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賃貸建物所有者賠償特約とは?大家さんに必要な保険と特約を解説

賃貸建物所有者賠償特約の仕組みとメリットを解説。大家さんが加入すべき保険の種類や特約一覧、見直しのポイントも紹介。賃貸経営のリスク管理にお役立てください。

最終更新: 約8分で読めます

賃貸経営では、火災や地震などの自然災害から入居者トラブルまで、さまざまなリスクへの備えが必要です。そのために保険への加入が重要ですが、基本の保険だけでは不十分な場合もあります。本記事では、大家さんが加入すべき保険の種類と、建物の管理不備による事故に備える「賃貸建物所有者賠償特約」について詳しく解説します。

大家さんが加入すべき保険にはどんな種類がある?

賃貸経営に必要な基本的な保険を紹介します。

火災保険

火災保険は賃貸経営者が最初に加入すべき保険です。日本には「失火責任法」があり、重大な過失がない限り近隣からの飛び火による損害賠償を請求できないため、自身の建物は自分で守る必要があります。補償対象は「建物」と「家財」に分かれ、建物の保険は大家さん、家財の保険は入居者が加入するのが基本です。

地震保険

地震が原因の火災・津波は火災保険ではカバーできないため、地震保険の加入も重要です。政府が関与しているため巨大地震にも対応できます。火災保険に付帯して加入する形式で、契約金額は火災保険の30〜50%の範囲内(上限:建物5,000万円、家財1,000万円)です。

孤独死保険

入居者の孤独死は年々増加しており、残置物処理や特殊清掃に高額な費用がかかります。孤独死の平均年齢は61歳で、高齢者だけの問題ではありません。大家さん向けの保険は年間3〜4万円が相場で、家賃保証も付帯します。

団体信用生命保険(団信)

ローン契約者の死亡・高度障害時にローンを肩代わりする保険です。多くの金融機関でアパートローンの貸出条件になっています。

賃貸建物所有者賠償特約とは何か?

賃貸建物所有者賠償特約とは、建物所有者の管理不足が原因で起きた対人・対物事故に伴う損害賠償金を補償する特約です。保険会社によって「施設賠償責任保障特約」とも呼ばれます。

個人賠償責任特約との違い

原因が「人」の場合は個人賠償責任特約、「建物」の場合は賃貸建物所有者賠償特約が適用されます。例えば、入居者が物を落として車を壊した場合は前者、外壁が崩れて車を壊した場合は後者の対象です。

補償範囲

  • ケガをした方への損害賠償金
  • 応急手当や2次被害防止の費用
  • 裁判費用・弁護士費用

対象は「建物の安全性維持・管理の不足」「建物の構造上の問題」による事故に限られます。

賃貸建物所有者賠償特約をつけるメリットとは?

この特約をつける主なメリットは3つあります。

補償範囲が広い

共有部分でのケガ、エレベーター事故、外壁落下による通行人・車両への被害など、幅広く補償されます。

コストパフォーマンスが良い

年間1万円以内の保険料でも、対人・対物補償限度額を1億円に設定できる保険会社もあります。低コストで高額賠償に備えられます。

予期せぬトラブルにも対応

強風や大雪で建物が破損し、破片が通行人に被害を与えるといった予測困難な事故にも適用されます。

賃貸建物所有者賠償特約の注意点とは?

特約を付ける際に押さえておくべきポイントです。

  • 告知義務を必ず守る:虚偽の告知は契約解除と保険金不支払いの原因になる
  • 他の保険との重複に注意:損害保険は被害額以上の保険金は受け取れないため、補償の重複は保険料の無駄に
  • 免責事項の確認:「故意」は免責だが「過失」は補償対象。給排水管の漏水も補償される
  • 保険金の上限設定:上限が大きいほど安心だが保険料も高くなるため、バランスの検討が必要
  • 示談交渉サービスはない保険会社への相談やアドバイスは可能だが、示談交渉は自分で行う必要がある

他にどんな特約がある?大家さん向け特約一覧

賃貸経営に役立つその他の特約を紹介します。

特約名補償内容
修理費用特約損害の調査費用、復旧工事費用、仮設物費用など
代位求償権不行使特約入居者の過失による損害を大家の保険で迅速に対応。入居者との関係維持に有効
家賃収入特約火災等で家賃収入がなくなった場合の損失を補償
家主費用特約孤独死等による清掃・原状回復費、家賃損失を補償(上限50%)
電気的・機械的事故補償特約設備のショートや機械的故障を補償
類焼損害特約自物件から出火し近隣に損害を与えた場合の補償
水災補償特約台風・豪雨・融雪による水害を補償
防犯対策費用補償特約不法侵入後の防犯設備設置費用を補償(上限20万円)

施設賠償責任保険とはどんな保険?

施設賠償責任保険は、建物の構造的な欠陥や管理不備が原因で第三者(入居者や通行人)に身体的・物的損害を与えた場合に、オーナーが負担する賠償金を補償する保険です。

補償対象となるケース

外壁タイルの落下による通行人のケガ、共用部の手すり破損による入居者の転倒、給排水管の破裂による階下への漏水被害などが対象です。建物の管理・保全に起因する事故が広くカバーされます。

補償される費用の内訳

治療費・修理費などの損害賠償金に加え、弁護士費用や訴訟費用などの争訟費用も補償されます。示談交渉をサポートしてくれる特約がある保険もあります。

施設賠償責任保険と火災保険の違いは?

どちらも建物に関する保険ですが、補償の対象が異なります。両方への加入が理想的です。

火災保険は「自分の建物」の損害を補償

火災保険は、自然災害や事故による建物自体の損害を補償します。補償対象は「自分の財産(建物)」です。

施設賠償責任保険は「第三者への損害」を補償

施設賠償責任保険は、建物の欠陥や管理不備によって「他人に与えた損害」を補償します。両方の保険に加入することで、リスクを包括的にカバーできます。

施設賠償責任保険の保険料の相場は?

保険料は建物の規模や用途、補償限度額によって異なります。

保険料の目安

一般的な賃貸物件で年間1〜3万円程度です。補償限度額1億円の場合で年間1.5万円前後が目安となります。火災保険の特約として付帯する場合は割安になるケースもあります。

施設賠償責任保険の加入時の注意点は?

加入前に確認すべきポイントを押さえて、適切な保険を選びましょう。

補償限度額の設定

重大な事故の場合、賠償金が数千万円に及ぶこともあります。補償限度額は最低でも1億円以上を推奨します。

免責事項の確認

故意や重過失による事故、自然災害による損害は免責(補償対象外)となる場合があります。約款を確認してください。

既存の保険との重複確認

火災保険の特約で施設賠償が含まれている場合もあるため、既存の保険契約の内容を確認してから加入を検討しましょう。

保険は定期的な見直しが重要

加入しているだけで安心せず、以下のポイントで定期的に見直しましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 賃貸建物所有者賠償特約は必ず付けるべき?

年間1万円以内の保険料で1億円の補償を得られるケースもあり、コストパフォーマンスの面から加入をおすすめします。

Q. 火災保険だけで十分?

火災保険は基本的な補償ですが、地震による火災や建物管理の不備による事故はカバーできません。地震保険や各種特約と組み合わせることが重要です。

Q. 孤独死保険は高齢者がいない物件でも必要?

孤独死の平均年齢は61歳で、死因の約11%は自殺です。入居者の年齢層に関わらず検討の価値があります。

Q. 補償内容が重複した場合どうなる?

損害保険では被害額以上の保険金は受け取れないため、重複した分の保険料が無駄になります。加入時に既存の保険内容と照合しましょう。

Q. 施設賠償責任保険は必ず加入すべきですか?

法的な加入義務はありませんが、賃貸物件のオーナーには強く推奨されます。一度の事故で数百万〜数千万円の賠償責任を負うリスクがあるためです。

Q. 入居者が起こした事故も補償されますか?

施設賠償責任保険はオーナーの管理責任に基づく事故が対象です。入居者の過失による事故は入居者自身の個人賠償責任保険でカバーされます。

Q. 施設賠償責任保険はどこで加入できますか?

損害保険会社で加入できます。火災保険の特約として付帯するのが一般的ですが、単独契約も可能です。

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

INA&Associates株式会社 代表取締役社長。首都圏・近畿圏を中心に不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントを統括。収益不動産投資戦略と超富裕層向け不動産コンサルティングを専門領域とする。

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

合格・取得資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
  • 甲種防火管理者
  • 競売不動産取扱主任者
  • マンション維持修繕技術者
  • 貸金業務取扱主任者