Skip to content
Real Estate Intelligence
INA NETWORK

飯田橋駅中央地区再開発|150mビル・駅前プラザで変わる千代田区

飯田橋駅中央地区第一種市街地再開発事業の全容を解説。高さ150mオフィス棟・住宅210戸・立体的な駅前プラザで防災拠点と回遊性を両立する千代田区の大規模複合開発。2024年都市計画決定済み。

最終更新: 約11分で読めます

飯田橋駅中央地区第一種市街地再開発事業は、2024年3月に都市計画決定された千代田区の注目プロジェクトです。高さ約150mのオフィス棟と約100mの住宅棟(210戸)からなる総延床約10万m2の複合開発で、JRと東京メトロを立体的につなぐ「駅前プラザ」の整備が最大の特徴となっています。同駅周辺では東地区・西口地区と合わせて3地区の再開発が連携して進行しており、飯田橋エリア全体の都市構造が大きく塗り替わろうとしています。

飯田橋駅中央地区再開発の事業概要

飯田橋駅中央地区第一種市街地再開発事業の施行区域は、千代田区飯田橋四丁目8番・9番および富士見二丁目6番・5番の一部に広がる約1.1haです。施行者は飯田橋駅中央地区市街地再開発組合(設立認可手続き中)で、事業協力者として野村不動産と大成建設が参画しています。コンサルタントには山下設計、都市設計連合、上野計画事務所が名を連ねています。

都市計画決定は2024年3月に行われ、再開発等促進区の指定を受けています。事業の歴史は2015年(平成27年)に遡り、再開発準備組合の設立と同時に野村不動産が事業協力者として参画しました。その後、2021年に「飯田橋駅東口新整備構想」、2023年に「飯田橋駅周辺基盤整備方針」が策定されるなど、行政と民間が連携しながら計画が具体化してきました。

なお、事業費は現時点で未定です。一部に当初計画の着工・竣工時期が流通していますが、都市計画決定が当初より遅れて2024年3月となったため、現在は着工・竣工ともに時期未定の段階です。再開発組合の設立認可取得が直近の注目ポイントとなっています。

A街区・B街区の施設計画 — 高さ150mオフィス棟と100m住宅棟の2棟構成

本事業はA街区(C-1地区)とB街区(C-2地区)の2街区構成で計画されています。規模感と用途の違いを整理しておくことが重要です。

A街区は延床面積約74,450m2、高さ約150mのオフィス主体棟です。容積率1,500%という高密度な土地利用が予定されており、主要用途は事務所・店舗・文化交流施設・駐車場等となっています。飯田橋エリアにおける業務集積の核となる施設です。むしろ、単なるオフィスビルにとどまらず「文化交流施設」が明示的に計画されている点に、都市の賑わい創出への意図が読み取れます。

B街区は延床面積約25,530m2、高さ約100m、容積率600%で、住宅約210戸・保育施設・店舗・駐輪場・駐車場等が計画されています。2棟合計の延床面積は約99,980m2で、ほぼ10万m2に達する大規模な複合開発です。事業協力者に野村不動産が名を連ねていることから、住宅部分は同社の分譲ブランドが担う可能性が高いと見られますが、現時点で分譲・賃貸の区分は未公表です。

飯田橋駅中央地区第一種市街地再開発事業 完成予想パース
飯田橋駅中央地区再開発の完成予想パース(出典:東京都都市整備局「飯田橋駅中央地区第一種市街地再開発事業」

駅前プラザと歩行者ネットワーク — JR・東京メトロを立体接続

中央地区再開発の最大の特徴は、JR飯田橋駅と東京メトロ東西線飯田橋駅を地上・地下で立体的に連絡する「駅前プラザ」の整備です。現状の飯田橋駅東口周辺は、歩車動線が交錯し滞留空間が不足しているという課題を抱えています。だからこそ、この再開発において歩行者ネットワークの抜本的な再編が最優先の公共目的として位置づけられているのです。

駅前プラザは南・東・北側の広場整備と組み合わせることで、エリア全体の回遊性を高める設計となっています。地上と地下を縦断する動線が確保されることで、雨天時でも快適に移動できる環境が生まれます。また、子どもの利用に配慮した緑の憩いの場の整備も計画されており、単なる交通結節点を超えた「溜まれる駅前空間」の創出が目指されています。

このような駅前広場の整備は、周辺の飲食・商業施設の集客力にも直結します。飯田橋駅周辺は従来から多くのオフィスワーカーが行き交うエリアです。回遊性の向上によってランチや夕方の滞在時間が伸びることが期待されます。

防災拠点整備と外濠の景観調和

防災面でも本事業は重要な役割を担います。帰宅困難者のための一時滞在施設および一時滞留スペースを整備し、大規模災害時の受け皿機能を果たします。小石川後楽園・外堀公園・北の丸公園といった周辺の防災拠点への安全な避難動線を確保することも、事業目的の一つに明記されています。

現在の施行区域には小規模老朽建物が密集しており、防災上の課題が指摘されています。しかし再開発によってこれらが解消されれば、千代田区の防災対応力は大きく向上します。このエリアは皇居・外堀に近接する都心の要衝であり、帰宅困難者対策の充実は都市全体の安全性に直結する問題です。

景観面では、外濠をはじめとするみどりと調和した景観形成が求められています。飯田橋周辺は都内でも緑と水辺が豊かなエリアであり、高層ビルの建設が景観を損ねないよう、緑豊かな歩行者空間の整備が計画に組み込まれています。千代田区と東京都が共同で推進してきた外濠の景観保全の方向性とも合致した設計思想が貫かれています。

飯田橋駅周辺3地区再開発との連携

飯田橋駅周辺では中央地区のほかにも2つの再開発事業が進行中です。飯田橋駅東地区再開発の実像と展望でも詳しく解説しているとおり、東地区(施行者:飯田橋駅東地区市街地再開発組合、事業協力者:清水建設・大和ハウス・東京メトロ)は2026年度の竣工が見込まれています。さらに西口エリアの富士見二丁目3番地区では2029年の竣工が予定されています。

3地区はいずれも「飯田橋駅周辺基盤整備方針」(2023年4月策定)のもとで統一的な歩行者ネットワーク構想を共有しています。それぞれの施行者・事業協力者は異なるものの、公共施設計画では千代田区特別区道の整備が横断的に計画されており、3地区が完成した暁には飯田橋駅周辺全体がシームレスにつながる構造になります。

中央地区の特徴は、東地区(2026年度竣工見込み)や西口地区(2029年予定)と比較して現在最も進捗段階が早い点です。都市計画決定(2024年3月)は済んでいますが、再開発組合の設立認可はまだ取得されていません。したがって、飯田橋エリアの3地区連携再開発における「最終ピース」の役割を担う可能性があります。

今後のスケジュールと不動産市場への影響

現在の進捗状況を整理すると、都市計画決定(2024年3月)は完了しており、次のステップは再開発組合の設立認可取得です。その後、事業計画の策定、権利変換計画の作成・認可、そして着工・竣工へと進む見通しです。いずれのステップも時期は未定であり、組合設立認可のタイミングが全体スケジュールを大きく左右します。

不動産市場への影響という観点では、周辺の東京再開発エリア主要プロジェクト調査レポートが示すとおり、大型再開発が決定・進行しているエリアでは先行して地価・賃料水準が上昇する傾向があります。飯田橋エリアも同様に、3地区連携という確かな公共インフラ整備の後ろ盾を持つだけに、中長期的な不動産価値の上昇を見込む投資家・事業者の関心を集めています。

オーナーが取るべきアクションとしては、まず組合設立認可の進捗を注視することが挙げられます。認可取得後は事業化に向けた動きが加速するため、近隣物件の賃料動向・売買事例の変化をより細かくモニタリングする必要があります。また、A街区のオフィス需要動向によっては周辺の既存オフィスビルの空室率・賃料にも影響が及ぶため、出口戦略の見直しを早めに検討しておくことが重要です。

INAの見解

飯田橋駅中央地区再開発が際立っているのは、単なる大型複合ビルの建設ではなく、「駅前プラザ」という公共空間の整備を核に据えた都市設計にあると私は考えています。東京では多くの再開発事業が進行していますが、交通結節機能・防災機能・景観形成を統合した設計思想を持つ事業は決して多くありません。

しかし一方で、事業費未定・竣工時期未定という現実も直視する必要があります。不動産投資の観点から見れば、現時点はまだ計画リスクが高い段階です。組合設立認可の取得が近づいた段階で、改めて近隣物件の市場評価に変化が生じるはずです。だからこそ、今は過度な期待で価格判断を誤ることなく、進捗を冷静に追い続ける姿勢が求められます。

飯田橋エリアの強みは、3地区連携という複合的な都市更新が公式な方針のもとで進んでいる点にあります。東地区の竣工(2026年度)を起点として、エリア全体の賑わいが段階的に高まっていく過程を丁寧に観察することが、中長期投資の精度を上げる上で最も有効なアプローチです。

まとめ

飯田橋駅中央地区第一種市街地再開発事業は、高さ150mのオフィス棟・100mの住宅棟(210戸)・立体的な駅前プラザを三位一体で整備する千代田区の大規模複合開発です。2024年3月の都市計画決定により事業化の方向性は確定しましたが、再開発組合の設立認可取得・着工・竣工の時期はいずれも現時点で未定です。

東地区・西口地区と合わせた飯田橋駅周辺3地区連携再開発の全体像が明確になる中、中央地区は「防災×回遊性×景観」を統合した設計思想において飯田橋エリアの質的変化を象徴する事業と言えます。今後の組合設立認可取得の動向を注視しながら、エリアの不動産市場の変化を冷静に見極めていくことが重要です。


よくある質問(FAQ)

Q1. 飯田橋駅中央地区再開発はいつ完成しますか?

A. 2024年3月に都市計画決定が行われた段階であり、現時点で再開発組合の設立認可も取得されていません。竣工時期は未定です。東地区(2026年度竣工見込み)・西口地区(2029年予定)に続く形で事業が進む見通しですが、具体的なスケジュールについては組合設立認可後に改めて明らかになると考えられます。

Q2. 飯田橋駅中央地区再開発の住宅は分譲ですか?賃貸ですか?

A. B街区に約210戸の住宅が計画されていますが、分譲・賃貸の区分は現時点で未公表です。事業協力者として野村不動産が参画していることから、分譲住宅として供給される可能性が高いと見られますが、正式な発表を待つ必要があります。

Q3. 飯田橋駅中央地区と東地区の再開発の違いは何ですか?

A. 東地区は清水建設・大和ハウス・東京メトロが事業協力者で2026年度竣工見込みです。これに対して中央地区は野村不動産・大成建設が事業協力者で、JRと東京メトロを立体的につなぐ「駅前プラザ」の整備が最大の特徴です。施行区域・施行者・施設計画はすべて別事業であり、3地区連携の中で異なる役割を担っています。

Q4. 飯田橋駅前はこの再開発でどう変わりますか?

A. JR飯田橋駅と東京メトロ東西線を地上・地下で立体接続する「駅前プラザ」が整備され、現在の歩車動線の交錯と滞留空間の不足が解消されます。帰宅困難者のための一時滞在施設も整備され、防災拠点としての機能が大幅に強化されます。さらに外濠と調和した緑豊かな歩行者空間が形成されることで、飯田橋駅前の景観と利便性が一体的に向上します。



参考・引用

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

INA&Associates株式会社 代表取締役社長。首都圏・近畿圏を中心に不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントを統括。収益不動産投資戦略と超富裕層向け不動産コンサルティングを専門領域とする。

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

合格・取得資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
  • 甲種防火管理者
  • 競売不動産取扱主任者
  • マンション維持修繕技術者
  • 貸金業務取扱主任者