Skip to content
Real Estate Intelligence
INA NETWORK

固定資産税評価額とは?計算式・調べ方・売却相場への活用まで徹底解説

固定資産税評価額の決まり方と3つの確認方法、税額の計算手順、住宅用地の特例や新築住宅の減額措置、評価に不服がある場合の審査申出までを不動産実務の視点で網羅的に解説します。

最終更新: 約14分で読めます

不動産を所有すると毎年課される固定資産税。その税額を決定する基準が「固定資産税評価額」です。評価額の仕組みを理解することは、不動産保有コストの適切な把握と税務戦略に直結します。それにもかかわらず、評価額の中身まで踏み込んで確認している所有者は、私の実感として決して多くありません。本記事では、評価額の決まり方から確認方法、税額の試算、軽減措置、納得できない場合の対応までを整理してお伝えします。

固定資産税評価額とは何か

固定資産税評価額とは、固定資産税の税額を算出するために各市町村(東京23区は都)が設定する基準価格です。総務大臣が定める「固定資産評価基準」に沿って、市町村長が土地・家屋の一筆一棟ごとに価格を決定し、固定資産課税台帳に登録します。市街地の宅地の評価に用いる路線価は「固定資産税路線価」と呼ばれ、相続税・贈与税の計算に用いる「相続税路線価」とは別のものです。

この評価額が影響するのは固定資産税だけではありません。都市計画税、不動産取得税、登録免許税の課税標準にも用いられます。つまり評価額は、購入時・保有中・承継時という不動産のライフサイクル全体にわたって効いてくる数字です。だからこそ、投資判断の初期段階で確認しておく価値があります。日本の土地には目的の異なる複数の価格が併存しており、その関係を押さえておくと理解が早くなります。

価格の種類主な用途公示価格に対する水準の目安決定の頻度
地価公示価格取引の指標100%毎年1月1日時点
相続税路線価相続税・贈与税80%程度毎年1月1日時点
固定資産税評価額固定資産税・都市計画税ほか70%程度原則3年に1度

土地と建物で異なる評価の仕組み

土地は路線価方式が基本

市街地の宅地は、原則として道路ごとに付された固定資産税路線価に地積を乗じて評価します。そのうえで、間口が狭い、奥行が長い、形状が不整形である、角地であるといった個別事情を補正率で調整します。土地の評価額は地価公示価格の70%程度が目安とされていますが、接道状況や用途地域、市街化区域か調整区域かによって水準は大きく変わります。

建物は再建築価格方式で決まる

家屋は「いま同じ建物を新築したらいくらかかるか」という再建築価格を求め、経過年数に応じた減点補正を加えて評価します。重要なのは、取得価格や実際の請負金額そのものが評価額になるわけではないという点です。新築時の評価額は請負工事金額の50〜60%程度が目安といわれますが、あくまで傾向にすぎません。

正直にお伝えしておきたい点がもう一つあります。家屋の経年減点補正率には下限(原則0.2)が設けられており、築年数がどれだけ経過しても評価額がゼロになることはありません。会計上の簿価が減価償却で小さくなっても、固定資産税は残り続けます。古い建物を保有し続ける判断をする際は、これを織り込む必要があります。

3年に1度の評価替え

評価額は原則として3年に1度、基準年度に見直されます。直近の基準年度は2024年度(令和6年度)で、次の評価替えは2027年度(令和9年度)が予定されています。建物の評価額は年数とともに下がりますが、土地は逆に、周辺の再開発や道路整備が進むと上昇することがあります。しかも土地には負担調整措置があり、評価額の上昇が段階的に税額へ反映されるため、据置年度でも税額が動く場合があります。長期収支は、固定費が動く前提で組むべきです。

固定資産税評価額を確認する3つの方法

方法入手できる時期費用の目安向いている場面
課税明細書毎年4〜6月頃に郵送無料所有物件の税額と評価額の確認
固定資産課税台帳の縦覧・閲覧毎年4月からの一定期間無料または低額近隣との比較、評価の妥当性検証
固定資産評価証明書通年で申請可能1通あたり数百円程度登記・相続・売買など証明が要る場面

課税明細書

毎年4〜6月頃に納税通知書とともに送付される書類で、最も手軽に評価額を確認できる方法です。1月1日時点の所有者に送付されるため、年の途中で取得した物件については当年分が手元に届きません。売買の実務では、売主から買主へ写しを引き渡すのが通例です。

固定資産課税台帳の縦覧・閲覧

土地・家屋の納税者は、縦覧期間中に同一市町村内にある他の土地・家屋の価格を確認できます。自分の物件と近隣物件の評価額を比較し、評価の公平性を検証できる貴重な機会です。期間は原則として4月1日から4月20日、または第1期の納期限の日のいずれか遅い日までとされていますが、運用は市町村によって異なるため、事前に自治体の案内を確認してください。なお、自己の資産に関する課税台帳の閲覧はこれとは別の制度で、借地人・借家人も対象部分について閲覧を求めることができます。

固定資産評価証明書

明細書を紛失した場合や、登記・相続手続で公的な証明が必要な場合は、物件所在地の市区町村役場で発行を受けられます。本人確認書類が必要で、代理人が取得する際は委任状を求められます。相続人が取得する場合は、被相続人との関係を示す戸籍等の提出を求められるのが一般的です。

評価額から税額を計算する手順

固定資産税の計算式は「課税標準額 × 税率」です。標準税率は1.4%ですが、市町村の条例でこれと異なる税率を定めることも可能とされています。市街化区域内の物件では、これに都市計画税(税率の上限0.3%)が加わります。注意すべきは、評価額と課税標準額は必ずしも一致しないという点です。住宅用地の特例や負担調整措置が適用されると、課税標準額は評価額より小さくなります。

仮に、土地の評価額2,000万円(面積180㎡・住宅用地)、建物の評価額1,000万円の物件を想定します。土地は200㎡以下の小規模住宅用地に該当するため、課税標準額は評価額の6分の1にあたる約333万円です。ここに1.4%を乗じると土地分は約4.7万円、建物分は14万円、合計で年間およそ18.7万円という目安が得られます。実際には都市計画税や各種減額措置、端数処理が加わりますので、正確な金額は納税通知書でご確認ください。

住宅用地の特例と主な軽減措置

住宅用地の特例

住宅の敷地として利用されている土地には、課税標準額を圧縮する特例があります。この特例は賦課期日(1月1日)時点で住宅が建っていることが前提であり、その時点で取り壊されて更地になっていると、当該年度は原則として適用されません。解体のタイミングは税負担に直結しますので、事前の試算が欠かせません。

区分対象となる面積固定資産税の課税標準都市計画税の課税標準
小規模住宅用地1戸あたり200㎡以下の部分評価額の6分の1評価額の3分の1
一般住宅用地200㎡を超える部分(住宅の床面積の10倍まで)評価額の3分の1評価額の3分の2

新築住宅の減額措置と免税点

一定の要件を満たす新築住宅は、居住部分のうち120㎡までに相当する固定資産税額が、当初の一定期間にわたって2分の1に減額されます(都市計画税は減額の対象外です)。減額される期間は一般の住宅で3年度分、3階建て以上の耐火・準耐火建築物で5年度分が原則で、認定長期優良住宅の場合はさらに延長されます。床面積要件や適用期限は改正を重ねているため、適用の可否と期間は、着工前に最新の要件を確認してください。また、同一市町村内に同一人が所有する課税標準額の合計が土地は30万円未満、家屋は20万円未満の場合には課税されない「免税点」の仕組みもあります。

建物の構造・設備が評価額に与える影響

建物の評価額は構造・建材・設備のグレードによって変動します。木造より鉄骨造や鉄筋コンクリート造のほうが再建築価格は高く評価され、外壁や屋根の仕様、断熱性能の水準も反映されます。水回り設備の品質・数量・規模、昇降機や機械式駐車場といった付帯設備も評価の対象です。

投資家の方からよくいただくのが「同じ家賃が取れるなら建築費は抑えたほうが有利ではないか」というご質問です。私の答えは、単純にはそうならない、というものです。仕様を落とせば評価額と固定資産税は下がります。しかし修繕頻度が増え、入居者の満足度が下がれば、削った税額を上回る機会損失が生じかねません。むしろ、税負担と収益性・耐久性を同じ表の上に並べて比較することが、長期保有では合理的です。

リフォーム・リノベーション時の注意点

内装の模様替え程度であれば評価額に影響しないのが通常です。しかし、増築や大規模な改修など建築確認申請を伴う工事では、家屋の評価額が見直される可能性があります。バリューアップ投資を検討する際は、工事費用と賃料上昇幅だけでなく、税負担の増加分も含めて回収計画を立ててください。反対に、建物の一部を取り壊した場合には、評価額の減額を自ら申し出る必要が生じるケースもあります。

評価額に納得できない場合の対応

固定資産税は賦課課税方式であり、自治体が計算した税額が通知される仕組みです。だからこそ、内容を検証する役割は所有者側にも残ります。実務上、地目や家屋の用途区分の誤り、取り壊したはずの建物が課税され続けているといった事例は決して珍しくありません。

評価額そのものに不服がある場合は、納税通知書の交付を受けた日の翌日から原則3か月以内に、市町村(東京23区は都)に設置された固定資産評価審査委員会へ審査の申出を行えます。原則として基準年度に決定された価格が対象となるため、縦覧期間中に近隣物件との比較を済ませておくことが実務的な段取りです。一方、計算誤りや事実誤認による過大課税が判明した場合は、審査申出とは別に自治体への還付請求が考えられます。地方税法上、過誤納金の還付請求権は原則5年で時効にかかり、それ以前の分の取扱いは自治体の要綱等によって異なりますので、気づいた時点で速やかに窓口へ相談してください。

INA&Associatesの視点とまとめ

私たちINA&Associates株式会社は、固定資産税評価額を節税テクニックの対象としてではなく、物件の実力を映す鏡のひとつとして扱っています。評価額と実勢価格の乖離が大きい物件には、必ず理由があります。接道条件、法規制、建物の陳腐化。その理由を一つずつ確かめる作業が、結果として取得判断の精度を高めてくれます。

不動産の運用は、税制・法務・建築という異なる専門領域が交差する仕事です。私たちが「人財こそ最大の資産」をコアバリューの筆頭に掲げているのは、この横断的な判断が最終的には人の経験と誠実さに支えられているからにほかなりません。お客様には、増える税負担や将来のリスクといったデメリットも含めて正直にお伝えすることを基本方針としています。実務上の要点は次のとおりです。

  • 購入検討時に課税明細書を取り寄せ、土地・建物それぞれの評価額と課税標準額を分けて把握する
  • 市街化区域内かどうかを確認し、都市計画税を含めた年間の保有コストを試算する
  • 基準年度を確認し、長期収支に評価額の変動幅を織り込む
  • 更地化・解体・大規模改修の前に、特例の適用可否と税負担の増減を試算する
  • 地目・用途区分・床面積など、課税明細書の記載事実に誤りがないか点検する

制度は改正を重ねており、細部の運用は自治体ごとに異なります。一般論だけで判断せず、最新の制度と手元の課税明細書に当たること。そのうえで迷われる場合は、税理士や私たちのような実務者にご相談いただければと思います。関連する分析記事はINA NETWORKのカテゴリページにまとめています。

よくある質問

固定資産税の標準税率は何%ですか

標準税率は1.4%です。ただし市町村の条例により異なる税率が定められている場合があります。市街化区域内の物件では、これに都市計画税(税率の上限0.3%)が加わります。住宅用地には特例があり、1戸あたり200㎡以下の小規模住宅用地の部分は、固定資産税の課税標準額が原則として評価額の6分の1に軽減されます。

固定資産税評価額が高すぎると感じた場合はどうすればよいですか

まず課税明細書の記載事実、すなわち地積・床面積・地目・用途区分に誤りがないかを点検してください。そのうえで4月からの縦覧期間に近隣物件との比較を行い、評価額そのものに不服がある場合は固定資産評価審査委員会への審査申出を検討します。申出は、原則として納税通知書の交付を受けた日の翌日から3か月以内という期限があります。

相続税評価額と固定資産税評価額は同じですか

異なります。相続税の土地評価は「路線価方式」または「倍率方式」で算出され、水準としては固定資産税評価額より高くなる傾向があります。一方で、建物の相続税評価額は固定資産税評価額をそのまま用いるのが原則です。相続対策では、両方の評価額を分けて把握しておくことが重要になります。

空き家の固定資産税は増加しますか

増加する可能性があります。管理が不十分な空き家が「特定空家等」に該当するとして市町村から勧告を受けると、その土地は住宅用地の特例の対象から除外されます。さらに2023年12月施行の改正空家等対策特別措置法により、特定空家等になるおそれがある「管理不全空家等」も、勧告を受けると同様に特例の対象から外れる扱いとなりました。その結果、小規模住宅用地であれば土地の課税標準額が6分の1から本来の水準に戻り、税負担が大きく増えます。空き家を保有している場合は、管理状態の維持と、活用または売却の検討を早めに進めることをおすすめします。

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

INA&Associates株式会社 代表取締役社長。首都圏・近畿圏を中心に不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントを統括。収益不動産投資戦略と超富裕層向け不動産コンサルティングを専門領域とする。

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

合格・取得資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
  • 甲種防火管理者
  • 競売不動産取扱主任者
  • マンション維持修繕技術者
  • 貸金業務取扱主任者