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100点の普通より120点の尖った弱点を持つ人財という財産

100点の普通より120点の尖った人財をどう活かすか。弱点を管理し、強みを事業の力に変える採用・育成・人財経営の考え方を、INAの組織づくりの視点で解説します。

最終更新: 約8分で読めます

組織にとって本当に財産になるのは、すべてが100点の普通の人だけではありません。弱点はあるけれど、ある領域で120点を出せる尖った人財も、大きな財産です。

もちろん、弱点を放置してよいという意味ではありません。大切なのは、弱点を消して平均化することではなく、その人の強みが生きる場所を見つけることです。私は、人財経営の本質はそこにあると考えています。

この記事のポイント

  • 100点の普通は安定を生みますが、120点の尖りは組織に新しい価値を生みます。
  • 尖った人財の弱点は、本人の自覚と周囲の設計があれば、組織のリスクではなく個性になります。
  • 弱点を消す採用より、強みがどこで生きるかを見極める採用が重要です。
  • INAの人財経営では、平均点を求めるよりも、一人ひとりの強みが事業になる場所をつくることを重視します。

なぜ100点の普通だけでは組織は強くならないのか?

100点の普通は大切です。約束を守り、安定して仕事を進め、周囲に安心を与える人は、組織の土台になります。

しかし、組織が前に進むときには、平均点だけでは足りない場面があります。誰も見ていない課題に気づく人。新しい顧客接点をつくる人。難しい交渉を引き受ける人。数字では測りにくい違和感を拾える人。こうした人が、次の価値を生みます。

その人たちは、必ずしも全科目で100点ではありません。細かい整理が苦手かもしれません。慎重さに欠けるかもしれません。人よりこだわりが強く、扱いにくく見えることもあります。

けれど、その尖りがあるからこそ、普通では届かないところへ届くことがあります。

会社は、全員を同じ形に整える場所ではありません。人の違いを、事業の力に変える場所です。だから、弱点のない人だけを集めるより、強みがはっきりした人をどう活かすかを考える必要があります。

人財投資カンパニーの挑戦でも書いたように、INAにとって人は最大の資産です。資産であるなら、同じ形に揃えるのではなく、それぞれの価値が最も生きる場所を探すべきです。

尖った弱点は、本当に弱点なのか?

尖った弱点は、見方を変えると強みの裏側であることがあります。スピードが速い人は、細部を見落とすことがあります。深く考える人は、判断に時間がかかることがあります。

もちろん、弱点を美化してはいけません。お客様に迷惑をかける。約束を守らない。周囲への敬意を欠く。そうしたものは、個性ではなく改善すべき課題です。

ただ、すべての弱点を同じように消そうとすると、その人の強みまで削ってしまうことがあります。

たとえば、発想力のある人に対して、ミスを恐れて何度も確認する働き方だけを求めると、動きが止まります。慎重で品質に強い人に対して、常に即断即決だけを求めると、良さが消えます。

Gallupは、強みに基づく組織づくりでは弱点を無視するのではなく、強みとの関係で弱点を理解し、管理することが大切だと説明しています。これはとても現実的な考え方です。

弱点は、消すものではなく、扱うものです。

本人が自分の弱点を知り、責任を持つ。周囲がその人の強みを理解し、役割を設計する。この両方があって初めて、尖りは財産になります。

120点の強みを持つ人財を活かす3つの条件

尖った人財を活かすには、本人の努力だけでは足りません。組織側にも、強みを受け止める設計が必要です。

第一に、強みを言語化することです。「あの人はすごい」だけでは、組織では活かせません。何がすごいのか。提案力なのか、行動量なのか、分析力なのか、関係構築なのか。強みを言葉にすることで、任せる仕事が見えてきます。

第二に、弱点を責める前に、影響範囲を決めることです。弱点があること自体より、その弱点が誰にどんな影響を与えているかが大切です。影響が小さいなら補完できます。影響が大きいなら、本人と一緒に対策を考える必要があります。

第三に、補い合うチームをつくることです。尖った人財を一人で完結させようとすると、弱点が目立ちます。しかし、整理が得意な人、関係調整が得意な人、実行が得意な人が組むと、尖りは成果に変わります。

Gallupの強み研究でも、強みを日々の仕事に結びつける組織では、エンゲージメントや成果に良い影響があるとされています。数字の受け止めには注意が必要ですが、少なくとも「弱点を直すだけの育成」より、「強みを活かす育成」に意味があることは、現場感覚としてもよくわかります。

人は、自分の強みで誰かの役に立てたときに、仕事への誇りを持ちます。その誇りが、責任感を育てます。

INAが大切にしたい、尖りを財産に変える人財経営

INAが目指す人財経営は、全員を同じ型にはめることではありません。一人ひとりの強みが、事業の中で価値になる場所をつくることです。

もちろん、会社には最低限の基準があります。誠実であること。約束を守ること。お客様や仲間に敬意を持つこと。弱点があっても、この土台を外してはいけません。

そのうえで、私は「少し扱いにくいけれど、強みがある人」を簡単に手放したくありません。そういう人の中に、組織を次の段階へ進める力が眠っていることがあるからです。

たとえば、不動産の現場では、細かい事務処理が得意な人も必要です。一方で、オーナーの本音を引き出す人、入居者の不安を察する人、難しい交渉で空気を変える人も必要です。どれか一つだけで会社は成り立ちません。

だから、採用や育成では「欠点が少ないか」だけを見てはいけないと思っています。それよりも、「この人の120点はどこか」「その強みは誰の役に立つか」「弱点はチームで補えるか」を見たいのです。

中小企業の右腕人財を見極める5つの基準でも触れたように、組織に必要なのは単なる万能型ではありません。目的地に向かって、自分の強みで責任を果たせる人です。

尖った人財を活かすには、経営側にも覚悟が必要です。合わない仕事を無理に任せない。強みが生きる役割を探す。弱点を本人任せにせず、仕組みで支える。ここまでして初めて、人財投資と言えるのだと思います。

まとめ|弱点を消すより、強みが生きる場所をつくる

100点の普通は、組織に安定をもたらします。それは大切な価値です。

しかし、120点の尖りは、組織に新しい景色を見せてくれます。今まで届かなかったお客様に届く。見えていなかった課題に気づく。止まっていた仕事を前に進める。そうした力は、平均点だけでは生まれにくいものです。

弱点は、隠すものではありません。本人が自覚し、責任を持ち、周囲と補い合うものです。そうできるなら、弱点はその人を否定する理由ではなく、強みを正しく扱うための情報になります。

私は、会社を人の可能性を削る場所にしたくありません。人の強みが事業になり、事業が社会に価値を届ける場所にしたいと考えています。

100点の普通より、120点の尖った弱点を持つ人財。そうした人を財産に変えられる会社でありたいです。

誠実さは熟成する理由でも書いたように、スキルは変わります。しかし、誠実さと強みを活かす姿勢は積み重なります。人財経営とは、その積み重ねを信じることです。

よくある質問(FAQ)

Q1. 尖った人財とはどのような人ですか?

A. すべてが平均的に高い人ではなく、特定の領域で大きな強みを発揮できる人です。弱点もありますが、強みが明確です。

Q2. 弱点がある人を採用するのは危険ではありませんか?

A. 弱点の内容によります。誠実さや約束を守る姿勢を欠く弱点は問題ですが、役割設計で補える弱点なら財産になります。

Q3. 強みを活かす経営で大切なことは何ですか?

A. 強みを言語化し、弱点の影響範囲を見極め、補い合うチームをつくることです。本人任せにしない設計が必要です。

Q4. INAの人財経営では何を重視しますか?

A. 平均点だけで人を見ず、その人の強みが誰の役に立つかを見ます。弱点を管理しながら、強みが事業になる場所をつくります。

引用・参考資料

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

INA&Associates株式会社 代表取締役社長。首都圏・近畿圏を中心に不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントを統括。収益不動産投資戦略と超富裕層向け不動産コンサルティングを専門領域とする。

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

合格・取得資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
  • 甲種防火管理者
  • 競売不動産取扱主任者
  • マンション維持修繕技術者
  • 貸金業務取扱主任者