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虎ノ門二丁目地区再開発とは?病院・業務棟の計画概要を解説

虎ノ門二丁目地区第一種市街地再開発事業の病院棟・業務棟、公共施設整備、不動産市場への影響を公式資料ベースで解説します。

最終更新: 約10分で読めます

虎ノ門二丁目地区第一種市街地再開発事業は、虎ノ門二丁目と赤坂一丁目にまたがる約2.9haで、病院・業務・店舗・駐車場を一体整備した都市更新です。住宅戸数はありませんが、医療、国際業務、防災、歩行者動線を組み合わせることで、虎ノ門エリアの働き方と滞在価値を底上げする計画だと見ています。

この記事のポイント

  • 虎ノ門二丁目地区再開発は、住宅供給ではなく医療・業務・防災機能を強める再開発です。
  • 病院棟は2019年4月、業務棟は2025年2月に工事完了しており、竣工済みの事業として見る必要があります。
  • 公共施設整備では特別区道の再整備と横断デッキが重要で、歩行者回遊性に影響します。
  • 不動産オーナーは、賃料上昇だけでなく募集導線、テナント属性、管理品質の変化を確認すべきです。
虎ノ門二丁目地区第一種市街地再開発事業 完成図
虎ノ門二丁目地区第一種市街地再開発事業の完成図(出典:港区

完成図を見ると、この事業が単なるオフィスビルの建替えではないことが分かります。虎ノ門の業務集積に、病院機能と都市防災の受け皿を重ねた点が本質です。

虎ノ門二丁目地区第一種市街地再開発事業とは?

虎ノ門二丁目地区第一種市街地再開発事業とは、東京都港区虎ノ門二丁目及び赤坂一丁目地内で進められた市街地再開発です。港区の公表資料では、代表施行者を独立行政法人都市再生機構、共同施行者を国家公務員共済組合連合会としています。

対象区域は約2.9haです。主要用途は病院、事務所、店舗、駐車場で、住宅戸数は「なし」と明記されています。ここが、近年の駅前タワーマンション型再開発と大きく違う点です。

虎ノ門は、虎ノ門ヒルズ、虎ノゲート、霞が関、赤坂一丁目、溜池山王に近い業務集積地です。虎ノ門・虎ノゲート再開発2027でも整理した通り、この周辺ではオフィス、ホテル、商業、国際ビジネス機能が連続的に更新されています。

しかし、虎ノ門二丁目地区の特徴は華やかな商業性だけではありません。病院棟と業務棟を分けながら、医療、国際医療、防災対応、業務支援を組み合わせた点にあります。賃貸オーナーにとっては、居住者数の増加よりも「働く人と来街者の質」が変わる計画として捉える方が実務的です。

計画概要: 病院棟と業務棟は何が違うのか?

虎ノ門二丁目地区再開発の計画は、病院棟と業務棟を分けて見ると理解しやすくなります。病院棟は医療・災害対応の核、業務棟はオフィス・店舗・業務支援の核です。

項目内容
事業名称虎ノ門二丁目地区第一種市街地再開発事業
所在地東京都港区虎ノ門二丁目及び赤坂一丁目地内
施行者独立行政法人都市再生機構、国家公務員共済組合連合会
区域面積約2.9ha
事業費約1,507億円
主要用途病院、事務所、店舗、駐車場
延べ面積約266,100平方メートル
業務棟地上38階、地下2階、約180m
病院棟地上19階、地下3階、約99m
住宅戸数なし
駐車場542台

港区資料では、2014年7月に施行認可、2015年2月に権利変換計画認可、2016年6月に病院棟建築工事着工とされています。病院棟は2019年4月に工事完了し、業務棟は2020年9月着工、2025年2月に工事完了しています。

つまり、この記事で扱う虎ノ門二丁目地区第一種市街地再開発事業は、これから竣工する予定案件ではありません。すでに大きな建物整備は完了しており、今後は完成後のエリア価値、テナント構成、人流変化を検証する段階です。

現場で募集条件を見るときも、竣工前の期待値と竣工後の実需は分ける必要があります。期待先行の段階では「将来性」が訴求になりますが、完成後は駅からの歩きやすさ、周辺店舗、昼夜の人流、管理状態が入居判断に直結します。

公共施設・都市基盤整備で何が変わったのか?

この再開発の見落としやすい価値は、建物の大きさよりも都市基盤整備にあります。東京都都市整備局の資料では、特別区道の整備と横断デッキが示されており、虎ノ門二丁目の歩行者動線を変える要素になります。

区分公式資料で確認できる内容
道路特別区道第1014号線、第1032号線、第1009号線を整備
横断デッキ特別区道第1032号線横断デッキを整備
医療機能病院棟に病院、国際医療施設を配置
業務機能業務棟に事務所、店舗、業務・生活支援施設を配置
防災機能病院棟・業務棟に災害時治療・収容施設を配置
緑道・広場東京都資料では緑道や広場を備えた複合市街地整備と説明
駅前広場・駐輪場公表資料で確認できる範囲では詳細未公表
虎ノ門二丁目地区第一種市街地再開発事業 外観イメージ
虎ノ門二丁目地区第一種市街地再開発事業の外観イメージ(出典:東京都都市整備局

外観イメージから読み取れるのは、低層部と歩行者空間の関係です。高層部の規模だけに目を奪われると、実際の不動産価値を左右する「地上レベルの使いやすさ」を見落とします。

不動産オーナーにとって、道路やデッキの整備は内見導線に影響します。駅から物件までの体感距離、歩道の安全性、昼夜の見通し、雨天時の移動しやすさは、同じ徒歩分数でも印象を変えます。

私たちが都心部の募集現場で見る限り、入居希望者は地図上の距離だけで判断していません。たとえば虎ノ門や赤坂一丁目のような業務地では、ランチ動線、駅出口、医療施設、カフェ、コンビニの位置関係が、日々の快適性として評価されます。

虎ノ門・赤坂一丁目エリアへの波及は?

虎ノ門二丁目地区再開発の波及は、周辺の港区再開発と合わせて見る必要があります。単独の建物ではなく、虎ノ門ヒルズ、虎ノゲート、霞が関、赤坂一丁目をつなぐ都市更新の一部だからです。

虎ノ門二丁目地区第一種市街地再開発事業 位置図
虎ノ門二丁目地区第一種市街地再開発事業の位置図(出典:東京都都市整備局

位置図で見ると、虎ノ門二丁目は行政、医療、業務、ホテル、商業が重なる場所にあります。都心の再開発では、建物の床面積そのものより、周辺機能との接続が価値を左右します。

東京再開発エリア主要プロジェクト調査レポートでも触れている通り、再開発は新築ビルの供給だけでなく、エリアの用途構成を変えます。虎ノ門二丁目の場合は、住宅供給による人口増ではなく、医療・業務・来街者の集積がポイントです。

賃貸住宅への影響も、単純な家賃上昇ではありません。むしろ、近隣で働く専門職、外資系企業関係者、医療関係者、短時間通勤を重視する層に対して、募集文の説得力が増す可能性があります。

一方で、港区内の競争は厳しくなります。泉岳寺駅地区第二種市街地再開発六本木五丁目西地区ツインタワー再開発のように、周辺でも大規模な都市更新が続くためです。

だからこそ、虎ノ門二丁目だけを見て「港区なら強い」と考えるのは危険です。物件ごとの強み、管理品質、入居者対応、人財の提案力まで含めて、競争力を作る必要があります。

不動産オーナーが見るべき実務ポイントは?

不動産オーナーが見るべきポイントは、再開発による期待値ではなく、完成後に変わった行動パターンです。人流、テナント属性、内見導線、周辺賃料、既存物件の見え方を分けて確認してください。

第一に、募集条件は「虎ノ門徒歩圏」だけでは足りません。虎ノ門二丁目地区第一種市街地再開発事業の近接性を訴求するなら、勤務先、医療機関、飲食、駅出口、バス動線まで具体的に説明する必要があります。

第二に、写真と内見導線を更新することです。再開発後の街区や歩行者動線が整った場合、古い写真のままではエリアの印象を伝えきれません。募集図面やポータル掲載写真は、完成後の街の見え方に合わせて見直すべきです。

第三に、設備投資は派手な改修よりも、入居者体験に効く部分を優先します。エントランス照明、共用部清掃、宅配ボックス、インターネット、セキュリティ、掲示物の整理は、都心部では思った以上に差が出ます。

ある港区内の築古物件では、外観より先に共用部照明とメールボックスを整えただけで、内見時の印象が明らかに変わりました。再開発地の近くでは、建物単体の古さより「管理されている安心感」が比較対象になります。

管理会社の見直しや募集戦略の再設計を考える場合は、完成した再開発の地図を眺めるだけで終わらせないことが大切です。実際に駅から歩き、昼と夜の人流を見て、入居者が何を便利と感じるかを確認してください。

INAの見解

虎ノ門二丁目地区第一種市街地再開発事業は、住宅を増やす再開発ではありません。しかし、だから価値が小さいという話ではなく、医療・業務・防災機能を強めることで、周辺不動産の評価軸を変える計画です。

私は、都心の不動産価値は建物スペックだけで決まらないと考えています。駅、道路、医療、職場、店舗、防災、そして日々の管理品質が重なって、入居者の納得感が生まれます。

ここで重要なのは、人財を活かした運営です。再開発の近くに物件があるだけでは不十分で、現場のスタッフが街の変化を理解し、募集文や内見時の説明に落とし込めるかどうかで成果が変わります。

短期的な賃料上昇だけを狙うと、期待値と実需の差で判断を誤ります。むしろ、完成後の街の使われ方を丁寧に見て、設備投資、募集条件、出口戦略を持続可能な形で組み直すことが大切です。

虎ノ門二丁目地区第一種市街地再開発事業は、港区の都市更新を理解するうえで重要な完成事例です。病院棟と業務棟、道路と横断デッキ、防災機能まで含めて見ることで、再開発が不動産経営に与える本当の影響を読み解きやすくなります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 虎ノ門二丁目地区第一種市街地再開発事業は竣工済みですか?

A. 病院棟は2019年4月、業務棟は2025年2月に工事完了しています。今後は完成後の人流や周辺需要を検証する段階です。

Q2. この再開発に住宅は含まれていますか?

A. 港区資料では住宅戸数は「なし」とされています。主な用途は病院、事務所、店舗、駐車場です。

Q3. 賃貸住宅オーナーにはどんな影響がありますか?

A. 直接の住宅供給ではなく、周辺の勤務者・来街者・医療関係者の動きが募集戦略に影響します。内見導線と管理品質の見直しが重要です。

Q4. 虎ノ門周辺の他の再開発と一緒に見るべきですか?

A. 一緒に見るべきです。虎ノ門ヒルズ、虎ノゲート、赤坂一丁目方面の更新と連動して、エリア全体の用途構成が変わっています。

引用・参考資料

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

INA&Associates株式会社 代表取締役社長。首都圏・近畿圏を中心に不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントを統括。収益不動産投資戦略と超富裕層向け不動産コンサルティングを専門領域とする。

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

合格・取得資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
  • 甲種防火管理者
  • 競売不動産取扱主任者
  • マンション維持修繕技術者
  • 貸金業務取扱主任者