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既存住宅販売量指数とは?2025年11月の動向と示唆を解説

国土交通省が試験運用する既存住宅販売量指数の2025年11月データを解説。全国合計▲9.1%の背景と年間トレンド、都市圏別の動向から不動産オーナーへの示唆まで分析します。

最終更新: 約9分で読めます

国土交通省が令和8年2月27日に発表した「既存住宅販売量指数(試験運用)」の2025年11月分データでは、全国合計が125.8と前月比▲9.1%を記録しました。戸建住宅・マンションともに全カテゴリで前月比マイナスとなったこの結果を、どのように読み解くべきでしょうか。単月の変動ではなく、中長期のトレンドとあわせて冷静に分析していきます。

既存住宅販売量指数とは?国土交通省が公表する中古住宅市場の指標

既存住宅販売量指数は、個人が取得した既存住宅の移転登記量をもとに算出される指標です。国土交通省が試験運用として公表しており、登記データをもとに個人による中古住宅取引の動向を把握することを目的として運用されています。

基準値は平成22年(2010年)の年間平均を100とした水準で、季節調整値を使用します。指数の対象は個人による既存住宅(中古住宅)の取得であるため、法人取引量指数とは異なる市場の断面を映し出します。

この指数が注目される理由は、中古住宅流通の活発さを定量的に把握できる点にあります。新築偏重とも言われてきた日本の住宅市場において、既存住宅の流通量は市場の成熟度や投資環境の健全性を測るうえで重要な指標です。

なお、現在は試験運用段階のため、今後集計方法や公表内容が変更される可能性があります。この点は念頭に置いておくことが必要です。

2025年11月の全国動向|全カテゴリで前月比マイナス

2025年11月の既存住宅販売量指数は、戸建・マンションを問わずすべてのカテゴリで前月比マイナスとなりました。主要データは以下のとおりです。

合計:前月比▲9.1%の125.8

全国合計の季節調整値は125.8で、10月の138.4から▲9.1%の下落を記録しました。10月が前月比+5.4%と高い伸びを見せていたことを踏まえれば、その反動が11月に出た側面があります。ただし、125.8という水準は2010年比で約25%高い位置にあり、中長期的な上昇基調の中の一時的な調整と捉えるのが妥当でしょう。

戸建住宅:▲10.1%の120.2

戸建住宅は120.2(前月比▲10.1%)でした。マンションと比べて下落幅がやや大きく出ており、戸建への需要が一時的に手控えられた可能性があります。ただし、指数が120台を維持している点では、2010年比で20%超の水準が継続していることになります。

マンション:▲5.5%の133.2

マンション(区分所有)は133.2(前月比▲5.5%)で、戸建住宅に比べて下落幅が限定的でした。30㎡未満を除いたマンション指数は106.9(▲7.5%)となっています。マンションの方が流動性の高さから一定の取引が継続しやすく、下落幅が抑えられたと考えられます。

都市圏別の動向|東京都は依然高水準を維持

都市圏別に見ると、地域間で明確な差が生じています。

南関東圏:▲5.1%で底堅い推移

南関東圏の合計は131.5(前月比▲5.1%)と、全国平均を大きく下回る下落幅にとどまりました。中でも東京都は147.9(▲4.8%)と、三大都市圏の都府県の中で最も高い指数水準を維持しています。東京の不動産市場は引き続き底堅い需要に支えられており、個人の中古住宅取得においても東京の優位性が際立っています。

名古屋圏:▲18.2%の大幅減

名古屋圏は111.1(前月比▲18.2%)と、三大都市圏の中で最も大きな下落を記録しました。愛知県単体でも108.3(▲19.5%)と同様の傾向で、全国平均を大幅に上回る落ち込みです。名古屋圏は比較的月次の振れ幅が大きい傾向があり、10月の高水準からの反動が出た形です。指数水準が100を超えていることは、依然として2010年比でプラスの取引量を保っていることを意味します。

京阪神圏:▲8.2%で全国並み

京阪神圏は120.3(前月比▲8.2%)と、全国平均に近い水準での推移となっています。大阪府は119.6(▲9.4%)とほぼ同水準です。大阪・関西万博の開催による人の流れや再開発の進展が、引き続き個人の中古住宅取得を下支えしていると考えられます。

年間トレンドで見る既存住宅販売量の推移

単月の変動に惑わされないためには、年間トレンドの把握が欠かせません。2019年以降の推移を振り返ると、既存住宅販売量は中長期的に増加基調にあることが確認できます。

合計指数 前年比
2019 110.7
2020 107.2 ▲3.2%(コロナ影響)
2021 111.5 +4.0%
2022 112.1 +0.5%
2023 116.9 +4.3%
2024 125.0 +6.9%

2020年はコロナ禍で▲3.2%と落ち込んだものの、翌2021年には+4.0%で回復しています。その後も緩やかに上昇を続け、2024年は125.0と過去最高水準に達しました。

2025年の月次推移を見ると、1月の132.0をピークに多少の上下動はあるものの、概ね120〜132の範囲で推移しています。投資用不動産市場全体の活況とも軌を一にしており、既存住宅への需要が構造的に高まりつつあることが確認できます。

指数 前月比
1月 132.0 +4.2%
2月 126.5 ▲4.2%
3月 125.8 ▲0.5%
4月 130.3 +3.6%
5月 128.5 ▲1.4%
6月 130.0 +1.2%
7月 128.2 ▲1.4%
8月 126.5 ▲1.3%
9月 131.3 +3.8%
10月 138.4 +5.4%
11月 125.8 ▲9.1%

10月の138.4は年間最高値であり、その後の11月125.8は反動として説明できる範囲内です。1月〜11月の平均値は約128.5で、2024年の年間値125.0を上回って推移しています。

既存住宅市場の動向がオーナーに意味すること

中古住宅の流通活性化は売却機会の拡大

既存住宅販売量指数の継続的な上昇は、中古住宅市場に買い手が増加していることを意味します。2010年比で25%超の流通量増加は、「中古でも良い」という購買意識の変化が定着してきた証拠でもあります。

所有不動産の売却を検討しているオーナーにとって、買い手候補が相対的に多い現在の環境は好機です。売却タイミングの見極めにおいても、既存住宅販売量指数が高水準にある時期は、流動性が高く適正価格での売却がしやすい状態と言えます。

一方で、需要の総量を把握するだけでなく、エリアごとの温度差にも注意が必要です。東京都の147.9に対して名古屋圏の111.1と、指数の差は大きく、エリアによって市場の過熱度は異なります。

賃貸経営への示唆

既存住宅の流通が活発になると、購入に切り替える層が増え、賃貸需要が一時的に下がる可能性があります。とはいえ、既存住宅販売量指数が高水準を維持しつつも、購入に踏み切れない層は依然として賃貸市場にとどまっています。

賃貸オーナーにとって注目すべきは、購入需要が旺盛なエリアほど「購入競争から外れた層」の受け皿として賃貸の安定性が高まるという点です。東京都や南関東圏のように購入需要が高いエリアでは、賃貸需要も引き続き底堅く推移しやすいと言えます。

私の考え — 既存住宅市場の成長を長期視点で捉える

2025年11月の既存住宅販売量指数は、全カテゴリで前月比マイナスという結果でした。数字だけ追えば「市場が冷え込んでいる」という印象を持ちやすいかもしれません。しかし、年間トレンドを俯瞰すれば、2010年比で約25%高い水準を維持しており、中古住宅流通の底上げは着実に進んでいます。

日本の既存住宅流通は、欧米諸国と比較してまだ成長余地が大きい分野です。国土交通省がこの指数を試験運用として公表しているのも、中古住宅市場の重要性が政策的にも認識されてきたことの表れだと考えています。

私が不動産市場を見るうえで大切にしているのは、単月のデータを点ではなく線として読む習慣です。11月の▲9.1%という数字は、10月の高水準からの調整として文脈の中で読めば、過度に悲観する必要がない変動です。むしろ、2025年の1月〜11月の平均が2024年の年間値を上回って推移していることに注目すべきでしょう。

不動産経営において誤りやすいのは、目先の変動に引っ張られ、長期の方向性を見失うことです。既存住宅市場が構造的に拡大している流れを正確に把握したうえで、売却・購入・保有継続の判断を下すことが、中長期的なパフォーマンスの向上につながります。INA&Associatesでは引き続き、公的データの丁寧な分析を通じてオーナーの皆さまの意思決定をサポートしてまいります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 既存住宅販売量指数と不動産価格指数はどう違いますか?

既存住宅販売量指数は「取引量(件数)」の動向を指数化したものです。一方、不動産価格指数は「取引価格」の変動を把握するための指標です。両者を組み合わせて見ることで、「取引件数が増えているが価格は安定しているのか」「価格上昇の中で件数はどう動いているか」という立体的な分析が可能になります。

Q2. 前月比▲9.1%は大きな下落ですか?

月次の既存住宅販売量指数は、季節要因や年末年始・連休などの影響を受けやすく、月々の振れ幅は比較的大きい傾向があります。10月が前月比+5.4%と高い伸びを示していたことを踏まえれば、11月のマイナスはその反動として説明できます。年間平均値が2024年を上回って推移していることの方が、中長期のトレンド判断としては重要です。

Q3. 既存住宅販売量指数はどこで確認できますか?

国土交通省のウェブサイトに掲載されています。試験運用段階のため、今後公表方法や集計方法が変更される可能性があります。定期的に国土交通省の「既存住宅販売量指数」掲載ページを確認することをお勧めします。

Q4. 東京都の指数が他地域より高い理由は何ですか?

東京都は国内最大の人口集積地であり、住宅需要・投資需要の両面で旺盛な取引が続いています。中古住宅に対する抵抗感が薄まり、価格水準が高い中でも適正価格帯での流通が活発であることが背景にあります。また、東京の中古マンション市場は流動性が高く、買い手・売り手ともに選択肢が豊富なことも指数を押し上げる要因です。

引用・参考資料

国土交通省「既存住宅販売量指数(試験運用)令和7年(2025年)11月分」(令和8年2月27日発表)

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

INA&Associates株式会社 代表取締役社長。首都圏・近畿圏を中心に不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントを統括。収益不動産投資戦略と超富裕層向け不動産コンサルティングを専門領域とする。

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

合格・取得資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
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