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フローリングの耐用年数と張替えタイミング|賃貸オーナーが知るべき原状回復の負担区分

フローリングに法定耐用年数はない。賃貸経営視点で張替えの判断基準・原状回復の大家負担vs借主負担を解説。コスト管理に役立つ実務ガイド。

最終更新: 約21分で読めます

賃貸経営において、フローリングの耐用年数・張替えタイミング・原状回復の負担区分を正しく理解することは、コスト管理とトラブル防止の両面で重要です。

フローリングに法定耐用年数はあるのか?

フローリングには法定耐用年数が定められていません。国土交通省のガイドラインでは、原則として経過年数に関係なく、借主が傷つけた部分のみ原状回復を行うとされています。ただし全面張替えを行う場合は価値が復活するため、建物の構造に応じた経過年数が考慮されます。

床材ごとの耐久年数の目安

法定耐用年数はないものの、実務上は以下の耐久年数を目安とします。

  • 複合フローリング:10〜15年(合板基材+天然木単板貼り)
  • 無垢フローリング:30年以上(天然素材のため、研磨で傷が修復可能)

無垢フローリングは自然オイル仕上げであれば防水メンテナンスと組み合わせることで長期使用が可能です。複合フローリングは接着剤の劣化も加わり、耐久性が相対的に低くなります。

フローリング張替えのタイミングをどう見極めるか?

耐久年数はあくまで目安であり、実際の張替え判断は物件の状態で行います。

張替えを検討すべきサイン

  • 傷・汚れが生活に支障をきたすレベルに達した場合:放置するとトラブルや怪我のリスクが高まります
  • 日焼け・色褪せによる変色:板浮きや剥がれが始まっている場合は機能面でも問題が生じます
  • ギシギシと音が鳴る場合:床板だけでなく構造部分の劣化も疑われるため、専門業者への相談が必要です

フローリングの原状回復費用:大家と借主の負担区分

賃貸物件での退去時に最もトラブルになりやすい領域の一つです。入居前チェックの徹底でトラブルを未然に防ぐことが重要です。

大家(貸主)負担となるケース

  • 家具設置による凹み・設置跡(通常使用の範囲内)
  • 構造欠陥や結露による変色・黒ずみ
  • 経年劣化・自然損耗による傷や色褪せ

借主負担となるケース

  • 手入れ不足によるシミ・汚損
  • 故意・過失による引っかき傷や凹み(キャスター付き椅子による凹みなど)
  • 不注意による液体等のシミ

借主負担の場合、退去時に支払った敷金から充当されます。費用が敷金を超えた場合は追加請求が発生します。

なぜフローリングだけ減価償却の扱いが違うのか

クロスは6年で価値がほぼゼロになる、という話を聞いたことがあるかもしれません。ところがフローリングは、同じようには扱いません。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は、フローリングを「経過年数を考慮しないもの」として明確に区別しています。

ガイドラインはその理由をこう説明しています。フローリングは部分補修をしても、将来的には全体を張り替えるのが一般的で、部分補修をしたからといってフローリング全体としての価値が高まるわけではありません(つぎはぎの状態になるためです)。したがって、部分補修の費用全額を借主が負担しても、貸主がその時点でのフローリングの価値を超える利益を得ることにはならない、という理屈です。

補修の範囲 経過年数(減価償却)の考慮 借主の負担
部分補修(毀損した箇所のみ) 考慮しない 部分補修費用の全額
全体にわたる毀損で全体を張替え 考慮する 当該建物の耐用年数で残存価値1円となる直線から算出した割合

出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(平成23年8月)

ここが実務で誤解されるポイントです。「入居して6年経ったからフローリングの傷は負担しなくていい」という理解は、部分補修については成り立ちません。入居10年目でも、借主の過失でつけた傷の補修費用は原則として全額負担になります。

同じ考え方は襖紙・障子紙・畳表にも適用されます。これらは消耗品としての性格が強く、毀損の軽重にかかわらず価値の減少が大きいため、減価償却の考え方になじまないとされています。

フローリングの「減価償却」は2種類ある|原状回復の減価と、確定申告の減価償却

「フローリング 減価償却」で調べると、まったく別の2つの話が混ざって出てきます。退去時に借主がいくら負担するかを決めるための減価と、オーナーが確定申告で費用を配分するための減価償却です。根拠になる資料も、決めている対象も違います。

原状回復の減価 税務上の減価償却
目的退去時に借主がいくら負担するかを決めるオーナーの所得計算で費用をいつ計上するかを決める
根拠国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」減価償却資産の耐用年数等に関する省令、所得税法施行令・法人税法施行令
フローリングの扱い部分補修は経過年数を考慮しない/全体張替えは当該建物の耐用年数修繕費ならその年の必要経費、資本的支出なら建物の耐用年数で償却
出てくる場面退去精算・敷金精算確定申告・決算
相手借主税務署

年数が同じ数字になることもあるので、いっそう紛らわしくなります。退去精算の場で「木造だから22年」と言うときはガイドラインの話、確定申告書で「木造だから22年」と言うときは税務の話です。同じ22年でも、決めているのは前者が借主の負担割合、後者がオーナーの経費の配分です。

この記事では、ここまでが原状回復側の話です。税務側は後半の「オーナー側の税務|張替え費用は『修繕費』か『資本的支出』か」で扱います。

設備ごとの耐用年数一覧|どれが6年でどれが違うのか

ガイドラインは主な設備の耐用年数を具体的に挙げています。フローリングの扱いを理解するうえでも、他の部位との違いを並べて見ると分かりやすくなります。

耐用年数 対象
5年 流し台
6年 冷房用・暖房用機器(エアコン、ルームクーラー、ストーブ等)、電気冷蔵庫、ガス機器(ガスレンジ)、インターホン、カーペット、クロス
8年 主として金属製以外の家具(書棚、たんす、戸棚、茶ダンス)
15年 便器、洗面台等の給排水・衛生設備、主として金属製の器具・備品
当該建物の耐用年数 ユニットバス、浴槽、下駄箱(建物に固着して一体不可分なもの)、フローリングの全体張替え
考慮しない フローリングの部分補修、襖紙、障子紙、畳表、鍵の紛失による交換、クリーニング

出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」

なお残存価値が「1円」なのには経緯があります。かつては償却後の残存価値を10%として計算していましたが、平成19年の税制改正で残存価値が廃止され、耐用年数の経過時に残存簿価1円まで償却できるようになりました。ガイドラインもこれに合わせて改められています。古い記事に「6年経てば残り10%」と書かれていることがありますが、現在の考え方ではありません。

床材ごとの扱い一覧|同じ「床」でも結論が逆になる

ガイドラインの別表2は、床を「畳・フローリング・カーペットなど」としてまとめたうえで、素材ごとに経過年数の考え方と借主の負担単位を分けています。床材のうち経過年数を考慮しないのは、フローリングの部分補修と畳表だけです。

床材 経過年数の考え方 借主の負担単位
畳表考慮しない(消耗品に近く、減価償却資産になじまない)毀損した枚数分(裏返しか表替えかは毀損の程度による)
畳床6年で残存価値1円となるような直線(または曲線)で算定最低1枚単位
カーペット6年で残存価値1円1部屋単位
クッションフロア6年で残存価値1円1部屋単位
フローリング(部分補修)考慮しない原則㎡単位。毀損等が複数箇所の場合は当該居室全体
フローリング(全体張替え)当該建物の耐用年数で残存価値1円当該居室全体

出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」別表2「賃借人の原状回復義務等負担一覧表」

この表の使いどころは2つあります。

1つ目は「6年」がどこまで通用するかの線引きです。クッションフロアやカーペットの部屋なら、6年住めば借主の負担割合はほぼ残りません。ところが同じ間取り・同じ傷でも、床がフローリングで部分補修になるなら6年は関係ありません。床材が違うだけで結論が逆になります。「賃貸で6年住んだら床の傷は負担しなくていい」という説明が噛み合わないのは、たいていここが原因です。

2つ目は負担単位です。フローリングは原則㎡単位ですが、毀損等が複数箇所にわたる場合は当該居室全体まで広がります。カーペットとクッションフロアは最初から1部屋単位、畳は1枚単位です。「傷は1か所なのに部屋全体を請求された」というトラブルは、この単位の違いを共有しないまま精算に入って起きます。

もう一点、ガイドラインは負担割合の下限についても「最終残存価値は1円とし、賃借人の負担割合は最低1円となる」と書いています。年数が経てば負担は限りなく小さくなりますが、計算上ぴったりゼロにはなりません。

全体張替えのときの負担割合|建物構造別の計算例

フローリング全体を張り替える場合は、当該建物の耐用年数を使って借主の負担割合を出します。入居時に新品だったと仮定し、耐用年数の経過時に残存価値1円となる直線を引いて、経過した年数のぶんだけ減らす計算です。

借主の負担割合 = (1 − 経過年数 ÷ 建物の法定耐用年数) × 100

建物の構造 法定耐用年数 入居6年時点の負担割合 入居12年時点
木造・合成樹脂造22年約73%約45%
木骨モルタル造20年約70%約40%
金属造(骨格材3mm以下)19年約68%約37%
金属造(骨格材3mm超4mm以下)27年約78%約56%
金属造(骨格材4mm超)34年約82%約65%
れんが造・石造・ブロック造38年約84%約68%
鉄筋コンクリート造47年約87%約74%

出典:法定耐用年数は減価償却資産の耐用年数等に関する省令(e-Gov 法令検索)の住宅用建物、計算方法は国土交通省ガイドラインによる

この表が示しているのは、建物が頑丈なほど借主の負担割合が高く残り続けるということです。木造アパートなら12年住めば負担は半分以下になりますが、鉄筋コンクリート造のマンションでは12年住んでも約74%が残ります。耐用年数が長いぶん、1年あたりの減価が小さいためです。

ただし忘れてはならない前提があります。この計算が出てくるのは「フローリング全体にわたる毀損があり、全体を張り替える場合」だけです。数枚の傷や凹みであれば部分補修の話になり、経過年数は考慮されません。退去時に全面張替えの費用を経過年数なしで請求されたら、それは全体にわたる毀損なのかを確認してください。逆に部分補修なのに「6年経過しているから負担ゼロ」と主張しても、ガイドライン上は通りません。

あわせて、耐用年数を超えた設備であっても借主の善管注意義務は消えません。ガイドラインは、経過年数を超えた設備でも故意・過失で破損させて使用不能にした場合には、本来機能していた状態まで戻す費用(工事費や人件費等)が借主負担になり得ると明記しています。

オーナー側の税務|張替え費用は「修繕費」か「資本的支出」か

ここからは確定申告の話です。退去のたびに発生する床の費用を、その年の必要経費にできるのか、それとも何十年もかけて償却することになるのか。手元に残る現金が変わるので、賃貸経営では避けて通れません。

出発点は条文です。所得税法施行令第181条は、固定資産について支出した金額のうち、使用可能期間を延長させる部分資産の価額を増加させる部分に対応する金額を必要経費に算入しないと定めています。これが資本的支出です。逆に、通常の維持管理のため、または毀損した資産の原状を回復するために要したと認められる部分は修繕費になります(所得税基本通達37-11、法人税基本通達7-8-2)。

金額が大きいと資本的支出、ではない

国税庁の質疑応答事例に、そのものずばりの例があります。アパートの壁紙の張替費用200万円について、「修繕費として損金の額に算入して差し支えありません」という回答です。理由はこう書かれています。建物取得時の壁紙の取得価額は建物の取得価額を構成するものだが、この張替えは建物の通常の維持管理のため、またはき損した建物につきその原状を回復するために行われたものと考えられるから、要した費用は全額を修繕費とするのが相当である、と。

床の張替えも同じ構造で考えます。200万円でも修繕費になり得る一方、20万円でも用途変更のための改造なら資本的支出になり得ます。金額の大小ではなく、原状回復なのか、価値を高めたり耐久性を増したりしたのかで分かれます。

判断に迷うときの形式基準

実際には線引きが難しいので、形式基準が用意されています。

基準 内容 根拠
少額一の修理、改良等のために要した金額が20万円未満所基通37-12(1)/法基通7-8-3(1)
短い周期おおむね3年以内の期間を周期として行われることが、既往の実績その他の事情からみて明らか所基通37-12(2)/法基通7-8-3(2)
形式基準(60万円)資本的支出か修繕費か明らかでない金額が60万円未満所基通37-13(1)/法基通7-8-4(1)
形式基準(10%)その金額が、前年12月31日(法人は前期末)における当該固定資産の取得価額のおおむね10%相当額以下所基通37-13(2)/法基通7-8-4(2)

出典:国税庁タックスアンサー No.1379 修繕費とならないものの判定法人税基本通達 第8節 資本的支出と修繕費

ここから実務上の含意が出ます。退去のたびに1室ずつ部分補修していくやり方は、この基準に収まりやすいということです。1室あたり数万円から十数万円の補修なら20万円未満に収まり、その年の修繕費で処理できます。反対に、複数室の退去を待ってまとめて発注し、和室をフローリングに変えるような工事を一度に行うと、「一の修理、改良等」の金額が跳ね上がるうえ、用途変更のための模様替え等の改造・改装(所基通37-10(2))に近づき、資本的支出と判定される可能性が上がります。同じ総額でも、いつ・どの単位で発注するかで扱いが変わります。

資本的支出になった場合、何年で償却するのか

ここが「フローリング 減価償却 何年」に対する答えです。結論から言うと、床仕上げ材だけを短い年数で償却する区分は、耐用年数表に存在しません。

減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表第一で「建物附属設備」として掲げられているのは、電気設備(照明設備を含む)、給排水又は衛生設備及びガス設備、冷房・暖房・通風又はボイラー設備、昇降機設備、消火・排煙又は災害報知設備及び格納式避難設備、エヤーカーテン又はドアー自動開閉設備、アーケード又は日よけ設備、店用簡易装備、可動間仕切り、そして前掲のもの以外のもの——この10区分です。「床」「床仕上げ」という区分はありません。建物取得時の内装材の取得価額は建物の取得価額を構成する、という前掲の質疑応答事例の整理と合わせて読めば、床は建物本体の一部として扱われることになります。フローリングは「消耗品」でも「設備」でもない、というのが税務上の位置づけです。

そのうえで、所得税法施行令第127条第1項は、資本的支出とされた金額について「その有する減価償却資産と種類及び耐用年数を同じくする減価償却資産を新たに取得したものとする」と定めています(法人は法人税法施行令第55条)。つまり、木造アパートの床に対する資本的支出は木造住宅用建物の年数で、鉄筋コンクリート造マンションならRC造住宅用の年数で償却します。

建物の構造(住宅用) 法定耐用年数 床への資本的支出の償却年数
木造・合成樹脂造22年22年
木骨モルタル造20年20年
金属造(骨格材3mm以下)19年19年
金属造(骨格材3mm超4mm以下)27年27年
金属造(骨格材4mm超)34年34年
れんが造・石造・ブロック造38年38年
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造47年47年

出典:減価償却資産の耐用年数等に関する省令 別表第一(e-Gov 法令検索)、資本的支出の取扱いは所得税法施行令第127条第1項

カーペットやエアコンの「6年」を床に当てはめることはできません。原状回復のガイドラインでフローリングだけ扱いが違うのと同じように、税務でもフローリングは建物側に寄せて扱われます。方向がそろっているのは偶然ではなく、どちらも「床は建物と一体で、部分だけ取り替えても新品同様の価値が生まれるわけではない」という見方に立っているからです。

最後に、築古物件のオーナーが気にする点を1つ。建物の耐用年数を過ぎた物件でも、修繕費と資本的支出の判定方法は変わりません。法人税基本通達7-8-9は「耐用年数を経過した減価償却資産について修理、改良等をした場合であっても、その修理、改良等のために支出した費用の額に係る資本的支出と修繕費の区分については、一般の例によりその判定を行う」と定めています。償却が終わった木造アパートでも、資本的支出と判定されれば、そこから改めて22年の償却が始まります。

よくある質問(FAQ)

Q1. フローリングの耐用年数は何年ですか?

法定耐用年数はありません。実務上の目安は複合フローリングで10〜15年、無垢フローリングで30年以上です。建物全体の耐用年数(木造22年、RC造47年など)に付随して考えるケースもあります。

Q2. 全面張替えの場合、借主の費用負担はゼロになりますか?

全体にわたる毀損があって全体を張り替える場合は経過年数が考慮され、入居年数が長いほど借主の負担割合は低くなります。ただし、ぴったりゼロにはなりません。ガイドラインは「最終残存価値は1円とし、賃借人の負担割合は最低1円となる」と定めています。また、耐用年数を超えた後であっても、借主が故意・過失で破損させて使用不能にした場合には、本来機能していた状態まで戻す費用が借主負担になり得ます。

Q3. フローリングのギシギシ音は借主が直す必要がありますか?

経年劣化による軋みは大家負担が原則です。ただし借主の不適切な使用(重量物の設置など)が原因の場合は借主負担になる可能性があります。

Q4. キャスター付き椅子によるへこみは借主負担ですか?

ガイドラインの「賃貸人・賃借人の修繕分担表」に「キャスター付き椅子」という項目はありません。同表が貸主負担として挙げているのは「家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡」で、置いていたことでできた跡は通常損耗の扱いです。キャスターを転がして削れた傷は「設置跡」ではないため、通常の使用を超える損耗にあたるか(善管注意義務違反か)で判断されます。「ガイドラインに借主負担と書いてある」という説明の仕方はできない、という点に注意してください。いずれにせよ、フロアマットや保護シートの使用で防止できます。

Q5. 賃貸オーナーとしてフローリングの張替えタイミングをどう判断すべきですか?

退去後のリフォーム時が最適なタイミングです。次の入居者の募集に影響するため、目立つ傷や変色がある場合は積極的に張替えを検討してください。耐久年数を考慮した計画修繕として積立てを行うことも重要です。

Q. フローリングの張替え費用は何年で減価償却しますか?

その工事が修繕費と判定されればその年の必要経費になり、減価償却はしません。資本的支出と判定された場合は、建物と種類及び耐用年数を同じくする減価償却資産を新たに取得したものとして扱われるため(所得税法施行令第127条第1項、法人は法人税法施行令第55条)、木造住宅なら22年、鉄筋コンクリート造なら47年で償却します。耐用年数表の「建物附属設備」に床の区分はないので、10年や15年といった短い年数は使えません。

Q. 床材によって扱いは変わりますか?

変わります。ガイドライン別表2では、畳床・カーペット・クッションフロアは6年で残存価値1円となるように負担割合を算定し、畳表とフローリングの部分補修は経過年数を考慮しません。フローリングの全体張替えだけが当該建物の耐用年数を使います。同じ「床」でも、6年・経過年数なし・建物の耐用年数の3通りに分かれます。

Q. 退去時の原状回復費用は、まとめて発注したほうが得ですか?

単価だけを見ればまとめたほうが安くなることはありますが、税務上は逆に働くことがあります。「一の修理、改良等」の金額が20万円未満なら修繕費として処理できる形式基準があるため(所基通37-12(1)、法基通7-8-3(1))、退去のたびに1室ずつ処理するほうが修繕費に収まりやすくなります。まとめて大規模に行うと資本的支出と判定され、建物の耐用年数にわたる償却になる可能性があります。

Q. フローリングは6年経てば借主の負担はゼロになりますか?

なりません。国土交通省のガイドラインは、フローリングの部分補修を「経過年数を考慮しないもの」と定めています。部分補修をしてもフローリング全体の価値が高まるわけではない(つぎはぎの状態になる)ためで、入居10年目でも借主の過失による傷の補修費用は原則として全額負担です。経過年数が考慮されるのは、全体にわたる毀損で全体を張り替える場合だけです。

Q. 全体張替えになった場合、負担割合はどう計算しますか?

当該建物の法定耐用年数を使い、「(1 − 経過年数 ÷ 法定耐用年数) × 100」で求めます。木造なら耐用年数22年なので入居6年で約73%、入居12年で約45%です。鉄筋コンクリート造は47年なので、入居12年でも約74%が残ります。クロスやカーペットの6年とは基準そのものが違う点に注意してください。

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

INA&Associates株式会社 代表取締役社長。首都圏・近畿圏を中心に不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントを統括。収益不動産投資戦略と超富裕層向け不動産コンサルティングを専門領域とする。

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

合格・取得資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
  • 甲種防火管理者
  • 競売不動産取扱主任者
  • マンション維持修繕技術者
  • 貸金業務取扱主任者