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外国人オーナーの賃貸管理で押さえるべき実務ポイント|納税管理人・届出・連絡体制

外国人オーナーの賃貸物件を管理する際の実務ポイント。納税管理人の選定、外為法届出、国内連絡先の登記、管理費・修繕積立金の対応まで、管理会社が押さえるべき事項を解説。

最終更新: 約4分で読めます

外国人による日本の不動産投資が増加する中、賃貸管理会社が外国人オーナーの物件を管理するケースも増えてきています。日本人オーナーとは異なる手続きや対応が必要になるため、実務上のポイントを整理します。

納税管理人の選定と届出

非居住者である外国人オーナーが日本の不動産を所有する場合、納税管理人の選任が必要です。納税管理人は、確定申告書の提出や税金の納付など、オーナーの納税義務を代行します。

管理会社が対応すべきこと

  • オーナーに納税管理人の選任を案内する
  • 不動産所在地の税務署に「納税管理人届出書」の提出を確認する
  • 届出後は税務署からの書類が納税管理人に届くことをオーナーに説明する

管理会社自身が納税管理人になることも可能ですが、税務申告の責任が生じるため、税理士との連携体制を整えた上で判断する必要があります。

外為法に基づく事後届出

非居住者が不動産を取得した場合、外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づき、取引の翌日から20日以内に日本銀行への届出が必要です。

届出が不要なケース

  • 本人や親族の居住用目的で取得した場合
  • 本人の事務所用として取得した場合
  • 他の非居住者から取得した場合

ただし、別荘やセカンドハウスは「居住用目的」に該当しないため届出が必要です。投資用不動産は基本的に届出対象となります。管理会社として、オーナーに届出の必要性を早期に案内することが重要です。

国内連絡先の登記(2024年4月〜)

2024年4月から、所有権の登記名義人が国内に住所を有しない場合、国内における連絡先の登記が義務化されました。

管理会社が国内連絡先になるケース

管理会社が国内連絡先として登記されることも想定されます。その場合、承諾書と印鑑証明書が必要です。オーナーとの管理委託契約の中で、国内連絡先としての役割を明確にしておくことをおすすめします。

国内連絡先がない場合でも「連絡先がない旨」の登記が必要なため、いずれにしても対応が求められます。

管理費・修繕積立金の取り扱い

マンションの場合、管理費と修繕積立金は毎月の支払いが必要です。非居住者オーナーの場合、以下の対応が必要になります。

  • 日本国内の口座からの自動引落し設定の確認
  • 管理組合総会への意思表示(委任状対応)の代行
  • 各種通知の受領と転送

海外に居住するオーナーとのコミュニケーションは時差やメール中心になるため、管理システムでの情報共有が有効です。チケットベースで対応履歴を可視化し、オーナーがいつでも状況を確認できる体制が信頼構築につながります。

賃料送金の実務

外国人オーナーが海外に居住している場合、賃料の送金方法も事前に取り決めが必要です。

  • 国内口座への送金:最もシンプルな方法。オーナーが日本の銀行口座を保有していれば通常の国内振込で対応可能
  • 海外口座への送金:手数料が高額になり、送金に数日かかる。月末残高が1億円相当額を超える場合は別途報告が必要

管理委託契約の中で送金方法・手数料負担・送金日を明確に定めておくことが重要です。

入居者対応で注意すべき点

外国人オーナーの物件だからといって、入居者対応が大きく変わるわけではありません。ただし、以下の点は意識しておく必要があります。

  • 修繕の承認に時差が生じる可能性がある(緊急対応の権限委譲を事前に取り決める)
  • オーナーとの連絡手段(メール・チャットツール等)を確認しておく
  • 原状回復や大規模修繕の判断基準を事前に合意しておく

よくある質問(FAQ)

Q. 外国人オーナーとの契約書は外国語で作成する必要がありますか?

法的には日本語の契約書で問題ありませんが、内容理解のために要点の翻訳や、翻訳版の参考提供が望ましいです。登記に外国語書類を使用する場合は和訳文の添付が必要です。

Q. 固定資産税の納付はどうなりますか?

納税管理人が選任されていれば、納税管理人宛に納税通知書が届きます。管理会社が納税管理人でない場合も、納付期限の案内やオーナーへのリマインドは管理品質の観点から有効です。

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

INA&Associates株式会社 代表取締役社長。首都圏・近畿圏を中心に不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントを統括。収益不動産投資戦略と超富裕層向け不動産コンサルティングを専門領域とする。

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

合格・取得資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
  • 甲種防火管理者
  • 競売不動産取扱主任者
  • マンション維持修繕技術者
  • 貸金業務取扱主任者