2026年3月24日、東京都中央区京橋三丁目東地区の第一種市街地再開発事業において、権利変換計画の認可が公表されました。事業費約1,552億円、地上35階・高さ約180mの大規模複合ビルが2032年度に竣工する計画です。東京駅周辺エリアの都市機能をさらに高める本事業の全容を、不動産価値への影響も含めてお伝えします。
京橋三丁目東地区第一種市街地再開発事業とは?

本事業は、東京都中央区京橋三丁目に位置する約0.9ヘクタールの区域を対象とした第一種市街地再開発事業です。施行者は京橋三丁目東地区市街地再開発組合であり、事業協力者として東京建物が参加組合員を務めています。
都市計画決定は令和5年(2023年)1月に行われました。その後、令和6年(2024年)4月に組合設立の認可を受けています。そして2026年3月24日に権利変換計画の認可が公表され、事業はいよいよ本格的な実行段階へと進みました。
京橋エリアは、東京駅と銀座に挟まれた立地にあります。しかし、これまで周辺の八重洲や日本橋と比較すると、大規模再開発の動きはやや限定的でした。本事業は、そうした京橋エリアの都市機能を抜本的に刷新するプロジェクトとして位置づけられています。
事業の規模と主要施設はどのようなものですか?
建物概要
建物はS造(一部RC造およびSRC造)で、地下3階・地上35階建て、高さ約180mの超高層ビルとなります。延床面積は約166,800平方メートルに達し、敷地面積は約6,820平方メートルです。容積率は約1,990%が計画されており、都心部の高度利用を最大限に活かした設計です。
主要用途
本ビルにはオフィス、国際水準ホテル、店舗、住宅、地域貢献施設、駐車場が入居する予定です。特に注目すべきは、国際水準ホテルの誘致です。東京駅周辺エリアにおけるインバウンド需要の受け皿として、ホスピタリティ機能の強化が図られます。
オフィスフロアは、グローバル企業の本社機能や地域統括拠点としての利用が想定されます。住宅についても、都心居住の需要に応える高品質な住戸が計画されています。
事業費とスケジュール
事業費は約1,552億円です。これは東京都中央区における近年の市街地再開発事業のなかでも最大規模のひとつであり、東京建物が参加組合員として加わる体制が、資金調達・事業推進の安定性を裏付けています。2026年12月に着工し、2030年度にはオフィス・店舗等が先行して一部供用を開始します。ホテル等を含む全体の竣工は2032年度を予定しています。
約6年にわたる長期プロジェクトとなりますが、段階的な供用開始により、早期から地域への経済波及効果が見込まれます。
3つの特徴的な取り組みとは?
広域的な回遊性の強化
本事業の大きな特徴は、地下歩行者通路と地下駅前広場の整備です。これにより、東京駅から京橋駅に至る地下歩行者ネットワークが拡充されます。天候に左右されず、快適に移動できる動線が生まれます。
さらに注目すべきは、KK線(東京高速道路)上部空間との接続です。KK線の上部空間は「Tokyo Sky Corridor」として歩行者空間に転換される計画が進んでいます。本事業ではその接続空間を整備し、地上レベルでも回遊性の向上を実現します。地下と地上の両方で、東京駅周辺エリアの歩行者ネットワークが大きく強化されることになります。
にぎわいの創出
文化的な取り組みとして、アート・ものづくり文化施設の設置が計画されています。若手アーティストの作品発信や、育成・交流機能を備えた施設です。京橋はもともとギャラリーが集積するエリアとして知られており、その文化的特性をさらに発展させる狙いがあります。
また、国際水準ホテルの整備は、ビジネス利用だけでなく観光・文化面でのにぎわいにも寄与します。周辺の東京都心再開発プロジェクトと合わせて、エリア全体の魅力が高まることが期待されます。
防災対応力と環境負荷低減
本事業では、帰宅困難者一時滞在施設と防災備蓄倉庫が整備されます。首都直下地震への備えとして、地域の防災拠点としての機能を担います。
エネルギー面では、コージェネレーションシステムと非常用発電機が導入されます。平常時のエネルギー効率向上と、災害時の電力供給の両立を図る設計です。持続可能な都市づくりという観点からも、重要な取り組みといえます。
京橋エリアの不動産価値にどのような影響がありますか?
東京駅周辺では、複数の大規模再開発が同時進行しています。八重洲エリアでは東京ミッドタウン八重洲がすでに開業し、日本橋エリアでも再開発計画が進んでいます。三菱地所のTOKYO TORCHプロジェクトも段階的に整備が進んでいます。京橋三丁目東地区の再開発は、これらのプロジェクトと相乗効果を生み出すことが見込まれます。
私たちは、この一帯の再開発が個別のプロジェクトにとどまらず、エリア全体の不動産価値を底上げする構造的な変化をもたらすと考えています。特に以下の点は、不動産オーナーや投資家にとって注視すべきポイントです。
オフィス需要の変化については、約166,800平方メートルの延床面積を持つ大規模ビルの誕生により、周辺のオフィス市場に影響が及びます。新築ビルへのテナント移転が進む一方で、既存ビルには空室リスクが生じる可能性があります。だからこそ、既存物件のバリューアップ戦略が重要になります。
住宅市場への波及も見逃せません。都心部の利便性がさらに高まることで、京橋・八丁堀・築地といった周辺エリアの住宅需要にも好影響が期待されます。地下歩行者ネットワークの拡充は、住環境としての評価を高める要素です。
ホテル誘致による商業活性化は、周辺の店舗・飲食テナントの集客力にもつながります。インバウンド需要の取り込みは、賃貸物件の賃料水準にも影響を与える可能性があります。外国人富裕層による日本の高級不動産投資が加速するなか、国際水準ホテルの存在はエリアの国際的な認知度向上にもつながります。
地下歩行者ネットワークの資産価値への寄与も重要な視点です。東京駅から京橋駅、さらにはTokyo Sky Corridorへと続く歩行者動線の整備は、徒歩圏の概念を拡張します。これまで「駅から遠い」と評価されていた物件が、地下通路の整備によって実質的なアクセス性を大きく改善する可能性があります。
長期的な視野で見れば、東京再開発エリアの主要プロジェクトが集中するこのエリアは、国際都市としての東京の競争力を左右する重要拠点です。短期的な価格変動に一喜一憂するのではなく、5年後・10年後のエリアの姿を見据えた投資判断が求められます。私たちは、信頼できるデータと透明な情報提供に基づいて、オーナーの皆さまの意思決定をサポートしていきたいと考えています。
まとめ
京橋三丁目東地区第一種市街地再開発事業の要点を整理します。
- 事業費約1,552億円、地下3階・地上35階・高さ約180m、延床面積約166,800平方メートルの大規模複合開発
- 主要用途はオフィス、国際水準ホテル、店舗、住宅、地域貢献施設で構成
- 2026年12月着工、2030年度にオフィス等が一部供用開始、2032年度に全体竣工
- 地下歩行者通路やTokyo Sky Corridorとの接続による広域回遊性の強化
- アート・ものづくり文化施設や帰宅困難者一時滞在施設など、文化と防災の両立
- 八重洲・日本橋・TOKYO TORCHなど周辺再開発との相乗効果で、エリア全体の不動産価値向上が期待される
よくある質問(FAQ)
Q1. 京橋三丁目東地区再開発事業の竣工はいつですか?
A. 全体の竣工は2032年度を予定しています。ただし、オフィス・店舗等は2030年度に一部供用が開始される計画です。着工は2026年12月の予定です。
Q2. 事業費と事業協力者はどのような体制ですか?
A. 事業費は約1,552億円です。施行者は京橋三丁目東地区市街地再開発組合で、事業協力者として東京建物が参加組合員を務めています。2026年3月24日に権利変換計画の認可が公表されました。
Q3. どのような施設が入る予定ですか?
A. オフィス、国際水準ホテル、店舗、住宅、地域貢献施設、駐車場が計画されています。加えて、アート・ものづくり文化施設や帰宅困難者一時滞在施設など、文化・防災面の機能も備える複合ビルとなります。
Q4. 周辺の不動産価値にどのような影響がありますか?
A. 東京駅周辺の八重洲・日本橋・TOKYO TORCHなどの再開発と相乗効果が見込まれます。地下歩行者ネットワークの拡充やホテル誘致による商業活性化など、エリア全体の利便性と魅力が向上することで、周辺の不動産価値にもプラスの影響が期待されます。
引用・参考資料
- 東京都「京橋三丁目東地区第一種市街地再開発事業 都市計画決定」(2023年1月)
- 東京都「京橋三丁目東地区市街地再開発組合 設立認可」(2024年4月)
- 東京都「京橋三丁目東地区第一種市街地再開発事業 権利変換計画認可」(2026年3月)