Skip to content
Real Estate Intelligence
COLUMN

地震保険は必要?仕組み・保険料の決まり方・請求の流れをわかりやすく解説

地震保険の仕組みや火災保険との違い、保険料が決まる要素、賃貸でも加入すべき理由を解説。請求の流れや控除の申請方法、保険の選び方まで網羅的にご紹介します。

最終更新: 約9分で読めます

日本は地震大国と言われ、甚大な被害をもたらす巨大地震が多発しています。石川県能登半島地震(最大震度7)や東日本大震災など、記憶に新しい大規模地震も少なくありません。

いつ起こるかわからない地震に備え、地震保険の仕組みや請求方法、保険の選び方までわかりやすく解説します。賃貸物件にお住まいの方にとっても加入のメリットは大きいため、ぜひ参考にしてください。

地震保険とはどのような保険なのか?

地震保険は、地震・火山の噴火・津波によって建物や家財が損害を受けた場合に補償する保険です。免震構造や耐震構造の物件でも、地震による火災で被害を受ける可能性があります。

火災保険では地震・噴火・津波が原因の火災や損壊は補償対象外となる商品が多いため、地震保険への加入は非常に重要です。

地震保険と火災保険はどう違うのか?

地震保険と火災保険は保険料の仕組み、補償内容、税制上の扱いが異なります。

保険料の違い

火災保険の保険料は保険会社が自由に設定できますが、地震保険は政府と民間の共同運営のため保険料が統一されています。そのため保険会社ごとの比較検討は不要です。

補償内容の違い

火災保険は火災や自然災害全般で受けた損害を補償しますが、地震保険は地震・噴火・津波が原因の損害に特化しています。地震保険の対象は住居用建物および家財のみで、火災保険のように盗難や落雷単体は含まれません。

所得控除の対象か否か

地震保険は所得控除の対象ですが、火災保険は2007年以降対象外となっています。

地震保険料はどのように決まるのか?

地震保険料は、建物の構造・耐震性能・所在地・契約期間の4つの要素によって決まります。

建物の構造

構造は「イ構造」(コンクリート造・鉄骨造など)と「ロ構造」(木造など)に分類され、イ構造の方が保険料は安くなります。

建物の耐震性能

耐震性能に応じた割引制度があります。免震建築物割引(50%)、耐震等級割引(10〜50%)、耐震診断割引(10%)、建築年割引(10%)がありますが、重複適用はできません。

建物の所在地

地震動予測地図などのデータをもとに都道府県ごとに保険料率が定められています。太平洋側の都道府県は保険料率が高い傾向にあります。

契約期間

地震保険の契約期間は最長5年です。2年以上の契約で長期係数による割引が適用され、契約期間が長いほど保険料の負担が軽減されます。一括払いにするとさらにお得です。

賃貸暮らしでも地震保険に加入するべきなのか?

結論として、賃貸物件に住んでいても地震保険への加入は強くおすすめします。その理由を3つの観点から解説します。

日本は地震が多い

最大震度5以上の地震では建物の全壊・半壊の可能性が高く、一部破損と判断されるケースも多いです。賃貸物件だから壊れないという保証はありません。

家財の修理・購入費用が高額になる

東日本大震災で被災者生活再建支援制度を申請した人の約半数が、家具・家電・寝具などの購入に50万円以上を費やしています。

住めなくなった場合の費用負担が大きい

引っ越し費用・新居の初期費用・ホテル代など、現在の物件に住めなくなった場合の出費は非常に大きくなります。資金に余裕がない場合こそ地震保険で備えておくべきです。

地震保険料の控除はどのように受けられるのか?

地震保険料を支払っている場合、所得控除を受けることができます。

控除の条件

保険契約者自身、またはその配偶者・親族が所有する居住用建物または家財が対象の地震保険契約が控除の対象です。別荘や空き家は対象外ですが、店舗併用住宅でも居住面積が90%以上であれば全額控除できます。

控除額

所得税では年間の支払保険料が50,000円以下なら全額、50,000円超なら一律50,000円が控除されます。住民税では50,000円以下なら支払額の1/2、50,000円超なら一律25,000円です。

申請方法

会社員は年末調整で申請できます。保険会社から届く地震保険料控除証明書を勤務先に提出し、年末調整書類の該当欄に記入してください。会社経営者や自営業の方は確定申告が必要です。

地震保険金はどのような流れで請求するのか?

地震保険金の請求は、損害確認から保険金支払いまで5つのステップで進みます。

1. 損害部分や状況の確認

建物や家財の被害状況を確認します。安全を確認してから行い、片付け前の写真を様々な角度から撮影しておくことが重要です。

2. 保険会社への連絡

加入している保険会社に連絡し、地震の日時と損害状況を伝えます。電話がつながりにくい場合はウェブから申請しましょう。保険金の請求期限は3年以内です。

3. 訪問での状況確認

保険会社から委託された鑑定人が訪問し、損害状況を確認します。立会いが必要なため予定を合わせましょう。損害内容をメモにまとめておくと伝え忘れを防げます。

4. 保険料の算定と確認

鑑定結果に基づき「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の判定区分が通知されます。保険金の割合は全損100%・大半損60%・小半損30%・一部損5%です。納得できない場合は具体的な証拠を添えて再査定を依頼できます。

5. 保険金の支払い

必要書類と請求書の提出後、原則30日以内に支払われます。大規模災害の場合はそれ以上かかるケースもあります。

地震保険金を請求する際に注意すべきポイントとは?

保険金を確実に受け取るために、以下のポイントを押さえておきましょう。

保険金額の上限を理解する

地震保険は火災保険金額の30〜50%の範囲で設定され、建物5,000万円・家財1,000万円が上限です。生活の安定を目的とした保険であるため、全額補償ではありません。

家財の写真を残す

被害を受けた家財は片付ける前に必ず写真を撮影してください。保険金請求時の重要な証拠になります。

勝手に処分・分解しない

査定が完了するまで損害を受けた家財はそのまま保管しましょう。調査員が実物を確認するケースがあります。

査定に不満があれば相談する

査定結果に納得できない場合は再査定を依頼できます。それでも解決しない場合は、日本損害保険協会の「そんぽADRセンター」に相談することも可能です。

地震保険に加入するための火災保険はどう選べばよいのか?

地震保険は単体では加入できず、火災保険に付帯する必要があります。以下のポイントで火災保険を選びましょう。

地震保険を必ず付帯する

火災保険加入時に地震保険を付帯することで加入できます。地震保険は政府との共同運営のため、どの保険会社でも補償内容に差はありません。

補償範囲を確認する

地震保険の補償内容はどこでも同じですが、火災保険の補償範囲は会社ごとに異なります。賃貸物件の場合は水漏れなどのトラブルに対応した補償があるか確認しましょう。

建物の評価額に応じた保険金額を選ぶ

損害額以上の補償はされないため、建物の評価額に沿った保険金額を設定しましょう。

保険期間と支払い方法を工夫する

長期契約で一括払いにすると保険料を最も抑えられます。火災保険の値上げ局面では特に効果的です。

地震保険に加入する際の注意点とは?

地震保険の仕組みを正しく理解しておかないと、いざという時に戸惑うことがあります。

72時間ルールを知っておく

最初の地震から72時間以内に発生した地震は、規模に関わらず1回の損害としてカウントされます。

全損認定で契約が終了する

全損と認定され保険金が満額支払われると、地震保険契約は終了します。新しく建物を建築した場合は改めて加入が必要です。全損以外であれば保険金額は減少せず契約は継続します。

全損認定は少ない

東日本大震災のデータでは、建物の全損認定は3.3%に対し一部損が54.6%と最も多くなっています。地震保険だけで災害時の補償をすべてまかなうのは難しいことを認識しておきましょう。

賃貸物件のオーナーとしても保険は重要な備えです。ストレスフリーな管理体制を整えておけば、災害時の入居者対応もスムーズに進められます。

よくある質問(FAQ)

地震保険は火災保険なしで単体加入できますか?

いいえ、地震保険は火災保険に付帯する形でのみ加入できます。火災保険加入時に地震保険の付帯を申し込むか、既に加入中の火災保険に途中から付帯することも可能です。

賃貸で地震保険に入る場合、建物と家財のどちらを対象にすべきですか?

賃貸物件の場合、建物は大家さんの所有物のため入居者は家財のみを対象とした地震保険に加入します。家具・家電・衣類などの補償を受けられるため、加入しておくと安心です。

地震保険の保険料は毎年変わりますか?

地震保険料は数年ごとに改定されることがあります。ただし長期契約で加入している場合は契約期間中の保険料は変わりません。改定前に長期契約で加入しておくと有利な場合もあります。

地震保険金を受け取ったら確定申告は必要ですか?

地震保険金は原則として非課税です。確定申告の必要はありませんが、資産の損害額を超える保険金を受け取った場合は税務上の扱いが異なる可能性があるため、税務署に確認してください。

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

INA&Associates株式会社 代表取締役社長。首都圏・近畿圏を中心に不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントを統括。収益不動産投資戦略と超富裕層向け不動産コンサルティングを専門領域とする。

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

合格・取得資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
  • 甲種防火管理者
  • 競売不動産取扱主任者
  • マンション維持修繕技術者
  • 貸金業務取扱主任者