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COLUMN

新築マンションのメリット・デメリット|中古との価格差を比較

2026年首都圏は新築㎡単価151.4万円、築5年以内の中古153.1万円。新築プレミアムの下落率、住宅ローン控除の新築・中古差を一次データで比較します。

最終更新: 約31分で読めます

2026年上半期の首都圏では、新築分譲マンションの㎡単価が151.4万円(不動産経済研究所、2026年7月21日発表)であるのに対し、築5年以内の中古マンションの成約㎡単価は153.1万円(東日本不動産流通機構、2026年7月17日公表)と、単価では中古が新築を上回っています。新築か中古かは「どちらが安いか」では決まりません。住宅ローン控除・固定資産税・仲介手数料・修繕積立金まで含めた総額で判断する問題です。

この記事は、購入する物件をすでに数件まで絞り込み、「同じ予算なら新築か、それとも築浅・築古の中古か」を最終的に決めようとしている方に向けて書いています。メリットとデメリットを言葉で並べるのではなく、新築プレミアムが築年帯ごとに何パーセント消えるのか、2026年入居分の住宅ローン控除で新築と中古の差はいくらになるのか、新築だけが受けられる減税はいくらかを、すべて一次情報の数値と出典付きで示します。

この記事のポイント

  • 新築プレミアムは築年帯で数値化できます。新築㎡単価151.4万円に対し、~築10年の中古は130.9万円で13.5%減、~築20年は97.7万円で35.5%減、築30年超は47.1万円で68.9%減です。
  • 一方で築5年以内の中古は153.1万円と新築を上回っており、「新築だから割高」という前提は2026年の首都圏では成り立ちません。
  • 令和8年度税制改正で既存住宅(中古)の住宅ローン控除が拡充され、ZEH水準省エネ住宅なら新築と同じ3,500万円(子育て世帯等4,500万円)×13年になりました。
  • ただし省エネ性能を証明できない中古は「その他住宅」扱いで2,000万円×10年にとどまり、控除の上限額に最大269.5万円の差が出ます。
  • 固定資産税の1/2減額はマンションで5年間、認定長期優良マンションで7年間。新築だけの制度で、中古には適用がありません。
  • 修繕積立金の積立方式は全体で段階増額積立方式が47.1%を占め、完成年次が新しいマンションほどこの方式の割合が高くなります。入居時に提示された金額だけで維持費を判断すると後で足りなくなります。

新築マンションと中古マンション、価格差は実際どれくらいか

2026年の首都圏では、新築と中古の価格差は「新築が2〜4割高い」といった一律の割合では説明できません。㎡単価で比べると、築5年以内の中古は新築とほぼ同水準か、わずかに上回っています。差がはっきり開くのは築10年を超えたあたりからです。まず新築側と中古側の実数を並べます。

首都圏の新築マンションは平均1億135万円・㎡単価151.4万円(2026年上半期)

不動産経済研究所が2026年7月21日に発表した「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2026年上半期(1〜6月)」によると、2026年1〜6月の首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の新築分譲マンションは、発売戸数7,989戸(前年同期比0.8%減)、戸当たり平均価格1億135万円、㎡単価151.4万円でした。平均価格が1億円を超えたのは上半期として初めてで、前年同期比では平均価格が13.1%、㎡単価が12.1%の上昇です。初月契約率は64.8%でした。

エリア別の㎡単価は、東京23区222.6万円(平均価格1億4,249万円)、東京都下111.8万円(同7,550万円)、神奈川県123.4万円(同8,346万円)、埼玉県98.5万円(同6,469万円)、千葉県124.6万円(同8,997万円)です。首都圏の平均値は23区の高単価に強く引っ張られているため、検討エリアが23区外であれば、そのエリアの数値で比較したほうが実感に近くなります。

築年帯別に見た中古マンションの㎡単価と成約価格(レインズ 2026年4〜6月)

中古側は、東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が2026年7月17日に公表した「REINS TOPIC 首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2026年04〜06月】」の実成約データが基準になります。首都圏全体の成約は11,849件、平均㎡単価83.1万円、平均成約価格5,202万円でした。築年帯別に見ると次のとおりです。右端の列は、新築の㎡単価151.4万円を100としたときの下落率です。

築年帯成約件数㎡単価成約価格専有面積新築㎡単価との差
新築(参考)発売7,989戸151.4万円10,135万円
~築5年706件153.1万円9,448万円61.7㎡+1.1%
~築10年1,197件130.9万円7,757万円59.2㎡−13.5%
~築15年994件124.4万円7,916万円63.6㎡−17.8%
~築20年1,202件97.7万円6,536万円66.9㎡−35.5%
~築25年1,407件93.1万円6,512万円69.9㎡−38.5%
~築30年1,327件76.7万円5,211万円67.9㎡−49.3%
築30年~5,016件47.1万円2,767万円58.7㎡−68.9%
合計11,849件83.1万円5,202万円62.6㎡−45.1%

出典:東日本不動産流通機構「REINS TOPIC 首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2026年04〜06月】」、不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2026年上半期」。新築㎡単価との差は、新築151.4万円を基準に当社で算出した参考値です。

都区部に限れば、~築5年の中古は㎡単価233.5万円・成約価格1億3,848万円と、23区の新築(222.6万円)を上回っています。都心の築浅中古は、新築より高い単価で取引されているのが実勢です。

「新築プレミアム」は何パーセントか

新築プレミアムとは、モデルルームの設営費・広告宣伝費・販売人件費など、住まいそのものの価値ではない販売コストが分譲価格に上乗せされている部分を指します。これらは引渡しと同時に回収できない費用になるため、購入直後に中古市場で売却すると、購入価格を下回りやすくなります。

上の表で言えば、新築151.4万円に対して~築10年が130.9万円ですから、10年で㎡単価は13.5%下がっています。~築20年では35.5%、築30年超では68.9%です。ここで注意したいのは、この下落幅は新築プレミアムの消滅だけを表しているわけではないという点です。築年数が進むほど、建物の経年劣化、設備の陳腐化、耐震基準や省エネ性能の世代差、当時の分譲価格水準の違いが積み重なって単価差を作ります。「引渡し直後に何パーセント下がるか」を単独で示す公的な統計はありませんので、この表は「築年帯ごとに市場がいくらで評価しているか」を読むための材料として使ってください。

平均価格と成約価格を単純比較してはいけない理由

新築の1億135万円と中古の5,202万円を並べて「新築は倍近く高い」と結論づけるのは誤りです。両者は母集団も集計方法も供給エリア構成も違います。

  • 新築の数値は「発売された物件の売出価格の平均」、中古の数値は「実際に成約した価格の平均」です。売出しと成約は別のものです。
  • 新築は発売戸数の33.6%を東京23区が占め、高額物件が平均を押し上げます。中古は築30年超の成約が5,016件と全体の42%を占め、平均を押し下げます。
  • 専有面積が違います。新築の平均専有面積は公表値の平均価格と㎡単価から約67㎡相当ですが、中古の平均は62.6㎡です。

比較する際は、戸当たりの総額ではなく㎡単価で、かつ同じエリア・同じ築年帯で並べてください。この記事の表を㎡単価中心に構成しているのはそのためです。

新築マンションのメリットは何か

新築の優位性は、設備の新しさよりも「制度で担保されている部分」にあります。省エネ基準への適合義務、品確法による10年間の瑕疵担保責任、資力確保措置、固定資産税の減額。いずれも中古では原則として得られないものです。

2025年4月からすべての新築住宅に省エネ基準適合が義務付けられた

令和4年の建築物省エネ法改正により、原則としてすべての新築住宅・非住宅に省エネ基準への適合が義務付けられました(国土交通省「【建築物省エネ法第10条】省エネ基準適合義務の対象拡大について」)。全面義務化は令和7年(2025年)4月1日施行で、施行日以後に工事に着手する建築物が対象です(床面積10㎡以下の建築を除く)。適合の確認は建築確認の中で、構造安全規制などの適合性審査と一体的に行われます。

これは断熱性や設備効率という住み心地の話にとどまりません。後述する住宅ローン控除の借入限度額が省エネ性能の区分で決まるため、「新築であれば少なくとも省エネ基準適合住宅の区分に入る」ことが、そのまま税制上の下支えになります。既存住宅は義務の対象外ですので、同じ築年でも性能にばらつきが残ります。

品確法と住宅瑕疵担保履行法による10年間の保証

新築マンションでは、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について、引渡しから10年間の瑕疵担保責任が売主に課されます。根拠は住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)です。基礎・柱・壁・屋根などが対象で、内装や設備機器は対象外ですので、そこは分譲会社やメーカーの個別保証の範囲を確認することになります。

さらに実務上重要なのが、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(住宅瑕疵担保履行法)です。新築住宅を引き渡す売主・請負人には、保険加入または保証金の供託という資力確保措置が義務付けられています(平成21年10月1日以降の引渡し分)。売主が倒産した場合でも、保険法人から補修費用が支払われる仕組みが用意されているということです。この資力確保措置は新築住宅を引き渡す売主・請負人に課される義務ですので、個人が売主となる中古取引は対象外です。中古では契約不適合責任の期間を契約で短く限定する特約が置かれることもありますので、期間と対象範囲を契約書で確認してください。

竣工内覧会で不備を補修してもらえる

引渡し前の内覧会(竣工内覧会)で、傷・汚れ・建具の建付け・水まわり設備の動作などを確認し、引渡しまでに補修を受けられます。中古マンションは原則として現況有姿での引渡しですので、この工程があること自体が新築の実務的な利点です。中古を選ぶ場合に契約前後で何を確認すべきかは、中古マンション契約時に重要事項説明書と付帯設備表で確認すべきポイントにまとめています。

固定資産税が5年間1/2になる――新築だけの減額措置

新築住宅には、固定資産税の税額を1/2に減額する措置があります。期間は戸建て3年間、マンション5年間。認定長期優良住宅であれば戸建て5年間、マンション7年間に延びます。令和8年度税制改正でこの措置は5年間(令和8年4月1日〜令和13年3月31日)延長され、対象床面積の下限が原則40㎡(現行50㎡)に緩和されました(一定のハザードエリア内の住宅は対象外)。

国土交通省の推計では、2,500万円の住宅を新築した場合の3年目までの固定資産税額は、特例がない場合18.2万円/年、特例がある場合9.1万円/年で、3年間で約27万円の負担軽減となります。この推計は戸建ての3年間を前提にしたものですが、マンションは同じ1/2減額が5年間続きますので、軽減される期間はより長くなります。中古マンションにはこの減額はありません。

新築マンションのデメリットは何か

新築の弱点は、価格そのものよりも「購入時点では確認できない部分がある」ことに集約されます。引渡し後に価値がどう動くか、維持費が将来いくらになるか、実物が図面どおりか。この3つを順に見ます。

引渡し時点で販売コスト分の価値が落ちる

前述のとおり、分譲価格にはモデルルーム設営費・広告宣伝費・販売人件費といった販売コストが含まれています。これらは購入者が住まいとして使える価値ではないため、引渡し直後に売却すると回収しにくくなります。短期間での住み替えや売却が視野に入っている場合は、この点を織り込んで購入判断をしたほうが安全です。逆に10年以上住み続ける前提なら、下落の影響は居住によって得られる価値に薄められていきます。

修繕積立金が段階増額積立方式で設定されていることが多い

これは新築マンション特有の、しかも見落とされやすい論点です。国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」によると、修繕積立金の積立方式は均等積立方式が40.5%、段階増額積立方式が47.1%で、完成年次の新しいマンションほど段階増額積立方式の割合が多いという結果が出ています。段階増額積立方式とは、当初の月額を低く設定し、数年ごとに引き上げていく方式です。

つまり、新築の販売時に提示される修繕積立金は、将来必要な水準ではなく「入口の金額」であることが多いということです。実際にどの程度のギャップがありうるかを、実額と国のガイドラインの目安で並べます。

指標金額(月/戸)出典
管理費(駐車場使用料等からの充当額を除く)11,503円令和5年度マンション総合調査
管理費(充当額を含む総額)17,103円同上
修繕積立金(充当額を除く)13,054円同上
修繕積立金の目安(20階未満・建築延床5,000〜10,000㎡未満)252円/㎡・月(幅170〜320円)
70㎡なら月17,640円(幅11,900〜22,400円)
マンションの修繕積立金に関するガイドライン

ガイドラインの目安(平均252円/㎡・月)を70㎡に当てはめると月17,640円になり、実際の平均積立額13,054円との間に月4,000円強の開きがあります。20階以上のタワー型では目安が338円/㎡・月(幅240〜410円)とさらに高く、機械式駐車場がある場合は別途加算が必要とされています。この目安は366事例の長期修繕計画から算出されたものです。

修繕積立金の残高が長期修繕計画に対して不足しているマンションの割合 円グラフ
修繕積立金の残高が計画に対して不足しているマンションは36.6%(出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果(とりまとめ)」

同調査では、現在の修繕積立金の残高が長期修繕計画に対して不足しているマンションが36.6%、そのうち不足額が計画の20%を超えるものが11.7%ありました。一方で、過去5年以内に新築されたマンションのうち、計画期間30年以上の長期修繕計画に基づいて積立金を設定している割合は75.3%(前回43.3%)まで改善しています。新築を検討する際は、販売資料の「長期修繕計画の期間」と「積立方式」を見て、段階増額の場合は何年目にいくらまで上がる計画かを確認してください。

完成前契約では実物を見ずに判断せざるを得ない

青田売り(完成前の販売)では、モデルルームと図面、仕様書だけで契約することになります。眺望、日照、隣戸からの生活音、共用廊下との位置関係などは、竣工してみないと分かりません。中古であれば実物と管理状態、住民の雰囲気、掲示板の内容まで見たうえで判断できます。「実物を確認してから決めたい」という優先度が高い方には、この点だけでも中古を選ぶ理由になります。

【2026年最新】住宅ローン控除は新築と中古でどう違うか

2026年に入居する方にとって、新築と中古の判断軸を最も大きく動かしたのが住宅ローン控除の改正です。令和8年度税制改正により、質の高い既存住宅(中古)の借入限度額と控除期間が拡充され、ZEH水準省エネ住宅であれば新築と同じ条件になりました。従来「控除枠は新築が有利」とされてきた前提は、2026年以降は性能区分次第で変わります。

令和8〜12年の住宅ローン減税の概要 借入限度額と控除期間の一覧表
令和8〜12年の住宅ローン減税の概要(出典:国土交通省「住宅ローン減税」

令和8年度税制改正で既存住宅の借入限度額・控除期間が拡充された

国土交通省「令和8年度税制改正概要」(令和7年12月)によると、住宅ローン減税は適用期限が5年間延長され、2026年(令和8年)から2030年(令和12年)入居分が対象になりました。控除率は0.7%で据え置きです。あわせて、省エネ性能の高い既存住宅について借入限度額の引上げ・子育て世帯等への上乗せ・控除期間13年への拡充が行われ、床面積要件は原則40㎡以上に緩和されました。

新築・既存の借入限度額比較表(2026〜2030年入居分)

住宅の性能区分新築既存(中古)
認定長期優良住宅・低炭素住宅4,500万円(5,000万円)×13年
※買取再販を含む
3,500万円(4,500万円)×13年
ZEH水準省エネ住宅3,500万円(4,500万円)×13年
※買取再販を含む
3,500万円(4,500万円)×13年
省エネ基準適合住宅2,000万円(3,000万円)×13年
※2028年入居分から支援対象外。ただし2027年末までに建築確認を受けたもの等は2,000万円×10年
2,000万円(3,000万円)×13年
※買取再販を含む
その他住宅(省エネ基準を満たさない)原則支援対象外2,000万円×10年(増改築・リフォームを含む)
※買取再販を含む

カッコ内は子育て世帯等(19歳未満の子を有する世帯、または夫婦のいずれかが40歳未満の世帯)に適用される借入限度額です。所得要件は2,000万円、床面積要件は40㎡以上(所得1,000万円超の方および子育て世帯等への上乗せ措置を利用する方は50㎡以上)。令和10年以降の入居分からは、土砂災害特別警戒区域などの災害レッドゾーンにある新築住宅が適用対象外になります(建替え・既存住宅・リフォームは対象)。買取再販住宅は新築住宅と同等の支援水準とされていますが、省エネ基準適合住宅・その他住宅の区分では既存住宅と同じ限度額・控除期間が示されています。この表で読み取るべき点は2つです。ZEH水準では新築と中古が完全に並んだこと、そして新築の省エネ基準適合住宅が2,000万円に下がり2028年入居から対象外になることです。

13年間の控除上限シミュレーション

控除率0.7%で、借入限度額いっぱいまで年末残高がある場合の上限額を計算すると次のようになります。

ケース借入限度額年間控除上限控除期間合計上限
新築・認定長期優良住宅(子育て世帯等)5,000万円35万円13年455万円
新築・認定長期優良住宅(一般)4,500万円31.5万円13年409.5万円
中古・ZEH水準省エネ住宅(子育て世帯等)4,500万円31.5万円13年409.5万円
中古・認定長期優良住宅(一般)3,500万円24.5万円13年318.5万円
中古・その他住宅(省エネ性能の証明なし)2,000万円14万円10年140万円

同じ中古でも、省エネ性能を証明できるかどうかで控除の上限が409.5万円と140万円に分かれ、その差は269.5万円に達します。これは物件価格の値引き交渉で動かせる金額を超えることも珍しくありません。

なお、この表はあくまで上限額です。国税庁タックスアンサーNo.1211-1・No.1211-3のとおり、実際の控除額はその年の年末残高等×0.7%(控除限度額まで)で計算され、各年の所得税額から控除する仕組みです。借入額が限度額に届かない場合や、所得税・住民税の負担がそれより小さい場合は、表の金額を全額使い切れるわけではありません。ご自身の借入予定額と源泉徴収票で確認してください。

中古を選ぶなら最初に確認すべきは「省エネ性能の証明書があるか」

中古マンションで住宅ローン控除の拡充を受けるには、省エネ性能を書面で示す必要があります。売買契約を進める前に、仲介会社を通じて「建設住宅性能評価書」「住宅省エネルギー性能証明書」などの有無を確認してください。証明書がない場合、区分は「その他住宅」となり、2,000万円×10年にとどまります。

リノベーション前提で購入する場合は、リフォームによる減税と住宅ローン控除の関係も併せて設計したほうが有利になることがあります。詳しくはリフォーム減税2026年版の控除額早見表と計算例を参照してください。

購入時にかかる費用は新築と中古でどう違うか

物件価格だけを比べていると見落とすのが、新築だけ・中古だけにかかる費用の非対称性です。中古には仲介手数料がかかり、新築には固定資産税の減額がある。この2つが総額に与える影響は数十万円から百万円単位になります。

中古は仲介手数料がかかる(5,000万円で171.6万円)

宅地建物取引業者が売買の媒介で受け取れる報酬の上限は、国土交通省告示(昭和45年建設省告示第1552号、最終改正 令和6年6月21日)で定められています。消費税等相当額を含む上限は、代金のうち200万円以下の部分が5.5%、200万円超400万円以下の部分が4.4%、400万円超の部分が3.3%です。

5,000万円の中古マンションを媒介で購入した場合の上限額を計算すると、200万円×5.5%=11万円、200万円×4.4%=8.8万円、4,600万円×3.3%=151.8万円で、合計171.6万円(税込)となります。よく使われる速算式「(代金×3%+6万円)×1.1」でも同じ金額です。

一方、新築分譲マンションを分譲会社から直接購入する場合(売主直販)は、媒介そのものが存在しないため仲介手数料は発生しません。ただし販売代理会社が入る形態では手数料が発生することがありますので、販売形態を契約前に確認してください。なお、800万円以下の低廉な空家等については特例があり、依頼者から受ける報酬は33万円(30万円の1.1倍)が上限とされています。中古購入時の諸費用全体の組み立ては中古マンション購入時にかかる諸費用の全体像で整理しています。

新築だけ・中古だけにかかる費用の比較

項目新築分譲マンション中古マンション
仲介手数料売主直販なら発生しない媒介では400万円超の部分3.3%が上限(5,000万円で171.6万円)
固定資産税の新築減額税額1/2。マンション5年間、認定長期優良マンション7年間適用なし
不動産取得税の課税標準控除1,200万円(認定長期優良住宅は1,300万円)新築された時期に応じた控除額。時期が古いほど小さくなる
住宅ローン控除の借入限度額(最上位区分)4,500万円(子育て世帯等5,000万円)×13年3,500万円(同4,500万円)×13年
修繕積立金の見通し段階増額積立方式のことが多く、将来額は計画書で確認する現在の積立額・残高・過去の値上げ履歴を購入前に確認できる
価格交渉の余地分譲価格が基準で、原則として限定的売主の事情により余地がある

新築は不動産取得税の控除が1,200万円(認定長期優良は1,300万円)

令和8年度税制改正では、認定長期優良住宅に係る特例措置も5年間延長されました。不動産取得税の課税標準からの控除額は、一般住宅の1,200万円に対して認定長期優良住宅は1,300万円です。中古住宅にも控除は用意されていますが、控除額は新築された時期に応じて決まり、古い物件ほど小さくなります。具体的な金額は物件所在地の都道府県の案内で確認してください。中古の取得税の計算方法と軽減要件については中古マンションの不動産取得税の計算例と軽減要件にまとめています。

データで見る「いま誰が新築を買い、誰が中古を買っているか」

制度と価格を並べたところで、実際の購入者像も確認しておきます。住宅金融支援機構が2026年7月24日に公表した「2025年度【フラット35】利用者調査結果」(借換えを除く35,553件)が一次データです。

平均所要資金5,882万円 vs 3,602万円、平均世帯年収1,041万円 vs 745万円

項目マンション(新築)中古マンション
平均所要資金5,882万円(前年度+290万円)3,602万円(前年度+569万円)
平均世帯年収1,041万円(前年度+2万円)745万円(前年度+95万円)
利用割合7.9%(前年度+0.7pt)15.4%(前年度+1.1pt)
平均築後年数28.7年(前年度−1.6年)

所要資金の差は2,280万円、世帯年収の差は296万円です。興味深いのは、中古マンションの所要資金が前年度から569万円増えており、新築の増加額290万円を上回っている点です。中古の価格上昇のほうが速く進んでいることが、レインズの成約データとも整合します。利用者全体の平均年齢は43.3歳、平均総返済負担率は22.8%でした。

中古住宅の利用割合が調査開始以来初めて最多に(35.9%)

同調査で、融資区分(建て方)別の利用割合は中古住宅(中古マンション+中古戸建)が35.9%(前年度+1.1pt)で最多となりました。中古住宅が最多になるのは2004年度の調査開始以来初めてです。内訳は中古戸建20.5%、中古マンション15.4%。分譲住宅は31.4%(うちマンション7.9%、建売住宅23.5%)、注文住宅は32.7%でした。

価格上昇のなかで、購入者の選択が中古に移っているという構造変化がデータに表れています。ただしこれは「中古のほうが得だから」という単純な話ではなく、新築の供給戸数そのものが上半期7,989戸と5年連続で減少していること、価格が世帯年収の伸びを上回って上昇していることの結果でもあります。中古を選ぶ場合の価格交渉の考え方は中古マンションの値引き相場と交渉の進め方で解説しています。

新築と中古、どちらを選ぶべきか――目的別の判断基準

ここまでの数値を踏まえると、判断軸は「新築か中古か」ではなく「省エネ性能の区分」「居住予定年数」「維持費の見通しをどこまで確認できるか」の3つに整理できます。

新築が向いているケース

  • 10年以上住み続ける前提がある。販売コスト分の下落を、居住期間で吸収できます。
  • 子育て世帯等に該当し、認定長期優良住宅を選べる。借入限度額5,000万円×13年で、控除の上限が最大455万円になります。
  • 省エネ性能と保証を書面で確保したい。省エネ基準適合が義務化され、品確法の10年保証と資力確保措置が付きます。
  • 固定資産税の減額期間を活かしたい。マンションで5年間、認定長期優良マンションで7年間、税額が1/2になります。

中古が向いているケース

  • 立地を最優先したい。新築の供給がないエリアでも、中古なら選択肢があります。
  • 築10〜20年帯のコストパフォーマンスを取りたい。㎡単価は新築比13.5〜35.5%減で、建物の傷みはまだ限定的な帯です。
  • 実物と管理状態を見て決めたい。長期修繕計画、積立金残高、総会議事録まで確認したうえで契約できます。
  • 省エネ性能の証明書がある物件を選べる。ZEH水準なら住宅ローン控除は新築と同条件になります。
  • リノベーション前提で、内装を自分の使い方に合わせたい。リフォーム減税との組み合わせも設計できます。

判断の前に確認する5項目

  1. 省エネ性能の区分と証明書の有無。住宅ローン控除の借入限度額は区分によって2,000万円から5,000万円まで開きます。中古では書面の有無が分岐点です。
  2. 長期修繕計画の期間。30年以上の計画に基づいて積立金が設定されているかを見ます。新築では75.3%が該当します。
  3. 修繕積立金の積立方式。段階増額積立方式なら、何年目にいくらまで上がる計画かを数字で確認します。
  4. 積立金残高が計画に対して不足していないか。中古では36.6%のマンションで不足が生じています。総会議事録と長期修繕計画で照合します。
  5. 建築年と耐震性。中古で住宅ローン控除を受けるには、登記簿上の建築日付が昭和57年(1982年)1月1日以後であることが要件です。それ以前の物件は、耐震基準適合証明書などで耐震基準を満たすことを示す必要があります(国税庁タックスアンサーNo.1211-3)。

私たちは、購入のご相談をいただいたとき、良い面と同じ密度で不利な面もお伝えするようにしています。新築の販売資料に載っている修繕積立金が入口の金額であること、中古に証明書がなければ控除が10年で止まること。こうした情報を先に共有しておくほうが、結果として長くお付き合いいただける関係になると考えているからです。

よくある質問(FAQ)

Q. 新築マンションと中古マンション、価格差はどのくらいですか?

A. 2026年の首都圏では、㎡単価で見ると新築151.4万円に対し、~築5年の中古153.1万円、~築10年130.9万円、~築20年97.7万円、築30年超47.1万円です。築浅中古はむしろ新築より高く、差が開くのは築10年を超えてからです。新築の平均価格1億135万円と中古の平均成約価格5,202万円を単純に比べると差が過大に見えますが、両者は母集団も集計方法も供給エリア構成も異なりますので、同じエリア・同じ築年帯の㎡単価で比較してください。

Q. 新築プレミアムとは何ですか?何パーセントくらい下がりますか?

A. 新築プレミアムとは、モデルルーム設営費・広告宣伝費・販売人件費など、住まいそのものの価値ではない販売コストが分譲価格に上乗せされている部分を指します。2026年の首都圏の実データでは、新築㎡単価151.4万円に対し~築10年の中古が130.9万円で13.5%減、~築20年が35.5%減、築30年超が68.9%減です。ただしこの下落幅には、販売コストの消滅だけでなく、経年劣化・設備の陳腐化・耐震や省エネ基準の世代差も含まれています。引渡し直後の下落率だけを示す公的統計はありません。

Q. 2026年に入居する場合、住宅ローン控除は新築と中古でどちらが有利ですか?

A. 性能区分によって変わります。ZEH水準省エネ住宅なら新築・中古とも3,500万円(子育て世帯等4,500万円)×13年で同条件です。認定長期優良住宅では新築4,500万円(同5,000万円)に対し中古3,500万円(同4,500万円)で、新築が有利です。逆に省エネ性能を証明できない中古は「その他住宅」となり2,000万円×10年にとどまり、控除の上限は最大269.5万円少なくなります。中古を検討する場合は、住宅省エネルギー性能証明書などの有無を契約前に確認してください。

Q. 新築マンションの10年保証の対象は何ですか?

A. 住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)により、構造耐力上主要な部分(基礎・柱・壁・屋根等)と雨水の浸入を防止する部分について、引渡しから10年間の瑕疵担保責任が売主に課されます。内装や設備機器は対象外ですので、分譲会社やメーカーの個別保証の範囲を確認してください。さらに住宅瑕疵担保履行法により、売主には保険加入または保証金供託という資力確保措置が義務付けられており、売主が倒産した場合でも補修費用が支払われる仕組みが用意されています。

Q. 新築マンションの修繕積立金は将来いくらまで上がりますか?

A. 物件ごとの長期修繕計画によりますが、国土交通省のガイドラインの目安は20階未満・建築延床5,000〜10,000㎡未満で252円/㎡・月(幅170〜320円)です。70㎡なら月17,640円(幅11,900〜22,400円)に相当します。20階以上のタワー型は338円/㎡・月(幅240〜410円)とさらに高く、機械式駐車場がある場合は別途加算が必要とされています。実際の平均積立額は13,054円ですので、販売時に提示された金額と目安の差が大きい物件は、段階増額積立方式で将来引き上げが予定されていると考えて、計画書で年次ごとの金額を確認してください。

引用・参考資料

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

INA&Associates株式会社 代表取締役社長。首都圏・近畿圏を中心に不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントを統括。収益不動産投資戦略と超富裕層向け不動産コンサルティングを専門領域とする。

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

合格・取得資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
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  • 競売不動産取扱主任者
  • マンション維持修繕技術者
  • 貸金業務取扱主任者