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COLUMN

個人賠償責任保険とは?借家人賠償責任補償との違い・大家さんが加入すべき保険を徹底解説

個人賠償責任保険と借家人賠償責任補償の違い、家財保険の重要性、大家さん向け火災保険の適用範囲・特約・保険料相場を解説。賃貸経営に必要な保険選びのポイントを網羅的にご紹介します。

最終更新: 約8分で読めます

賃貸経営に欠かせないのが保険です。大家さん自身が加入する保険だけでなく、入居者にも加入してもらうべき保険があります。

この記事では、個人賠償責任保険と借家人賠償責任補償の違い、入居者に加入してもらうべき保険、大家さんが加入すべき火災保険の特約や選び方まで解説します。自然災害・事故発生時に備えるべきポイントも併せてご紹介します。

個人賠償責任保険とはどのような保険なのか?

個人賠償責任保険は、他人の物を壊したり怪我をさせたりした際の損害賠償責任に備える保険です。治療費・修理費のほか裁判費用も補償されます。

単体で加入するのではなく、火災保険や自動車保険にオプションとして付帯するのが一般的で、月数百円で加入できるものがほとんどです。加入者本人だけでなく、配偶者・同居親族・別居の未婚の子も補償対象になります。

ただし、故意に怪我をさせた場合や、他人から借りているものを壊した場合は補償されません。

借家人賠償責任補償とはどう違うのか?

個人賠償責任保険が住人同士のトラブルに使える保険であるのに対し、借家人賠償責任補償は大家さんに対する損害を補償する保険です。

借主が物件内で火災を起こしても個人賠償責任保険では補償されません。借家人賠償責任補償に加入していれば、火災・破裂・爆発・水濡れ事故による大家さんへの損害賠償が補償されます。大家さんの負担なく物件を修復できる可能性が高まるため、入居者には加入を促すことが重要です。

家財保険は入居者に加入してもらうべきなのか?

家財保険への加入は必須と言えるほど重要です。その理由は「失火責任法」にあります。

火災が延焼して隣室の家財が使えなくなっても、被害者は失火者に損害賠償請求ができません。家財保険に加入していなければ、自己負担で家具家電を買い直すことになります。

家財保険は火災保険の一部

家財保険は火災保険のセットに含まれています。火災保険は「個人賠償責任保険」「借家人賠償責任補償」「家財保険」の3つで構成されるのが基本です。

加入を義務にすることは可能

法的な強制加入はできませんが、「火災保険未加入の場合は契約できない」と条件を設けることは可能です。

補償対象となる事故

火災だけでなく、落雷・爆発・風災・雹災・水災・水漏れ・盗難・破損・汚損も補償対象です。

家財に含まれるもの・含まれないもの

家具・家電・食器・衣類・パソコン・自転車・貴金属などは家財に含まれます。一方、自動車・動物・植物・クレジットカード・通貨・有価証券などは含まれません。

家具家電付き物件の場合

家具家電付き物件の家具家電は大家さんの所有物と判断されるため、大家さん側で家財保険に加入する必要があります。

自然災害・事故発生時に備えるべきポイントとは?

入居者が火災保険に加入していても、災害時には大家さんに一定の負担がかかります。以下のポイントを押さえておきましょう。

大家さんが案内した保険に加入してもらう

入居者が自分で探した保険では補償が不十分な場合があります。保険内容を確認した上で、できるだけ大家さんが案内する保険への加入を促しましょう。二重契約の防止も大切です。

保険の更新状況を確認する

入居時に加入していても更新手続きをしておらず無保険になっているケースがあります。災害・事故発生時には入居者・大家さん双方の補償内容を必ず確認しましょう。

事故発生時は素早く対応する

警察・消防への対応、入居者の安否確認、仮住まいの準備、保険会社への連絡、近隣へのお詫びなど、やるべきことは多岐にわたります。事前にマニュアルを作成しておくとスムーズです。賃貸物件の管理体制を整えておくことで、緊急時の対応力が大きく向上します。

修理義務の所在を明確にする

事故の原因によって修理義務は変わります。入居者の過失なら入居者負担(借家人賠償責任補償で対応)、空き巣や経年劣化なら大家さん負担(大家さんの火災保険で対応)です。

大家さんが加入すべき火災保険の適用範囲とは?

入居者の火災保険だけでは建物は補償されないため、大家さんも火災保険への加入が必要です。

建物火災

失火責任法により、延焼被害でも火元の住人に損害賠償請求はできません。大家さん向け火災保険に加入していれば、建物の修理・再建費用や家賃損失が補償されます。

地震以外の自然災害

台風・落雷・大雪・豪雨による被害もカバーされます。近年は集中豪雨による被害が増加傾向にあるため、火災保険への加入は欠かせません。ただし地震が原因の被害は対象外です。

その他の損害

水漏れ、盗難、飛来物の衝突、予期せぬ事故による破損・汚損なども補償範囲に含まれます。

大家さん向け火災保険にはどのような特約があるのか?

賃貸物件特有のリスクに備えるために、以下3つの特約がおすすめです。

施設賠償責任特約

建物の管理不足で他人に怪我を負わせたり物を壊したりした場合に保険金が支払われます。対人の賠償額は高額になるケースが多いため、賃貸経営では必ず検討すべき特約です。

家賃収入特約

災害で建物損害が発生した際、途絶えた家賃収入を一定期間補償してもらえます。ただし補償期間は契約時に定めた期間が限度です。

家主費用特約

物件内で発生した死亡事故に伴う原状回復費用や家賃損失を補償します。年間保険料は約1万円と比較的安価です。

大家さん向け火災保険料の相場はいくらか?

基本保険料の相場は年間5〜10万円前後です。これに特約を追加すると金額が加算されます。

施設賠償責任特約と家賃収入特約はそれぞれ年間約35万円、家主費用特約は約1万円が相場です。3つの特約をすべて付加すると年間75〜80万円程度になります。地震保険もつける場合はさらに10〜15万円ほど上乗せとなります。

特約をつけなければ保険料は節約できますが、万が一の高額な出費に備えがないのはリスクです。物件で想定されるリスクを考慮して判断しましょう。

大家さん向け火災保険はどのように選べばよいのか?

最適な火災保険を選ぶには、以下の6つのステップで検討を進めましょう。

基本補償の適用範囲で選ぶ

火災・落雷・破裂・爆発は多くの商品で基本補償ですが、水災や盗難は特約扱いの場合もあります。物件の立地リスクに応じて必要な補償を選びましょう。

付加する特約を選ぶ

施設賠償責任特約・家賃収入特約・家主費用特約の3つが基本です。予算に応じて優先順位をつけて選択してください。

地震保険の加入を検討する

地震が多い地域や津波のリスクがある場合は、火災保険と同時に地震保険への加入を検討しましょう。地震保険は単独では加入できません。

加入期間を決める

長期プランほど保険料が安くなります。火災保険の契約期間は最短1年・最長5年が一般的です。

サポート体制を確認する

緊急時の対応スピードや補償費用の支払いのスムーズさをチェックしましょう。

複数社から見積もりを取る

同一条件で複数の保険会社から見積もりを取って比較することが、最適な保険選びの鍵です。

保険の見直しや入居者対応の効率化には、賃貸管理の法規制ガイドを参考にすると、法的な根拠を持った対応ができます。

よくある質問(FAQ)

個人賠償責任保険は入居者全員が加入すべきですか?

はい、火災保険(個人賠償責任保険・借家人賠償責任補償・家財保険のセット)への加入を入居条件とするのが望ましいです。万が一のトラブル時に入居者・大家さん双方の負担を軽減できます。

借家人賠償責任補償はいくらの補償額を設定すべきですか?

物件の修復にかかる想定費用をカバーできる金額を設定しましょう。一般的には1,000万円〜2,000万円程度が目安ですが、物件の規模や構造によって異なります。

入居者が火災保険を更新していなかった場合、大家さんの責任はありますか?

法的には大家さんに直接の責任はありませんが、無保険の入居者がいると事故時に大家さんの負担が増える可能性があります。更新時期に確認のリマインドを行うのがおすすめです。

大家さん向け火災保険の特約は後から追加できますか?

契約期間中でも特約の追加が可能な保険会社が多いですが、商品によって条件が異なります。加入中の保険会社に確認してください。

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

INA&Associates株式会社 代表取締役社長。首都圏・近畿圏を中心に不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントを統括。収益不動産投資戦略と超富裕層向け不動産コンサルティングを専門領域とする。

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

合格・取得資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
  • 甲種防火管理者
  • 競売不動産取扱主任者
  • マンション維持修繕技術者
  • 貸金業務取扱主任者