賃貸物件の管理では、退去後や空室期間にクロス(壁紙)のクリーニングが必要になる場面があります。床や設備の清掃に比べて見落とされがちですが、クロスの状態は部屋の印象と入居率に大きく影響します。
この記事では、クロスクリーニングの必要性から汚れ別の落とし方、張り替えとの比較、料金相場と費用を抑えるコツまで解説します。
クロスのクリーニングが必要な理由とは?
クロスクリーニングは、カビの予防・入居率の向上・設備の維持に直結する重要なメンテナンスです。
カビの発生を防ぐ
壁には空気中のホコリが付着しており、放置するとカビの発生原因になります。カビは健康被害だけでなく建物の劣化を早める恐れもあるため、定期的なクリーニングが必要です。
入居率アップにつながる
ホコリや汚れでクロスがくすんでいると部屋全体が暗く見え、内見時の印象が悪くなります。クリーニングで部屋の印象を明るくすることは、空室期間の短縮に直結します。
剥がれや傷の補修も同時に行える
業者に依頼すると、清掃に加えてちょっとした剥がれや傷の補修まで対応してもらえるケースが多いです。張り替えよりも安い費用で対応できる可能性があります。
張り替えのタイミングがわかる
クリーニングの過程でクロスの状態を確認でき、張り替えが必要かどうかの判断材料になります。クリーニング後も日焼けのくすみやタバコのにおいが取れない場合は、張り替えを検討しましょう。
クロスの汚れはどのように落とせばよいのか?
汚れの種類に応じた適切な洗剤と方法を選ぶことで、自分でも効果的にクロスを清掃できます。
手垢
キッチン用の中性洗剤を使います。水で濡らして固く絞った雑巾に洗剤を数滴たらし、上から下に拭いていきます。その後水拭き・乾拭きを行い、水分や洗剤が残っていないか確認してください。
タバコのヤニ
重曹またはセスキ炭酸ソーダを水に溶かしたスプレーが効果的です。タールは酸性汚れなので、アルカリ性の重曹やセスキ炭酸ソーダで落としやすくなります。消臭効果もあるため、ヤニのにおい軽減にも有効です。はたきでホコリを落としてからスプレーし、スポンジで上から下にやさしく擦っていきましょう。
カビ
一部の軽度なカビにはクエン酸スプレーと重曹ペーストの組み合わせがおすすめです。カビ箇所にキッチンペーパーを当ててクエン酸スプレーを吹きかけ5分放置し、その後重曹ペーストを歯ブラシで刷り込んでラップで覆い2〜3時間放置します。水拭き・乾拭き後に消毒用エタノールを吹きかけて乾かせば完了です。
落書き
除光液やクレンジングオイルを雑巾に垂らして優しく擦ります。成分が強い場合があるため、目立たない場所で色落ちテストをしてから使いましょう。強く擦ると汚れが広がるため注意してください。
クロスを汚れにくくするにはどうすればよいのか?
日常的な対策でクロスの汚れを予防し、クリーニング頻度を抑えることが可能です。
定期的に換気を行う
窓を2ヶ所以上対角線上に開けることで空気が流れやすくなり、ホコリの付着を防げます。
家具・家電と壁の間に空間を作る
壁にぴったりくっついた状態だと静電気でホコリが付着しやすくなります。通気性が悪くなることで結露やカビの発生にもつながるため、隙間を空けておきましょう。
汚れが目立ちにくいクロスを採用する
ベージュやアイボリーなどの色にすると日焼けが目立ちにくくなります。表面に保護フィルムが貼られたクロスなら、水拭きで簡単に汚れを落とせます。
クリーニングと張り替え、どちらを選ぶべきなのか?
費用と仕上がりのバランスを考えて判断しましょう。
費用を抑えるならクリーニング
6畳(約45平米)の場合、張り替えは45,000〜72,000円かかるのに対し、クリーニングは21,000〜36,000円程度で済みます。
傷や汚れがひどい場合は張り替え
傷・剥がれ・汚れがひどいとクリーニングだけでは不十分です。部屋の印象を良くするためにも張り替えを選びましょう。
クロスクリーニングの手順はどのように進むのか?
業者に依頼した場合、一般的に以下の流れで進みます。
- クリーニング業者に問い合わせ・日程調整
- クロスの状態チェックとホコリの除去
- 養生を行い、汚れの種類に合わせた洗剤でクリーニング
- 汚れが目立つ箇所のブラッシング洗浄
- 必要に応じた補修作業
- 最終確認をして完了
クロスクリーニングの料金相場はいくらか?
クロスクリーニングの料金相場は1平米あたり480〜800円程度です。6畳(約45平米)なら21,600〜36,000円が目安になります。
クロスコーティング(防汚・防カビ処理)を追加する場合は1平米あたり約2,500円が加算されます。
安く抑えるためのコツ
- 定期的にはたきでホコリを落とし、汚れの蓄積を防ぐ
- 小さい傷や剥がれは接着剤や補修用壁紙で自分で対処する
- 複数の業者から見積もりを取り、適正価格かどうか確認する
ただし、相場よりも極端に安い業者はオプション費用が高額だったり作業が雑だったりする可能性があるため注意してください。
クロスの傷・汚れの費用は誰が負担するのか?
退去時のクロスの傷・汚れは、原因によって入居者負担か大家さん負担かが異なります。
入居者負担になるケース
故意につけた傷、通常使用を超える使用による汚れ、壁を殴って凹ませた、子どもの落書き、ペット不可物件でのペットによる傷などは入居者負担です。タバコのヤニによる変色も入居者が負担します。
大家さん負担になるケース
経年劣化や通常使用の範囲による傷・汚れ、日焼けによる色褪せ、クロス内側からのシミは大家さん負担です。画びょうやピンの小さな穴も通常使用の範囲とされます。
判断が難しい場合は、国土交通省の「賃貸住宅原状回復ガイドライン」を参考にしましょう。賃貸管理の法規制ガイドもあわせて確認しておくと安心です。
クロスクリーニングの業者はどう選べばよいのか?
以下のポイントに注目して業者を選びましょう。
価格設定が適正か
壁の形状が特殊だったり汚れがひどい場合は相場より高くなることがあります。複数の業者から見積もりを取って比較するのがおすすめです。
損害保険に加入しているか
作業中に別の箇所を傷つけてしまった場合のトラブルを防ぐため、事前に確認しておきましょう。
人体や環境にやさしい洗剤を使用しているか
退去後すぐに入居者が決まっている場合や、ファミリー・ペットOKの物件ではエコ洗剤を使う業者が安心です。
料金体系がわかりやすいか
交通費や人件費が別途かかる場合もあるため、見積もりの時点ですべて明記されているか確認しましょう。
クロス以外にハウスクリーニングではどのような作業が行われるのか?
退去後のハウスクリーニングでは、クロス以外にも多くの箇所を清掃します。
床の清掃・ワックスがけ、キッチン・トイレ・浴室などの水回り清掃、玄関の高圧洗浄、窓ガラス・サッシ・網戸の清掃、照明器具やカーテンレールの拭き掃除、ベランダの清掃、エアコン内部の洗浄、害虫対策(ペストコントロール)などが含まれます。害虫駆除については別途専門業者への依頼が必要な場合もあります。
よくある質問(FAQ)
クロスクリーニングはどのくらいの頻度で行うべきですか?
入居者の退去ごとに行うのが理想的です。長期入居の場合は、3〜5年に1回程度のクリーニングを検討しましょう。定期的にホコリを払う簡易清掃を行っておくと、クリーニング時の費用を抑えられます。
クロスクリーニングの作業時間はどのくらいですか?
部屋の広さや汚れの程度によりますが、1Kや1LDKであれば2〜4時間程度で完了するケースが多いです。ヤニ汚れやカビがひどい場合はそれ以上かかることもあります。
クロスコーティングは必要ですか?
必須ではありませんが、防汚性・防カビ性が向上するためクロスの寿命を延ばす効果があります。費用対効果を考慮して判断しましょう。
タバコのヤニ汚れの原状回復費用は全額入居者負担ですか?
国土交通省のガイドラインでは、喫煙によるヤニ汚れ・におい付着は入居者の負担とされています。ただし、クロスの減価償却(耐用年数6年)を考慮して費用を按分するのが一般的です。
退去時のクリーニング費用は敷金から引かれますか?
はい、多くの場合は賃貸契約書の特約に基づき、退去後のクリーニング費用は敷金から差し引かれます。契約時に特約の内容を明確にしておくことがトラブル防止につながります。