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白金一丁目西部中地区再開発|39階タワーと街の共存が生む価値

2025年10月着工の白金一丁目西部中地区第一種市街地再開発事業を解説。地上39階・991戸の複合開発が白金台エリアの不動産価値に与える影響と投資家が注目すべきポイントをINAが分析します。

約11分で読めます

白金台が、また新たな変貌を遂げようとしています。2025年10月に建築工事が着工した「白金一丁目西部中地区第一種市街地再開発事業」は、地上39階・高さ約140mのタワーを核に、住宅991戸・商業施設・子育て支援施設を一体的に整備する大規模複合開発です。竣工予定は2029年度。白金商店街との連携を明確に打ち出した「地域と共存する再開発」として、投資家・オーナーの間で注目が高まっています。

事業の概要|白金一丁目西部中地区とはどのような場所か

白金一丁目西部中地区は、東京都港区白金一丁目に位置する施行面積約1.6ヘクタールのエリアです。地下鉄南北線・都営三田線「白金高輪」駅から徒歩圏内に広がるこの地区は、古くから住宅と商業が混在する街並みが続いてきました。老朽化した建物や狭隘な道路が残る一方、高台に位置する閑静な環境と都心へのアクセスの良さが評価されてきたエリアでもあります。

本事業の施行者は「白金一丁目西部中地区市街地再開発組合」です。2018年(平成30年)7月に都市計画決定がなされ、2022年(令和4年)6月の組合設立認可を経て、2024年(令和6年)2月に権利変換計画認可という段階を踏んできました。港区の都市計画における位置づけとしては、定住性の高い良質な住宅と地域の賑わい軸である白金商店街と連携する商業機能を導入し、複合市街地の形成を図る事業とされています。

同じ白金一丁目の「東部北地区」では白金ザ・スカイが2023年に竣工済みですが、西部中地区は施行区域・施行者・事業コンセプトが異なる独立したプロジェクトです。東部北地区が高輪ゲートウェイへの近接性を前面に出した国際競争力型の開発であったのに対し、西部中地区は「地域に根ざした定住型の複合開発」という異なる方向性を持っています。

開発スペックを読み解く|39階タワーと3つの街区

本事業は、A街区・B-1街区・B-2街区の3つの街区で構成されています。

白金一丁目西部中地区第一種市街地再開発事業 完成予想図
白金一丁目西部中地区第一種市街地再開発事業 完成予想図(出典:港区公式サイト

A街区は事業の核となる超高層棟です。地上39階・地下1階、高さ約140mという規模で、延床面積は約97,910平方メートルにのぼります。建蔽率は約43%、容積率は約649%と設定されており、住宅991戸を中心に店舗・子育て支援施設・駐車場263台を収容します。住宅主体の大型タワーマンションとして、白金台エリアの住宅供給において大きな役割を担うことになります。

B-1街区・B-2街区は低層の補完的な街区です。B-1街区は地上4階(高さ約15m)・延床面積約1,000平方メートル、B-2街区は地上4階(高さ約15m)・延床面積約950平方メートルと比較的小規模で、周辺の街並みスケールに配慮した計画となっています。高層棟一極集中ではなく、低層棟を含めた多街区構成にすることで、既存の商店街景観との連続性を保とうとする設計意図が読み取れます。

事業全体の主要用途は「住宅、店舗、子育て支援施設、工場、駐車場等」と定められており、多機能複合型の街区形成を目指しています。なお、工場用途が含まれている点は、既存権利者の生業継続に対する配慮が表れた計画といえます。

事業スケジュールの現在地|工事着工から竣工まで

本事業の経緯と今後のスケジュールを整理すると、次のようになります。

時期 マイルストーン
2018年(平成30年)7月 都市計画決定
2022年(令和4年)6月 組合設立認可
2024年(令和6年)2月 権利変換計画認可
2025年(令和7年)10月 建築工事着工
2029年度(令和11年度) 工事完了予定

都市計画決定から工事着工まで約7年を要しています。権利者との合意形成、組合設立の手続き、権利変換計画の策定という第一種市街地再開発事業に特有の丁寧なプロセスを踏んできた結果です。2025年10月に着工した段階では、すでに権利変換計画が認可されており、従前の土地・建物の権利は再開発後のビルの権利へ変換されています。

竣工予定の2029年度(令和11年度)まで、おおよそ4年の工事期間が見込まれています。この工期の長さは、超高層棟(39階・約140m)を中心とした大規模複合開発としては標準的な期間です。周辺エリアへの影響が長期に及ぶことを踏まえた経営判断が、地権者・投資家の双方に求められます。

白金台エリアの不動産価値への影響分析

白金台・白金高輪エリアは、もともと都心でも有数の高級住宅地として知られています。白金高輪エリア再開発が不動産価値に与える影響でも分析したとおり、この地区は地価の継続的な上昇トレンドが続いており、再開発事業の重なりによってその傾向はさらに強まりつつあります。

西部中地区の開発が既存の不動産市場にもたらす影響は、大きく3つの観点から考察できます。

第一に、住宅供給量の増加と需要の底上げです。 991戸という大規模な住宅供給は短期的に見れば供給過多を招くリスクもありますが、白金台という地名ブランドと都心アクセスの優位性から、入居需要は比較的安定すると見込まれます。むしろ、タワーマンション竣工によって周辺エリア全体の注目度が上がり、既存物件の賃貸需要が高まる「エリアブランディング効果」が期待されます。

第二に、商業機能の強化による利便性向上です。 白金商店街との連携を事業コンセプトに組み込んでいる点は、大型再開発における商業共存モデルとして注目に値します。大型複合施設の商業機能が加わることで、徒歩圏内の生活利便性が向上し、ファミリー層や長期入居者の獲得につながる可能性があります。

第三に、子育て支援施設の導入による定住性の向上です。 保育・子育て関連施設の確保は、近年の都心居住需要において最重要の要素の一つです。東京都・港区いずれも子育て支援の充実を重点施策に掲げており、再開発事業への子育て支援施設の組み込みは、エリアの定住促進に直結します。

オーナー・投資家が今注目すべきポイント

2025年10月に着工し、2029年度竣工が見込まれる本事業の工事期間中、周辺の賃貸市場にはいくつかの変化が生じると予測されます。

工事期間中の近隣賃貸需要については、施工関係者や仮設移転による一時的な需要増が考えられる一方、建設騒音や振動による一時的な居住快適性の低下も避けられません。工事現場から一定距離をおいた物件では、むしろ需要が集中するケースもあります。中長期的な視点で、物件の競争力を維持・向上させる投資判断が重要です。

竣工後の資産価値については、近隣の類似事例から正の影響が見込まれます。渋谷駅周辺再開発の全体像と不動産価値への影響でも示されているとおり、大規模再開発は周辺エリア全体の地価・賃料の底上げ効果をもたらす傾向があります。白金一丁目西部中地区においても、竣工後のエリアブランド向上に伴い、周辺の既存物件の価値が相対的に押し上げられる可能性を検討する必要があります。

オーナーの方々には、長期的視野に立った資産管理戦略が求められます。短期的な工事期間の影響に一喜一憂するのではなく、2029年度以降のエリア価値向上というシナリオを踏まえた判断が、資産形成において重要な視点となります。

INAの見解|白金一丁目西部中地区が示す都市開発の新しい形

私が白金一丁目西部中地区の事業計画を見て最も注目したのは、「白金商店街との連携」という文言です。大規模タワー再開発は、ともすれば既存の地域商業を飲み込み、均質化した商業施設へと置き換えてしまう側面があります。しかし本事業は、既存の商店街を「地域の賑わい軸」と位置づけ、その活性化と連動する形で商業機能を設計しているのです。

これは、不動産投資の観点からも示唆に富んでいます。タワーマンション単体の居住者だけを顧客とするのではなく、周辺地域の既存コミュニティと共存することで、エリア全体の価値が持続的に高まる。そのような長期的な視野に立った都市開発のあり方は、私たちINA&Associates株式会社が大切にしている「関わる全ての人の幸せ」というコアバリューとも深く重なります。

子育て支援施設の導入も、同様の文脈で理解できます。入居者の生活を豊かにすることが、エリアの定住率を高め、ひいては地域の商業需要を安定させるという好循環を生み出します。白金台という稀少な高級住宅エリアで、地域との共存を軸に進む西部中地区再開発。竣工する2029年度以降、このエリアがどのような街並みと市場価値を持つことになるのか、長期的な視点で注視していきたいと思います。

まとめ

  • 白金一丁目西部中地区第一種市街地再開発事業は、施行面積約1.6haに地上39階・約140mのタワーを核とした複合開発(991戸・商業・子育て支援施設)
  • 2025年10月に建築工事が着工し、2029年度の工事完了を目指している
  • 白金商店街との連携・子育て支援施設の整備が特徴的で、東部北地区(白金ザ・スカイ)とは異なる「定住型」の再開発コンセプト
  • 周辺エリアの不動産市場には工事中・竣工後の双方でプラスの影響が期待されるが、長期的視野に立った判断が不可欠
  • 投資家・オーナーにとっては、2029年度竣工後のエリアブランド向上を見据えた資産管理戦略の検討が今から重要

よくある質問(FAQ)

Q1. 白金一丁目西部中地区再開発はいつ完成しますか?

A. 2025年(令和7年)10月に建築工事が着工し、2029年度(令和11年度)の工事完了を予定しています。竣工・入居開始の具体的な時期については、今後施行者より情報が公開される見込みです。

Q2. 白金一丁目東部北地区(白金ザ・スカイ)との違いは何ですか?

A. 施行区域・施行者が異なる独立したプロジェクトです。東部北地区(白金ザ・スカイ)は2023年に竣工済みで、高輪ゲートウェイへの近接性を特徴とした高層ブランドマンション開発でした。西部中地区は白金商店街との連携・子育て支援施設の導入を軸とした「地域共存型」の複合開発であり、コンセプトが大きく異なります。

Q3. 周辺の既存マンション・賃貸物件の価値はどう変わりますか?

A. 短期的(工事期間中)は、建設騒音・振動の影響が懸念される場合もあります。一方で中長期的には、タワーマンション竣工によるエリアブランドの向上・生活利便性の改善が既存物件の賃貸需要・資産価値を押し上げる可能性が高いと考えられます。ただし物件の位置・状態によって影響は異なるため、専門家への相談をお勧めします。

Q4. 白金一丁目西部中地区再開発への投資機会はありますか?

A. 本事業は第一種市街地再開発事業のため、一般投資家が直接参加する仕組みではありません。ただし、周辺の中古マンション・賃貸物件への投資や、竣工後の新築分譲住宅の購入という形での関与は考えられます。詳細についてはINA&Associates株式会社にご相談ください。

あわせて読みたい

  • 白金高輪エリア再開発が不動産価値に与える影響(2025年4月現在)
  • 渋谷駅周辺再開発の全体像と不動産価値への影響

引用・参考資料

Daisuke Inazawa, President & CEO of INA&Associates Inc.

著者

代表取締役社長 / CEOINA&Associates株式会社

稲澤 大輔(いなざわ・だいすけ)は、INA&Associates株式会社の代表取締役社長(CEO)。大阪本店・東京営業所を拠点に、首都圏・近畿圏における不動産売買仲介、賃貸仲介、プロパティマネジメントの三事業を統括する。

専門領域は、収益不動産の投資戦略立案、賃貸経営の収支最適化、超富裕層(UHNWI)・機関投資家向け不動産コンサルティング、およびクロスボーダー不動産投資。国内外の投資家に対し、データと長期視点に基づくアドバイザリーを提供している。

「企業の最も重要な資産は人財である」を経営理念に掲げ、人財投資カンパニーとして持続可能な企業価値の創造に取り組む。経営者として、変化の時代におけるリーダーシップのあり方と組織文化についても積極的に発信を続けている。

保有資格は11種:宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、行政書士、個人情報保護士、甲種防火管理者、競売不動産取扱主任者、マンション維持修繕技術者、貸金業務取扱主任者。

  • 宅地建物取引士
  • 公認不動産コンサルティングマスター
  • マンション管理士
  • 管理業務主任者
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