2025年3月の首都圏中古不動産市場は、中古マンションの成約件数が前年同月比31.0%増え、成約価格も2.6%上昇しました。価格だけを見ると高くなった市場ですが、在庫は前年同月比5.2%減っており、件数・価格・在庫を分けて読む必要があります。
「売るなら高いのか」「今買ってもよいのか」と迷うとき、平均価格だけでは判断できません。この記事では、公益財団法人東日本不動産流通機構(REINS)の月例速報をもとに、2025年3月の数字を整理し、物件ごとの判断に使う見方まで説明します。
この記事のポイント
- 中古マンションは成約件数4,991件、成約価格4,945万円、在庫43,941件でした。
- 件数の増加は需要の回復を示しますが、平均価格は物件の広さや立地でも動きます。
- 首都圏全体の平均を、東京23区・多摩・横浜川崎などの地域差に分けて確認することが大切です。
- 中古戸建ては成約件数が大きく伸びた一方、成約価格は下落しており、マンションと同じ読み方はできません。
- 売買を決める前に、同じ駅距離・築年数・面積帯の成約事例と在庫期間を確認します。
首都圏中古不動産市場は2025年3月にどう動いた?
まず結論を言えば、2025年3月は中古マンションの取引が増え、価格も上がった月です。ただし、これは首都圏の平均値であり、すべての物件が同じ割合で上昇したという意味ではありません。
REINSの「月例速報 Market Watch サマリーレポート 2025年3月度」によると、首都圏中古マンションの成約件数は4,991件で、前年同月比31.0%増でした。成約価格は4,945万円で2.6%増、㎡単価は79.01万円で4.1%増となり、㎡単価は5か月連続で前年同月を上回っています。
一方、成約物件の専有面積は62.58㎡で1.5%減でした。価格が上がった理由を「同じ広さの物件が一律に上がった」と決めつけず、成約した物件の立地・築年数・面積構成も確認する必要があります。
| 指標 | 2025年3月 | 前年同月比 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 中古マンション成約件数 | 4,991件 | +31.0% | 取引の活発さを見る |
| 中古マンション成約価格 | 4,945万円 | +2.6% | 実際に成約した平均価格 |
| 中古マンション㎡単価 | 79.01万円/㎡ | +4.1% | 面積差を補正して見る |
| 成約物件の専有面積 | 62.58㎡ | -1.5% | 成約物件の構成を確認 |
| 新規登録件数 | 16,844件 | -0.01% | 売り出しの流入を見る |
| 在庫件数 | 43,941件 | -5.2% | 選べる物件数を見る |
出典はREINSの2025年3月度サマリーレポートです。成約件数と成約価格が同時に伸びても、成約に至らなかった売り出し物件の価格や、物件ごとの販売期間まではこの表だけでは分かりません。
中古マンションの成約件数と価格は、なぜ一緒に見るのか?
成約件数は「実際に売買が成立した数」、成約価格は「成立した売買の平均価格」です。価格表を眺めるだけではなく、件数が増えているかを合わせて見ることで、買い手が動いているのか、少数の高額取引だけが平均を押し上げているのかを考えやすくなります。
例えば、成約価格が上がっていても、面積の小さい物件が増えていれば、総額と㎡単価の印象は変わります。反対に、件数が増えていても、築浅や駅近に取引が偏っていれば、築古物件の売りやすさまで改善したとは言えません。
売却を考えるオーナーは、平均価格に自分の物件をそのまま当てはめないことが重要です。査定を依頼するときは、査定額だけでなく、比較した成約事例の築年数、駅徒歩、専有面積、階数、管理状態を一覧で受け取りましょう。
購入を考える人は、広告価格と成約価格の差も確認します。売り出し中の物件が長く残っている場合、価格を下げずに待っているのか、成約条件が合わずに市場から外れたのかで、交渉の余地は変わります。
個人で資産全体を見直す場合は、不動産投資のポートフォリオを考える手順も参考になります。1室の値上がりだけでなく、借入残高、家賃収入、修繕予定を同じ表に並べると、売却や買い増しの判断がぶれにくくなります。
東京23区だけが上がった?地域別の成約件数を確認する
首都圏中古不動産市場の平均値は、地域ごとの動きを隠します。2025年3月の中古マンション成約件数は、東京23区だけでなく、横浜・川崎、神奈川県その他、埼玉、千葉、多摩のすべてで前年同月を上回りました。
| 地域 | 成約件数の前年同月比 |
|---|---|
| 東京23区 | +28.4% |
| 多摩 | +30.6% |
| 横浜・川崎 | +33.2% |
| 神奈川県その他 | +51.3% |
| 埼玉県 | +30.2% |
| 千葉県 | +28.4% |
神奈川県その他の伸び率は51.3%と大きいものの、前年の件数が少なかった場合は率だけで規模を比較できません。実際の件数、平均価格、㎡単価を地域ごとに確認し、さらに駅勢圏や築年数を絞る必要があります。
例えば、東京23区で駅徒歩10分以内の築15年以内を探す人と、千葉県で駅からの距離より専有面積を優先する人では、同じ「平均4,945万円」でも検討できる物件が違います。地域統計は入口であり、最後は購入条件に合わせて分解します。
購入候補が決まったら、東京圏で不動産投資を始める前の確認項目と照らし、融資、空室、修繕、出口の4点を確認してください。価格が上がる局面ほど、買った後の収支を先に計算する方が安全です。
中古戸建の成約価格は、なぜマンションと違うのか?
2025年3月の首都圏中古戸建ては、成約件数2,196件で前年同月比62.8%増でした。一方、成約価格は4,030万円で2.6%減、土地面積は144.91㎡で0.2%減、建物面積は103.85㎡で1.2%減です。
この組み合わせは、取引が増えたからといって価格も上がるとは限らないことを示します。中古戸建ては、土地と建物を一体で評価するため、築年数、接道、再建築の可否、建物の状態、土地の形状が価格に強く影響します。
中古戸建てを売る場合、マンションの㎡単価を使って機械的に価格を出すのは適切ではありません。建物の残存価値をどう見るか、解体や修繕が必要か、土地としての需要があるかを分けて査定してもらいます。
買う場合は、内見時の印象だけで判断せず、確認記録を残します。次の表に沿って資料を揃えると、価格交渉や融資審査で説明しやすくなります。
| 確認項目 | 見る資料・質問 | 判断への影響 |
|---|---|---|
| 接道・再建築 | 道路種別、幅員、接道長さ | 建て替えと出口の可否 |
| 建物状態 | インスペクション、修繕履歴 | 購入後の支出 |
| 土地形状 | 公図、測量図、高低差 | 造成・外構費用 |
| 周辺成約 | 同じエリアの成約事例 | 査定価格の妥当性 |
戸建てとマンションのどちらを選ぶか迷うときは、初期価格だけでなく、保有中の修繕、管理の手間、売却時の買い手層まで比べます。費用の見積もりが一つしかない場合は、購入判断を急がないことです。
成約価格が上がったとき、買う・売るをどう判断する?
相場が上がった月の判断は、「まだ上がるか」ではなく「自分の条件で成立するか」を軸にします。市場平均は方向を確認する材料であり、購入価格や売却価格を保証するものではありません。
売却前は、次の順番で資料を集めます。
- 同じ駅または徒歩圏の直近成約事例を3件以上集める。
- 築年数、面積、階数、向き、管理状態の違いを記録する。
- 売り出し価格と成約価格の差、販売期間を確認する。
- 売却費用、ローン残高、税金を差し引いた手取りを計算する。
購入前は、希望価格で買えるかだけでなく、金利上昇や空室が起きた場合も試算します。賃貸運用を検討する場合は、東京と大阪の不動産管理費を比較する視点を使い、管理費を単なる安さではなく、募集・修繕・報告の範囲で比べてください。
例えば、4,945万円という平均価格に近い物件でも、自己資金、借入期間、修繕積立金、将来の家賃が違えば手残りは変わります。平均値を結論にせず、物件単位の収支表に落とした時点で判断するのが実務です。
REINSの市場統計と不動産価格指数はどう使い分ける?
REINSは、登録された売買情報から成約件数・成約価格・㎡単価・在庫などを確認するのに向いています。一方、国土交通省の不動産価格指数は、取引価格情報をもとにした指数で、月次の市場変化を長く追うときに役立ちます。
国土交通省は、不動産価格指数について、年間約30万件の取引価格情報をもとに作成し、住宅の種類別・地域別に月次で公表しています。REINSの成約価格とは対象や集計方法が違うため、数値が一致しないことがあります。
個別物件の売買を検討するときは、REINSの成約事例や不動産会社の査定を先に見ます。地域全体の長期的な傾向を確認するときは、国土交通省の不動産価格指数や不動産情報ライブラリを併用してください。
なお、この記事の中心は2025年3月の統計です。その後の参考として、REINSの2026年6月度では中古マンションの成約件数が4,241件で前年同月比1.3%減、成約価格は5,208万円でほぼ横ばいでした。中古戸建ては成約件数2,019件で3.9%増、成約価格4,006万円で1.7%増です。
この比較は、2025年3月の数字を現在の相場として扱わないために示しています。最新の判断では、REINSの月例マーケットウォッチから対象月の資料を確認し、同じ地域・物件種別で比較してください。
まとめ:首都圏中古不動産市場は3つの数字で読む
2025年3月の首都圏中古不動産市場は、中古マンションの成約件数が大きく増え、成約価格と㎡単価も前年同月を上回りました。在庫が減ったため、買い手から見れば選択肢が狭まり、売り手から見れば成約事例を説明しやすい環境でした。
ただし、地域や物件条件を分けると結果は変わります。成約件数、成約価格、在庫件数の3つを確認し、最後は駅距離・築年数・面積・管理状態・保有コストを物件ごとに比べてください。
首都圏中古不動産市場の数字を、売買の結論ではなく、次に確認する資料を決めるために使う。これが、相場が動く時期に判断を急がないための基本です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 2025年3月の中古マンション成約価格はいくらですか?
A. 2025年3月の首都圏中古マンション成約価格は平均4,945万円で、前年同月比2.6%増でした。物件ごとの価格は立地、築年数、面積などで変わるため、平均値だけで査定額を決めないでください。
Q2. 成約件数が増えれば、不動産価格も上がりますか?
A. 成約件数の増加は取引の活発さを示しますが、価格上昇を直接保証するものではありません。成約した物件の面積や築年数の構成、地域差、在庫件数も合わせて確認します。
Q3. REINSと不動産価格指数はどちらを見ればよいですか?
A. 個別物件の売買にはREINSの成約事例、地域の長期傾向には国土交通省の不動産価格指数が向いています。対象と集計方法が違うため、数値を単純比較しないことが大切です。
Q4. 2025年3月の統計を今の購入判断に使えますか?
A. 2025年3月の統計は過去の市場を知る基準として使い、購入判断には直近月の統計と物件ごとの成約事例を追加してください。金利、修繕、賃料、在庫期間も現在の条件で再計算します。