦略と超富裕層向け不動産コンサルティングを専門領域とする。

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

合格・取得資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
  • 甲種防火管理者
  • 競売不動産取扱主任者
  • マンション維持修繕技術者
  • 貸金業務取扱主任者