「転勤が決まったが、住むのは3ヶ月だけ。普通のアパートを短期で借りられないか」。この記事は、そう考えている借主の方に向けて書いています。結論を先に申し上げます。普通の賃貸借契約(普通借家)で「1ヶ月だけ」と期間を区切ることは、法律上できません。借地借家法29条1項が、1年未満の期間を定めた建物賃貸借を「期間の定めがない賃貸借」とみなすためです。そのため短期で部屋を借りる実務は、定期借家契約かマンスリーマンションの二択になります。以下では、1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月それぞれの総額を公的統計と事業者の公表料金表から試算し、どこでどちらが安くなるかを金額で示します。
この記事のポイント
- 普通借家では「1ヶ月だけ」の契約は成立せず、期間の定めのない契約として扱われます(借地借家法29条1項)。1ヶ月単位で期間を区切れるのは定期借家契約です(同法38条1項後段)。
- 1ヶ月だけ借りる場合の実質負担は、一般賃貸が約28.5万円、マンスリーマンション(レオパレス21ランクH・30日)が約18.3万円で、マンスリーが約10万円安くなります。
- 逆転するのはおよそ4ヶ月です。それを超えると敷金・礼金を払っても一般賃貸のほうが安くなり、6ヶ月では約7万円の差がつきます。
- 貸付期間が1ヶ月未満の住宅の貸付けと、旅館業法上の施設の貸付けは消費税が課税されます(国税庁タックスアンサーNo.6226)。同じ支払額でも税負担が変わります。
- 民泊は年間180日が上限ですが、届出住宅あたりの実稼働は年換算で約107日にとどまります(観光庁、令和8年4〜5月実績)。生活の拠点としては設計されていません。
短期賃貸とは?1ヶ月だけ部屋を借りる4つの方法
短期賃貸とは、数週間から数ヶ月という短い期間を前提に住まいを確保することの総称です。ただし「短期賃貸」という契約類型が法律上あるわけではありません。実務では次の4つのいずれかを選ぶことになります。
- 一般賃貸(普通借家):期間は1年以上。1年未満と定めても期間の定めがない契約として扱われます。
- 定期借家契約:書面で契約すれば1ヶ月からでも期間を区切れます。更新はありません。
- マンスリーマンション:家具家電付き・光熱費込みが主流。賃貸借ではなく旅館業法の適用施設として運営される形態もあります。
- ホテルの長期滞在プラン:宿泊契約です。住民票は移せず、消費税と宿泊税がかかります。
民泊は年間180日の上限があり、住まいというより宿泊施設です。どれを選ぶかは「何ヶ月住むか」でほぼ決まります。まず金額から見ていきます。
【2026年版】1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月の総額を比べる
結論から申し上げると、3ヶ月まではマンスリーマンション、4ヶ月を超えると一般賃貸のほうが安くなります。下表は、国土交通省の統計とレオパレス21の公表料金表を使った試算です。
数値表①:借り方別の総額シミュレーション
| 借り方 | 1ヶ月(30日) | 3ヶ月(90日) | 6ヶ月(180日) |
|---|---|---|---|
| 一般賃貸(普通借家) ※支払総額 | 368,338円 | 544,774円 | 809,428円 |
| 同上・敷金の返還を見込んだ実質負担 | 284,957円 | 461,393円 | 726,047円 |
| 定期借家契約 | 費用の構造は一般賃貸と同じ(敷金・礼金・仲介手数料が発生しうる)。違いは期間を1ヶ月単位で区切れる点と、更新がない点です。 | ||
| マンスリーマンション (レオパレス21ランクH) | 182,930円 | 427,790円 | 795,080円(試算) |
| ホテル長期滞在 (東横INNマンスリープラン) | 公表されているのは「最大15%OFF(対象泊数:30〜31泊)」という割引条件のみで、1泊単価はホテル・時期により変動します。総額は公式の空室検索で確認が必要です。対象泊数が30〜31泊のため、それ以上の滞在は都度の相談・再予約が前提となります。 | ||
一般賃貸は国土交通省「令和7年度 住宅市場動向調査報告書」(令和8年7月公表、民間賃貸住宅は三大都市圏対象)の実額から作成。マンスリーはレオパレス21「マンスリー契約 短期プラン料金表」(情報提供日2023年12月1日現在)の公表額に鍵交換費とマンスリー調整金を加算。ホテルは東横INN公式マンスリープラン(2026年8月時点の公表内容)に記載された割引条件をそのまま記載しています。
計算例①:1ヶ月だけ借りると一般賃貸は約28.5万円
一般賃貸の内訳を並べます。同調査では、民間賃貸住宅に入居した世帯の月額家賃は平均83,381円(中央値74,000円)、共益費は月額平均4,837円でした。敷金・礼金・仲介手数料は、それぞれ発生した世帯で「1ヶ月ちょうど」が最も多くなっています。
- 家賃 83,381円 + 共益費 4,837円
- 敷金・保証金 83,381円(1ヶ月分)
- 礼金 83,381円(1ヶ月分)
- 仲介手数料 83,381円(1ヶ月分)
- その他費用 29,977円
- 支払総額 368,338円。敷金が全額返ると仮定した実質負担は284,957円(別途、退去時の原状回復費)
一方、レオパレス21の短期プラン(ランクH・30日)は税込総額152,900円です。これに鍵交換費16,500円と、契約時に一括で負担するマンスリー調整金451円/日×30日=13,530円を加えると182,930円になります。水道・電気・ガス料金は原則不要で、家具家電の購入も要りません。1ヶ月だけなら、マンスリーが約10万円安いという計算です。
計算例②:逆転するのは約4ヶ月
期間が延びると構図が変わります。一般賃貸は敷金・礼金・仲介手数料が最初の1回だけなのに対し、マンスリーは日割り単価がそのまま積み上がるためです。式にすると次のようになります。
- 一般賃貸(実質負担)= 88,218円 × 月数 + 196,739円
- マンスリー(ランクH)= 122,430円 × 月数 + 60,500円
両者が一致するのは月数がおよそ3.98、つまり約4ヶ月(120日前後)です。4ヶ月時点では一般賃貸549,611円に対しマンスリー550,220円と、ほぼ並びます。6ヶ月になると一般賃貸726,047円に対しマンスリー795,080円となり、差は約7万円に広がります。3ヶ月以内ならマンスリー、5ヶ月以上なら一般賃貸か定期借家。4ヶ月前後は物件条件で決まる、というのが目安です。
なぜ「アパートを1ヶ月だけ」は普通の契約で借りられないのか
金額の前に、契約の入口で断られる理由を押さえておくと交渉が早く進みます。理由は借地借家法にあります。
借地借家法29条1項:1年未満は「期間の定めなし」とみなされる
同法29条1項は「期間を一年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす」と定めています。つまり「1ヶ月で退去します」と約束しても、その期間の定めは無効となり、期間の定めのない契約に変わります。
期間の定めのない契約では、借主はいつでも解約を申し入れられますが、民法617条1項2号により建物の賃貸借は申入れの日から3ヶ月を経過して終了します。契約で「1ヶ月前予告」と定めることも多く、借主に有利な特約は有効です。それでも貸主から見れば、いつ出ていくか分からない相手に敷金・礼金なしで貸す理由がありません。これが「短期は不可」と言われる本当の理由です。
定期借家契約(38条1項)なら1ヶ月でも契約できる
同法38条1項は、公正証書による等の書面で契約する場合に限り更新がない旨を定められるとしたうえで、「この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない」と続けています。29条1項の適用が外れるため、1ヶ月でも3ヶ月でも期間をそのまま設定できます。これが短期賃貸が定期借家で組まれる理由です。
ただし要件があります。貸主はあらかじめ、更新がなく期間満了で終了する旨を記載した書面を交付して説明しなければならず(38条3項)、この説明を欠くと更新がない旨の定めは無効になります(同条5項)。書式は国土交通省の『定期賃貸住宅標準契約書』(平成30年3月版)が公開されています。制度の全体像は定期借家契約の仕組みとメリット・デメリットと普通借家と定期借家の違いで詳しく整理しています。
なお同調査によると、民間賃貸住宅入居世帯のうち定期借家制度を利用した世帯は2.0%にとどまり、制度を「知らない」と答えた世帯は54.4%でした。短期で借りたい人ほど、まず定期借家を扱う物件かどうかを尋ねる価値があります。
一時使用目的の建物賃貸借(40条)が使えるケース
同法40条は「この章の規定は、一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らかな場合には、適用しない」と定めています。工事期間中の仮住まいや、選挙事務所のように目的と期間が明確な場合が典型です。借地借家法の保護が外れる代わりに、期間設定は自由になります。ただし「一時使用であることが明らか」かどうかは実態で判断されるため、貸主・借主の合意だけで成立するものではありません。
比較表①:契約類型別の分岐表
| 項目 | 普通借家 | 定期借家 | 一時使用目的 | マンスリー | 民泊 |
|---|---|---|---|---|---|
| 最短期間 | 実質1年 (1年未満は期間の定めなし) | 制限なし (1ヶ月から可) | 制限なし | 事業者による (例:30日〜) | 1泊〜 |
| 根拠法令 | 借地借家法29条1項 | 同法38条1項 | 同法40条 | 賃貸借または旅館業法 | 住宅宿泊事業法 |
| 中途解約 | 民法617条1項2号 (3ヶ月前) | 200㎡未満の居住用は やむを得ない事情で可(38条7項) | 契約による | 約款による (違約金あり) | 予約規約による |
| 敷金・礼金 | 発生しうる | 発生しうる | 契約による | 原則なし (手数料が別途) | なし |
| 住民票 | 移せる | 移せる | 実態による | 実態による | 移せない |
| 消費税 | 非課税 | 非課税 | 非課税 (住宅の場合) | 1ヶ月未満・旅館業施設は課税 | 課税 |
出典:借地借家法(e-Gov法令検索)、民法(同)、国税庁タックスアンサーNo.6226より作成。
短期ほど割高になる3つの理由と、その金額
短期は割高だと言われます。ただ「なぜ、いくら」は説明されないままのことが多いので、3つに分けて金額で示します。
理由1:初期費用は期間が短くても丸ごとかかる
敷金・礼金・仲介手数料は月数に比例しません。1ヶ月しか住まなくても1ヶ月分ずつ払うため、短期ほど家賃に対する比率が跳ね上がります。
| 費用項目 | 発生した世帯の割合 | 金額の水準 |
|---|---|---|
| 敷金・保証金 | 51.9% | 「1ヶ月ちょうど」が64.4% |
| 礼金 | 43.1% | 「1ヶ月ちょうど」が73.4% |
| 仲介手数料 | 48.0% | 「1ヶ月ちょうど」が69.7% |
| 更新手数料 | 44.4% | 「1ヶ月ちょうど」が69.7% |
| その他費用 | 15.6% | 平均29,977円 |
出典:国土交通省「令和7年度 住宅市場動向調査報告書」(令和8年7月)。民間賃貸住宅入居世帯(三大都市圏)の回答。
仲介手数料には上限があります。建設省告示第1552号の第三は、貸借の媒介で依頼者双方から受けられる報酬の合計を借賃の1ヶ月分以内とし、居住用建物では、あらかじめ承諾を得ている場合を除き一方から受けられるのは0.5ヶ月分以内と定めています。1ヶ月分を提示された場合、その承諾をいつ求められたかを確認する余地があります。節約の観点は賃貸契約の初期費用の内訳と節約方法にまとめています。
理由2:短期プランは1日単価が20〜25%高い
同じ物件でも、契約期間で単価が変わります。レオパレス21の公表料金表を突き合わせると差がはっきりします。
| ランク | 短期プラン(30〜90日)の1日単価 | 長期プラン(181日〜)の1日単価 | 差 |
|---|---|---|---|
| A | 2,300円(税抜) | 1,870円(税抜) | 約23%高い |
| H | 3,300円(税抜) | 2,640円(税抜) | 約25%高い |
| Z | 10,800円(税抜) | 9,000円(税抜) | 20%高い |
出典:レオパレス21「マンスリー契約 短期プラン料金表」(情報提供日2023年12月1日現在)および「同 長期プラン料金表」(情報提供日2023年9月1日現在ver.2)より作成。
見落としやすいのがマンスリー調整金です。短期プランは1日あたり451円(税込)ですが、長期プランは149円(税込)です。30日で13,530円、180日なら短期換算で81,180円になります。1日単価だけでなく、日数に比例する付帯費用も確認しておくと総額の見積もりが狂いません。
理由3:1ヶ月未満は消費税10%が課税される
住宅の貸付けは原則として消費税が非課税です。しかし国税庁タックスアンサーNo.6226は、貸付期間が1ヶ月未満の場合と旅館業法に規定する旅館業に係る施設の貸付けに該当する場合を非課税から除いています。同解説は、ウィークリーマンションやリゾートマンションは利用期間が1ヶ月以上でも非課税にならないこと、民泊も旅館業に該当するため非課税の対象外であることを明記しています。
| ケース | 消費税 | 30万円を支払う場合の見え方 |
|---|---|---|
| 住宅の貸付けで期間1ヶ月以上 | 非課税 | 30万円がそのまま住居費 |
| 住宅の貸付けで期間1ヶ月未満 | 課税(10%) | 30万円のうち約2.7万円が消費税 |
| 旅館業法の施設(ホテル、ウィークリー等) | 期間を問わず課税 | 同上。加えて宿泊税がかかる自治体もある |
出典:国税庁タックスアンサー「No.6226 住宅の貸付け」(令和7年4月1日現在法令等)。
「29日」と「31日」では税の扱いが変わります。期間の設定は、数日の違いが金額に効く論点です。
マンスリーマンションは「賃貸」ではない場合がある
マンスリーマンションという言葉は、契約の性質を表していません。賃貸借契約のこともあれば、旅館業法の適用施設として営業されていることもあります。この違いが、住民票と消費税に直結します。
旅館業法の2要件と昭和63年通知
旅館業にいう「人を宿泊させる営業」の要件は、昭和61年3月31日付の厚生省生活衛生局指導課長通知(衛指第44号)が次の2点としています。
- 施設の管理・経営形態を総体的にみて、宿泊者のいる部屋を含め施設の衛生上の維持管理責任が営業者にあると社会通念上認められること
- 施設を利用する宿泊者が、その宿泊する部屋に生活の本拠を有さないことを原則として営業していること
この2要件をウィークリーマンションに当てはめてよいかという東京都からの照会に対し、厚生省生活衛生局指導課長通知「旅館業法運用上の疑義について」(昭和63年1月29日 衛指第23号)は旅館業法の適用対象施設として取り扱って差し支えないと回答しました。照会の対象は、利用日数の単位が1週以上で実態は1〜2週間の短期利用が大半、利用者は主に会社の短期出張者・研修生・受験生という施設です。契約期間中の清掃を利用者が行う契約であっても、利用者交替時の清掃や寝具類の管理といった衛生管理の基本部分は営業者の責任とみるべき、という整理が認められた形です。
住民票を移せるか、移すと料金が変わるか
住民票を移せるかどうかは、市区町村の裁量ではなくそこが生活の本拠かどうかで決まります。出張や研修で数週間滞在するだけで、自宅が別にあるなら生活の本拠とは言えません。逆に単身赴任で3ヶ月住み、生活の実態がそちらにあるなら移すのが自然です。
事業者の料金体系もここで分かれます。レオパレス21の短期プラン料金表には、公表料金は居住以外(セカンドハウスや一時利用等)の目的で利用する場合のものであり、居住を目的とする場合の料金は店頭で確認する旨が記載されています。住民票を移す前提かどうかで、提示される金額が変わりうるということです。申し込み時に利用目的を正確に伝えたほうが、後の食い違いを避けられます。
民泊を短期の住まいに使えるか|2026年の実態
結論としては、数日から1週間程度の滞在には向きますが、数ヶ月の住まいには適しません。年間提供日数の上限が180日であることに加え、実際の稼働がその半分ほどにとどまるためです。
数値表②:届出住宅42,070件、実稼働は年換算で約107日
| 指標 | 数値 | 時点 |
|---|---|---|
| 届出件数 | 65,837件 | 令和8年7月15日 |
| うち事業廃止件数 | 23,767件 | 同上 |
| 届出住宅数 | 42,070件 | 同上 |
| 宿泊日数の合計 | 624,088日(前年同期比138.6%) | 令和8年4〜5月 |
| 届出住宅あたりの宿泊日数 | 17.9日(2ヶ月間) | 同上 |
| 延べ宿泊者数 | 1,745,359人泊 | 同上 |
| 外国人比率 | 62.4%(391,174人) | 同上 |
出典:観光庁「住宅宿泊事業法の施行状況」(令和8年7月15日時点、宿泊実績は令和8年4月1日〜5月31日分)より作成。
2ヶ月で17.9日ということは、単純に年換算して約107日です。上限の180日に対して6割程度しか使われておらず、届出の3分の1超がすでに廃止されています。外国人比率が62.4%であることからも、想定されている利用者は観光客です。数ヶ月の生活拠点として設計された制度ではありません。
分譲マンションでは管理規約により民泊が禁止されている例も少なくありません。この点はマンションでの民泊規制と管理規約のリスクで整理しています。
大阪市の特区民泊は令和8年5月29日で新規受付終了
2026年の制度変更として押さえておきたいのが大阪市の動きです。大阪市は令和7年9月30日の第2回プロジェクトチーム会議で特区民泊の新規受付終了の方針を決定し、令和7年11月28日付で内閣総理大臣から区域計画変更の認定を受けました。これにより令和8年5月29日をもって特区民泊の新規受付が終了しています。同日以前に認定を受けた施設は、従来どおり営業可能です。
比較表②:用途別・期間別のおすすめ
| 用途 | 推奨する借り方 | 想定総額 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 出張1〜2週間 | ホテルまたはウィークリー | 1泊単価×泊数 (東横INNマンスリープランは最大15%OFF・対象30〜31泊) | 1ヶ月未満は消費税が課税される。住民票は移さない |
| 出張・研修1〜3ヶ月 | マンスリーマンション | 18万〜43万円 | 鍵交換費・調整金が別途。中途解約でも初期30日分は戻らない例がある |
| 受験・就活 | マンスリー(30日単位) | 18万円前後〜 | 内見できない前提。ネット環境と机の有無を事前に確認する |
| リフォーム仮住まい3〜6ヶ月 | 4ヶ月超なら定期借家 | 46万〜73万円 | 一時使用目的(40条)が使える場合もある。工期延長時の延長条件を先に決める |
| 入院付き添い | 期間が読めるならマンスリー | 18万円前後〜 | 退院が早まった場合の解約予告期間と違約金を確認する |
総額は本記事の数値表①の試算に基づく目安です。実際の金額は地域・物件・時期で変わります。
マンスリーの申し込みから入居までの流れ
短期の物件は、探し始めてから入居までが一般賃貸より短く済みます。一方で、一般賃貸なら当然にできることができません。順に整理します。
- 物件を探す:勤務先や試験会場からの動線を軸に絞り込みます。空室状況は日々動くため、候補は複数持っておくと安心です。
- 申し込み・契約:本人確認書類を用意します。個人契約では連帯保証人を求められる場合があります。
- 費用の一括前払い:部屋利用料・手数料・鍵交換費などをまとめて振り込みます。分割払いは原則ありません。
- 鍵の受け取り・入居:入金確認後に鍵を受け取ります。電気・ガス・水道は開栓済みのことが多く、退去時の閉栓手続きも要りません。
内見できないことが最大の制約です。直前まで前の利用者が滞在しているためで、写真と間取り図で判断せざるを得ません。だからこそ、次の項目は申し込み前に担当者へ直接聞いておく価値があります。
- インターネット回線の種類と速度(在宅勤務なら死活問題です)
- 洗濯機・冷蔵庫・電子レンジの有無と、調理器具・食器のレンタル可否
- 洗剤・トイレットペーパーなど消耗品が用意されているか
- 階数・オートロック・宅配ボックスの有無
- 寝具が料金に含まれるか、別料金か
家具家電が備わり、初期費用が抑えられ、審査も比較的通りやすい。この手軽さが短期物件の価値です。ただしその手軽さは、内見なしという情報の少なさと引き換えになっています。聞けることを聞いておくことが、そのまま失敗の確率を下げます。
契約前に確認したい7項目
私たちは、デメリットを先に共有することが結局は双方の利益になると考えています。短期の契約で後から揉めやすいのは、次の7点です。
- 事前説明書面の有無:定期借家では、更新がない旨の書面交付と説明を欠くと、その定めが無効になります(借地借家法38条5項)。
- 解約予告期間:何日前の申し出で、いつ契約が終わるのか。日数で確認します。
- 違約金と返金の範囲:前払い分のどこまでが返らないのか。手数料は返らない規定が一般的です。
- 光熱費の扱い:定額込みか実費か。定額の場合は上限と超過時の精算方法を確認します。
- 日数に比例する付帯費用:調整金・清掃費・同居人追加料金など、総額に効く項目です。
- 退去時の清掃費と原状回復:一般賃貸では退去時の困りごとの1位が「修繕費用の不明朗な請求」(16.9%)でした。
- 入居人数と定員:定員超過は追加料金や契約違反になります。
ちなみに同調査では、賃貸住宅で困った経験があった世帯は25.1%で、契約時の困りごとの1位は「敷金・礼金などの金銭負担」(48.0%)でした。金銭条件を書面で詰めておくだけで、多くのトラブルは避けられます。
途中で解約したくなったときの扱い
「前払いした分は戻らない」と一律に説明されることがありますが、正確ではありません。契約類型で扱いが異なります。
定期借家の場合、借地借家法38条7項が借主に中途解約権を認めています。床面積200㎡未満の居住用建物で、転勤・療養・親族の介護その他やむを得ない事情により生活の本拠として使用することが困難となったときは、借主から解約を申し入れることができ、申入れの日から1ヶ月を経過することで契約が終了します。これに反する借主に不利な特約は無効です(同条8項)。詳しくは定期借家契約の中途解約の可否と対処法をご覧ください。
マンスリーの場合は約款によります。レオパレス21の短期プランでは、申入れの日から10日後を解約日として中途解約でき、10日に満たない解約日を希望する場合は10日分を部屋利用料および違約金として負担する、と公表されています。ただし契約期間開始日から30日分は返金の対象外で、マンスリー手数料はいかなる場合も返金されません。長期プランでは予告が30日後になります。
普通借家の場合は解約自体は可能ですが、1年未満の解約に違約金を定める特約が置かれることがあります。金額や有効性の考え方は賃貸契約の違約金の相場と無効になる条件で解説しています。
よくある質問(FAQ)
Q. アパートを1ヶ月だけ借りることはできますか?
普通の賃貸借契約ではできません。借地借家法29条1項により、1年未満と定めた期間は無効となり、期間の定めのない契約として扱われるためです。1ヶ月単位で期間を区切るには、定期借家契約か、マンスリーマンションを選ぶことになります。
Q. 1ヶ月なら一般賃貸とマンスリーのどちらが安いですか?
マンスリーです。一般賃貸の実質負担が約284,957円なのに対し、マンスリー(レオパレス21ランクH・30日)は約182,930円で、差は約10万円になります。一般賃貸には家具家電の購入費と光熱費の契約手続きも加わります。
Q. 何ヶ月を超えると一般賃貸のほうが得になりますか?
およそ4ヶ月です。敷金・礼金・仲介手数料は1回きりの費用のため、期間が延びるほど1ヶ月あたりの負担が下がります。6ヶ月では一般賃貸726,047円に対しマンスリー795,080円と、約7万円の差がつきます。
Q. 短期賃貸で敷金・礼金・仲介手数料に上限はありますか?
仲介手数料には上限があります。建設省告示第1552号により、貸借の媒介で双方から受けられる報酬の合計は借賃の1ヶ月分以内、居住用建物では承諾を得ている場合を除き一方から0.5ヶ月分以内です。敷金・礼金に法定の上限はありません。
Q. 定期借家契約は途中解約できますか?前払いした賃料は戻りますか?
床面積200㎡未満の居住用で、転勤・療養・親族の介護その他やむを得ない事情があれば解約を申し入れられ、申入れから1ヶ月で終了します(借地借家法38条7項)。この場合、終了後の期間に対応する前払い賃料は精算の対象になります。事情がない場合は契約の定めによります。
Q. 短期賃貸に住民票は移せますか?
そこが生活の本拠であれば移せます。判断基準は市区町村の裁量ではなく生活の実態です。数週間の出張滞在では通常移しません。民泊は住宅宿泊事業法上の宿泊施設のため移せません。事業者によっては、居住目的かどうかで料金体系が変わります。
引用・参考資料
- 国土交通省「令和7年度 住宅市場動向調査報告書」(令和8年7月)
- 借地借家法(e-Gov法令検索)
- 民法(e-Gov法令検索)
- 国税庁 タックスアンサー「No.6226 住宅の貸付け」
- 厚生省生活衛生局指導課長通知「旅館業法運用上の疑義について」(昭和63年1月29日 衛指第23号)
- 観光庁 民泊制度ポータルサイト「住宅宿泊事業法(民泊新法)とは?」
- 観光庁「住宅宿泊事業法の施行状況」(令和8年7月15日時点)
- 大阪市「大阪市国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の新規受付終了について」
- 建設省告示第1552号「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」
- 国土交通省「『定期賃貸住宅標準契約書』について」(平成30年3月版)
- レオパレス21「マンスリー契約 短期プラン料金表」(情報提供日2023年12月1日現在)
- レオパレス21「マンスリー契約 長期プラン料金表」(情報提供日2023年9月1日現在ver.2)
- 東横INN「マンスリープラン」(2026年8月時点の公表内容)
