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マンションの理事会とは?役割・選任方法・断り方まで徹底解説

マンションの理事会の役割や選任方法、活動頻度、役員の断り方を解説。管理組合との違いや第三者管理方式など、理事会に選ばれた際に知っておくべきポイントを網羅的にご紹介します。

約13分で読めます

分譲マンションを購入すると「管理組合」や「理事会」という言葉を耳にする機会が増えます。場合によっては役員に任命されることもあり、事前に理事会の仕組みを理解しておくことが大切です。

この記事では、マンションの理事会について活動内容や選任方法、役員を断る方法まで解説します。理事会に選出された際にやるべきことや、近年注目の第三者管理方式についてもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

マンションの管理組合とはどのような組織か?

管理組合とは、マンションの区分所有者(購入した住民)全員で構成される団体です。分譲マンションを購入した時点で、管理組合を構成する一員となります。

「管理費を支払っているのだから管理会社に任せればよい」と考える人もいますが、管理会社はあくまで業務を委託されているだけです。実際にマンションの維持管理を行うための話し合いは、管理組合や理事会によって行われます。

なお、マンション管理に関しては区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)で定められていますが、細かな規則や具体的な管理内容はマンションごとに異なり、管理規約に明記されています。

管理組合は法律で設立が義務付けられている

区分所有法では、区分所有者全員で建物や敷地、付属施設の管理を行う団体を構成し、集会を開いて規約を定めるとしています。そのため、管理組合の設立は法律で義務付けられています。

管理組合の具体的な役割

国土交通省が公表する「マンション標準管理規約」によると、管理組合は区分所有者が共同で利益を増進し、住みよい環境を確保することが目的です。

共同で利益を増進するとは、マンションの資産価値を高めることや管理費用を正しく有効に使うことを意味します。住みよい環境の確保は、住民が安心して暮らせる環境づくりです。

分譲マンションには、区分所有者が保有する専有部分と、エントランスやエレベーターなど全員で共有する共用部分があります。共用部分の管理が不十分になると、入居者の不便だけでなく建物の資産価値低下にもつながります。管理組合はこうした事態を防ぎ、安全かつ快適に暮らせるよう共用部分を中心に管理する役割を担っています。

マンションの理事会とは何をする組織か?

理事会は、管理組合をまとめ、マンションの維持管理業務を実行する組織です。管理組合員の中から理事や監事などの役員を選出し、管理業務を取りまとめます。

理事会の概要

管理組合は基本的に区分所有者全員で構成されますが、誰が何を担当するかが不明確になりやすいため、理事会が役割を発揮します。理事会では管理組合員の中から役員を決め、管理業務をまとめ上げます。

区分所有法では管理組合法人の場合に理事・監事を定める必要があるとしていますが、法人化していない管理組合でもほとんどのケースで役員を決めて理事会を設けています。

役員の法律上における立場について

管理組合と理事会の役員は、委任契約を結んでいる関係性です。管理組合側が委任者、役員が受任者となります。

理事会の役員は在任期間中に善管注意義務を負い、違反した場合は債務不履行責任として損害賠償請求をされる可能性があります。例えば役員が管理費を横領した場合や、それを知りながら放置した場合は義務違反とみなされる可能性が高いです。

理事会と総会は何が違うのか?

理事会は総会で決まったことを実行する組織であり、総会は管理組合の意思決定を行う場です。会社に例えると、総会は株主総会、理事会は取締役会にあたります。

「総会」とは?

管理組合の総会は年1回以上開催される会議で、管理組合員が審議・決議を行う意思決定の場です。原則として区分所有者は全員出席することになります。マンション標準管理規約では、新会計年度開始から2ヶ月以内に開催するものと定められています。

定期総会・臨時総会について

総会は「定期総会」と「臨時総会」の2種類に分けられます。定期総会は理事長が年1回管理組合員を招集して行うもので、臨時総会は理事長が必要と判断した場合に臨時で開催するものです。

総会を成立させるには、議決権総数の半数以上の出席が必要です。

総会の決議で決めること

総会では主に「普通決議」と「特別決議」について決議します。

【普通決議で決める事項】

  • 管理組合における収支決算
  • 収支決算や事業計画に関する審議
  • 管理費など金額の決定と変更
  • 理事会役員の選任および解任
  • 管理組合規約に基づく細則の設定や変更、廃止
  • 共用部分の軽微な変更
  • 管理組合業務の委託に関する決定や変更

【特別決議で決める事項】

  • 管理規約の設定や変更、廃止
  • 共用部分の変更
  • 組合法人の取得や解散に関する決議
  • 建物の2分の1以上が大規模滅失した場合の復旧について

特別決議には組合員の総数4分の3以上、議決権総数の4分の3以上の賛成が必要です。建て替えに関する決議は、5分の4以上の賛成が求められます。

マンションの理事会にはどのような役割があるのか?

理事会には主に理事長・副理事長・会計・監事の4つの基本的な役割があります。マンションによっては防災担当や修繕担当などの役職が設けられる場合もあります。

理事長

理事長は理事会または管理組合の代表として、総会の招集や議事進行、管理会社など外部業者との窓口を務めます。ただし、すべての権限を持つわけではなく、理事会での協議や総会の承認が必要です。

副理事長

副理事長は理事長のサポート役です。理事長が理事会・総会に参加できない場合、副理事長が代役を務めます。

会計

会計は管理費の出納や保管、運用、支出などの会計業務を担います。現金・通帳の管理、収支管理、管理費滞納者への督促、会計資料の作成などが主な業務です。専門知識が必要なため、管理会社に業務を委託しているケースも少なくありません。

監事

監事は理事会活動が適切に行われているかを監査する役割です。お金の流れの確認や不審な点の調査を行います。問題があった場合は、理事長に代わって臨時総会を開くことも可能です。

その他の役割

マンションによっては以下のような役職が設けられる場合もあります。

  • 防災担当:防災訓練の実施
  • 修繕担当:施工業者とのやり取り
  • 植栽担当:マンション周辺の植栽管理
  • 自治会担当:地域との関係構築
  • 広報担当:入居者への情報発信

理事会役員はどのように選任されるのか?

理事会役員の選任方法は、立候補・推薦・輪番制の3つが一般的です。

立候補と推薦は総会での決議で役員が決まります。輪番制は住居ごとに順番を決め、持ち回りで理事会役員を決める方法です。

立候補・推薦のメリットは、住民から信頼のある人が選ばれやすい点です。大規模修繕など重要な話し合いでも合意形成が図りやすくなります。

輪番制のメリットは、多くの住民が役員を経験できる点です。常にメンバーが入れ替わるため、不透明な運営を防ぐ効果もあります。

理事会はどのくらいの頻度で活動するのか?

理事会の開催頻度は、月1回から数ヶ月に1回程度が一般的です。各マンションの管理規約で定められています。

多くのマンションでは管理会社が業務の一部を担っているため、役員に選任されても毎日管理業務に追われることはありません。管理会社は理事会に対してアドバイスや提案を行えますが、最終的な判断は管理組合が下します。

管理会社に業務を委託しない自主管理の場合は、理事会の開催や管理業務の頻度が増えます。マンション管理は専門知識を要する場面も多いため、基本的には管理会社と委託契約を結んでおくとよいでしょう。

賃貸管理においても専門的なサポートは重要です。ストレスフリーな賃貸管理システムの活用で、オーナーの負担を大幅に軽減できます。

理事会に選ばれたら最初に何をすべきか?

理事会役員に選任されたら、まずマンションの現状把握と管理規約の確認を行いましょう。

自分のマンションを隅々まで確認してみる

共用部分やマンションの設備を確認しましょう。劣化や不具合が見られる場合は対処が必要です。外観の塗装やタイルの剥がれ、植栽管理の状況もチェックし、問題があれば理事会で相談・提案します。

管理規約を今一度確認してみる

理事会は管理規約に基づいて管理業務を担うため、管理規約の内容確認は必須です。管理規約は誰でも閲覧可能で、中古マンションの場合は購入検討段階でも確認できます。管理室には総会の議案書や議事録も保管されているため、過去の総会の内容も確認しておきましょう。

管理委託契約書の内容を確認する

管理委託契約書は理事会の役員にならないとチェックが難しいため、役員になった機会に契約内容が適正かどうか確認しましょう。

マンション管理に関する法律を知っておく

マンション管理に関連する主な法律は以下のとおりです。

  • 区分所有法:マンションの区分所有に関して詳しく定めた法律
  • マンション管理適正化法:管理の指針や管理組合の努力義務、マンション管理士制度などに関する法律
  • マンション標準管理規約:国土交通省が定めたモデル規約

管理に関する法規制について詳しく知りたい方は、賃貸管理の法規制ガイドもあわせてご覧ください。

マンションの理事会役員は断っても良いのか?

結論から言えば、理事会役員を断ること自体は可能です。区分所有法では役員選出に関して「拒否してはいけない」という文言はありません。

ただし、輪番制の場合は全員が公平に役員を務めるものであるため、自身が断ると別の住民がその穴を埋めなくてはなりません。断り方に配慮しないと人間関係の悪化につながる恐れがあるので注意が必要です。

トラブルなく拒否する方法

断る場合は「今は難しいが来年以降なら役員ができる」と伝えるなど、意思があることを示しましょう。また、代わりに役員を引き受けてくれる人を探すことも有効です。

断る理由としては、出張が多い・海外赴任中・理事会の開催日時に仕事がある、あるいは通院や介護が必要といった事情が挙げられます。いずれの場合も、具体的に説明することで理解を得やすくなります。

近年注目される「第三者管理方式」とはどのような仕組みか?

第三者管理方式とは、外部の専門家が理事長に就任し、管理組合運営を委託する方法です。理事会役員のなり手不足を解消する手段として注目されています。

第三者管理方式が注目されている理由

  • マンション標準管理規約の改正:2016年の改正で第三者管理方式の条文が追加
  • 建物の老朽化と住民の高齢化:管理運営に関心を持つ層が減少
  • 役員のなり手不足:管理業務の負担が大きく引き受け手が少ない

第三者管理方式の種類

国土交通省が想定する第三者管理方式は主に3種類です。

  • 理事長外部専門家型:外部の専門家が役員として区分所有者とともに管理組合を運営
  • 外部管理者理事会監督型:外部専門家を理事長に選任し、理事会が監視する方式
  • 外部管理者総会監督型:理事会を廃止し、専門家が管理者として就任する方式

メリットとデメリット

最大のメリットは管理組合側の負担軽減と、専門家による管理内容の適正化です。大規模修繕の計画策定なども専門的な視点で行われます。

一方、デメリットとしては外部専門家への報酬が必要となり管理費が高額になる恐れがあること、利益相反行為のリスクがあることが挙げられます。導入の際は区分所有者から十分な理解を得る必要があります。

まとめ

マンションの理事会は住みよい環境づくりのために管理業務を担う重要な組織です。役員は立候補・推薦・輪番制によって決まりますが、断ること自体は可能です。ただし、他の住民への配慮を忘れず、なるべく協力する姿勢が大切です。近年は第三者管理方式という選択肢もあるため、なり手不足に悩むマンションでは検討してみてはいかがでしょうか。

よくある質問(FAQ)

マンションの理事会役員の任期はどのくらいですか?

一般的に理事会役員の任期は1年から2年です。マンション標準管理規約では2年を推奨しており、引き継ぎの円滑化のために半数ずつ交代する方式を採用するマンションも増えています。

理事会に参加できない場合はどうすればよいですか?

理事会に出席できない場合は、委任状を提出して他の役員に議決権を委任するか、書面による議決権行使が可能です。管理規約で定められた方法に従って対応しましょう。

理事長の報酬はありますか?

マンションによって異なりますが、理事長や役員に対して月額数千円程度の報酬を支払うケースがあります。報酬の有無や金額は管理規約や総会で決定されます。

管理組合と管理会社の違いは何ですか?

管理組合はマンションの区分所有者全員で構成される団体で、マンション管理の主体です。管理会社は管理組合から業務を委託されて実務を行う外部の会社であり、最終的な意思決定権は管理組合にあります。

第三者管理方式を導入するにはどうすればよいですか?

第三者管理方式の導入には、管理規約の変更が必要となるため特別決議(区分所有者の4分の3以上の賛成)が必要です。マンション管理士や弁護士などの専門家に相談の上、総会で決議を経て導入します。

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

保有資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

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