渋谷駅東側の宮益坂エリアで、渋谷エリア最大規模の再開発が着実に動き始めています。「渋谷二丁目西地区第一種市街地再開発事業」は敷地面積約18,800㎡・延床面積約322,200㎡という前例のないスケールを誇ります。2025年度中の本体着工を目指して現在解体工事が進行中です。2026年公示地価では渋谷区桜丘町が前年比+29.0%と東京都全用途上昇率1位を記録しており、この再開発がエリア全体の不動産市場に与える影響は計り知れません。本記事では最新の工事進捗、街区ごとの用途・規模、そして不動産投資家が今注目すべきポイントを整理します。
渋谷エリア最大規模の再開発——その全体像
「渋谷二丁目西地区第一種市街地再開発事業」は、東京都渋谷区渋谷二丁目(渋谷駅東側・宮益坂エリア)を対象とした国家戦略特区・都市再生特別地区の指定を受けたプロジェクトです。施行者は渋谷二丁目西地区市街地再開発組合で、東京建物株式会社とUR都市機構が主要参加者として事業を推進しています。正式名称「Shibuya REGENERATION Project」が示す通り、渋谷の「再生」を都市レベルで体現するプロジェクトと言えます。
計画区域はA・B・C の3街区で構成され、合計の延床面積は約322,200㎡にのぼります。これは渋谷エリアの単一再開発として最大規模であり、既存の渋谷スクランブルスクエアや渋谷ストリームをはるかに上回る床面積です。交通・産業・居住の機能を一体的に整備する複合開発として設計されており、国際都市・東京の競争力向上を担うプロジェクトとして都市計画上も高く位置づけられています。
三街区それぞれの用途と規模
各街区の特性を理解することが、このプロジェクトの価値を正確に把握する第一歩です。
A街区は地上5階・地下1階、高さ約50m、延床面積約4,200㎡の商業施設です。青山通り沿いに面した低層棟として、エリアの賑わいを支える商業機能を担います。規模こそ小さいですが、B街区・C街区の大型タワーと一体的な街並みを形成するうえで重要な役割を果たします。
B街区はこのプロジェクトの中核となる地上41階・地下4階、高さ約208mのタワーで、延床面積は約255,000㎡に達します。主要用途はオフィス・ホテル・バスターミナル・STEAM人財育成施設です。特筆すべきは約5,000㎡のバスターミナルで、渋谷駅周辺の交通結節点機能を大幅に強化します。また、STEAM(Science・Technology・Engineering・Art・Mathematics)人財育成拠点の設置は、渋谷を知識産業の集積地として位置づける戦略的な機能です。
C街区は地上41階・地下2階、高さ約175m、延床面積約63,000㎡のタワーレジデンスです。住宅機能を中心に、生活支援施設も整備されます。渋谷駅徒歩圏でこれだけの規模のタワーマンションは極めて希少であり、富裕層・外国人居住者・職住近接を求める専門職層から強い需要が見込まれます。
現在の進捗状況——2026年3月時点、解体工事が本格化
2022年3月の都市計画決定(渋谷区告示)を経て、2023年1月には東京都知事認可のもと事業認可・組合設立が完了しました。その後2024年7月には事業認可変更が行われ、2025年に入ってから解体工事が本格的に始まっています。
2025年3月から、みずほ銀行渋谷事務センター(本館・別館、延床面積合計約7.6万㎡)の解体工事に着手しました。この解体は2026年12月の完了を予定しています。続いて2025年7月からは東建インターナショナルビルの解体が始まり、2026年6月の完了を目指しています。現地では街並みの変容が目に見える形で進んでおり、再開発の実態が着実に現れてきています。
2025年度中には権利変換計画認可と本体工事着工が予定されています。2026年3月現在、解体工事は計画通り進行中であり、本体着工に向けた準備は着々と整いつつあります。竣工は2029年度を目標としており、約3〜4年後には渋谷の東側スカイラインが一変します。
| マイルストーン | 時期 |
|---|---|
| 都市計画決定 | 2022年3月 |
| 事業認可・組合設立 | 2023年1月 |
| 解体工事着手(みずほ銀行渋谷事務センター等) | 2025年3月〜 |
| 東建インターナショナルビル解体 | 2025年7月〜 |
| 権利変換計画認可・本体着工予定 | 2025年度中 |
| 竣工目標 | 2029年度 |
渋谷の地価・不動産市況との連動——公示地価+29.0%が示すもの
2026年公示地価において、渋谷区桜丘町は1㎡あたり4,450,000円、前年比+28.99〜29.0%を記録し、東京都全用途の上昇率で第1位となりました。渋谷区の商業地全体でも+13.5%と、東京23区平均の+9.0%を大幅に上回っています。この数値は単年の勢いではなく、渋谷スクランブルスクエア・渋谷ストリーム・渋谷フクラスといった既存の再開発竣工による価値上昇の積み重ねです。今後控える二丁目西地区をはじめとする新規開発への期待感が加わり、複合的な上昇が実現しています。
都心5区のオフィス空室率が3%を下回る水準に低下していることも、この地価上昇を下支えしています。渋谷二丁目西地区のB街区は延床面積255,000㎡のうち相当部分がオフィスとなる見通しで、竣工時には質の高いオフィス床の大規模供給が実現します。しかしそれ以上に注目すべきは、大型再開発が竣工するたびにエリアの利便性・知名度・国際性が底上げされることです。周辺中古マンション・商業ビル・賃貸住宅の資産価値も連鎖的に上昇する構造が形成されています。
渋谷区内では道玄坂二丁目南地区など他の再開発も並行して進んでおり、「100年に一度の再開発連鎖」と称されるダイナミクスが継続しています。渋谷駅周辺再開発の全体像と不動産価値への影響でも詳述しています。渋谷全体が都市として格上げされていくプロセスは、少なくとも2030年代前半まで続くと見ています。
不動産投資家が今注目すべきアクション
このプロジェクトが竣工する2029年度までに、投資家として検討すべき視点をいくつか整理します。
渋谷駅東側エリアの希少性を評価することが最初のステップです。渋谷駅の西側(道玄坂・宮益坂の北西側)と比較して、宮益坂・二丁目方面はこれまで大規模再開発が少なく、相対的に資産価値の伸びしろが大きい地域です。公示地価の伸び率がその希少性を数値で証明しています。既存の賃貸マンションや商業ビルについても、再開発による生活利便性向上とブランド効果を受けて賃料・売却価格の上昇が見込まれます。
C街区タワーレジデンスへの注目も欠かせません。竣工時には渋谷駅徒歩圏最大規模のタワーマンションとして、富裕層・外国人居住者・テック系専門職など多様な層からの需要が集中します。新築価格はプレミアム水準となることが予想されますが、投資対象としての流動性と賃料水準は渋谷エリアの中でも最高クラスになる可能性があります。
オフィス・ホテル・バスターミナルの複合効果は、エリアの昼間人口・観光客数・ビジネス来街者数を大幅に増加させます。その恩恵は再開発地点のみならず、徒歩10〜15分圏内の物件にも波及します。渋谷二丁目・三丁目・東エリアの既存収益物件を長期保有するオーナーにとっては、2029年以降の賃料改定や売却のタイミングを今から意識した資産管理計画が重要になります。
一方で、解体・建設工事期間中の騒音・振動・工事車両の影響はリスクとして認識しておく必要があります。近隣の賃貸物件では一時的な入居率の低下や更新率の下落が生じる可能性があります。工事スケジュールと自物件の状況を定期的に照合することが求められます。渋谷の未来を創る「道玄坂二丁目南地区第一種市街地再開発事業」のケースでも示されているように、工事期間中の管理戦略と竣工後の価値享受を分けて考えることが長期的に賢明な判断です。
私の考え
渋谷二丁目西地区の再開発を数年にわたって追いかけてきた私が感じることは、このプロジェクトが「不動産投資の対象」という枠を超えた都市の意思決定だということです。バスターミナルの整備もSTEAM人財育成拠点の設置も、短期的なリターンではなく、渋谷が国際競争力を持つ都市であり続けるための長期的な投資です。この視点は、私たちが不動産オーナーの皆さんに対して常に伝えてきた「長期的視野による資産運用」とまったく同じ軸にあります。
2026年公示地価で渋谷区桜丘町が+29.0%という数値をたたき出したことは、市場が「この再開発は本物だ」と評価した証拠です。しかし価格の上昇局面こそ、冷静な判断が求められる時期でもあります。渋谷というブランドと再開発の実需に裏打ちされた価値上昇なのか、単なる期待先行の加熱なのかを見極めることが重要です。そのためには個々の物件のファンダメンタルズ(立地・築年・管理状態・テナント属性)を丁寧に精査する姿勢が欠かせません。
私たちINA&Associates株式会社は、渋谷エリアの不動産市場を継続的にモニタリングしています。富裕層・外国人投資家を含む多様なお客様に対して、正確な情報と透明性の高いアドバイスを提供することが私たちの使命です。再開発の恩恵を最大化するためには、今この段階から専門家とともに資産戦略を組み立てることが、結果として最も大きな価値を生むと考えています。
まとめ
渋谷二丁目西地区第一種市街地再開発事業のポイントを整理します。
- 規模: 敷地面積約18,800㎡・延床面積約322,200㎡で渋谷エリア最大。B街区208m・C街区175mの2棟タワーを核とする複合開発
- 用途: オフィス・ホテル・バスターミナル・STEAM人財育成拠点(B街区)+タワーレジデンス・生活支援(C街区)+商業(A街区)
- 進捗: 2025年3月より解体工事開始(2026年完了予定)。2025年度中に権利変換計画認可・本体着工予定。竣工2029年度
- 市況: 渋谷区桜丘町の公示地価は前年比+29.0%で東京都全用途上昇率1位。再開発連鎖が地価を継続的に押し上げる構造
- 投資視点: 渋谷東側エリアの希少性・C街区タワーレジデンスの需要・竣工後の波及効果を長期的視野で評価することが重要
2029年度の竣工に向けて、渋谷の東側スカイラインは大きく変わります。この変化を最大限に活かすためには、今から情報収集と資産戦略の見直しを進めることが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 渋谷二丁目西地区第一種市街地再開発事業の竣工時期はいつですか?
2029年度の竣工を目標としています。2025年度中に本体工事着工が予定されており、解体工事は2025年3月より着手済みです。工事の進捗によって多少の前後は生じる可能性がありますが、現時点では計画通りに進行しています。
Q2. C街区のタワーレジデンスは購入できますか?分譲ですか賃貸ですか?
詳細な販売・賃貸の条件は現時点(2026年3月)では正式発表されていません。施行者である渋谷二丁目西地区市街地再開発組合および東京建物株式会社の公式発表をご確認ください。過去の大型再開発事例では分譲・賃貸の混合形態が多く、竣工2〜3年前から情報が開示される傾向があります。
Q3. このプロジェクトは周辺の賃貸物件の価値にどう影響しますか?
一般的に大型再開発の竣工は、周辺エリアの利便性向上・ブランド力向上・来街者増加を通じて賃料・資産価値の上昇につながります。ただし工事期間中(2025〜2029年)は騒音・振動等の影響が生じる可能性もあります。近隣物件オーナーは竣工後の価値享受を見据えつつ、工事期間中の管理体制を整えておくことが重要です。
Q4. 渋谷エリアで投資を検討する際、このプロジェクト以外に注目すべき再開発はありますか?
道玄坂二丁目南地区第一種市街地再開発事業など、渋谷駅周辺では複数の再開発が同時並行で進行しています。これらを含めた渋谷全体の再開発動向については、渋谷駅周辺再開発の全体像と不動産価値への影響に詳しくまとめています。エリア全体の変化を俯瞰したうえで個別物件の評価を行うことが大切です。
引用・参考資料
- 渋谷区「渋谷二丁目西地区第一種市街地再開発事業」(2022年〜)
- 東京都都市整備局「渋谷二丁目西地区第一種市街地再開発事業」(2022年〜)
- UR都市機構「渋谷二丁目西地区市街地再開発組合設立 プレスリリース」(2023年1月)
- 東京建物株式会社「渋谷二丁目西地区第一種市街地再開発事業 市街地再開発組合設立のお知らせ」PR TIMES(2023年1月31日)