Skip to content
Real Estate Intelligence
INA NETWORK

テレワーク時代にオフィスは必要か?オフィス市場の変化と今後の展望

テレワーク普及後のオフィス市場の変化を分析。ハイブリッドワーク・シェアオフィスの台頭から今後のオフィスの在り方まで、投資家・経営者向けに解説。

約6分で読めます

コロナ禍以前、空前のオフィス需要が到来していました。しかし新型コロナウイルスの影響で事態は一変し、テレワークの本格化によりオフィス空室率は上昇に転じました。本記事では、テレワークの発達がオフィス市場にどのような変化をもたらしたのか、そして今後のオフィスの在り方について読み解いていきます。

テレワークはオフィス市場にどのような影響を与えたのか?

テレワークの本格化により、オフィスの需要は減少傾向にあります。一方で、ソーシャルディスタンス施策による一人当たりの床面積拡大という逆の動きもあり、短期的にはオフィス需要はプラスマイナスゼロとの見方もあります。

テレワークの本格化によるオフィス需要の変化

2020年6月初旬の時点で、テレワークを行っている正社員の割合は約3割に達しました。出社スタイルを貫いていた日本企業にとって、これは大きな変化です。当初はやむを得ずテレワークを導入していた企業がほとんどでしたが、顧客満足度や社員の生産性に影響が出ないことが証明され、今後もテレワークを継続する企業が増えています。

テレワーク推奨は、満員電車での通勤ストレス軽減やライフワークバランスの向上にもつながり、働き方を見直すきっかけとなりました。

企業のテレワーク導入事例

富士通は約8万人の社員を擁する中で、テレワーク勤務を基本形態としました。通勤定期代の支払いを中止し在宅勤務手当を支給、さらに2023年をメドにオフィス面積を約50%に縮小する方針を打ち出しました。

エネルギーベンチャーのENECHANGEは、テレワーク導入後の調査で顧客満足度に悪影響はなく、社員の生産性や健康状態も良好との結果を得ました。業績もポジティブな効果があり、オフィス面積を約40%削減する決断を下しています。

今後のオフィスでの働き方

今後は、オフィス出社とテレワークで最適な割合を取り入れるハイブリッドな働き方が主流になると考えられます。テレワークによる不便さは大抵改善可能なものが多く、ICTの進歩により在宅でも働きやすい環境が整っていく一方、企業として競争力を培うには対面のコミュニケーションも重要だからです。

オフィスに対する企業の考え方はどう変化したのか?

オフィス面積削減の目的が、単なるコスト削減から「オフィス役割の再定義に基づくコストの適正化」へと変化しました。削減分を社員の手当やボーナスに還元し、業務パフォーマンス向上につなげる一種の投資として捉える企業が増えています。

今後のオフィス市場はどのように変化していくのか?

オフィスは「固定費」から「利用に応じて支払うもの」へと変化しつつあります。シェアオフィスやコワーキングスペースの需要拡大がその象徴です。

固定費から利用に応じた支払いへ

シェアオフィスは時間単位での利用料や月額契約で必要な時だけ利用するオフィス形態です。通常のオフィスを借りるハードルが高い小規模企業や個人事業主だけでなく、オフィス面積を削減したい企業にとっても有効な選択肢となっています。会議室や備品、Wi-Fiなどの設備が揃い、住所の貸出にも対応しているため、コスト効率の高いオフィス運用が可能です。

オフィスは作業スペースからコラボレーションの場へ

オフィスが重要な場所であることに変わりはありません。対面でのコミュニケーションや協働から新たな価値が生まれるからです。オフィスは企業カルチャーを構築し、イノベーションとアイデアを生み出すために不可欠な場所です。

近年では、ゲームやスナックの設置、フリースペースの設置など、従来のオフィスとは異なる進化が見られます。その目的は、社員が協働・交流・休息しやすい環境を作り、パフォーマンスの向上につなげることにあります。

偶然の交流がイノベーションを生む根拠とは?

MITの「Westgate West」実験により、友人関係の形成には価値観や信念より物理的な空間の近接性が鍵であることが証明されました。この知見はApple、Google、Pixarなどのオフィス設計に大きな影響を与えています。

Pixar社では、Steve Jobs氏が3つのビルを1つの広大なオフィスビルに統合。異なる職種の人たちが入り混じることで、コラボレーションと創造性を促進する空間を実現しました。Googleのニューヨークキャンパスでは、オフィスのどこからでも約45メートルで食べ物にたどり着く設計により、社員同士の偶然の交流を促しています。

新しいオフィスの形態にはどのようなものがあるのか?

曜日単位で借りられるオフィスやシェアオフィスの新プラン、ホテルを活用したワークスペースなど、多様な形態が登場しています。

  • 曜日単位のオフィスレンタル:1ヶ月単位で曜日ごとに借りられるサービス。必要な日だけ利用でき、水道光熱費や通信費も含まれる
  • 複数拠点型シェアオフィス:複数都市の拠点を自由に行き来でき、他企業とのネットワーク拡大にもつながる
  • ホテル活用型ワークスペース:既存のホテル施設を活用し、リーズナブルな価格でワークスペースを提供

今後のオフィス市場の動向を把握するうえでは、賃貸管理の法規制についても理解しておくことが重要です。また、オフィス投資を検討する際には東京不動産市場の最新動向も参考になります。

よくある質問(FAQ)

Q. テレワークの普及でオフィスは不要になりますか?

オフィスそのものの需要がなくなるわけではありません。従来の「作業スペースとしてのオフィス」の需要が減少し、コラボレーションや交流の場としてのオフィスの重要性が高まっています。

Q. ハイブリッドワークとは何ですか?

ハイブリッドワークとは、オフィス出社とテレワークを最適な割合で組み合わせる働き方のことです。業種の特性やITリテラシーなどに応じて、各企業が最適なバランスを模索しています。

Q. シェアオフィスのメリットは何ですか?

必要な時だけ利用でき、固定費を大幅に削減できる点が最大のメリットです。会議室や備品も整っており、住所貸出にも対応。オフィス面積を削減した企業の補完的スペースとしても活用されています。

Q. 今後のオフィス空室率はどうなりますか?

短期的には上昇傾向にありますが、リーマン・ショック時のような大幅な上昇には至らないとの見通しです。経済回復に伴いオフィス需要も回復に向かうと見込まれていますが、テレワークの定着により従来の水準には戻らない可能性があります。

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

保有資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
  • 賃貸不動産経営管理士
  • 行政書士
  • 個人情報保護士
  • 甲種防火管理者
  • 競売不動産取扱主任者
  • マンション維持修繕技術者
  • 貸金業務取扱主任者