六本木ヒルズに隣接する西麻布三丁目で、地上54階・高さ約200mの超高層タワーを中心とする大規模再開発が動き出しました。総事業費約1,361億円、住宅約500戸にホテル・オフィスを備える複合開発は、六本木エリアの不動産市場に新たな局面をもたらします。本記事では、事業の全容と周辺の資産価値への影響を分析します。
西麻布三丁目北東地区再開発事業の概要とは?
本事業は港区西麻布三丁目に位置する約7,690平方メートルの敷地を対象とした第一種市街地再開発事業です。施行者は西麻布三丁目北東地区市街地再開発組合であり、野村不動産が参加組合員として事業に参画しています。設計は久米設計、施工は大成建設が担当します。
都市計画決定は2019年12月に行われました。その後、2021年7月に組合設立の認可を受け、2024年9月には権利変換計画の認可が下りています。そしてA街区(メインタワー)は2025年3月に着工し、2029年12月の竣工を目指して工事が進められています。
注目すべきは、このエリアが六本木ヒルズの至近に位置し、六本木駅・乃木坂駅を最寄りとする都内有数のラグジュアリー立地であるという点です。西麻布の高級飲食店街に隣接し、周辺にはブランドマンションが集積しています。だからこそ、この再開発が周辺の不動産市場に与えるインパクトは大きいと考えられます。
54階・高さ200mタワーの規模と用途構成はどうなっていますか?
A街区(メインタワー)
計画の核となるA街区は、S造(一部RC造)の地上54階・地下2階建て、高さ約200mの超高層タワーです。延床面積は約96,830平方メートルに達します。
用途構成は住宅・ホテル・オフィス・店舗の複合型です。住宅は約500戸が計画されており、六本木エリアにおける都心居住の選択肢をさらに広げるものとなります。47階から52階にはホテルが入居する予定であり、東京を代表するラグジュアリー立地にふさわしい高層階からの眺望を活かした施設となるでしょう。
低層部にはオフィスと店舗が配置され、西麻布の街並みと調和した商業機能が整備されます。
B街区(寺社の再配置)
本事業のもうひとつの特徴は、地域に根ざした寺社の再配置です。B1街区に長幸寺(地上5階)、B2街区に妙善寺(地上4階)、B3街区に櫻田神社(地上2階)が再配置される計画で、いずれも2027年3月の竣工を予定しています。
再開発にあたって歴史的な宗教施設を丁寧に再配置する姿勢は、地域コミュニティとの共存を重視した計画であることを示しています。
事業費の構成
総事業費は約1,361億円です。そのうち参加組合員負担金が約1,199億円と大部分を占めており、野村不動産の資金力が事業の安定性を支えています。工事費は約1,186億円、補償費は約53億円、調査設計計画費は約38億円です。
公共貢献
本事業では約2,980平方メートルの広場が整備され、有効空地率は約40%に達します。補助線街路第10号線は10mから15mへの拡幅が行われ、歩行者デッキ・ペデストリアンデッキも設置されます。さらに、帰宅困難者一時滞在施設としての防災機能も備えており、地域の安全性向上にも貢献する計画です。
六本木エリアの不動産市場にどのような影響を与えますか?
六本木エリアは、2003年の六本木ヒルズ開業、2007年の東京ミッドタウン開業を経て、東京を代表する国際的な都市拠点へと成長してきました。しかし、近年はこれら大型施設の開業から20年近くが経過し、エリアとしての次なる成長エンジンが求められていました。
西麻布三丁目の再開発は、まさにその役割を担うプロジェクトです。私たちは、以下の3つの観点から六本木エリアの不動産市場に影響を与えると考えています。
住宅市場への影響が最も直接的です。約500戸の新規住宅供給は、六本木・西麻布エリアの高級住宅マーケットに大きなインパクトをもたらします。47〜52階にホテルを配置したタワーレジデンスという希少性は、国内富裕層だけでなく外国人富裕層の日本不動産投資の受け皿としても機能するでしょう。むしろ、こうしたラグジュアリーセグメントにおいては、新規供給が周辺既存物件の価値を引き下げるのではなく、エリア全体のブランド力を高める効果が期待されます。
商業・ホテル需要の創出も見逃せません。高層階のホテルは、インバウンド需要の受け皿として西麻布・六本木エリアの商業テナントの集客力を底上げします。低層部の店舗区画も含め、周辺の飲食店・商業施設への回遊効果が生まれることが見込まれます。
エリアの回遊性と歩行環境の改善は、中長期的な資産価値に直結する要素です。約2,980平方メートルの広場整備や道路拡幅、歩行者デッキの設置が計画されています。これにより、六本木ヒルズから西麻布方面への歩行者動線が大幅に改善されます。東京都心再開発と不動産価値の関連性を分析すると、歩行環境の改善はエリアの居住性評価を高め、住宅価格の上昇要因となることが確認されています。
不動産オーナー・投資家が注目すべきポイントとは?
この再開発を踏まえ、六本木・西麻布エリアの不動産オーナーや投資家が注視すべき点を整理します。
竣工までのタイムラインを正確に把握することが重要です。A街区の竣工は2029年12月であり、約3年半の時間があります。この期間は、工事の進捗に伴いエリアへの注目度が段階的に高まる局面です。周辺物件の売却や取得を検討する際には、このスケジュールを意識した判断が求められます。
ラグジュアリーセグメントの供給動向にも目を配るべきです。都心部では港区・渋谷区を中心に高級住宅の新規供給が続いています。西麻布の約500戸がどの価格帯で分譲されるかによって、周辺の中古マンション市場への影響度が変わります。
賃貸市場への波及も考慮が必要です。ホテル併設のタワーレジデンスは、高額賃貸市場においても競合となり得ます。だからこそ、既存の賃貸物件を所有するオーナーは、設備のリニューアルやサービス品質の向上といったバリューアップ戦略を早めに検討することが重要です。
私たちは、再開発による供給増をリスクとしてだけ捉えるのではなく、エリア全体の価値向上という好機として活用していただきたいと考えています。長期的な視野で見れば、六本木・西麻布エリアの国際的なブランド力は、この再開発によってさらに強固なものとなるはずです。信頼できるデータと透明な情報提供に基づいて、オーナーの皆さまの意思決定をサポートしてまいります。
まとめ
- 総事業費約1,361億円、地上54階・高さ約200m、延床面積約96,830平方メートルの大規模複合タワー
- 住宅約500戸、ホテル(47〜52階)、オフィス、店舗の複合用途で構成
- 2025年3月着工、2029年12月竣工予定。寺社再配置のB街区は2027年3月竣工
- 約2,980平方メートルの広場や道路拡幅、帰宅困難者一時滞在施設など公共貢献も充実
- 六本木ヒルズに隣接するラグジュアリー立地での大型開発として、エリア全体のブランド力と資産価値の向上が期待される
よくある質問(FAQ)
Q1. 西麻布三丁目北東地区再開発の竣工はいつですか?
メインタワーであるA街区は2029年12月の竣工を予定しています。2025年3月に着工済みです。寺社再配置を行うB街区は2027年3月の竣工を予定しています。
Q2. タワーにはどのような施設が入りますか?
住宅が約500戸、47〜52階にホテル、低層部にオフィスと店舗が計画されています。地上54階・高さ約200mのS造(一部RC造)の超高層タワーです。
Q3. 事業費と事業体制はどのようになっていますか?
総事業費は約1,361億円です。施行者は西麻布三丁目北東地区市街地再開発組合で、野村不動産が参加組合員として参画しています。設計は久米設計、施工は大成建設が担当します。
Q4. 周辺の不動産価値にどのような影響がありますか?
六本木ヒルズ至近のラグジュアリー立地における大規模開発であり、エリア全体のブランド力向上が期待されます。約500戸の高級住宅供給やホテル開業による商業活性化、歩行環境の改善などが、周辺の資産価値にプラスの影響を与えると考えられます。
引用・参考資料