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マンション購入の流れを実務目線で解説|物件調査・住宅ローン・契約・引渡し後までの失敗回避手順

マンション購入の流れを、物件探しから住宅ローン、重要事項説明、売買契約、決済、引渡し後の手続きまで実務目線で解説します。

最終更新: 約17分で読めます

マンション購入の流れは「探す前」から始まる

マンション購入の流れは、単に「物件を探す、契約する、引き渡しを受ける」という3ステップでは足りません。実際には、物件を見つける前の資金計画、管理状態の確認、住宅ローンの審査、重要事項説明、売買契約、決済、入居後の管理費・修繕積立金の負担までつながっています。

特に中古マンションでは、部屋の内装だけでなく、建物全体の管理状態や修繕計画が将来の住み心地と資産価値に影響します。価格が予算内でも、修繕積立金が不足している、管理組合の運営に不安がある、大規模修繕の予定が読めない物件では、購入後に追加負担が生じる可能性があります。

まずは全体の流れを、次のように捉えると判断しやすくなります。

段階 主な行動 失敗を防ぐ確認点
購入前準備 予算、希望条件、ローン方針を整理する 借りられる額ではなく、返せる額で考える
物件調査 立地、価格、管理状態、修繕履歴を比較する 室内だけでなく、共用部と管理資料を見る
申し込み 購入申込書を出し、条件交渉する 価格、引渡し時期、残置物、ローン特約を確認する
ローン審査 事前審査、本審査を進める 金利タイプ、団信、諸費用込みの返済額を見る
契約 重要事項説明と売買契約を確認する 不明点を残したまま署名・押印しない
決済・引渡し 残代金支払い、登記、鍵の受領を行う 当日の必要書類と送金手順を事前確認する
引渡し後 住所変更、管理組合手続き、税務手続きを行う 入居後の費用、修繕予定、住宅ローン控除を確認する

マンション購入は、早く決めることよりも「後戻りしにくい判断をする前に、確認すべき情報をそろえること」が重要です。

STEP1:購入前に予算と優先順位を決める

最初に決めるべきことは、物件価格ではなく総予算です。マンション購入では、売買価格のほかに仲介手数料、登記費用、住宅ローン関連費用、火災保険料、固定資産税・都市計画税の精算金、管理費・修繕積立金の精算金などがかかります。

中古マンションでは、物件価格のほかにリフォーム費用が必要になることもあります。表面上は安く見えても、水回り交換、給湯器交換、床・壁の補修、電気容量の見直しなどを含めると、新築や築浅物件との差が縮まるケースもあります。

予算を組むときは、次の3つを分けて考えます。

  • 頭金として使える現金
  • 諸費用や引越し費用として残す現金
  • 毎月無理なく返済できる住宅ローン額

注意したいのは、金融機関の審査で借りられる金額と、生活を維持しながら返せる金額は違うという点です。教育費、車、親の介護、転職、金利上昇、管理費・修繕積立金の値上げまで考えると、借入上限いっぱいの購入は余裕を失いやすくなります。

物件探しに入る前に、希望条件も整理しておきましょう。駅距離、広さ、築年数、階数、方角、学区、ペット可否、駐車場、リフォーム可否などをすべて満たす物件は多くありません。譲れない条件と、価格次第で妥協できる条件を分けておくと、内見時に判断がぶれにくくなります。

住宅ローンの返済イメージを先に確認したい場合は、中古マンション購入前に住宅ローンシミュレーションをすべき理由も参考になります。

STEP2:物件探しでは「価格」より先に管理状態を見る

マンションは、専有部分だけを買うものではありません。廊下、エントランス、エレベーター、外壁、屋上、給排水管などの共用部分を、ほかの区分所有者と共同で維持していく不動産です。

そのため、内装がきれいでも、管理状態が悪ければ購入後のリスクは高くなります。内見時には、室内だけでなく共用部の状態も確認しましょう。掲示板の内容、ゴミ置き場、駐輪場、郵便受け、エントランス、廊下の清掃状況には、管理の実態が出やすいです。

中古マンションでは、次の資料を確認できるかが重要です。

確認資料 見るべきポイント 注意したい状態
長期修繕計画 大規模修繕の予定、修繕積立金の見通し 計画が古い、更新されていない
修繕履歴 外壁、屋上防水、給排水管、エレベーターの工事履歴 必要な修繕が先送りされている
管理費・修繕積立金 月額、滞納状況、将来の値上げ予定 積立金が低すぎる、滞納が多い
管理規約・使用細則 ペット、民泊、事務所利用、リフォーム制限 自分の利用目的と合わない
総会議事録 管理組合の議論、トラブル、修繕方針 大きな課題が放置されている

修繕積立金が安い物件は、毎月の負担が軽く見えます。しかし、必要な修繕に対して積立金が不足している場合、将来の値上げや一時金徴収につながることがあります。安いこと自体を評価するのではなく、建物規模、築年数、修繕計画に対して妥当かを見ます。

STEP3:購入申し込みは「条件を書面で整理する」手続き

買いたい物件が決まったら、購入申込書を提出します。これは売買契約そのものではありませんが、価格、手付金、引渡し時期、住宅ローン利用の有無など、取引条件の出発点になります。

申し込みの時点で確認したいのは、価格交渉だけではありません。むしろ、後で揉めやすい条件を早めに整理することが大切です。

確認すべき主な条件は次のとおりです。

  • 売買価格
  • 手付金の額
  • 引渡し希望日
  • 住宅ローン特約の有無と期限
  • 残置物の扱い
  • 設備の故障や不具合の説明
  • リフォーム予定がある場合の着工可能時期
  • 売主の居住中か空室か

住宅ローン特約は、買主がローン審査に通らなかった場合に契約を白紙解除できるようにする条項です。ただし、期限や対象金融機関などの条件が曖昧だと、後で解釈が問題になることがあります。申し込み段階から、不動産会社に内容を確認しておきましょう。

人気物件では、申し込みの早さが重視されることもあります。ただし、焦って資料確認を省略すると、契約後に取り消しにくい問題が見つかることがあります。購入意思を示すことと、確認不足のまま進むことは分けて考えるべきです。

STEP4:住宅ローンは事前審査と本審査で見る点が違う

マンション購入の手続きでは、住宅ローンの進め方が重要です。一般的には、購入申し込みの前後で事前審査を行い、売買契約後に本審査へ進みます。

事前審査では、年収、勤務先、勤続年数、借入状況、希望借入額などをもとに、融資の見込みを確認します。本審査では、より詳細な本人情報、物件情報、売買契約書、重要事項説明書、団体信用生命保険の告知内容などを確認します。事前審査に通っても、本審査が必ず通るわけではありません。

住宅ローンで比較すべきなのは、金利の低さだけではありません。事務手数料、保証料、繰上返済手数料、団信の保障内容、金利タイプ、返済期間、借入後の条件変更のしやすさも含めて見ます。

金利タイプは大きく、変動金利、固定金利、一定期間固定金利に分かれます。変動金利は当初の金利が低くなりやすい一方、将来の金利上昇リスクがあります。固定金利は返済計画を立てやすい一方、借入時点の金利は変動金利より高くなることがあります。どちらが有利かは、借入額、返済期間、家計の余力、将来の収入見通しによって変わります。

金利タイプの比較は、中古マンション購入の住宅ローン金利タイプ比較で詳しく整理しています。

STEP5:重要事項説明は「読む儀式」ではなく契約前の最終確認

売買契約の前には、宅地建物取引士から重要事項説明を受けます。これは、宅地建物取引業法に基づく重要な手続きです。物件や取引条件について、買主が契約前に理解すべき事項を説明するものです。

重要事項説明で確認する内容は多岐にわたります。登記簿上の権利関係、法令上の制限、私道や敷地の権利、管理費・修繕積立金、管理規約、専有部分と共用部分、契約解除、手付金、ローン特約、瑕疵や設備の扱いなどが含まれます。

ここで大切なのは、説明を受けた事実ではなく、理解したうえで契約することです。専門用語が多いため、その場で完全に理解するのは簡単ではありません。可能であれば、重要事項説明書と売買契約書の案を事前にもらい、契約日前に目を通しておきましょう。

特に中古マンションでは、次の点を重点的に確認します。

  • 管理費・修繕積立金の額と滞納の有無
  • 長期修繕計画と大規模修繕の予定
  • 専有部分の設備不具合
  • 雨漏り、給排水管、騒音、事故履歴などの告知事項
  • ペット、楽器、民泊、事務所利用の制限
  • リフォーム工事の制限
  • 駐車場・駐輪場の使用権
  • 売主の契約不適合責任の範囲

重要事項説明の確認ポイントは、マンション購入時の重要事項説明とは?確認すべき13のポイントもあわせて読むと理解しやすくなります。

STEP6:売買契約では解除条件と手付金を確認する

重要事項説明を受け、内容に納得できれば売買契約を締結します。売買契約では、売買価格、手付金、残代金支払日、引渡し日、契約解除、ローン特約、契約不適合責任、設備の引渡し状態などを定めます。

契約時に支払う手付金は、一般的に売買代金の一部に充当されます。ただし、契約後に買主都合で解除する場合、手付金を放棄することで解除する形になることがあります。売主都合の場合は、手付金の倍額を返す取り扱いが定められることがあります。実際の内容は契約書で確認が必要です。

中古マンションでは、契約書だけでなく付帯設備表と物件状況報告書も重要です。給湯器、エアコン、床暖房、食洗機、浴室乾燥機、インターホンなどの設備について、故障の有無や撤去・残置の扱いを確認します。

契約前に口頭で聞いた内容がある場合は、書面に反映されているか確認しましょう。口頭説明だけでは、後で証明が難しくなります。特に「引渡しまでに修理する」「この家具は撤去する」「リフォームは問題ない」といった内容は、契約書や覚書、付帯設備表などに落とし込む必要があります。

STEP7:決済・引渡しは一日で多くの手続きが動く

住宅ローンの本審査が承認されると、金融機関、売主、買主、不動産会社、司法書士などで決済日を調整します。決済日には、残代金の支払い、住宅ローン実行、所有権移転登記、抵当権設定登記、鍵の受け渡し、固定資産税や管理費等の精算が行われます。

決済当日は、手続きが一度に進むため、事前準備が重要です。本人確認書類、実印、印鑑証明書、住民票、通帳、銀行届出印、振込先情報など、必要書類は金融機関や司法書士の案内に従って確認します。電子契約やオンライン手続きが使われる場合でも、事前確認は省略できません。

決済で注意したいのは、送金額の内訳です。売買代金の残額だけでなく、固定資産税・都市計画税の精算金、管理費・修繕積立金の精算金、司法書士報酬、登記費用、ローン関連費用などが同時に動きます。前日までに資金移動の上限、振込手続き、着金確認の流れを確認しておきましょう。

鍵を受け取った後は、室内を確認します。設備の状態、残置物、破損、クリーニング状況など、契約時の説明と違う点がないか見ます。大きな問題があれば、すぐに不動産会社へ連絡します。

STEP8:引渡し後の手続きまで含めて購入は完了する

鍵を受け取った時点で終わりではありません。引渡し後には、住所変更、電気・ガス・水道の開栓、インターネット回線、火災保険、管理組合への届出、駐車場・駐輪場の手続きなどがあります。

住宅ローンを利用して自宅として購入した場合、条件を満たせば住宅ローン控除の対象になる可能性があります。ただし、制度の要件は購入時期、物件の性能、床面積、所得、入居時期などによって異なります。税制は改正されることがあるため、最新の要件は国税庁や税理士、金融機関などで確認するのが安全です。

中古マンションを購入してリフォームする場合は、管理組合への工事申請も必要です。工事可能な曜日・時間、床材の遮音等級、共用部の養生、近隣挨拶、搬入経路などが管理規約や使用細則で決まっていることがあります。引渡し後すぐに工事できるとは限らないため、契約前から確認しておくと予定が立てやすくなります。

また、入居後は管理組合の一員になります。総会資料や議事録を確認し、修繕計画、管理費会計、修繕積立金会計の状況を把握しておくと、将来の負担変化に気づきやすくなります。

中古マンション購入で特に注意したいポイント

中古マンションは、実物を確認できる点が大きなメリットです。一方で、築年数、管理状態、修繕履歴、設備劣化、売主の契約不適合責任の範囲など、新築とは異なる確認事項があります。

まず、築年数だけで判断しないことが大切です。築浅でも管理が弱い物件はありますし、築古でも適切に修繕され、管理組合が機能している物件もあります。重要なのは、建物の年齢と管理の質をセットで見ることです。

次に、リフォーム費用を甘く見ないことです。内装だけなら予算を立てやすいですが、給排水管、電気容量、給湯器、浴室、キッチン、床下地などに手を入れると費用が大きくなることがあります。購入前にリフォーム会社へ概算を確認し、工事制限も管理規約で確認しましょう。

さらに、投資目的と居住目的では見るべき点が違います。居住用なら生活利便性、管理状態、将来の住み替えやすさが重要です。投資用なら賃貸需要、利回り、空室リスク、管理費・修繕積立金、出口価格を冷静に見る必要があります。住宅ローンは原則として本人居住用のローンであり、投資用に利用できるものではありません。用途が異なる場合は、金融機関の商品条件を確認する必要があります。

失敗回避チェックリスト

マンション購入で後悔しやすいのは、情報がなかったからではなく、確認すべき順番を間違えたときです。最後に、購入前から引渡し後までのチェック項目を整理します。

購入前には、月々の返済額だけでなく、管理費、修繕積立金、固定資産税、保険料、駐車場代、将来の修繕積立金値上げまで含めて家計を見ます。ボーナス返済を前提にしすぎると、収入変動に弱くなります。

物件比較では、価格、駅距離、広さだけでなく、管理状態、修繕履歴、管理規約、総会議事録を確認します。特に中古マンションでは、管理資料を出し渋る、質問への回答が曖昧、修繕積立金が極端に低いといった場合は慎重に見たほうがよいです。

契約前には、重要事項説明書、売買契約書、付帯設備表、物件状況報告書を読みます。理解できない点は、その場で流さず質問します。説明が不十分なまま署名する必要はありません。

引渡し前には、決済金額、必要書類、送金方法、登記手続き、鍵の本数、設備状態を確認します。引渡し後には、管理組合手続き、住所変更、税務手続き、リフォーム申請を忘れないようにします。

マンション購入の流れは、手続きを順番にこなすことではなく、重大な判断の前に必要な確認を終えておくことです。

よくある質問

マンション購入の手続きにはどのくらい時間がかかりますか?

物件探しを含めると、数か月単位で考えるのが一般的です。購入したい物件がすぐ見つかり、住宅ローン審査や契約条件の調整が順調に進めば、申し込みから引渡しまで1〜2か月程度で進むこともあります。一方で、希望条件の整理、物件比較、ローン選び、リフォーム計画まで含めると、3〜6か月以上かける人もいます。大切なのは期間の短さではなく、契約前に必要な確認を終えているかです。

住宅ローンの事前審査に通れば本審査も通りますか?

事前審査に通っても、本審査の通過が保証されるわけではありません。本審査では、本人の信用情報、収入、健康状態、団体信用生命保険、物件の担保評価、売買契約の内容などをより詳しく確認します。事前審査後に新たな借入をしたり、転職したり、物件情報に問題が見つかったりすると、本審査に影響することがあります。

重要事項説明でわからない点があっても契約してよいですか?

わからない点を残したまま契約するのは避けるべきです。重要事項説明は、契約前に物件や取引条件の重要な内容を理解するための手続きです。専門用語が多いため、疑問が出るのは自然です。契約日前に書類案をもらい、不明点をメモしておくと確認しやすくなります。説明が曖昧な点は、書面での回答や契約書への反映を求めることが重要です。

中古マンションは築年数が古いほど避けたほうがよいですか?

築年数だけで判断する必要はありません。築年数が古くても、長期修繕計画が整い、大規模修繕が適切に行われ、管理組合が機能している物件はあります。一方で、築浅でも管理費・修繕積立金の設定が甘く、将来の負担増が見えにくい物件もあります。築年数、修繕履歴、積立金の水準、管理規約、総会議事録を合わせて確認することが大切です。

関連リンク

参考リンク

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

INA&Associates株式会社 代表取締役社長。首都圏・近畿圏を中心に不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントを統括。収益不動産投資戦略と超富裕層向け不動産コンサルティングを専門領域とする。

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

合格・取得資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
  • 甲種防火管理者
  • 競売不動産取扱主任者
  • マンション維持修繕技術者
  • 貸金業務取扱主任者