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専任媒介契約とは|メリット・デメリットと囲い込み対策を解説

不動産売却の専任媒介契約を、3種類の比較・メリット・デメリット・仲介手数料の目安・囲い込みの見抜き方・会社選びまで体系的に解説。納得のいく売却に向けた判断軸を整理します。

最終更新: 約12分で読めます

不動産を売却する際、不動産会社と結ぶ「媒介契約」は、売却の成否を大きく左右する最初の意思決定です。媒介契約には3つの種類がありますが、その中でも専任媒介契約は、初めて売却に臨む方にとってバランスの良い選択肢として多くの方に選ばれています。

本記事では、専任媒介契約の仕組みからメリット・デメリット、向いている物件タイプ、仲介手数料の目安、そして注意すべき「囲い込み」の実態まで、納得のいく売却を実現するための知識を体系的に解説します。私たちが日々の実務で得た視点も交えながら、判断の軸を一緒に整理していきましょう。

専任媒介契約とはどのような契約なのか

専任媒介契約とは、不動産売却時に1社の不動産会社とのみ媒介契約を結ぶ方式です。売主が自ら買主を見つける「自己発見取引」も認められており、3つの媒介契約のなかで最もバランスの取れた契約形態といえます。

1社に窓口を絞ることで、その会社が責任と主体性をもって売却活動に取り組みやすくなります。だからこそ、担当者との相性や会社の力量を見極める工程が、この契約では特に重要になります。

3種類の媒介契約の違い

不動産売却における媒介契約は、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。それぞれの特徴を比較してみましょう。

項目一般媒介専任媒介専属専任媒介
複数社との契約可能不可(1社のみ)不可(1社のみ)
自己発見取引可能可能不可
レインズ登録任意7日以内に義務5日以内に義務
業務報告任意2週間に1回以上1週間に1回以上
契約期間制限なし(3ヶ月が一般的)最長3ヶ月最長3ヶ月

専任媒介に向いているのは、「立地に難がある物件」「築年数が古い物件」「接道や間口に制約がある物件」など、売却に工夫が必要な物件です。1社が集中的に販促を行ってくれるため、こうした物件でも戦略的な売却が期待できます。一方で、人気エリアの好条件物件では、複数社に広く声をかける一般媒介が有利に働く場合もあります。

レインズ(指定流通機構)への登録義務とは

レインズとは、国土交通大臣が指定する不動産流通機構が運営する、不動産会社間の物件情報データベースです。専任媒介契約を結ぶと、契約締結日の翌日から7日以内(休業日を除く)にレインズへの登録が義務付けられています。

レインズに登録されると、全国の不動産会社が物件情報を閲覧できるため、買主候補との接点が一気に広がります。登録が完了すると売主には「登録証明書」が発行され、売主はこの証明書を通じて自分の物件の登録状況や取引状態を確認できます。この確認は、後述する「囲い込み」を見抜くうえでも欠かせません。

なぜ媒介契約の選択が売却を左右するのか

媒介契約は、単なる事務手続きではありません。どの契約を選ぶかによって、情報がどれだけ広く行き渡り、担当者がどれだけ本気で動くかが変わります。契約形態は、売却戦略そのものの土台なのです。

近年は物件情報がポータルサイトで簡単に比較される時代になりました。だからこそ、価格設定や見せ方、初動の反響対応といった細やかな運用の巧拙が、成約価格と売却期間に直結します。契約形態を理解し、自分の物件特性に合った選択をすることが、遠回りを避ける最短ルートになります。

専任媒介契約のメリットは何か

専任媒介契約には、売主にとって主に3つのメリットがあります。いずれも「1社に任せる」という構造から生まれる利点です。

売却状況を定期的に把握できる

専任媒介では、2週間に1回以上の業務報告が宅地建物取引業法で義務付けられています。問い合わせ件数、内覧希望者の状況、反響の傾向などを定期的に確認できるため、価格や見せ方を見直すタイミングを判断しやすくなります。報告頻度が担保されていること自体が、売主の安心につながります。

不動産会社が積極的に営業活動を行う

専任媒介では、その会社が売主側の仲介手数料を確実に得られる立場になります。そのため、広告出稿やポータルサイトへの掲載、近隣へのチラシ配布などの販促に費用と労力を投じてもらいやすいのです。1社が責任をもって全体を設計するため、活動に一貫性が生まれます。

各種サービスや特典を受けられる場合がある

不動産会社のなかには、専任媒介を選んだ売主に独自のサービスを用意しているところもあります。例えば以下のようなものです。

  • ハウスクリーニング・ホームステージングの提供
  • 建物状況調査(インスペクション)の実施
  • 一定期間内に売れなかった場合の買取保証
  • 引き渡し後の設備修理費用の保証

ただし、これらは各社が任意で提供するもので、内容や条件は会社ごとに異なります。特典の有無だけで会社を選ぶのではなく、あくまで販売力を見極めたうえでの付加価値として捉えることが大切です。

専任媒介契約のデメリットと注意点は

専任媒介契約にはメリットだけでなく、注意すべきデメリットも存在します。私たちは、こうしたデメリットも正直にお伝えすることこそ、売主の利益を守る第一歩だと考えています。

1社に依存するリスク

専任媒介は1社としか契約できないため、その不動産会社の力量に売却の成否が大きく左右されます。営業力や情報発信力が不足する会社を選んでしまうと、なかなか買主が見つからず、契約期間だけが過ぎてしまう恐れがあります。対策は、契約前に複数社の査定額・販売戦略・実績を比較し、根拠をもって信頼できる会社を選ぶことに尽きます。

囲い込みのリスクと見抜き方

「囲い込み」とは、不動産会社が両手仲介(売主と買主の双方から手数料を得る取引)の利益を狙い、他社からの内覧・購入の問い合わせを意図的に断る行為です。「先に商談が入っている」などと事実に反する対応をしたり、レインズへの登録を遅らせたりするケースがあります。売主にとっては、より良い条件の買主と出会う機会を奪われる不利益な行為です。

囲い込みを見抜くためのポイントは以下のとおりです。

  • レインズの登録状況を確認する:登録証明書の発行を求め、期限内に登録されているか、取引状態が「公開中」になっているかを確認します。
  • 内覧の反響を注視する:好立地・築浅にもかかわらず内覧希望が極端に少ない場合は、他社からの紹介が遮られている可能性を疑います。
  • 両手仲介率を尋ねる:会社にこだわりなく開示してくれるかどうかは、透明性を測る一つの目安になります。

仲介手数料と諸費用の目安

媒介契約の種類にかかわらず、売却が成立すると不動産会社に仲介手数料を支払います。仲介手数料には宅地建物取引業法で上限が定められており、下表の速算式が広く用いられています。金額はいずれも税抜の本体価格に対するもので、別途消費税がかかります。

売買価格(税抜)仲介手数料の上限(速算式)
200万円以下の部分売買価格 × 5%
200万円超〜400万円以下の部分売買価格 × 4% + 2万円
400万円超の部分売買価格 × 3% + 6万円

例えば売買価格が3,000万円(税抜)の場合、上限は「3,000万円 × 3% + 6万円 = 96万円」に消費税を加えた金額が目安となります。これはあくまで法律上の上限であり、実際の金額は交渉や会社の方針によって変わります。専任媒介では手数料が確保されるぶん、値引きよりもサービスの充実で還元する会社も少なくありません。

このほか、売却にあたっては印紙税、抵当権抹消の登記費用、住宅ローン一括返済に伴う手数料、譲渡益が出た場合の譲渡所得税など、諸費用が発生します。税額は取得費や保有期間、各種特例の適用状況によって大きく変わるため、具体的な税負担は税理士や所轄の税務署に確認することをおすすめします。

専任媒介契約を成功させる不動産会社の選び方

専任媒介契約で最も重要なのは、パートナーとなる不動産会社の選定です。以下の基準で比較検討しましょう。

選定基準チェックポイント
売却実績エリアでの取引件数、類似物件の成約事例
査定の根拠成約事例など具体的なデータに基づく説明があるか
販売戦略広告手法・ターゲット設定・価格の見直し方針が具体的か
担当者の対応レスポンスの速さ、質問への的確さ、デメリットも話すか
囲い込みへの姿勢両手仲介率の開示、他社紹介への協力姿勢

とりわけ私たちが重視してほしいのは、良い面だけでなく、リスクやデメリットまで正直に説明してくれるかという点です。都合の悪い情報を伏せる担当者は、いざというときに売主の利益より自社の利益を優先しかねません。査定額の高さだけで判断せず、説明の誠実さを見極めてください。

契約から売却までの流れ

専任媒介契約を結んでから引き渡しに至るまでの一般的な流れを、あらかじめ把握しておくと安心です。目安として、売り出しから引き渡しまで数ヶ月を要することが多いですが、物件特性や市況によって前後します。

  1. 査定・会社選定:複数社に査定を依頼し、根拠と戦略を比較して1社を選びます。
  2. 媒介契約の締結:契約内容・有効期間・特典・手数料条件を書面で確認します。
  3. レインズ登録・売り出し開始:期限内に登録され、広告掲載が始まります。
  4. 内覧対応・価格調整:定期報告をもとに、見せ方や価格を機動的に見直します。
  5. 売買契約・引き渡し:条件が整えば契約を締結し、決済・引き渡しを行います。

INA&Associatesが考える、正直な媒介契約の選び方

私たちINA&Associates株式会社は、不動産取引において信頼と正直さを何よりの基盤に置いています。媒介契約の選択においても、売主にとってのメリットだけでなく、デメリットや起こりうるリスクを包み隠さずお伝えすることを大切にしています。専任媒介は多くの方に適した選択肢ですが、すべての物件・すべての売主に最適とは限りません。

だからこそ、「専任だから安心」と契約形態だけで判断するのではなく、物件特性・売却の急ぎ具合・任せる会社の力量を総合的に見極めることが重要です。長期的な視野で見れば、目先の査定額より、最後まで誠実に伴走してくれるパートナーを選ぶことが、結果として納得のいく売却につながります。

まとめると、専任媒介契約は1社に集中して営業してもらえるため、効率的に売却を進められる契約形態です。一方で、会社選びを誤ると囲い込みや売却の長期化を招く可能性もあります。複数社の査定を比較し、販売戦略と説明の誠実さを基準に、信頼できるパートナーを選ぶことが成功のカギです。関連する視点はコラム一覧でも発信していますので、あわせてご覧ください。

よくある質問

専任媒介契約は途中で解約できますか

契約期間は最長3ヶ月で、期間満了後に更新しなければ自動的に終了します。期間中の解約も可能ですが、不動産会社がすでに支出した広告費などの実費を請求される場合があります。業務報告の不履行や囲い込みの発覚など正当な理由がある場合は、違約金なしで解約できると考えられます。判断に迷う場合は契約書の条項を確認してください。

自分で買主を見つけた場合はどうなりますか

専任媒介では自己発見取引が認められています。ただし、その場合でも契約内容によっては不動産会社に一定の費用を支払う必要が生じることがあります。トラブルを避けるためにも、契約前に自己発見取引に関する条項をよく確認しておきましょう。

一般媒介と専任媒介、どちらを選ぶべきですか

人気エリアの好条件物件であれば、複数社に競わせる一般媒介でも十分に売却できます。一方、売却に工夫が必要な物件や、スピーディーに確実に売りたい場合は、1社が集中して動く専任媒介が向いています。物件特性と売却の優先順位から逆算して選ぶのがおすすめです。

仲介手数料は必ず上限どおりかかりますか

いいえ、法律で定められているのはあくまで上限であり、実際の金額は会社の方針や交渉によって変わります。専任媒介では手数料が確保されるぶん、値引きの代わりにハウスクリーニングや保証などのサービスで還元する会社もあります。金額だけでなく、提供される価値も含めて総合的に比較してください。

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEO — INA&Associates株式会社

INA&Associates株式会社 代表取締役社長。首都圏・近畿圏を中心に不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントを統括。収益不動産投資戦略と超富裕層向け不動産コンサルティングを専門領域とする。

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

合格・取得資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
  • 甲種防火管理者
  • 競売不動産取扱主任者
  • マンション維持修繕技術者
  • 貸金業務取扱主任者