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オフィス移転時の原状回復義務とは?事業者が知るべき費用・範囲・交渉術

オフィス移転の原状回復義務を解説。住居と異なり事業用物件は借主負担範囲が広く費用が高額になりやすい。契約確認・スケジュール管理・交渉術まで詳述。

約3分で読めます

オフィス移転が決まると、多くの企業が退去時の原状回復費用に頭を悩ませます。住居用賃貸とは異なり、事業用賃貸では借主の負担範囲が広く、高額請求になりやすい構造があります。移転を円滑に進めるため、原状回復義務の仕組みを正確に理解しておきましょう。

オフィスの原状回復義務とは何か?

原状回復義務とは、賃借物を入居当時の状態に戻す義務です。2020年施行の改正民法621条により明文化され、通常の使用による劣化(経年劣化・通常損耗)は原状回復義務の対象外とされています。

ただし事業用物件(オフィス)では、ほぼ100%の確率で原状回復を求める特約が契約書に盛り込まれます。クロス・床・照明器具など、本来は経年劣化と見なされる部分も借主負担となるケースが多いのが実態です。

オフィスの原状回復義務の範囲はどう決まるのか?

借主が負担すべき損耗

故意・過失によるキズや汚れは借主負担です。遠目から見えるほどの壁のキズ・不注意で開けた穴・清掃不良によるカビなどが該当します。

借主が負担しない損耗

太陽光による壁紙の色褪せ・湿気によるゴムの緩みなど経年劣化、および家具設置による床の凹み・家電裏の電気焼けなど通常損耗は貸主負担が原則です。ただし特約があれば例外となります。

オフィス特有の原状回復項目

  • 間仕切り・パーテーションの撤去
  • 電球・蛍光灯の交換
  • 家具・備品の搬出(設置したものはすべて撤去)
  • OA配線の撤去

原状回復で注意すべき3つのポイント

必ず賃貸契約書を事前確認する

施工業者が指定されている場合は金額交渉の余地が狭まります。複数業者の相見積もりが可能かどうかを事前に確認し、指定がない場合は相見積もりで費用を抑えましょう。

貸主と事前相談を行う

使用感が少なくクロスや床の張り替えが不要な場合は、貸主が工事を免除するケースもあります。退去前に貸主に状態確認を依頼し、不要な工事をなくすことで費用削減につながります。

スケジュールに余裕を持たせる

契約期間満了までに工事を完了しなければ、日割り賃料が発生します。退去6か月前から計画を開始し、業者選定・工事日程・引っ越し準備を並行して進めましょう。

費用目安と削減策

工事内容費用目安(坪あたり)
クロス張り替え3,000〜8,000円
床タイルカーペット張り替え5,000〜15,000円
パーテーション撤去1〜3万円/枚
照明器具交換5,000〜2万円/台

よくある質問(FAQ)

Q. 住居用賃貸とオフィスでは原状回復の範囲は違いますか?

大きく異なります。住居では経年劣化・通常損耗の大部分が貸主負担ですが、オフィスでは特約により借主が広い範囲を負担するのが一般的です。

Q. 原状回復費用の過剰請求に対抗できますか?

まず契約書の内容を精査し、特約に含まれない費用は交渉の余地があります。弁護士や不動産専門家への相談も検討してください。

Q. オフィス移転の原状回復はいつまでに完了させる必要がありますか?

原則として契約終了日までに完了させる必要があります。超過した場合は日割り賃料が発生するため、余裕のあるスケジュール設定が重要です。

Q. 施工業者を自分で選べない場合はどうすればよいですか?

指定業者のみの場合でも複数項目の見積もりを詳細に確認し、不要な工事の省略や交渉を行うことで費用を抑えられる場合があります。

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

保有資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
  • 甲種防火管理者
  • 競売不動産取扱主任者
  • マンション維持修繕技術者
  • 貸金業務取扱主任者