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2025年建築基準法改正と不動産登記義務化|不動産業界が押さえるべき法改正の全体像

2025年建築基準法改正による省エネ基準適合義務化・4号特例縮小と、相続登記・住所変更登記の義務化について。不動産業界が押さえるべき法改正の要点を代表が解説。

最終更新: 約6分で読めます

2025年から2026年にかけて、不動産業界に大きな影響を与える法改正が相次いで施行されます。建築基準法の改正による省エネ基準適合の義務化、そして不動産登記制度の見直しによる相続登記・住所変更登記の義務化です。

私自身、不動産事業を経営する立場として、これらの法改正を「規制の強化」と捉えるのではなく、業界全体の信頼性向上に向けた転換点だと考えています。今回は、不動産業界の実務に携わる方々に向けて、押さえるべきポイントを整理します。

建築基準法改正(2025年4月施行)の要点

全ての新築建築物に省エネ基準適合が義務化

2025年4月から、原則として全ての新築住宅・非住宅に対し、省エネ基準への適合が義務付けられました。これまでは一定規模以上の建築物が対象でしたが、小規模な住宅も含めて全面的に義務化されたのが大きな変更点です。

背景には、建築物分野からのCO2排出量が日本全体の約3分の1を占めるという現実があります。国は2030年度に建築物分野のCO2排出を2013年度比58%削減する目標を掲げており、新築でZEH・ZEBに適合する建築物の割合を2030年度に100%とする方針です。

増改築と修繕・リフォームの違い

省エネ基準適合義務は増改築にも適用されますが、重要な点として、修繕・模様替え(いわゆるリフォーム)は対象外です。増改築の場合は、増改築を行う部分が省エネ基準に適合する必要がありますが、建築物全体ではなく当該部分のみが対象となります。

不動産取引の実務では、物件がリフォーム済みなのか増改築を行ったのかの区別が重要になります。増改築であれば省エネ基準適合の確認が必要ですが、リフォームであれば対象外。この違いを正確に把握しておく必要があります。

「4号特例」の縮小

これまで木造2階建て以下の住宅等は、建築確認の際に構造関係規定等の審査が省略されていました(いわゆる「4号特例」)。今回の法改正でこの特例が縮小され、審査省略の範囲が大幅に見直されました。

これにより、小規模な木造住宅でも構造安全性や省エネ性能の審査が必要となり、建築確認の申請手続きも変更されています。工務店や設計事務所との連携において、この変更を理解しておくことが重要です。

不動産登記制度の見直し(2024〜2026年施行)

なぜ登記制度が変わるのか

日本には「所有者不明土地」という深刻な問題があります。不動産登記簿で所有者が判明しない、または判明しても所在不明で連絡がつかない土地です。

相続登記がされてこなかった主な理由は明確です。申請が義務ではなかったこと、相続した土地の価値が乏しく費用をかけるインセンティブがなかったこと、そして都市部への人口移動により土地への関心が低下したこと。この三つの要因が重なり、所有者不明土地が全国的に拡大してきました。

相続登記の義務化(2024年4月施行済み)

2024年4月1日から、相続により不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請することが義務となりました。

正当な理由なく申請を怠った場合、10万円以下の過料の対象となります。この義務化は施行日前に相続が開始された不動産にも適用され、2027年3月31日までに登記申請が必要です。

住所・氏名変更登記の義務化(2026年4月施行)

2026年4月からは、不動産の所有者が住所や氏名を変更した場合、変更日から2年以内に変更登記を申請することが義務となります。正当な理由なく申請を怠った場合は5万円以下の過料が科されます。

不動産オーナーの中には、引っ越しや結婚・離婚による氏名変更の際に登記変更をしていない方が少なくありません。2026年4月の施行に向けて、管理物件のオーナーに対する情報提供が必要になるでしょう。

相続土地国庫帰属制度

相続等により取得した土地の所有権を、法務大臣の承認を受けて国庫に帰属させることができる制度も創設されています(2023年4月施行済み)。一定の条件を満たす必要がありますが、利用価値の低い土地を手放す選択肢が法的に整備されたことは、土地問題の解決に向けた重要な一歩です。

不動産業界への影響

これらの法改正を俯瞰すると、一つの明確な方向性が見えます。それは「透明性」と「責任の明確化」です。

省エネ基準の義務化は、建築物の品質を可視化するものです。相続登記の義務化は、所有者を明確にするものです。そして区分所有法の改正は、管理の透明性を担保するものです。

よくある質問(FAQ)

Q. 省エネ基準適合義務化はリフォームにも適用されますか?

修繕・模様替え(リフォーム)は省エネ基準適合義務の対象外です。ただし、増改築に該当する場合は増改築部分について適合が必要です。工事内容がリフォームなのか増改築なのかの判断が重要になるため、設計者への確認をおすすめします。

Q. 相続登記を放置するとどうなりますか?

正当な理由なく3年以内の申請を怠ると10万円以下の過料が科される可能性があります。また、登記が未了のまま長期間放置すると、相続関係が複雑化し、将来の売却や活用が極めて困難になるリスクがあります。早めの対応をおすすめします。

Q. これらの法改正に不動産オーナーはどう備えるべき?

まず、所有不動産の登記情報が最新かどうかを確認しましょう。住所変更や相続が発生している場合は、2026年4月の義務化前に手続きを進めておくと安心です。省エネ基準については、今後の売却やリノベーション時に影響が出る可能性があるため、物件の省エネ性能を把握しておくことが有用です。

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

INA&Associates株式会社 代表取締役社長。首都圏・近畿圏を中心に不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントを統括。収益不動産投資戦略と超富裕層向け不動産コンサルティングを専門領域とする。

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

合格・取得資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
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