引っ越しの際は新居の初期費用だけでなく、現在の賃貸物件からの退去費用も考慮しなければなりません。退去費用の仕組みや相場を理解しておけば、不当な請求を防ぎ、スムーズな退去が実現できます。
賃貸物件の退去費用とは何か?
退去費用とは、賃貸物件を退去する際に原状回復のために支払う費用のことです。具体的には設備の修繕費用とハウスクリーニング費用に充てられます。
原状回復義務とは?
原状回復とは、退去時に入居前の状態に戻す義務のことです。ただし、通常損耗や経年劣化による傷・汚れは入居者の負担対象外です。冷蔵庫裏の電気ヤケなどは通常損耗に該当します。一方、故意・過失による損傷(結露放置によるカビ、設備の誤使用による破損など)は入居者負担となります。
ハウスクリーニング費用
退去後のキッチン・トイレ・浴室など水回りを含む専門清掃の費用です。どれだけ綺麗に使っていても、次の入居者のために専門業者による清掃は必要です。
退去費用の相場はどのくらい?
退去費用は部屋の広さや間取りによって異なります。以下が一般的な目安です。
| 間取り | ハウスクリーニング代の相場 |
| ワンルーム・1K | 15,000〜30,000円 |
| 1DK・1LDK | 20,000〜40,000円 |
| 2DK・2LDK | 30,000〜50,000円 |
| 3DK・3LDK | 50,000〜80,000円 |
修繕費を含めた平均退去費用は、ワンルーム〜1LDKで約50,000円、2K〜2LDKで約80,000円、3DK以上で約90,000円です。
退去費用はどのように決まるのか?
退去費用は主に設備の耐用年数と特約の有無で決まります。
耐用年数による減額の仕組み
クロス(壁紙)の耐用年数は6年です。新築入居から3年後に退去する場合、壁紙の価値は半減しているため、張り替え費用6万円のうち入居者の負担は3万円となります。このように、居住年数が長いほど負担額は少なくなります。
特約による例外
契約書に「室内喫煙時は壁・天井の張り替え費用を全額負担」などの特約がある場合は、耐用年数に関わらず入居者が全額負担となることがあります。契約時に特約内容を必ず確認しましょう。
入居者が負担する費用・しなくてよい費用とは?
入居者負担となるのは以下のケースです。
- 家具の移動・設置時にできた傷
- 掃除を怠ったことによる油汚れ・カビ
- ふすま・障子の破れ
- 水漏れの放置による損害
- DIYで原状回復できなくなった壁・床
入居者負担不要のケースは以下のとおりです。
- 画鋲程度の壁の穴
- 家具・家電の設置跡(床のへこみ)
- テレビ・冷蔵庫による電気ヤケ
- 日照による壁・床の日焼け
- エアコン内部の清掃
高額な退去費用を請求されたらどうする?
不当に高い退去費用を請求された場合は、以下の手順で対処しましょう。
- 国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で該当事例を確認
- 大家さんまたは管理会社に費用の内訳説明を求める
- 納得できない場合は消費者ホットライン(188)や公益財団日本賃貸住宅管理協会に相談
退去費用を抑えるためのポイントとは?
日頃からの心がけで退去費用を最小限に抑えることが可能です。
- 入居時に傷・汚れの写真を撮影して記録しておく
- 定期的に水回りの清掃を行い、カビの発生を防ぐ
- 壁に穴を開ける際はピン程度にとどめる
- ペットを飼う場合は床・壁の保護を徹底する
- 退去前に自分でできる範囲の清掃を行う
よくある質問(FAQ)
敷金は退去時に返ってきますか?
退去費用が敷金の範囲内であれば、差額が返還されます。ただし、ハウスクリーニング代は差し引かれることが一般的なため、全額返還されるケースは稀です。
退去費用の支払いはいつですか?
一般的に退去後1〜2ヶ月以内に精算されます。敷金から差し引かれる場合は、差額が返還または追加請求されます。
原状回復を自分で行っても良いですか?
契約書に「業者に依頼する」旨の記載がある場合は、自力での原状回復は契約違反になる可能性があります。簡単な清掃は問題ありませんが、無理な修繕は避けましょう。
10年以上住んだ場合の退去費用は安くなりますか?
はい。設備の耐用年数を超えていれば残存価値は1円となるため、通常使用であれば修繕費の負担は最小限になります。