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防火管理者とは?アパート・マンションの選任義務・資格取得方法・業務内容を解説

防火管理者の選任が必要な賃貸物件の条件や資格取得方法、業務内容を解説。甲種・乙種の違いや講習の流れも紹介します。

最終更新: 約26分で読めます

賃貸物件の経営を始めるにあたって、様々な知識が必要となります。
その1つに「防火管理者」が存在します。
多数の人が出入りする建物に対して、防火責任者の選任が必要です。
大型商業施設や会社が入るビルが対象だと考える方もいますが、マンションだけではなく場合によってはアパートも対象となります。
そこで今回は、防火管理者の基本的な情報を解説していきます。
選任義務が発生する物件の特徴や資格を取得するための方法、防火管理者が果たすべき責務に関してもご紹介していくので、防火管理者について知りたい方や資格の取得を目指している方は参考にしてください。

防火管理者とは?

まずは、賃貸物件のオーナーが持っているべき防火管理者の知識について解説していきましょう。

防火管理者の特徴

防火管理者は、火災の予防や消火活動の管理をする人物を指します。
不特定多数の人々が集まる施設で選任が義務付けられており、飲食店や大型の商業施設だけではなく、マンションやアパートも対象となるケースがあります。
消防法では、建物に対する管理権原を持つ人物が防火管理者を任命します。
任命された人物はその任務を果たす必要があり、火災による被害を防ぐために施設に見合った消防計画を立て、計画的に管理を遂行しなければいけません。
防火管理者が必要となる理由は、安全を守るためです。
マンションやアパートといった賃貸物件であれば様々な入居者が住み、誰もが安心して過ごせる暮らしを提供しなければいけません。
そのためには火災を防ぐための専門的な知識も必要であり、専門的な観点からの予防措置を取らなければいけません。
万が一所有する物件で火事が起きてしまった時には、正しい判断によって避難誘導をする必要があります。
もし間違った誘導をしてしまえば、被害が拡大する恐れがあるので危険です。
場合によってはオーナーとして責任を問われるケースもあります。
こうしたリスクを抑えるためにも防火管理に対する知識を持ち、行動することが何よりも大切です。

防火管理が必須となる建物

防火管理が必須となる建物は、甲種防火対象物と乙種防火対象物があり、建物の用途によって細かく細分化されています。
大まかに分けると、甲種防火対象物は比較的大きな建物で、乙種防火管理者は比較的小さな建物となります。

・特定用途防火対象物
収容する人数が30人以上で防火管理者の選任が必要

・非特定用途防火対象物
収容する人数が50人以上で防火管理者の選任が必要

・老人短期入居施設【6項口】
収容する人数が10人以上で防火管理者の選任が必要

建物の大きさによって甲種防火対象物と乙種防火対象物に分けられる仕組みです。
ちなみに、特定防火対象物とは百貨店や旅館などのほか、映画館や劇場、ダンスホールや幼稚園、飲食店といった不特定多数の人が出入りする施設です。
非特定防火対象物は、図書館や学校、病院といった公的機関となります。
また、老人短期入居施設【6項口】は老人ホームや老人短期入所施設を指します。
今回は甲種防火対象物・乙種防火対象物について詳しく見ていきましょう。

甲種防火対象物

建物の大きさによって甲種防火対象物・乙種防火対象物に分けられますが、建物の延べ床面積が大きい場合は甲種防火管理者の資格が必要です。
例えばアパートやマンションを含む共同住宅なら、延べ床面積が500㎡以上で甲種防火対象物に区分されます。
マンション経営をしている場合、建物全体の延べ面積が500㎡以上もないケースが多いため当てはまらないと考える方もいますが、それは間違いです。
マンションの1階にあるテナント部分にクリニックや飲食店、子ども園などが入るケースはだと甲種防火対象物に分類される可能性があります。

乙種防火対象物

500㎡未満のマンションを所有している場合は、乙種防火対象物に分類されます。
乙種防火対象物は甲種より小規模の施設であることが特徴と言えます。

収容人数の考え方は建物で異なる

収容人数の数え方は建物で異なるので注意してください。
例えば、クリニックや診療所といった施設であれば、医師や看護師、薬剤師といった従業員に加えて、病室内にある病床の数、待合室の床面積の合計を3㎡で除して得た数を合算して人数を算出します。
その他にも、以下のような決まりがあります。

・幼稚園
教職員の人数と、通っている幼児の人数を合わせて算出

・学校
教職員の人数と、生徒の人数を合わせて算出

・図書室や博物館
従業員の人数や展示室・閲覧室・会議室または休憩室の床面積の合計を3㎡で除して得た数を合算して算出

学校や図書室といった施設はあまり関係ありませんが、クリニックや幼稚園は経営する賃貸物件のテナントとして入る可能性もあります。
数え方によっては、乙種ではなく甲種防火対象物となるケースもあるため間違えないようにしましょう。
詳しい数え方に関しては最寄りの消防局へ直接相談するか、消防法施行規則第3条の3【収容人数の算出方法】について検索してみましょう。

防火管理者・防災管理者の違い

防火管理者と同じような資格で防災管理者が存在しています。
名前が似ているので同じような資格だと認識している方もいますが、全く別物なので注意してください。
防火管理者は、前述した用に火災を防ぐために設けられる管理者です。
一方、防災管理者は地震や台風といった火災以外の災害を防ぐために活動する人物を指します。
防災管理者は、防火管理者とは違って大規模な施設や高層ビルのみ任命が必要です。
そのため、一般的な飲食店といったお店やマンション、アパートでは選任する必要はありません。

アパート・マンションの賃貸物件にも防火管理者は必要?

上記のことから、建物全体の延べ面積が500㎡以上の場合、または500㎡未満でも入居している人数が50人を超えていれば防火管理が必要になるので管理者の選任が必須です。
そのため、少ない入居者しかいないアパートの場合は対象外となるケースも多いです。
しかし、中には防火管理者が必要となるケースもあるので注意が必要です。
消防法施行令を見てみると、第一章第二条に以下の記載があります。

“同一敷地内に管理について権原を有する者が同一の者である別表第一に掲げる防火対象物が二以上あるときは、それらの防火対象物は、法第八条第一項の規定の適用については、一の防火対象物とみなす”

これは、同じ敷地の中にオーナーが同一の2つ以上の建物が存在する場合を指しています。
そのため、同じ敷地内に複数のアパートを所有して経営をしている場合は、それら建物に住む入居者の人数を合算した数が採用されるため、アパートであっても管理者を要する可能性があります。
複数のアパートを所有している場合は注意しましょう。

防火管理者を選任していないアパート・マンションが多い原因

アパートやマンションでも防火管理者の選任が必要となるケースがあります。
しかし、中には選任しないまま経営を続けているオーナーもいます。
2019年の消防白書付属資料「全国の防火管理実施状況」を見てみると、共同住宅の対象件数175,822棟のうち防火管理者を選任しているところは137,000棟と77.9%の物件でしか選任していないことがわかっています。
消防計画届に関しても126,228件しか提出されていないため、28%ほどの物件は未届のままとなっています。
その場合、消防署による立ち入り検査で未選任や未届であることを指摘され管理者を選任するよう指導されます。
なぜ管理者が選任されないのか、その理由を解説していきましょう。

資格を取得するのに手間がかかる

防火管理者は、原則として住人の中から選出されます。
オーナーでもある大家が物件に住んでいる場合は、自身が管理者になり業務を担うことが可能です。
しかし、自分ではできない場合は他の入居者の中から管理者を選ぶ必要があります。
防火管理者になるためには資格を取得しなければいけません。

資格は国家資格で甲種防火対象物であれば2日間の講習、乙種防火対象物であれば1日間の講習を受ける必要があります。
講習後にはテストが実施され、合格すれば資格を取得できる仕組みです。
講習を受ければ比較的受かりやすい資格ですが、講習に参加する必要があるので時間を取れない場合は大きな手間となってしまいます。

高齢者が多いアパート・マンションだと業務負担が大きい

防火管理者は、消防計画を消防署へと提出する他、定期的に消防訓練を実施しなければいけません。
消防訓練を実施すれば、万が一の際にも避難経路がわかっているので焦らずに逃げることが可能です。
しかし、入居者に高齢者が多い場合は管理者としての業務を担うことが難しくなってしまいます。
選任しても引き受けてもらえなければ、新たな管理者が見つかるまで防火管理者がいないままの状態で経営を続けるしかありません。

責任を問われる立場になる

防火管理者になれば管理責任を問われる可能性があります。
入居者の中から選任される場合は、責任の面が不安やストレスとなり嫌がられるケースは多いです。

防火管理者は委託も可能!

自身で防火管理者を引き受けることができない、入居者の中からも管理者を引き受けてくれる人物がいない場合は、管理者の委託も可能です。

委託するメリット・デメリット

防火管理者の業務を委託できれば負担を軽減できます。
管理者が変わる場合も新たに住人の中から選ぶ必要がないので募集する手間もありません。
また、消防署による査察がある場合も管理会社が立ち会ってくれるため安心です。
委託する会社によっては物件に応じた防火対策のアドバイスも行ってくれるため、より安心できる物件を目指すこともできます。
しかし、委託するとなれば費用が発生するので注意してください。
地域によっては、委託が認められないケースもあるため、事前によく確認しておきましょう。

委託には条件がある

条件に当てはまっていれば防火管理者の委託が可能です。
委託の条件については、消防法施行令にて規定されています。

・共同住宅または複合用との共同住宅部分
・防火対象物の収容人数が飲食店等の特定用途であれば30人未満、非特定用途であれば50人未満
・遠方に住んでいる
・管理上必要な業務が適切に実施できない など

これらの条件に当てはまっている限りは委託できます。
詳しい条件に関しては、それぞれの自治体や消防署に直接相談してみましょう。

委託できる部分には種類がある

委託は、主に一部委託と外部委託の2種類に分けられます。

【一部委託】
防火管理者が定める消防計画の一部のみを委託する方法です。

・常駐方式
防災センターやマンションの管理室で防火管理業務を実施する

・巡回方式
共用部分を見回りしながら防火に関する点検を行う

・遠隔移報方式
待機所において自動火災報知設備の警告を監視し、感知した場合に通報や現場へ駆け付ける

【外部委託】
管理権原者により防火管理者に選任依頼を受けて受託し、防火管理者のすべての業務を担ってもらう方法です。
すべて任せられるので業務の負担が増える心配がありません。

委託会社を選ぶポイント

防火管理者を引き受ける会社は複数存在します。
委託会社を選ぶポイントを解説していきましょう。

消防法に精通した会社

消防法に精通した会社であることが基本です。
防火管理者といっても担う業務はたくさんあります。
消防計画だけではなく、消防訓練の企画や実施、消防設備の点検など、それぞれ適切に行っていかなければいけません。

消防法を正しく理解し、すべてや一部を安心して任せられる会社に委託をしましょう。

問題発生時にも速やかに行動してくれる会社

計画をするだけが防火管理者の仕事ではありません。
実際に火事が発生した際には素早い行動が大切です。
問題が発生しても大家任せにするような会社であれば委託をする意味がありません。

適切な方法で動き、解決案を提供してくれるような会社選びをしましょう。

委託の費用は?

防災管理者の仕事を委託する場合、費用が発生します。
基本的には初期費用プラス月額料金となります。

月々に発生する費用としては、物件の大きさによって違うケースもあるので、依頼をする会社に問い合わせてみましょう。
会社によっても費用は違うので、見積もりを複数社からもらい、担当者との相性も考慮しながら最適な委託会社を選んでください。
中には、高額な費用を請求してくる会社もあります。
費用を支払ったにも関わらず、以下のような特徴を持つ会社もゼロではありません。

・防災に関する計画が適当
・適切な計画がされていない
・避難訓練の未実施

口コミを参考にしながら信頼できる会社選びをしていきましょう。

防火管理者の資格を取得するには?

防火管理者の資格は、防火管理講習を受講すれば取得できる資格です。
防災に関する知識がなくても、講習を受講して修了試験に合格できれば、防火管理者試験の要件を満たすことができます。
ここでは、防災管理者になるための要件や資格取得までの流れ、資格の有効期限と再発行の手続きについて紹介します。

防火管理者になるための要件

一般財団法人日本防火・防災協会の「防火管理講習」のページには、防火管理者の要件が説明されています。
防火管理者は誰でもなれるわけではなく、選任されるには以下の要件を満たす必要があります。

・防火管理業務を適切に遂行できる地位(オーナーや店長など権限がある立場)にある
・防火管理講習を修了し、一定の学識経験(防火管理上必要な知識や技能)がある

学識経験とは、市町村の消防職員として管理・監督的な立場で1年以上職に就いている、建築主事または一級建築士の資格を持ち、1年以上防火管理の実務経験がある者など、防災に関する知識や経験が必要とされます。
しかし、そういった経験がない場合は、防火管理講習を修了できれば、防火管理者の要件は満たすことができます。
防火管理者の資格を取得したければ、講習を受講して資格取得を目指すと良いでしょう。

防火管理講習を受けよう

防火管理講習は「甲種防火管理新規講習」「乙種防火管理講習」「甲種防火管理再講習」と3つに分かれています。
選択した講習によって講習内容と所要時間が変わってきます。

【甲種防火管理新規講習】

・講習内容
防火管理についての意義や制度、防火管理における訓練・教育、消防計画、火気管理や施設・設備の維持管理を学ぶ
・講習時間:約10時間(2日間講習)
・受講料:8,000円

【乙種防火管理講習】

・講習内容:甲種防火管理新規講習の中から基本となる知識・技能を学ぶ
・講習時間:約5時間(1日間講習)
・受講料:7,000円

【甲種防火管理再講習】

甲種防火管理再講習は、収容人数300人以上の特定防火対象物の防火管理者に選任されている方が受ける講習です。
すでに甲種防火管理新規講習を修了した方が対象となっています。

・講習内容:法令改正の概要、火災事例に関する研究など
・講習時間:約2時間(半日講習)
・受講料:7,000円

防火管理講習の内容は、座学や実技訓練、効果測定があります。
実技訓練は、消火器や避難用具の使い方、地震体験など実践に役立つ知識を体験しながら習得する流れです。
なお、甲種新規講習と乙種講習を同時に実施する場合、甲乙同時講習も選択できます。
自分に必要な資格に併せて受講すると良いでしょう。

資格の有効期限と再発行について

防火管理講習の受講後に修了証が発行されます。
修了証の発行だけでは、防火管理者として認められたわけではありません。
防火管理者に選ばれた場合、消防署へ届出を出す必要があるのです。

「防火管理選任(解任)届出様式」と「消防計画」を消防署へ忘れずに提出しましょう。
また、防火管理者資格には有効期限は設けられていないので、取得した後に更新する必要はありません。
しかし、次の条件に当てはまる場合、講習終了後5年以内に再度講習を受けることが義務付けられています。

【再講習を受けなければならない条件】
・甲種防火管理者
・劇場、ホテル、飲食店など不特定多数の出入りがある建物
・収容人数が300人を超える建物

もし修了証を紛失してしまった場合は再発行が可能です。
一般財団法人 日本防火・防災協会に郵送またはFAXで申請書を送付しましょう。
再発行にかかる手数料は、修了証1枚あたり2,000円かかります。

管理権原者の役割と防火管理者との違いについて

防火管理の重要な役割として防火管理者の他に「管理権原者」があります。
管理権原者は、一般的に賃貸物件の場合は建物の所有者が多いです。
共同住宅の場合、所有者または各住戸の居住者が管理権原者になっています。
民間の賃貸物件では、大家さんに代わって、管理会社が管理権原者となる場合もあるでしょう。
防火管理の最終責任は、防火管理者ではなく管理権原者にあります。

管理権原者の役割は以下のとおりです。

・防火管理者の選任・解任を行う
・消防署長に防火管理者の届け出を提出する
・防火管理者に「消防計画」を作成させ、指示・監督を務める

防火管理者は、管理権原者に選任されます。
賃貸管理会社が管理権原者になった場合、防火管理者を会社で兼任することも可能です。
また、会社からではなく別枠で防火管理者を選定することもできます。
大家さんが管理権原者となり、防火管理者を管理会社に設定するケースもあるでしょう。
管理権原者は 防火管理者に業務上必要な権限を与えた上で、 防火管理者の監督責任を負います。
防火管理に関して賃貸管理会社へ委託する場合は、防災管理制度上で様々なケースが考えられるので注意が必要です。
大家さんが管理権原者で、防災管理や防火管理者の選任を管理会社へ委託した場合、賃貸管理会社が防火管理制度にかかわることはありません。

避難訓練など行う場合のみ、防火管理者に協力する形になるでしょう。
また、大家さんが管理権原者の責任を含め、すべての管理を委託した場合は賃貸管理会社の責任は大きくなります。
いずれにせよ防火管理の最終責任は、管理権原者が持つことだけは認識しておく必要があるでしょう。

防火管理者が実際に行う業務と果たすべき責務

ここでは、防火管理者が行う業務と責務についてご紹介します。

消防計画の作成

消防計画の作成は、防災管理の中でも重要な業務とされています。
防災管理は、建物に関わる多くの人が組織的に行わなければなりません。
万が一のために各自で役割分担や避難する際の行動について消防計画を作成し、明確にしておく必要があります。

消防計画のテンプレートは自治体が公表しているので、記入例に沿って作成すると良いでしょう。
また、消防計画の作成だけでは、従業員などの役割や内容が周知されず、形式的なものになってしまう恐れがあります。
日頃から防災管理についての情報を周知し、必要な訓練など教育する必要があるでしょう。

また、作成した消防計画は消防署への届け出が必要です。
提出後に防火扉や消防用の設備など消防計画の内容に変更があった場合には、変更した内容を再度提出しなければならないので注意しましょう。

防火管理業務

続いて、消防計画に基づく防火管理業務について詳しく紹介しましょう。

消火訓練・避難訓練などの実施

訓練は、消火訓練・避難訓練などの「個別訓練」と火災発生から消火、通報、避難といった一連の流れを通して行う「総合訓練」に分けられます。
特定防火対象物の場合は、年に2回以上の消火訓練・避難訓練を行い、通報訓練も年1回以上行わなければなりません。

総合訓練を実施した場合には、消火・避難・通報訓練を各1回実施したことになります。
訓練を行う際には、事前に消防所へ訓練通知を行って書面による記録を残しましょう。

消防用設備の点検・メンテナンス

防火管理者が行う消防用設備の点検は、専門的なものではなく外観から判断できる日常点検を指します。

・既定の場所へ設置されているか
・消火器の周りに障害物など仕様の妨げになるようなものはないか
・消火器本体に問題や損傷がないか
・消火器の標識の設置
・火災に適応した消火器の設置
・蓄圧式の消火器の圧力計に異常はないか など

日常点検で標識がなくなっていたり、消火器に問題があったりした場合には、交換・設置などのメンテナンス作業を行う必要があります。

火気を取り扱う際の監督

火気を取り扱う際の監督としては、一般的な火気管理、焚火などの制限、喫煙の管理と制限、放火防止対策などが挙げられます。
一般的な火気管理で火を使用する設備(ボイラー・サウナなど)や、ストーブやコンロといった移動可能な器具には、規制する法律が定められています。

具体的には設備周辺に障害物はないか、燃料漏れはないか、定期的なメンテナンスを行っているか、適正な転倒防止措置がされているかなどの管理が必要とされています。
焚火などの制限、放火防止対策などは、建物周辺に不要な可燃物はないか、火の取り扱いは適正かを確認し、定期的な火元点検などが必要になってくるでしょう。

避難・防火設備の維持管理

いざという時のために、避難・防火設備は問題なく使用できる状態に維持しておかなければなりません。
防火戸、防火シャッター、防火ダンパー(延焼遮断装置)、防火区画などの防火設備に妨げになるようなものがないか確認しましょう。

また、避難施設(避難通路・階段、避難口、非常用進入口・エレベーター)に異常がないかも確認します。

収容人数の管理

防火対象物ごとに収容人数が定められています。
建物内で避難が必要になった際、事故やパニックを事前に防止するために過剰な人員を収容しないよう管理が必要です。
収容人数に関しては各市町村の火災予防条例によって規定されているケースがあるので、市町村の条例を確認しましょう。

防火管理上必要となるその他業務

その他の防火管理者の業務として、地震対策や他の事業所の防火管理者などとの連携・連絡についての打ち合わせ、防火管理台帳の記録などがあります。
防火管理台帳は、消防署の立入検査や防火対象物点検の際に必要となる書類です。
引継ぎの防火管理者が困らないよう見やすく編集、保存しておく必要があるでしょう。

適正な業務遂行(管理権原者への報告・連絡・相談)

消防法施行令第3条に、管理権原者に選任された防火管理者は、防火管理に必要な業務を行う場合は、管理権原者に指示を求めて適正に業務を行うよう規定されています。
この法令では形式的な防災管理ではなく、法令や消防計画に沿った防災管理が求められています。
管理権原者への報告・連絡・相談をきちんと行い、適正な防災管理業務をする必要があるでしょう。

業務従事者への指示・監督

事業所の規模によっては、防災管理者1人だけではカバーできない仕事量になる場合もあるでしょう。
その場合、防火管理者業務従事者へ業務の一部を依頼することが可能です。
防火管理者業務従事者とは、防火管理者の管理下で防火管理の任務を任されている従事者を指します。

防火管理者をサポートする業務を行います。
消防法の規定により、防火管理者は防火管理者業務従事者へ業務を依頼した場合、必要な指示を出し、適正に監督しなければなりません。

アパート・マンション用消防計画の作成方法

消防計画は、防火・防災管理の基本方針です。
ここでは、アパート・マンション用消防計画の作成方法について紹介します。

消防計画の作成は必須

消防法第3条で、防火管理者は、「管理権原者の指示を受けて消防計画を作成し、防火管理選任届出書によりその旨を提出しなければならない」とあります。
防火管理者に選任された際は、消防計画作成届出書と消防計画を作成し、管轄の消防署へ提出する義務があるのです。

消防計画に記載する内容とは?

消防計画に定める事項については以下のとおりです。
防火対象物に応じた内容で作成しましょう。

・自衛・消防隊に関すること
・防火対象物・設備の火災予防上の自主点検に関すること
・消防用設備、特殊消防用設備の点検・整備に関すること
・避難通路や避難口の管理や維持、案内に関すること
・防火シャッター、防火戸などの維持管理に関すること
・収容人数の適正化、定員の遵守に関すること
・従業員に対して防火上必要になる教育に関すること
・消火・通報・避難訓練の実施に関すること
・災害が発生した場合の通報連絡、消火活動、避難誘導に関すること
・防火管理について内容変更、防災管理者の選任など消防機関との連絡に関すること
・増築、移転など模様替えの工事中の防火対象物における防火管理者・補助者の立会い、その他火気の使用又は取扱いの監督に関すること 
・その他、防火対象物における防火管理に関する必要なことなど

消防計画書は、誰が見てもわかりやすく、実行しやすいものにする必要があります。
消防機関やその他の事業所の防災管理者、関係者と協議して、実効性のあるものにすると良いでしょう。

今回は防災管理者について、その必要性や業務内容、資格取得方法について紹介しました。
防災管理者資格は、賃貸物件・学校・病院・工場・百貨店など、多くの施設で必要となる資格です。
防災管理講習を受ければ誰でも取得でき、有効期限もないので取得しやすい資格とも言えるでしょう。
防災管理を賃貸管理会社に委託するとしても、防火管理の最終責任は管理権原者が負担します。
そういった面からも、必要な防災知識が習得できる防災管理者資格は取得する価値のある資格だと言えるでしょう。

防火管理者に関するよくある質問

Q1. アパートにも防火管理者は必要?

収容人数が50人以上の共同住宅では防火管理者の選任が必要です。小規模なアパートでは不要なケースもありますが、物件規模を確認しましょう。

Q2. 防火管理者の資格はどうやって取得する?

各地の消防署や日本防火・防災協会が実施する講習を受講して取得します。甲種は2日間、乙種は1日間の講習です。

Q3. 防火管理者を選任しないとどうなる?

消防法違反となり、30万円以下の罰金または拘留が科せられる可能性があります。管理責任を果たすためにも早めの選任が重要です。

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

INA&Associates株式会社 代表取締役社長。首都圏・近畿圏を中心に不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントを統括。収益不動産投資戦略と超富裕層向け不動産コンサルティングを専門領域とする。

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

合格・取得資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
  • 甲種防火管理者
  • 競売不動産取扱主任者
  • マンション維持修繕技術者
  • 貸金業務取扱主任者