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中古マンションのハウスクリーニング費用相場と業者選定ガイド

中古マンションの賃貸運用に欠かせないハウスクリーニングを、間取り別の費用相場・発注手順・業者選定の注意点・敷金精算と特約の関係まで、賃貸管理オーナーの実務視点で体系的に解説します。

最終更新: 約11分で読めます

中古マンションを取得して賃貸物件として運用する際、入居者を確保する前に必ず必要になるのがハウスクリーニングです。私たちINA&Associates株式会社は自社で賃貸管理を担っていますが、クリーニングの手配・費用判断・業者選定は、物件価値と入居率を左右する重要な実務スキルだと考えています。本記事では、賃貸管理オーナーの視点から、相場・依頼時の注意点・悪徳業者対策・敷金精算との関係までを体系的に解説します。

ハウスクリーニングとはどのようなサービスか

ハウスクリーニングとは、専門用具と専門知識を持つ業者が住宅全体を徹底的に清掃するサービスです。市販の洗剤や家庭用掃除機では届かない箇所まで仕上げられるため、次の入居者が内見したときの第一印象を大きく左右します。賃貸経営において、空室期間の短縮と募集賃料の維持に直結する投資だと位置づけられます。

基本の清掃箇所とオプション

業者によって範囲は異なりますが、標準的な作業箇所とオプションは次のとおりです。契約前に、どこまでが基本料金に含まれるかを一覧で確認しておくことが失敗を防ぐ第一歩です。

区分主な内容
基本清掃玄関・台所・レンジフード・換気扇・浴室・トイレ・洗面所・ベランダ・窓・サッシ・廊下
オプション(別料金が多い)エアコン内部洗浄・床ワックスがけ・クロス張替え・畳の表替え・残置物やゴミの処分

賃貸管理におけるクリーニングの意味

賃貸管理の現場では、退去後の原状回復とセットでハウスクリーニングを実施するケースが一般的です。費用感を把握しておくことは、退去時の敷金精算や入居者対応の説明責任にも直結します。入居前のチェックと合わせた管理フローを整えることで、退去時のトラブルを未然に防ぎやすくなります。

ハウスクリーニングの費用相場はどれくらいか

費用は間取り・汚れの程度・地域相場によって大きく変動します。ここで示す金額はあくまで一般的な目安であり、実際の見積もりは現地確認を経て確定するとお考えください。断定的な金額提示をする業者よりも、状態を見てから根拠を説明する業者のほうが信頼できます。

空室時の相場(間取り別の目安)

間取り費用の目安
ワンルーム・1K1万5,000〜3万円
1DK・1LDK3〜4万円
2DK・2LDK3〜7万円
3DK・3LDK5〜8万5,000円
4DK・4LDK7〜10万円

空室時は家具がないため作業効率がよく、居住中に比べて割安になる傾向があります。だからこそ、入退去のタイミングに合わせて空室のうちに一括で発注するのがコスト管理の基本です。

居住中の場合

入居者が居住したまま清掃する場合は、空室時より20〜50%程度割高になるのが一般的です。家財道具の養生や作業時間の制約、動線確保の手間が加わるためです。オーナー都合の設備清掃を居住中に行う場合は、入居者の在宅日程調整も含めて余裕を持った計画が求められます。

部分清掃の場合(目安)

全体ではなく特定箇所だけを依頼することも可能です。退去後に汚れが目立つ箇所だけをピンポイントで整える際に有効です。

箇所費用の目安
床(ワックス含む・6畳あたり)8,400〜1万5,000円
エアコン1台(内部洗浄)1万2,000円前後
トイレ8,000〜1万円
浴室1万4,000〜1万7,000円
台所1万5,000〜2万5,000円
洗面所・脱衣所8,000〜9,000円

費用が相場より上振れする要因

次のような条件が重なると、目安を超える見積もりになることがあります。事前に現地を確認してもらい、加算要因を明示してもらうことが大切です。

  • 空室期間が長く、カビや水垢が蓄積している
  • ペット飼育やタバコによる汚れ・臭いが残っている
  • 高層階や駐車場がなく、搬入・駐車に追加費用がかかる
  • 残置物の撤去や特殊洗浄が必要となる

ハウスクリーニングを発注する流れ

初めて発注する方に向けて、標準的な手順を整理します。段取りを踏むことで、想定外の追加費用や仕上がりの不満を避けやすくなります。

  1. 現地確認と要望整理:清掃してほしい箇所、素材、汚れの状態を把握します。
  2. 相見積もりの取得:2〜3社から書面で見積もりを取り、内訳を比較します。
  3. 作業範囲と料金の書面合意:基本料金・オプション・追加条件を契約書で明確にします。
  4. 作業実施と立ち会い:可能であれば要所で立ち会い、仕上がりを確認します。
  5. 完了確認と記録:作業前後の写真を残し、次回発注や敷金精算の根拠にします。

業者選定で管理スタッフが確認すべき注意点とは

賃貸管理を長く続けるうえで、信頼できる清掃パートナーを持つことは大きな資産になります。私たちは価格の安さだけでなく、説明の丁寧さや対応の一貫性を重視しています。

手入れ方法・使用薬剤の確認

物件の素材や状態に合った清掃方法を提案できるかを見極めましょう。フローリングの種類やエアコンのメーカーによって、適切な洗浄方法や使用できる薬剤は変わります。素材を痛める強い薬剤を安易に使う業者は、かえって原状回復コストを膨らませかねません。

見積もりの透明性

基本料金が極端に安い業者ほど、追加料金・出張費・駐車場代が後から加算されがちです。作業前に細かい内訳を書面で提示してもらうことを必須条件にしましょう。「一式」とだけ書かれた見積もりは、後日のトラブルの温床になります。

実績・口コミの確認

大手だから安心とは限らず、規模にかかわらず口コミの評価にはばらつきがあります。ホームページの施工事例やレビューで、実際の仕上がりと対応品質を確認してから発注しましょう。同じ地域・同じ間取りの実績があるかも判断材料になります。

損害保険への加入

作業中に設備や建具を破損するリスクはゼロではありません。賠償責任保険に加入している業者を選んでおけば、万一の際にも入居予定者への引き渡しに支障が出にくくなります。契約前に加入状況を確認しておくと安心です。

悪徳業者への注意

「エアコン1,000円清掃」など異常に安い価格で訪問し、作業後に高額契約を迫る手口が報告されています。消費生活センターへの相談件数も少なくありません。管理物件への訪問を許可する前に、業者名をインターネットで検索して評判を確認する習慣をつけましょう。訪問後に契約を急かされても、その場で署名せず持ち帰る姿勢が身を守ります。

敷金精算とハウスクリーニング特約の関係

退去時のクリーニング費用を誰が負担するかは、賃貸管理で最もトラブルになりやすい論点のひとつです。国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、通常使用による経年変化や自然損耗の回復費用は、原則として貸主負担と整理されています。

特約がある場合とない場合

ハウスクリーニング費用を借主負担とするには、契約書に明確な特約を設けることが前提です。特約が有効と認められるには、一般に次の要件が重視されると理解されています。断定は避けつつも、実務では以下を満たすよう設計することが安全策です。

  • 特約の必要性があり、暴利的でないなど客観的・合理的な理由が存在する
  • 借主が特約による義務負担の意思表示をしている(内容を理解し合意している)
  • 負担する金額や範囲が契約時に具体的に明示されている

金額の目安を明記せず「クリーニング代は借主負担」とだけ書いた特約は、後日その有効性を争われるおそれがあります。契約時に間取りに応じた概算額を提示し、入居者の納得を得ておくことが、長期的な信頼関係につながります。

私たちの考え方

私たちは、デメリットや費用負担も入居時に正直に説明することを大切にしています。退去時に初めて高額な請求を提示するのではなく、契約段階で費用の見通しを共有する。むしろその誠実さが、解約率の低下と長期入居につながると実感しています。信頼と正直さは、賃貸経営における最も確実な投資だと考えています。

ハウスクリーニング費用の会計上の扱い

賃貸物件の維持管理を目的としたハウスクリーニング費用は、原則として修繕費として必要経費に計上できると考えられます。ただし、資本的支出との区分など個別判断が必要な場面もあります。金額が大きい場合や資産価値を高める工事を伴う場合は、税理士など専門家に確認することをおすすめします。ここでは一般的な考え方の整理にとどめ、個別の税務判断は専門家にご相談ください。

INA&Associatesの視点:清掃を「守り」から「攻め」へ

多くのオーナーは、ハウスクリーニングを退去のたびに発生するコストとして捉えがちです。しかし私たちは、清掃を物件価値を維持し、入居希望者への訴求力を高める攻めの投資と位置づけています。清潔な状態を保つ物件は、募集賃料を下げずに次の入居者を迎えやすくなります。

だからこそ、単発の発注を繰り返すのではなく、信頼できる業者と継続的な関係を築き、清掃報告を資産改善の提案につなげる仕組みづくりが重要です。人財こそ最大の資産であるという私たちの価値観は、社内スタッフだけでなく、共に物件を支えてくれるパートナー業者との関係にも通じています。長期的な視野で信頼関係を積み重ねることが、結果として管理コストの最適化と入居率の安定をもたらします。

まとめ

中古マンションの賃貸運用において、ハウスクリーニングは入居率と物件価値を左右する重要な実務です。相場を把握し、相見積もりで内訳を比較し、書面で作業範囲を合意する。この基本を徹底するだけで、多くのトラブルは防げます。悪徳業者への警戒と、敷金精算・特約の適正な設計も欠かせません。清掃を単なるコストではなく攻めの投資と捉え、信頼できるパートナーと長期的な関係を築くこと。それが、私たちが実践する持続可能な賃貸管理の考え方です。賃貸管理の実務については賃貸管理オーナー向けの記事一覧もあわせてご覧ください。

よくある質問

中古マンション購入後のクリーニングは買主負担ですか

売主がクリーニングを行わない条件で引き渡す場合は、買主負担になるのが一般的です。購入前に売買契約書で清掃や引き渡し状態の条件を確認しておきましょう。賃貸に出す前提であれば、入居募集に向けたクリーニングを取得直後に計画しておくと空室期間を短縮できます。

ハウスクリーニングの費用は経費計上できますか

賃貸物件の原状回復や維持管理を目的としたクリーニング費用は、原則として修繕費として必要経費に計上できると考えられます。ただし資本的支出との区分など個別判断が必要な場合もあるため、金額が大きいときは税理士にご確認ください。

空室期間が長い物件は割増料金になりますか

カビや水垢など汚れの蓄積が多い場合は、追加料金が発生するケースがあります。事前の現地確認と詳細な見積もりを取ることで、想定外の費用を避けやすくなります。長期空室が見込まれる物件ほど、早めの清掃と定期的な換気が費用抑制につながります。

退去時のクリーニング費用を敷金から差し引けますか

契約書に有効なハウスクリーニング特約がある場合は、敷金から差し引ける可能性があります。ただし通常損耗の回復費用は原則貸主負担とされるため、特約の内容と金額の目安を契約時に明確化しておくことが重要です。入居者への丁寧な説明が、退去時のトラブル回避につながります。

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

INA&Associates株式会社 代表取締役社長。首都圏・近畿圏を中心に不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントを統括。収益不動産投資戦略と超富裕層向け不動産コンサルティングを専門領域とする。

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

合格・取得資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
  • 甲種防火管理者
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