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COLUMN

一括借り上げとサブリースの違いとは?メリット・デメリット・トラブル回避策を解説

一括借り上げとサブリースの違い、メリット・デメリットを詳しく解説。賃料減額や契約解除などのトラブル事例と回避策も紹介。賃貸経営の参考に。

約6分で読めます

賃貸経営における空室リスク対策として、サブリースや一括借り上げを検討するオーナーが増えています。しかし、両者の違いを正確に理解していないとトラブルに巻き込まれるリスクがあります。

この記事では、一括借り上げとサブリースの違い、メリット・デメリット、失敗しないためのポイントを解説します。よくあるトラブル事例と回避策もご紹介します。

一括借り上げとサブリースの違いとは?

一括借り上げとサブリースの最大の違いは「契約関係」にあります。一括借り上げはオーナーと不動産会社の間の賃貸借契約、サブリースは不動産会社と入居者の間の転貸借契約を指します。

一括借り上げ(マスターリース)とは?

一括借り上げとは、不動産会社がオーナーから建物を丸ごと借り上げる方法です。マスターリース契約とも呼ばれます。不動産会社が賃借人となり、オーナーに代わって入居者を募集します。

一括借り上げには2つの型があります。

  • 賃料保証型:入居者数に関係なく安定収入を得られる
  • パススルー型:賃料保証なし。入居率が高まると収益が増加

サブリース(転貸借)とは?

サブリースとは、不動産会社がオーナーから借りた物件を入居者に転貸する方法です。一括借り上げの延長線上にある仕組みで、入居者は不動産会社と契約を結びます。

両者の相違点

  • 一括借り上げ:オーナーと不動産会社間の賃貸借契約
  • サブリース:不動産会社と入居者間の転貸借契約

実務上はまとめて「サブリース」と呼ばれることも多いですが、基本的な契約構造に違いがあります。

一括借り上げ・サブリースのメリットとは?

一括借り上げ・サブリースの最大のメリットは、管理の手間削減と安定収入の確保です。

維持管理の手間を省ける

家賃徴収、滞納者への督促、退去後の対応、修繕計画、トラブル対応など、面倒な管理業務を全て不動産会社に委託できます。

一定額の家賃保証がある

賃料保証型であれば、空室や家賃滞納に関わらず安定した収入を得られます。賃貸経営のリスクを大幅に軽減できます。

確定申告を簡素化できる

不動産会社との取引だけを記帳すればよいため、経理処理の手間が大幅に軽減されます。

将来の収支計画が立てやすい

安定収入が見込めるため、ローン返済計画など長期的な資金計画を立てやすくなります。

一括借り上げ・サブリースのデメリットとは?

メリットの裏側には、賃料減額リスクや契約解除リスクなどの重大なデメリットがあります。

賃料を減額されるリスク

賃料は2年〜10年のスパンで見直しが行われ、築年数の経過に伴い減額となるケースが大半です。当初の賃料が永続するわけではありません。

契約解除のリスク

賃料の値下げにオーナーが応じない場合、不動産会社から契約解除を求められるケースがあります。大手企業でも「終了プロジェクト」として報告されています。

入居者を選べない

管理を全面的に委託しているため、オーナーの希望は基本的に通りません。モラルの低い入居者が入居するリスクもあります。

礼金・更新料収入がない

不動産会社とオーナーの間には礼金や更新料の概念がなく、保証賃料以外の収入は期待できません。

失敗しないために知っておくべきポイントとは?

一括借り上げ・サブリースで失敗を避けるには、オーナー自身の知識習得とリスクヘッジ対策が不可欠です。

不動産会社の能力を見極める

依頼先のマーケティング能力や賃貸経営能力をしっかり評価しましょう。「かぼちゃの馬車」事件のように、運営会社の破綻でオーナーに多額のローンだけが残るケースもあります。

各種リスクへのヘッジ対策

一括借り上げ・サブリースで対策できるリスクと、できないリスクがあります。

  • 対策可能:空室リスク、入居者募集リスク、クレーム・滞納リスク、原状回復リスク
  • 対策不可:建物老朽化、家賃下落、金利上昇、災害
  • 自己経営の方が有利:管理会社の倒産リスク

一括借り上げ・サブリースで注意すべきトラブルとは?

発生しやすいトラブルを事前に知り、適切な対策を講じておくことが重要です。

賃料減額トラブル

メリットにばかり注目し、賃料減額の可能性を理解しないまま契約するケースが多発しています。国土交通省の賃貸住宅管理業者登録制度に登録済みの会社を選びましょう。

契約内容を把握していないトラブル

全て不動産会社に任せきりにした結果、売却時に入居者情報を何も把握していなかったという事例があります。管理会社が他社にサブリースしていたケースや、入居者が不動産会社の社員だったケースも報告されています。

勧誘トラブル

高齢者に対し「サブリースで安心」と強引な営業を行うケースがあります。サブリース=安心とは言い切れません。将来的な賃料下落の可能性を理解しておきましょう。

解約トラブル

不動産会社は借地借家法上の借主に該当するため、オーナーから契約解除するには正当事由と立退料が必要です。一方、不動産会社側からの解約は比較的容易です。

家賃未入金・管理会社破綻トラブル

管理会社の経営悪化により家賃支払いが滞るケースがあります。安定した基盤を持つ大手不動産会社を選ぶことがリスク軽減につながります。

よくある質問(FAQ)

Q. 一括借り上げとサブリースの違いは何ですか?

一括借り上げはオーナーと不動産会社間の賃貸借契約(マスターリース)、サブリースは不動産会社と入居者間の転貸借契約を指します。実務上はまとめてサブリースと呼ばれることもあります。

Q. サブリースの賃料は下がることがありますか?

はい。賃料は通常2年〜10年のスパンで見直しが行われ、築年数の経過やエリアの相場変動により減額されるケースがほとんどです。

Q. サブリース契約でよくあるトラブルは?

賃料減額、契約解除、管理会社の破綻などがあります。特に賃料が永続的に保証されると誤解したまま契約するトラブルが多いです。

Q. サブリース契約で失敗しないためのポイントは?

不動産会社の経営状況やマーケティング能力を見極め、契約内容を十分に理解することが重要です。国土交通省の管理業者登録制度に登録した会社を選びましょう。

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

INA&Associates株式会社 代表取締役社長。首都圏・近畿圏を中心に不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントを統括。収益不動産投資戦略と超富裕層向け不動産コンサルティングを専門領域とする。

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

合格・取得資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
  • 甲種防火管理者
  • 競売不動産取扱主任者
  • マンション維持修繕技術者
  • 貸金業務取扱主任者