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不動産売却の現状渡しとは?売主・買主の法的義務とメリット・デメリットを解説

現状渡しとは修繕せずそのままの状態で物件を引き渡す売却方法。告知義務・契約不適合責任・瑕疵担保責任の3つの義務と、売主・買主双方のメリット・デメリットを専門家視点で解説します。

最終更新: 約4分で読めます

現状渡しとは、物件に瑕疵(不具合・劣化)があってもそのままの状態で買主に引き渡す売却方法だ。売主の費用・時間負担を省ける一方、法的義務を正確に理解しないとトラブルに発展するリスクがある。本記事では現状渡しの定義・法的義務・メリット・デメリットを整理する。

現状渡しとは何か?

現状渡しとは、壁紙の剥がれ・設備の不具合など既存の瑕疵を補修・修繕せず、現在の状態のまま買主へ引き渡す売却方法のことだ。長年使用された物件ほど何らかの劣化が生じており、修繕コストを売却前に回避したい売主が選択するケースが多い。

ただし「現状渡し=何でもあり」ではない。告知義務・契約不適合責任・瑕疵担保責任という3つの法的枠組みの中で行わなければならない。

現状渡しで売主が負う3つの法的義務

1. 告知義務

物件に不具合・劣化がある場合、売主はその箇所・状態・過去の補修歴を詳細に買主へ開示する義務がある。告知義務違反が発覚すると契約違反とみなされ、損害賠償請求の対象となる。小さな不具合でも隠蔽は禁物だ。

2. 契約不適合責任(2020年4月民法改正)

2020年4月の民法改正により強化された責任。引き渡し後でも、物件の状態が契約内容と相違していれば買主は追加請求・代金減額を求めることができる。売主は「現状確認書」に瑕疵の内容を漏れなく記載し、契約内容と実態を一致させる必要がある。

3. 瑕疵担保責任

売主が認識していなかった不具合であっても、引き渡し後3ヶ月以内に発覚した場合は売主の修繕義務が生じる。新築物件にも適用される。引き渡し前のホームインスペクション(建物状況調査)の活用が売主のリスク管理として有効だ。

現状渡しの売主側メリット・デメリット

メリットデメリット
修繕費用が不要相場より売却価格が低くなりやすい
すぐに売り出せる瑕疵告知漏れによるトラブルリスク
急ぎの売却に対応できる家具・不要品の処分は依然必要

現状渡しの買主側メリット・デメリット

メリットデメリット
相場より安く取得できる引き渡し後に追加修繕が発生するリスク
自分好みにリフォームしやすい契約不適合責任の期限が切れると買主負担
築年数が新しい中古物件に早く住める物件状態の把握に専門知識が必要

現状渡しで取引する際のポイント

  1. 現状確認書・付帯設備表・物件状況報告書を漏れなく作成する
  2. 買主に口頭だけでなく書面で瑕疵内容を説明し署名をもらう
  3. ホームインスペクションを実施し、客観的な建物状況を把握する(売主・買主双方の安心材料になる)
  4. 買主は契約直後から物件状態を記録し、契約不適合責任期間内に確認する

FAQ

Q1. 現状渡しと瑕疵担保免責は同じですか?

異なります。現状渡しは「修繕せず引き渡す」方法であり、瑕疵担保免責は「契約上の瑕疵担保責任を免除する特約」です。現状渡しでも告知義務は必ず履行しなければなりません。

Q2. 現状渡しで売った後にトラブルを避けるには?

ホームインスペクションを実施し、調査結果を基に現状確認書を作成することが最も有効です。客観的な第三者評価があると売買後の争いが格段に減ります。

Q3. 現状渡しはどのような物件に向いていますか?

急いで売却したい場合、修繕費用を確保できない場合、リノベーション目的の買主が多いエリアの物件などに向いています。

Q4. 契約不適合責任の期間はどのくらいですか?

民法上の原則は「買主が不適合を知った時から1年以内」ですが、契約で期間を短縮することも可能です。個人間売買では引き渡しから3ヶ月とするケースが多いです。

Q5. 現状渡しで売却する際、相場からどのくらい安くなりますか?

瑕疵の内容・修繕費見積もり・物件の需要によって異なりますが、修繕費相当額の一部〜全額を値引きするケースが多いです。事前に修繕費見積もりを取得しておくと交渉が円滑に進みます。

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

INA&Associates株式会社 代表取締役社長。首都圏・近畿圏を中心に不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントを統括。収益不動産投資戦略と超富裕層向け不動産コンサルティングを専門領域とする。

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

合格・取得資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
  • 甲種防火管理者
  • 競売不動産取扱主任者
  • マンション維持修繕技術者
  • 貸金業務取扱主任者