既存住宅販売量指数の2026年1月分は、全国の合計・季節調整値が137.2となり、前月比3.7%増加しました。中古住宅市場の取引量は一見強く見えますが、戸建、マンション、30㎡未満を除いたマンションでは温度差があります。
この記事のポイント
- 2026年1月の既存住宅販売量指数は、全国合計で前月比3.7%増の137.2でした。
- 戸建住宅は4.6%増、マンションは2.2%増で、伸びの主役は戸建側に寄っています。
- 30㎡未満を除くマンションは0.2%増にとどまり、小型住戸を含む指数との差が残りました。
- 販売量の増加は価格上昇を意味しないため、価格指数や在庫感と合わせて読む必要があります。
既存住宅販売量指数2026年1月は何を示したのか?
2026年1月の既存住宅販売量指数は、中古住宅の取引量が前月より回復したことを示しています。国土交通省の公表資料では、全国の戸建住宅・マンション合計の季節調整値は137.2、前月比は3.7%増でした。
この指数は、建物売買を原因とする所有権移転登記をもとに、個人が取得した既存住宅の販売量を指数化したものです。2010年平均を100としているため、137.2という数字は2010年平均を大きく上回る水準を意味します。
ただし、これは「価格」ではなく「販売量」の指標です。価格の強さを確認する場合は、国土交通省の不動産価格指数や、地域別の成約単価、在庫単価を見る必要があります。販売量と価格を分けて読むことが、市況判断の第一歩です。
以前まとめた既存住宅販売量指数の基礎解説でも触れた通り、この指標は中古住宅市場の流動性を見るための道具です。売れる量が増えているのか、売れにくくなっているのか。その変化を早く掴むために使います。
なぜ3.7%増をそのまま強気材料にしないのか?
3.7%増という数字だけで、中古住宅市場全体が強いと決めるのは早計です。指数の内訳を見ると、30㎡未満マンションを含むかどうかで、見え方がかなり変わります。
国土交通省の資料では、30㎡未満を除いた合計の季節調整値は124.6で、前月比2.8%増でした。合計137.2、前月比3.7%増と比べると、伸びはやや控えめです。つまり、小型マンションを含めた市場の動きが、全体の数字を押し上げている可能性があります。
30㎡未満マンションは、自己居住だけでなく投資用・セカンドハウスとして取得されることもあります。もちろん、指数だけで購入者の目的までは断定できません。しかし、30㎡未満を含む指数と除く指数の差を見ると、実需だけではない動きが混じっているかどうかを点検できます。
私自身、オーナーと市場の話をするときは、最初に「全体の数字」と「除外後の数字」を並べます。表の上では同じ増加でも、そこに含まれる需要の質が違えば、投資判断は変わるからです。数字は結論ではありません。問いを立てる入口です。
戸建住宅とマンションでは何が違うのか?
2026年1月は、戸建住宅の伸びがマンションより大きい月でした。戸建住宅の季節調整値は133.5、前月比4.6%増、マンションは142.2、前月比2.2%増です。
マンションの指数水準は142.2と高く、2010年平均を大きく上回っています。一方で、前月からの伸びは戸建住宅のほうが強く出ました。中古マンションだけが市場を引っ張っているというより、戸建側にも取引量の戻りがあった月と読むのが自然です。
ただし、30㎡未満を除くマンションは115.5、前月比0.2%増にとどまりました。小型住戸を除いたマンション取引は、全体のマンション指数ほど強くありません。この差は、ファミリー向けや実需寄りのマンションを評価するときに見落とせない点です。
高額な中古マンションを検討する投資家は、販売量指数だけでなく、価格指数や売出在庫の推移も見ておくべきです。不動産価格指数2025年11月の解説で整理したように、価格の動きと取引量の動きは同じ方向に進むとは限りません。
地域差から中古住宅市場をどう読むのか?
地域別では、北海道地方が前月比15.1%増、中国地方が10.3%増と大きく伸びました。九州・沖縄地方も3.8%増で、全国平均に近い伸びを示しています。
一方で、名古屋圏は前月比2.7%減でした。愛知県も3.0%減で、全国の増加とは異なる動きです。全国平均が上がった月でも、地域ごとの需給は同じではありません。投資判断では、全国の見出しだけでなく、自分が保有するエリアに近い指標を確認する必要があります。
東京都は合計155.8、前月比3.4%増、大阪府は153.4、前月比2.0%増でした。大都市の指数水準は高いままですが、伸び率は地域によって違います。特に大阪府のマンション指数は188.0と高く、東京の165.6を上回っています。
ここで大切なのは、「指数が高い地域ほど今から買えばよい」と単純化しないことです。指数が高い地域は流動性がある一方、価格も高止まりしやすく、取得後の利回りが薄くなることがあります。だからこそ、購入前には賃料、管理費、修繕費、金利を同じ表に入れて判断する必要があります。
オーナーと投資家は何を確認すべきか?
既存住宅販売量指数を見るとき、オーナーと投資家は「売買しやすい市場か」と「自分の物件の出口に関係するか」を分けて確認するべきです。全国指数が上がっても、保有物件のエリアや間取りと噛み合わなければ、出口戦略には直結しません。
たとえば、都心の30㎡未満ワンルームを持つ投資家なら、30㎡未満を含むマンション指数と除外後の指数差を見ます。郊外の戸建を持つオーナーなら、戸建住宅指数と地域別指数を優先します。所有物件のタイプに近い数字から見るだけで、判断の精度は上がります。
もう一つの確認点は、保有コストです。取引量が増えて出口が見えやすくなっても、金利、修繕費、管理費が上がれば収支は圧迫されます。不動産投資の保有コストが急増している現実と合わせて、売却時期だけでなく持ち続ける力も点検することが大切です。
INAでは、数字を都合よく読むより、デメリットまで含めて正直に見ることを重視しています。市況が良い時ほど、出口の価格、保有中の収支、次に買う資産の質を一体で考えるべきです。長期的に資産を守るには、勢いではなく検証が必要です。
既存住宅販売量指数を実務でどう使うべきか?
既存住宅販売量指数は、単体で売買判断を決める指標ではありません。実務では、価格指数、成約事例、売出在庫、賃料水準、修繕費見通しと組み合わせて使うことで価値が出ます。
短期の売却を検討している場合は、指数の上昇を「買い手が動いているかもしれないサイン」として見ます。ただし、売出価格を強気にしすぎると、流動性がある市場でも成約まで時間がかかります。販売量が増える局面ほど、現実的な価格設定が重要になります。
長期保有を前提にする場合は、指数の高さよりも市場の厚みを見ます。買い手が一定数いる地域か、同じタイプの物件が流通しているか、出口で比較対象になる物件があるか。こうした確認が、将来の売却余地を守ります。
2026年1月の既存住宅販売量指数は、全国では前月比3.7%増と回復感のある数字でした。しかし、戸建、マンション、小型住戸、地域差を分けると、同じ「増加」でも意味は一つではありません。オーナーや投資家に必要なのは、数字を丸ごと信じることではなく、自分の資産に近いところまで分解して読む姿勢です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 既存住宅販売量指数とは何ですか?
A. 既存住宅販売量指数は、登記データをもとに中古住宅の販売量を指数化した国土交通省の統計です。2010年平均を100として、個人が取得した既存住宅の取引量の動きを示します。
Q2. 2026年1月の既存住宅販売量指数は強い数字ですか?
A. 全国合計で前月比3.7%増のため、取引量は前月より強い数字です。ただし、30㎡未満マンションを含むかどうかで見え方が変わるため、内訳の確認が必要です。
Q3. 販売量指数が上がると価格も上がりますか?
A. 販売量指数の上昇は、価格上昇をそのまま意味しません。価格を見るには、不動産価格指数、成約単価、売出在庫、エリア別の需給を合わせて確認する必要があります。
Q4. オーナーはこの指数をどう使えばよいですか?
A. 保有物件のタイプと地域に近い指数を見て、出口戦略や売却時期の参考に使うのが現実的です。全国平均だけで判断せず、戸建・マンション・地域別に分解して確認します。