外国人による日本の不動産投資が増加する中、賃貸管理会社が外国人オーナーの物件を管理するケースも増えてきています。日本人オーナーとは異なる手続きや対応が必要になるため、実務上のポイントを整理します。
納税管理人の選定と届出
非居住者である外国人オーナーが日本の不動産を所有する場合、納税管理人の選任が必要です。納税管理人は、確定申告書の提出や税金の納付など、オーナーの納税義務を代行します。
管理会社が対応すべきこと
- オーナーに納税管理人の選任を案内する
- 不動産所在地の税務署に「納税管理人届出書」の提出を確認する
- 届出後は税務署からの書類が納税管理人に届くことをオーナーに説明する
管理会社自身が納税管理人になることも可能ですが、税務申告の責任が生じるため、税理士との連携体制を整えた上で判断する必要があります。
外為法に基づく事後届出
非居住者が不動産を取得した場合、外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づき、取引の翌日から20日以内に日本銀行への届出が必要です。
届出が不要なケース
- 本人や親族の居住用目的で取得した場合
- 本人の事務所用として取得した場合
- 他の非居住者から取得した場合
ただし、別荘やセカンドハウスは「居住用目的」に該当しないため届出が必要です。投資用不動産は基本的に届出対象となります。管理会社として、オーナーに届出の必要性を早期に案内することが重要です。
国内連絡先の登記(2024年4月〜)
2024年4月から、所有権の登記名義人が国内に住所を有しない場合、国内における連絡先の登記が義務化されました。
管理会社が国内連絡先になるケース
管理会社が国内連絡先として登記されることも想定されます。その場合、承諾書と印鑑証明書が必要です。オーナーとの管理委託契約の中で、国内連絡先としての役割を明確にしておくことをおすすめします。
国内連絡先がない場合でも「連絡先がない旨」の登記が必要なため、いずれにしても対応が求められます。
管理費・修繕積立金の取り扱い
マンションの場合、管理費と修繕積立金は毎月の支払いが必要です。非居住者オーナーの場合、以下の対応が必要になります。
- 日本国内の口座からの自動引落し設定の確認
- 管理組合総会への意思表示(委任状対応)の代行
- 各種通知の受領と転送
海外に居住するオーナーとのコミュニケーションは時差やメール中心になるため、管理システムでの情報共有が有効です。チケットベースで対応履歴を可視化し、オーナーがいつでも状況を確認できる体制が信頼構築につながります。
賃料送金の実務
外国人オーナーが海外に居住している場合、賃料の送金方法も事前に取り決めが必要です。
- 国内口座への送金:最もシンプルな方法。オーナーが日本の銀行口座を保有していれば通常の国内振込で対応可能
- 海外口座への送金:手数料が高額になり、送金に数日かかる。月末残高が1億円相当額を超える場合は別途報告が必要
管理委託契約の中で送金方法・手数料負担・送金日を明確に定めておくことが重要です。
入居者対応で注意すべき点
外国人オーナーの物件だからといって、入居者対応が大きく変わるわけではありません。ただし、以下の点は意識しておく必要があります。
- 修繕の承認に時差が生じる可能性がある(緊急対応の権限委譲を事前に取り決める)
- オーナーとの連絡手段(メール・チャットツール等)を確認しておく
- 原状回復や大規模修繕の判断基準を事前に合意しておく
よくある質問(FAQ)
Q. 外国人オーナーとの契約書は外国語で作成する必要がありますか?
法的には日本語の契約書で問題ありませんが、内容理解のために要点の翻訳や、翻訳版の参考提供が望ましいです。登記に外国語書類を使用する場合は和訳文の添付が必要です。
Q. 固定資産税の納付はどうなりますか?
納税管理人が選任されていれば、納税管理人宛に納税通知書が届きます。管理会社が納税管理人でない場合も、納付期限の案内やオーナーへのリマインドは管理品質の観点から有効です。