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投資戦略COLUMN

中国人富裕層が日本の不動産を爆買いしている理由

中国人富裕層が日本の不動産を選ぶ理由と人気エリアを解説。投資利回りや法制度の安定性など、投資魅力を詳しく紹介します。

最終更新: 約25分で読めます

近年、中国人富裕層による日本不動産投資が急速に拡大しています。

中国人投資家が日本の不動産市場に注目する背景には、安定した投資利回り、透明な法制度、そして円安による割安感があります。

本記事では、なぜ中国富裕層が日本の不動産爆買いを続けているのか、その背景にある5つの理由と、投資対象として人気のエリア・物件タイプについて詳しく解説いたします。また、外国人不動産購入に関する法的制限や経営管理ビザを活用した移住についても、不動産業界の専門家として最新情報をお伝えします。

中国人富裕層による日本不動産投資の実態

データで見る投資規模の拡大

中国人不動産投資については、規模の拡大が語られる一方で、国籍別に取得実態を集計した公的統計は存在しません。不動産登記情報には国籍が記録されないためです。公表データで確認できるのは「国外に住所がある者」の取得割合であり、その数字は次章にまとめました。

購入価格帯や決済方法について、国籍別に集計した公的統計は公表されていません。参考になるのは国土交通省が令和7年11月25日に公表した新築マンションの取引調査で、同資料は都心6区について「国外に住所がある者が2億円以上の高額物件を活発に購入している傾向は特に見られない」としています。市場で「3億〜5億円規模の現金一括購入が中心」と語られることはありますが、これは個々の事業者が扱った案件の印象であり、公表データで裏づけられた市場全体の傾向ではない点に留意が必要です。この現金購入により、金利リスクを回避し、迅速な取引を実現しています。

投資家の属性と投資動機

中国人投資家の属性を分析すると、超富裕層クラスが中心であることが分かります。これらの投資家は単なる資産運用を目的とするだけでなく、移住を視野に入れた長期投資戦略を持っています。

経営管理ビザ取得による移住ニーズも指摘されてきましたが、この在留資格の基準は令和7年10月16日施行の改正で大きく引き上げられました。改正前は「資本金または出資総額500万円以上」または「常勤職員2名以上の雇用」のいずれかを満たせば足りましたが、改正後は資本金等3,000万円以上と常勤職員1名以上の雇用の両方に加え、日本語能力・学歴または職歴・専門家による事業計画書の確認が必要です(詳細は後述)。

公表統計で確認できる数字と、確認できない数字

この分野は印象で語られやすい領域です。ここでは、官公庁が公表している数字だけを並べます。あわせて、公表統計では確認できないことも明記します。

新築マンションの「国外からの取得割合」(国土交通省)

国土交通省は令和7年11月25日、不動産登記情報と民間の価格データを用い、2018年1月から2025年6月までに保存登記された三大都市圏および地方四市の新築マンション約55万戸を対象とした調査結果を公表しました。国外に住所がある者による取得割合は次のとおりです。

地域2018〜2023年の最大値2024年2025年1〜6月
東京圏1.2%(2018年)1.0%1.9%
東京都1.8%(2018年)1.5%3.0%
東京23区2.0%(2018年)1.6%3.5%
都心6区5.3%(2018年)3.2%7.5%
大阪府2.7%(2023年)3.9%2.6%
京都府1.3%(2023年)3.1%2.3%

都心6区は千代田区・中央区・港区・新宿区・文京区・渋谷区を指します。直近で上昇していること、中心部ほど割合が高いことは数字が示すとおりですが、東京23区全体では2025年上半期でも3.5%という水準です。

同調査は価格帯についても分析しており、報道発表資料は「国外に住所がある者が2億円以上の高額物件を活発に購入している傾向は特に見られない(都心6区)」と明記しています。短期売買(保存登記から1年以内の移転登記)の割合は、2024年1〜6月で23区9.3%、都心6区12.2%でした。

公表統計で「確認できないこと」

この調査でとらえているのは「国外に住所がある者」であって「中国人」ではありません。同資料は、不動産登記情報に国籍が含まれていないこと、国内に住所のある外国人による取得の実態は把握できていないことを注記しています。したがって、新築マンションの何%を中国人が買ったかを示す公的統計は存在しません。「中国人が○割を買い占めている」といった数字を見かけたら、その出典が何を数えたものかを確認する必要があります。

森林の取得(林野庁)

「北海道の土地が買われている」という話題の根拠として参照されるのが、農林水産省・林野庁が毎年公表している調査です。令和7年9月16日公表の結果によると、令和6年(2024年)に外国法人等により取得された森林は382haで、全国の私有林面積14,311,347haの0.003%にあたります。内訳は、居住地が海外にある外国法人・外国人と思われる者による取得が171ha、国内の外資系企業と思われる者による取得が211haです。平成18年(2006年)からの累計は10,396haで、私有林の0.07%にとどまります。同資料は、参考として米国における外国人等による森林の所有割合が5.0%であることも併記しています。

在留外国人数(出入国在留管理庁)

令和7年末現在の在留外国人数は412万5,395人(前年末比35万6,418人・9.5%増)で、初めて400万人を超えました。国籍・地域別では中国が93万428人(前年末比+5万7,142人)で最多です。総数に占める割合を計算すると約22.6%になります。ベトナム68万1,100人、韓国40万7,341人が続きます。

不動産の取得と在留は別の話ですが、居住実態のある層が厚くなっていることは、投資目的の購入と居住目的の購入を切り分けて考える必要があることを示しています。実務上も、購入者が非居住者か居住者かで、後述する源泉徴収や届出の扱いがまったく変わります。

日本不動産が選ばれる5つの理由

①永続的な所有権の魅力

中国富裕層が日本の不動産を選ぶ最大の理由の一つは、永続的な所有権にあります。中国では土地は国有であり、個人が所有できるのは建物のみで、土地については使用権が70年間に限定されています。一方、日本では土地・建物ともに永続的な所有権を取得することができます。

この違いは、資産保全の観点から極めて重要です。日本の不動産は永久的に残ることから、世代を超えた資産承継が可能となります。中国人投資家にとって、この永続的な所有権は単なる投資対象を超えて、家族の将来にわたる資産基盤として位置づけられています。

比較項目 中国 日本
土地所有権 国有(使用権70年) 永続的所有権
建物所有権 個人所有可能 永続的所有権
相続 使用権の承継 完全な所有権承継
資産価値 使用期限による減価 土地価値の永続性

②高い投資利回りによる収益性

投資利回りの観点から見ると、日本の不動産は中国不動産と比較して明らかに優位性があります。中国の大都市圏における不動産投資の平均利回りは約2%前後にとどまっているのに対し、東京では3.5~4%前後の利回りが期待できます。

この利回り差は、中国人投資家にとって魅力的な投資機会を提供しています。特に、北京や上海などの中国主要都市の利回りが約2%弱であることを考慮すると、日本の物件は想定利回り3.5~4%程度とされ、安定収入源として極めて魅力的です。

年間家賃収入による3~4%前後の利回り重視の運用が行われており、一棟買い収益物件が特に人気を集めています。この安定した収益性は、中国富裕層の長期的な資産運用戦略にも合致しています。

③価格の割安感と円安効果

不動産価格の比較においても、日本の優位性は明確です。

さらに重要なのは、日本の不動産価格には土地の権利も含まれていることです。中国では建物のみの価格であるのに対し、日本では土地権利も含めた価格設定となっているため、実質的な割安感はより顕著になります。

円安の進行も中国人投資家にとって追い風となっています。為替レートのメリットにより、人民元ベースでの投資コストが相対的に低下し、投資妙味が高まっています。

④透明で安定した法制度

日本の法制度の透明性と安定性は、外国人投資家にとって大きな安心材料となっています。現在、日本では外国人不動産購入に対する法的制限はほとんどなく、外国人でも日本人と同等の条件で不動産を購入し、完全な所有権を取得することができます。

2024年4月からは、海外在住の日本人や日本に住所を有しない外国人、外国法人が不動産の所有者となる場合、日本国内の連絡先が登記事項となりましたが、これは透明性を高める措置であり、購入を制限するものではありません。

透明性の高い取引制度により、中国人投資家は安心して投資を行うことができます。政治・経済の安定性も相まって、長期的な投資環境として高く評価されています。

⑤地理的・文化的親和性

地理的近接性は、中国富裕層にとって実用的なメリットをもたらします。中国から日本への移動時間は短く、頻繁な往来が可能です。これは、セカンドハウスとしての利用や、子女の教育拠点としての活用において重要な要素となります。

文化的類似性も見逃せない要因です。漢字文化圏であることから、日本の文化や習慣に対する理解が比較的容易であり、生活環境への適応もスムーズです。

教育環境の充実も中国富裕層が日本を選ぶ理由の一つです。高品質な教育システムと安全な社会環境は、子女の教育を重視する中国の富裕層にとって魅力的な要素となっています。高級マンションのペントハウスでは、120㎡超の広尺住戸を子女の教育拠点として活用するケースが増加しています。

投資対象として人気の不動産エリアと物件タイプ

中国富裕層に最も人気の投資エリア

中国富裕層に最も人気の物件エリアは、東京23区内の都心一等地です。特に港区、渋谷区、千代田区などのプレミアムエリアで3億~5億円規模の現金購入が活発化しています。これらのエリアが選ばれる理由は、国際色豊かな環境、優れたアクセス、そして資産価値の安定性にあります。

エリア 特徴 平均購入価格帯 人気の理由
港区(赤坂・六本木・青山) 国際色豊か、アクセス良好 3億~5億円 外国人コミュニティの充実、ビジネス拠点としての利便性
渋谷区(広尾・恵比寿・代官山) 高級住宅街、文化施設充実 2億~4億円 洗練された住環境、教育施設の近接性
千代田区(番町・霞が関周辺) 政治・経済の中心地 3億~6億円 最高級住宅地としてのステータス、皇居近接の希少性
中央区(銀座・月島) 商業・金融の中心 2億~4億円 投資価値の安定性、都心へのアクセス

港区は特に中国人投資家に人気が高く、赤坂、六本木、青山エリアでは国際色豊かな環境と優れたアクセスが評価されています。外国人コミュニティが充実しており、ビジネス拠点としての利便性も高いことから、移住を視野に入れた投資家にとって理想的な立地となっています。

渋谷区の広尾、恵比寿、代官山エリアは、高級住宅街としての品格と文化施設の充実が魅力です。洗練された住環境と教育施設の近接性により、子女の教育拠点として活用する中国富裕層が増加しています。

物件タイプ別の投資傾向

中国人投資家の物件選択には明確な傾向があります。投資用としては、一棟買い収益物件が特に人気を集めており、年間家賃収入による3~4%前後の利回り重視の運用が行われています。

高級マンションのペントハウスでは、120㎡超の広尺住戸が好まれています。これらの物件は「セカンドハウス」や子女の教育拠点として活用されることが多く、居住の質を重視した選択となっています。

タワーマンションも中国富裕層に人気の物件タイプです。都心一等地の高級物件として、ステータスシンボルとしての価値と実用性を兼ね備えています。特に、眺望の良い高層階の物件は、プレミアム価格でも積極的に購入されています。

駅に近いオフィスビルや商業ビルも投資対象として注目されています。これらの物件は安定した賃料収入が期待でき、中国人投資家の収益重視の投資戦略に合致しています。

地域別の投資動向と特徴

大阪市内では、中央区、浪速区を中心とした投資が増加しています。万博やIR計画を見据えた投資が増加傾向にあります。高額物件への一括購入が増加しており、中国人投資家の関西圏への関心の高まりが見られます。

湾岸エリアのマンションも従来から中華圏投資家に人気が高く、中国からの訪日渡航制限解禁時期と重なることから、注目が集まっています。これらのエリアは将来的な発展性と現在の割安感を兼ね備えており、長期投資の観点から魅力的とされています。

地方都市においても、観光地や温泉地の高級リゾート物件への投資が見られます。これらは主にセカンドハウスや民泊運営を目的とした投資であり、経営管理ビザ取得の要件を満たす事業として活用されるケースもあります。

2025年10月、「経営・管理」の在留資格の基準が大きく変わった

不動産投資と日本移住をセットで語るときに必ず出てくるのが「経営・管理」の在留資格です。ここは令和7年10月16日施行の上陸基準省令等の改正で要件が大幅に引き上げられており、それ以前の解説はそのまま使えません。出入国在留管理庁が公表した改正内容は次のとおりです。

項目改正前改正後(令和7年10月16日施行)
資本金等資本金または出資総額500万円以上、または常勤職員2名以上の雇用(いずれか)資本金または出資の総額3,000万円以上(第2号ロ)
常勤職員の雇用上記の選択肢の一方1人以上の常勤職員の雇用が必須(第2号イ)。対象は日本人、特別永住者、および永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者に限られ、就労系の在留資格で在留する外国人は含まれない
日本語能力要件なし申請者または常勤職員のいずれかが「日本語教育の参照枠」B2相当以上(第3号)。日本語能力試験N2以上、BJTビジネス日本語能力テスト400点以上、我が国の大学等の卒業などで確認
学歴・職歴実務経験3年以上(修士修了で1年とする運用)経営管理または当該事業に必要な分野の博士・修士・専門職の学位を取得しているか、経営・管理について3年以上の職歴(第4号)
事業計画書提出のみ中小企業診断士・公認会計士・税理士のいずれかによる確認を義務付け
事業所確保が必要改正後の規模等に応じた事業所が必要であることから、自宅を事業所と兼ねることは原則として認められない

あわせて運用面でも次の取扱いが示されています。

  • 業務委託を行うなどして経営者としての活動実態が十分に認められない場合は、「経営・管理」に該当する活動を行うとは認められないものとして取り扱われます。物件の運営を外部に丸投げする形での在留は成り立ちません。
  • 在留期間更新時には、労働保険・社会保険の適用状況、源泉所得税・法人税・消費税・法人住民税・法人事業税などの納付状況が確認されます。
  • 在留期間中に正当な理由なく長期間出国していた場合、活動実態がないものとして更新は認められません。
  • 施行日後に改正後の許可基準に適合していない場合、「経営・管理」等からの永住許可は認められません。
  • すでに「経営・管理」で在留している方が施行日から3年を経過する日(令和10年10月16日)までに更新申請を行う場合は、改正後の基準に適合しなくても経営状況や適合見込み等を踏まえて許否が判断される経過的な取扱いがあります。その後の更新では改正後の基準への適合が必要です。

この改正の実務上の意味は明快です。「不動産を買って民泊を回せば在留資格が取れる」という説明は、現行の基準では成り立ちません。3,000万円の資本金、日本人等の常勤職員1名、日本語B2相当、専門家による事業計画の確認、独立した事業所という5つを同時に満たす必要があり、投資の付随物として取れる資格ではなくなりました。不動産オーナー側から見ても、外国人経営者を借主とする事業用物件のリーシングでは、在留資格の更新可否が賃料の継続性に直結するため、この改正内容を把握しておく必要があります。

まとめ:中国人富裕層の不動産投資が日本市場に与える影響

中国富裕層による日本不動産投資は、安定した投資利回り、永続的な所有権、円安による割安感を背景に急速に拡大しています。特に東京不動産の港区、渋谷区、千代田区などのプレミアムエリアで3億~5億円規模の現金購入が活発化しています。

この投資動向は日本の不動産市場に多面的な影響を与えています。市場活性化への貢献として、高額物件の流動性向上と取引量の増加が挙げられます。

一方で、価格上昇への影響も無視できません。東京23区の新築マンション平均価格が1億1,000万円を超え、2年連続で「1億円超え」となるなど市場は過熱気味ですが、この価格高騰を支えている一因が外国人投資家による購入です。

経営管理ビザを活用した移住ニーズも高まっており、不動産投資と日本移住を同時に実現する投資家が増加しています。民泊運営を通じた事業展開により、「経営管理ビザ」取得の要件を満たすケースも見られ、投資と移住の複合的なニーズが顕在化しています。

今後の展望として、現在は不動産購入規制がないため自由な投資が可能ですが、安全保障上の観点から規制強化が検討される可能性があります。2024年12月に衆議院へ提出された「外国人土地取得規制法案」や、国土交通省による初の実態調査の開始など、政策面での変化も予想されます。

不動産業界としては、これらの動向を踏まえ、中国人投資家のニーズに対応したサービス提供と、適切なコンプライアンス体制の構築が重要です。INA&Associates株式会社では、人財を最も重要な資産と捉え、関係する全ての人々の成長と豊かさを追求する理念のもと、中国富裕層の皆様にも信頼されるパートナーとして、持続可能な不動産投資のサポートを提供してまいります。

中国人不動産投資をご検討の方は、法的制限や税務面での注意点、経営管理ビザの取得要件など、専門的な知識が必要な分野について、信頼できる専門家にご相談されることをお勧めいたします。

外国人・外国法人が日本の不動産を持つときに実際にかかる手続

「外国人による不動産購入に法的制限はない」というのは正確ですが、購入できることと、手続がないことは別です。取得・保有・売却の各段階で法令上の手続があり、これは不動産事業者の側にも義務が生じます。

重要土地等調査法による事前届出

令和3年法律第84号「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」により、内閣総理大臣は、防衛関係施設等の重要施設の周囲おおむね1,000mの区域内や国境離島等の区域を注視区域として指定し、その中でも機能が特に重要な場合などは特別注視区域として指定します。

特別注視区域内にある土地・建物のうち、面積が200㎡以上(建物は各階の床面積の合計)のものについて、所有権またはその取得を目的とする権利の移転・設定をする契約を締結する場合、売主・買主の双方があらかじめ内閣総理大臣に届け出る必要があります。面積要件は土地なら1筆ごと、建物なら1個ごとに判断します。これは国籍を問わない制度ですが、区域は自衛隊基地や原子力関係施設の周辺に設定されており、地方の土地取引では実際に該当します。区域は内閣府のサイトで都道府県別に公開されています。

非居住者オーナーへの賃料支払には源泉徴収が生じる

ここは管理会社・仲介会社にとって最も実務的な論点です。国内にある不動産の賃借料を非居住者や外国法人に支払う者は、支払の際に20.42%の所得税および復興特別所得税を源泉徴収し、納付する義務を負います(所得税法第161条・第212条ほか)。賃料を受け取る側ではなく、支払う側の義務です。

例外として、土地・家屋等を自己またはその親族の居住の用に供するために借り受けた個人が支払うものは源泉徴収が不要とされています(所得税法施行令第328条)。逆に言えば、法人が社宅として借りる場合や、管理会社が貸主に代わって賃料を集金し送金する場合は、原則として源泉徴収が必要になります。オーナーが海外に転出したことを把握しないまま満額を送金し続けると、後日、支払者側に追徴のリスクが生じます。

売却の場面でも同様の仕組みがあります。非居住者等から土地等を購入した場合、購入者は譲渡対価の10.21%を源泉徴収する必要があります。ただし、個人が自己または親族の居住の用に供するために購入し、かつ譲渡対価が1億円以下である場合は不要です。

場面源泉徴収する人税率不要となる場合
非居住者等が所有する国内不動産の賃料の支払賃料を支払う者20.42%自己または親族の居住用に借り受けた個人が支払うとき
非居住者等からの土地等の購入購入者10.21%個人が自己または親族の居住用に購入し、譲渡対価が1億円以下のとき

登記事項としての国内連絡先

本文でも触れたとおり、2024年4月から、日本国内に住所を有しない所有者については国内の連絡先が登記事項となりました。管理の現場では、この連絡先が実際に機能するかどうかが分かれ目になります。連絡先として登記されている者が、修繕の意思決定や納税の実務まで担えるのかを、管理受託の段階で確認しておくべき項目です。

よくある質問

Q1: 外国人が日本の不動産を購入する際の法的制限はありますか?

現在、日本では外国人による不動産購入に対する法的制限はありません。外国人でも日本人と同等の条件で不動産を購入し、完全な所有権を取得することができます。国籍やビザの種類、永住権の有無に関係なく購入可能です。

ただし、2024年4月からは海外在住の日本人や日本に住所を有しない外国人、外国法人が不動産の所有者となる場合、日本国内の連絡先が登記事項となりました。また、安全保障上の観点から、今後規制が導入される可能性が議論されています。

Q2: 中国からの送金制限はどのようになっていますか?

中国では個人の国際送金は年間5万ドル相当額に制限されています。高額な不動産購入の場合は、複数年にわたる送金や複数のルートを活用する必要があります。また、人民元は直接送金できないため、外貨に換金してからの送金となります。

この制限により、高額な物件購入を行う中国人富裕層は、複数の送金ルートを活用したり、複数年にわたって資金を移転したりする必要があります。適切な送金手続きについては、専門家にご相談されることをお勧めします。

Q3: 経営管理ビザの取得要件は何ですか?

経営管理ビザの取得には、以下の要件のいずれかを満たす必要があります。

令和7年10月16日施行の改正により、要件は次のすべてを満たすことが必要になりました(改正前は「資本金等500万円以上」または「常勤職員2名以上」のいずれかで足りました)。

1. 資本金または出資の総額が3,000万円以上であること
2. 1人以上の常勤職員を雇用すること(対象は日本人、特別永住者、および永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者に限られます)
3. 申請者または常勤職員のいずれかが「日本語教育の参照枠」B2相当以上の日本語能力を有すること(日本語能力試験N2以上、BJTビジネス日本語能力テスト400点以上、我が国の大学等の卒業などで確認)
4. 経営管理または当該事業に必要な分野の博士・修士・専門職の学位を有するか、事業の経営または管理について3年以上の職歴を有すること
5. 事業計画書について中小企業診断士・公認会計士・税理士のいずれかの確認を受けること

あわせて、改正後の規模等に応じた事業所が必要であることから自宅を事業所と兼ねることは原則として認められず、業務委託を行うなどして経営者としての活動実態が十分に認められない場合は該当性が否定されます。すでに「経営・管理」で在留している方については、施行日から3年を経過する日(令和10年10月16日)までの更新申請に経過的な取扱いが設けられています。

Q4: 日本不動産投資の期待利回りはどの程度ですか?

東京など大都市圏では平均3.5~4%前後の利回りが期待できます。これは中国主要都市の約2%と比較して高い水準です。地方都市ではさらに高い利回りが見込める場合もあります。

一棟買い収益物件では年間家賃収入による3~4%前後の利回り重視の運用が行われており、安定した収益性が中国人投資家に評価されています。ただし、利回りは立地、物件タイプ、管理状況などにより変動するため、個別の物件について詳細な検討が必要です。

Q5: 中国人投資家に人気のエリアと物件タイプは何ですか?

中国富裕層には港区(六本木、赤坂)、渋谷区(広尾、恵比寿)、千代田区(番町)などが人気です。物件タイプとしては、120㎡超のペントハウスや一棟収益物件が好まれ、予算は3億~5億円規模が中心となっています。

これらのエリアは国際色豊かな環境、優れたアクセス、高級住宅街としての品格を兼ね備えており、セカンドハウスや子女の教育拠点として活用されることが多いです。タワーマンションの高層階物件も、ステータスシンボルとしての価値と実用性を兼ね備えているため人気があります。

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEO — INA&Associates株式会社

INA&Associates株式会社 代表取締役社長。首都圏・近畿圏を中心に不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントを統括。収益不動産投資戦略と超富裕層向け不動産コンサルティングを専門領域とする。

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

合格・取得資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
  • 甲種防火管理者
  • 競売不動産取扱主任者
  • マンション維持修繕技術者
  • 貸金業務取扱主任者